びわ湖環境ビジネスメッセ 2014

4.事業創出活動
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事業創出活動
❏産業振興分野
びわ湖 環 境 ビジネスメッセ 2014
「社会人文系の滋賀大学がなぜ農なのか?」「いつ農学部を創ったのか?」―― 会期中、ブースの看板「農を考
える滋賀大学 PartⅡ」を見て立ち寄られた多くの方がたから、このような質問が寄せられた。また「本年の滋賀大は
学生がメイン?」との問いかけも多かった。実は企画側も、来訪者を迎えるのは主に学生で、若さと熱気あふれる対
話が弾むことを期待していた。総じて今回の出展は、地域貢献を重要な使命とする本学が、「農を考える」というテー
マで自他共に視野と思考を拡げる好機となった。
ブース設計にあたっては、本学実行委員を中心に、両学部や各センターからも協力いただき、部局横断的な作業
となった。会場での本学ブースの位置も、通例の産学官連携ゾーンではなく、昨年に引き続き「食と環境ビジネス」ゾ
ーンへの出展とした。
狙いは、本学キャンパスに芽が出始めた、あらたな農業への思いや試みを、いずれは地域の大きな流れとするた
め、そのシステム化をさぐりつつ展示や解説に取組むことであった。我々の手に農業技術はないものの、多くの人び
とや組織のつながりを大学として媒介することで目標に近づこうとする意図があった。
また、農業ビジネス研究会を核に集まった学生達には、社会の仕組みやモノづくり、プロモーション、PR等にチャ
レンジさせ、「正解の無い課題への挑戦・日々前進・プレゼンテーション能力の取得」を課題として、相手の反応を確
認しながら対応を工夫し、企画の変更も考えるといった、インターンシップ研修に近い機会を提供する意図もあった。
さらに、学生たちにとっては、教職員や来訪者と一体になって考え、地域の知の拠点、創造的コミュニケーションの
場としての滋賀大学を意識する機会となることを期待した。2 枚のパネルで学生研究を示したのもそれ故である。そ
のパネルの制作過程で学生たちは、極めて短時間の中、大きなプレッシャーに克ち、幾度も訂正を加えつつ着実に
目標に近づくこができたといえる。
本年度の展示参画学生への活動支援の特徴は以下の通りである。
1.前年度の学生研究「自産自消」・「耕作放棄地の有効活用」・「こだわり農業の推進」をベースとして引き継ぎ、研
究内容をさらに進めさせる。
2.プレゼンテーション能力、課題解決能力の向上、また、同じグループ内でも、各人各様の説明資料やプレゼンテ
ーションを実践させ独自性やオリジナリティを発揮させる。
3.自分たちの力でやり遂げたという達成感を共有させる。
4.出展の体験を基に正解の無い課題に、積極的にチャレンジし、解決する方法と逃げないことを身に着けさせる。
本年度の本学ブースは、担当の学生達が、それぞれ来訪者に、自らパネルにした研究内容につき、追加資料を手
渡しつつ説明するとともに、意見を伺い、自分の研究の深化に役立てることを主眼とした。また、本学のマスコットとし
て知られる「カモンちゃん」(経済学部谷口ゼミ学生の出演協力)との写真撮影機会の提供、環境学習支援士の方々
が展示パネルの内容をクイズにまとめ、来訪者が回答する方式での環境意識啓発、農業ビジネス研究会による「利
きごはん」、教育学部学生による「サツマイモ」について調理方法による糖度データと来訪者の味評価とをつき合わ
せる試みなどを実施した。教育学部の知見を示す冊子『滋賀県の伝統食を活用した食事バランスガイド』の配布もあ
り、さまざまな手段で、来訪者が楽しみながら、学生も自らが学ぶ機会となった。さらに、大学によるバス配車により、
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4.事業創出活動
ゼミ単位で本メッセに 100 人余りの学生が来訪し、本学のブースは、より活気あるものとなったことも特筆したい。
ふり返れば、企画側の意図はかなり達成されたと言える。小職も昨年に続き学生研究の指導やイベントの企画運
営を行うことで、自らの知見を整理するとともに、本学が掲げた課題への興味を、従来にもまして深めることとなっ
た。
この展示終了後、農業ビジネス研究会のメンバーから口々に、「入学して最高に感動的なイベントであった」「何か
自信がついた」「難しいことにチャレンジし、逃げないことに大きな喜びを感じた」といった言葉をもらった。笑顔いっぱ
いに話す彼らの表情は、以前とは違っていた。
また、他のいくつかの大学からは、「こちらは一人も来ないのに、滋賀大ブースだけ沢山の人が集まっている!」
「学生主体というのは素晴らしい!」「熱気があふれていて、いい企画である!本来、自分の大学もしなければならな
いことだ。」といった意見が寄せられたことを付言しておきたい。
【びわ湖環境ビジネスメッセ 2014 の様子】
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(文責 特任教授 若林 忠彦)