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株式会社 再春館製薬所 様
「大きな個人商店」であり続けるための努力
再春館製薬所は、漢方の製薬会社として誕生してから
80 年を超え、「ドモホルンリンクル」を主力とした化粧品、
医薬部外品、医薬品の製造・販売を行っている。
再春館製薬所は、人間が本来持っている自然治癒力・自己
再春館製薬所は、売上高に占めるテレセールスの比率
回復力を最大限に引き出すことをめざす製薬会社です。
が約 70%に達した 1990 年に、より顧客本位のビジネ
人間も自然の一部であるという漢方の考え方に立ち、自然の
スモデルを目指し、お客様より購入連絡をいただく方針
に大転換を図った。このビジネスモデルを支えたのが、ダイ
力を人間の力へと活用することになって、誰にでも訪れる老化
による悩みや苦しみを和らげ、生き生きと幸せに年を重ねるの
を応援していくことを喜びとしております。お客様に心からのご満
レクト・テレマーケティングシステムである。ダイレクト・テレ
足をいただきながら生涯お付き合いさせていただくために、お客
マーケティングシステムは、お客様との対話の始まりから、
様と直接対話する独自のテレマーケティングを実施しています。
商品の発送までをカバーする、まさに再春館製薬所のビ
ジネスの屋台骨といえる。このシステムのパフォーマンスに掛ける同社 IT 部門の取り組みを取材した。
「大きな個人商店」でありたい、という思い
つながるのか、という視点で全て評価している。
「大きな個人商店」を実現するためのダイレクト・テレマーケティン
再春館製薬所が実現しているダイレクト・テレマーケティングシス
グシステムでは、お客様とのやり取りの履歴は全て手書きのメモで
テムは、IT の持つチカラを使って、対面販売を超えたお客様との繋
記録している。無味乾燥なテキストデータでは、お客様の感情や
がりを実現する通信販売を目指して開発されたものだ。
応対の臨場感が省かれ、キーボードで打つ際に内容が要約され、
再春館製薬所のお客様の多くはリピート顧客であることを踏まえ、
お客様の経験が把握することができないためだ。このシステムでは、
アプリケーションリーダーの勝矢氏は「お客様のお顔をみて、お得意
デジタルペンで手書きした情報が即時に顧客関係管理(CRM)
様であると判断ができるのは対面販売のメリットです。当社は、数
へ登録され、即時に数百名のプリーザーが参照できる。例えば直
百名のお客様プリーザー(接客要員)が電話接客をしており、プ
近の対応記録の手書き文字が乱れていた場合、お客様のクレー
リーザー全員が全てのお客様のことを記憶することは不可能です。
ムが発生したと気が付けるため、それを留意したきめ細やかな対応
しかし、IT を活用することで対面販売を越えた、よりお客様に密
ができるのも、手書きメモならではの効果である。
接につながれる仕組みを作ることができました」と説明。
再春館製薬所は、「大きな個人商店」を実現しよう
と取り組んでいる。「大きな個人商店」とは、個人商店
のようなお客様の声に敏感で密接な絆を、大きな企業
であっても実現しつづけたいという考え方。「大きな個
人商店」を実現するために、IT を最大限に活用し現
在のダイレクト・テレマーケティングシステムを構築した。
再春館製薬所は、新しい技術は常に評価している。
しかしそれは、果たしてお客様の為になり、良い経験に
喜多方地方広域市町村圏組合
システム部 マネージャ
勝矢 元次氏
喜多方地方広域市町村圏組合
システム部 担当者
今井 敏昭氏
お客様とは一期一会
再春館製薬所の接客窓口に一日に寄せられる電話件数は5
例えば、パフォーマンスが低下する現象が発生し、その原因を膨
大なログの中から特定するには、システムに精通したエンジニアが
対応しても数時間かかる。Dynatrace を導入してからは、パフォ
千件を超える。これに対してプリーザーの数は数百名と多少の余
ーマンス低下のアラートを検知してからアプリケーション、ネットワーク、
力を残している。理由は、プリーザーの人数を問い合わせのピーク
データベースなどの処理速度を調査し、問題箇所を切り分けること
に合わせているためだ。全てのお客様を待たせることなく対応する
が速やかに行えるようになった。Dynatrace は、アプリケーションの
