を巡る課題と留意点 弁護士 金井高志

課題が
いっぱい⁉
特集
集
フランチャイズ実務の現状
ンチ イズ実
フランチャイズの意義
103.2%
15,306,017
101.8%
104.0%
9,031,859
106.5%
41
100.1%
3,771,580
97.0%
1,711
101.9%
2,539,063
102.9%
332
-1
93,572
25
-1
47,593
外 食 業
529
11
54,798
サービス業
399
17
90,468
※店舗数は各チェーンの加盟店・直営店数の合計、売上高は加盟店・直営店の店舗末端売上高。CVS=コンビニエンスストアの略。
契約
図表2 本部事業者・加盟店間の訴訟の状況
フランチャイズ契約は、民法等
の実体法上、その定義がありませ
ん。ま た、現 在 進 行 中 の 民 法︵ 債
権関係︶改正の当初の議論におい
2,940
1,824
小 売 業
金井高志
弁護士 を巡る課題と留意点
ては、フランチャイズ契約を民法
の典型契約として規定するか否か
が議題となりましたが、その後の
議論により、現在ではフランチャ
イズ契約を民法の典型契約とする
提案はなされていない状況です。
そ こ で、ま ず、フ ラ ン チ ャ イ ズ
の意義を検討しておく必要があり
ま す。通 常、フ ラ ン チ ャ イ ズ と 言
わ れ る も の は、
﹁ビジネスフォー
マット型フランチャイズ﹂のこと
を 意 味 し て い ま す。こ の 点、日 本
出典:2011年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」報告(日本フランチャイズチェーン協会、平成24年10月)
▶http://www.jfa-fc.or.jp/folder/1/img/20121015163549.pdf
フランチャイズチェーン協会によ
る定義等を参考に説明すれば、
事 業 者︵ 以 下﹁ 本 部・ フ ラ ン
チャイズ本部・フランチャイザ
ー﹂と い う ︶が 他 の 事 業 者︵ 以
下﹁加盟店・加盟者・フランチ
ャ イ ジ ー﹂と い う ︶と の 間 に 契
約 を 結 び、本 部 が、加 盟 店 に 対
フランチャイズ
① 加盟店からの訴訟で多い訴訟理由(複数回答)
し て、自 己 の 商 標、そ の 他 の 営
21,616,660
(うちCVS)
前年比
売上高(百万円)
前年比
101.1%
102.0%
4,692
1,260
27
増 減
店舗数
増 減
チェーン数
238,838
総 計
売上高
店舗数
チェーン数
のノウハウを用いて、同一のイ
メージの下に商品の販売その他
の事業を行う権利を与え、加盟
店がその権利を適切に行使でき
るように指導および援助するこ
と を 約 し、他 方、加 盟 店 は そ れ
らに対する一定の対価を支払い、
本部の指導および援助の下に事
業を行う両者の継続的関係
ということになります。
これを契約法の視点から見ると、
まず、一般的なフランチャイズ契
約の性質は、
① 商標や経営ノウハウのライセ
ンスという点で賃貸借的要素
② 加盟店は本部により指定され
た一定の商品の販売およびサー
ビスの提供を義務づけられてい
るという点で本部を委任者と考
えうる準委任的要素
③ 本部は加盟店に対して一定の
経営指導、改良されたノウハウ
の継続的提供を行うという加盟
店を委任者とする準委任的要素
④ 付随的な継続的売買の要素
を含む、継続的双務契約たる混合
契約であると考えられます︵注1︶
。
ただ、コンビニエンスストアの
フ ラ ン チ ャ イ ズ の 場 合 の よ う に、
本部と加盟店の間に継続的売買の
要素がほとんどなく、加盟店は本
部の推奨する仕入業者から商品を
購入するという場合も少なくあり
ません。
統計で見るフランチャ
イズビジネスの現況
フランチャイズに関する統計か
ら現況を見てみます。
まず、日本フランチャイズチェ
ーン協会の発表している﹁二〇一
一年度﹃J FAフランチャイズチ
ェーン統計調査﹄報告﹂
︵平成二四
年一〇月発表。以下﹁統計報告書﹂
と い う ︶で は、一 二 六 〇 チ ェ ー ン
で、二三万八八三八店舗となって
お り、ま た、全 体 の 売 上 高 は 二 一
兆六一六六億円以上となっていま
す︵図表1︶
。ここ二年、本部数は
増 加 し、店 舗 数 も 拡 大 し て お り、
また、売上高も二年連続でプラス
成長している状況となっています。
そして、個人がフランチャイズ
に加盟する場合が多いように見受
けられますが、実際には企業が事
業の多角化の一環としてフランチ
ャイズに加盟する場合も少なくあ
りません。
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会社法務A2Z 2013.12
(注1)拙著『フランチャイズ契約裁判例の理論分析』
(判例タイムズ社、2005年)14-15頁参照。
会社法務A2Z 2013.12
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業の象徴となる標識および経営
図表1 2011年度フランチャイズ統計調査結果
② 本部事業者側からの訴訟で多い訴訟理由(複数回答)
出典:「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書」
(経済産業省、平成20年3月)
▶http://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/franchise2007.pdf