報告書

平成28年3月29日
報道機関各位
原子力安全対策課長
平成27年12月16日に発生した再処理工場使用済燃料受入れ・貯蔵建屋
における査察機器の火災について(原因と対策の報告)
標記について、日本原燃株式会社から、安全協定に基づき別添のとおり報告が
ありましたのでお知らせします。
報道機関用提供資料(連絡先)
担 当 課
環境生活部原子力安全対策課
課長代理 照沼 知己
電話番号 (内線) 6487
(直通) 017-734-9253
報道監
環境生活部 大澤次長
異常事態報告書
2015再工営発第33号
平成28年3月29日
青森県環境生活部
E
原子力安全対策課長
庄 司 博 光 殿
A
E
事業者名
職 氏 名
日本原燃株式会社
取締役 専務執行 役員
再 処 理 事 業 部 長
村
上
秀
明
六ケ所再処理工場における使用済燃料の受入れ及び貯蔵並びにアクティブ試験に伴う使用済燃料等の
取扱いに当たっての周辺地域の安全確保及び環境保全に関する協定書第 12 条第 1 項の規定により、次の
とおり報告します。
2015年12月16日(水) 10時47分
発生日時
発生場所
件
再処理工場 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋
再処理工場 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋 査察機器における火災について
(原因と対策の報告)
名
環境への
影
響
状
原
対
なし
1.状 況
2015年12月16日、再処理工場使用済燃料受入れ・貯蔵建屋(添付資料1参照)の燃
料受入れエリアの管理区域内において、
(公財)核物質管理センター職員および当社社員立会い
のもと、国際原子力機関(以下、
「IAEA」という。
)の職員が、IAEAの査察機器の部品(無
停電電源装置バッテリー等)交換のため、査察機器が収納されているキャビネットを開けたとこ
ろ、10時47分、同キャビネット内に黒い粉および黒い異物(以下、
「黒い異物等」という。)
を確認した。状況を詳細に確認した結果、査察機器のバックアップ用電池(以下、
「バッテリー」
という。
)が破損していることが判明した。
その後、社内での検討の結果、現場の状況について公設消防に火災か否かの確認を受ける必
要があると判断し、翌12月17日、公設消防が現場を確認した結果、14時16分に火災(こ
げ痕)と判断され、同時刻に鎮火が確認された。
なお、本事象による再処理施設および周辺環境への影響はなかった。
況
因
策
2.査察機器における火災に対するIAEAの対応
本事象の発生を受け、査察業務の担当官庁である原子力規制庁保障措置室(以下、「保障措
置室」という。
)は、IAEA に対して本事象に係る原因調査および再発防止対策の実施につい
て要請を行った。また、当社も保障措置室を通じ、同様に原因調査および再発防止対策の実
施について要請を行った。
その後、IAEA が保障措置室に対して行った報告について、同室より連絡を受けた内容の概
要は以下のとおり。
(1)当該査察機器の応急処置
2015年12月18日、IAEAは、応急処置として、火災が発生したバッテリーを装
備した査察機器を予備品に交換した。
0B
(2)同型査察機器における健全性確認
2015年12月22日までに、IAEAは、当社再処理工場および濃縮工場内にある全
ての同型査察機器について目視により健全性確認を実施した結果、黒い異物等が発生した類
似の事象がないことを確認した。
(3)原因及び再発防止対策
①原因
IAEAが調査した結果、火災(バッテリーの焼損)の直接原因は、バッテリーの異常発
熱によるものであることが判明した。
また、当該バッテリーを分解したところ、バッテリーの電子回路が正規品と異なり、バッ
テリーセルの耐熱用スペーサが設置されていないなど、正規の規格品ではなかったことが判
明し、バッテリーの設計、構造および製造の品質が粗悪だったため、異常発熱を引き起こし
たものであると推定した。
②再発防止対策
IAEAは、納入されたバッテリーの受入検査に破壊検査(抜き取りによる分解検査)を
含め品質管理を強化しており、当社に設置されている全てのバッテリーを2016年1月2
5日までに正規品に交換した。また、今後は次世代の査察機器への更新に伴い、より信頼性
の高い軍用規格のバッテリーへ更新される。
3.通報連絡の不備
その他、当社は、本事象の対応において、通報連絡に係る不備を2点確認したことから、
対策を行うこととした。
(1)公設消防への未通報
①原因
現場に立ち会った当社社員は、黒い異物等はバッテリーの破損によるものであり火災では
ないと思い込み、直ちに公設消防へ通報しなかった。
②再発防止対策
当社社員および協力会社社員に対し公設消防への通報を要する事象(こげ痕含む)に係る
教育を行った。
(2016年3月実施)
(2)安全協定に基づく事象判断の解釈違い
①原因
当社連絡責任者は、当社管理下にない査察機器キャビネット内で発生した火災は、再処理
工場の安全協定に基づく事象に該当しないと考え、当社ではなく原子力規制庁(国内の査察
活動を担当する省庁)が青森県、六ヶ所村等の関係機関へ通報すべきと誤った解釈を行った。
②再発防止対策
再処理工場の安全協定に基づく報告事象には、機器の所有者に係わらず当社敷地内におけ
る事象が該当し、敷地内に設置された査察機器での事象も該当することについて社内ルール
を見直し、当社連絡責任者へ周知した。
(2016年2月実施)
以 上
添付資料1
使用済燃料受入れ・貯蔵建屋
再処理事業所 構内配置図