ためには、コスト効率だけを重視していては実現できない。リーダー
トランザクション全体図を可視化することが可能で、ボトルネックの
の今井氏は「お客様をお待たせしたくないですし、プリーザーが焦っ
発生箇所を視覚的に捉えられ、システムに精通していなくても、切
てしまいお客様の心象を害することもさせたくありません。お客様と
り分け調査を速やかに行えるのだ。
は一期一会ですから」と語り、勝矢氏も「お客様は、一度の悪い
経験で私たちを見限ってしまうかもしれません。ご連絡くださったお
客様とプリーザーが、スムーズにやり取りができる環境を実現するこ
とが、再春館製薬所が妥協できない点なのです」と語るように、お
客様との「絆」を重要視している。
「いつもの」を可能にする「応答速度」の課題
例えばお客様より、「いつものものをいつものようにいつもの場所
に送って欲しい」という要望を受けた場合、いつものご要望がどのよ
うなものなのかを把握するのに 10 秒を費やすことはできない。例え
ば、お客様はプリーザーが使用する CRM の画面に、自分の情報
パフォーマンスの問題は、システム管理者にとって大きな心理的
の表示が遅れていることなど気にせず要望を話し始める。これがプ
な負担にもなっている。今井氏は、「コールセンターのプリーザーから、
リーザーのパニックにつながり、お客様対応が不十分になる。
システムの応答速度が遅いことへのクレームが入ることがあり、すぐ
また、場合によっては応対の第一声より前にお客様の好みを把
に対処を求められることがありますが、処理遅延の発生原因が分
握しなければならない場合がある。たとえば、対面販売ではない通
からないときには心苦しい思いをしました。しかし Dynatrace を導
信販売の窓口では、「いらっしゃいませと言わないで欲しい」という
入してからは、システムの遅延原因を発見するまでの調査時間が
要望があるのだ。こういったお客様の要望に可能な限り対応する
短縮でき、プリーザーからの期待に応えられるようになりましたし、
為に、お客様の情報は電話をいただいた瞬間に表示されなければ
私自身も精神的に救われました」と語る。
ならない。IT 部門は、このようなお客様とプリーザーのやりとりを円
今後の展開
滑に実現することが最大のミッションなのだ。
しかし、テレビコマーシャルの放送などで問い合わせが殺到した場
Dynatrace の導入により、再春館製薬所にとって重要なダイレ
合や、システム的に大量なバックグランドの処理を行っている場合、
クト・テレマーケティングシステムとそのパフォーマンスが、改善がされ
問題が含まれたスクリプトが動いて大量にリソースを消費した場合
つつある。そして、IT 部門は次のステップを見始めている。
などに、パフォーマンス低下のトラブルが発生することがあり、お客様
これまではパフォーマンス問題が発生してから、Dynatrace を活
第一主義の再春館製薬所にとって、看過できない課題なのだ。
用して問題調査のために活用していたが、現在は開発環境で改
Dynatrace でパフォーマンス対策を開始
修前と改修後のパフォーマンス面の確認をしてから本番環境適用
このようなパフォーマンスの課題を解決する為に導入されたものが、
するようになり、トラブルの減少を実現した。また、アプリケーションの
チューニングを行う新しい技術を導入する際にも、数あるアプリケー
Dynatrace である。パフォーマンスの問題は、アプリケーションの性
ションの性能差ランキングを Dynatrace で生成してから対応する
能、システムリソース見積り、複数処理の負荷など要因が多岐に
といった、攻めの活用にシフトし始めている。
わたり、システムで記録するログを調べる以外に方法がなかった。ま
お客様本意のサービスを追及するカスタマーサービス部門と、その
た、稀なトラブルが発生したときには、ログだけでの調査は困難であ
業務を IT のチカラで支える IT 部門。両者が追い求めるものは「大
る。このようなケースでは、原因の発見まで時間がかかり、また原
きな個人商店」。再春館製薬所は、今後も「大きな個人商店」と
因が特定できないものもあった。このような状況を打開するために、
してお客様を支え続けることだろう。
Dynatrace が導入された。
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