第146回 胸部レ線読影会 紹介症例(レントゲン読影見落としのメカニズム&副鼻腔炎) 東京警察病院呼吸器内科部長:丸茂一義先生 今回は見つけにくい右上葉の肺癌5症例と慢性咳嗽を主訴とした副鼻腔炎8例を学びました。 右上葉は色々な成分が重なっているため見落としやすい場所です。見落としのメカニズムとして ⑴心理的落とし穴(あると思って見ていない)、⑵コントラスト分解能(大雑把な見方)、⑶信号雑音 比(肺尖部など元々分かりにくい)、⑷視覚の順応機構(大雑把な見方)が言われています。 対策は⑴影があるつもりで、⑵矯めつ眺めつ、⑶注意深く、⑷注視凝視する事で見落としを防ぎ ます。時には病巣を拡大させたり、コントラストを変化させたりしながら、左右差や経年変化を 比べる事が重要になります。特に肋軟骨の石灰化と腫瘤影の違いを指摘するためには辺縁のぼや け具合を注意深く見ないといけません。とにかく疑わしければ積極的にCTを撮影しましょう。 副鼻腔炎∼副鼻腔気管支症候群は色々な形があります。咳嗽がメインでも肺に陰影がない症例か ら気管支拡張症、細気管支炎、浸潤影まで様々な陰影が見られます。 今回丸茂先生はUACS(upper airway cough syndrome)として鼻炎・副鼻腔炎の重要性を指摘さ れていました。欧米では慢性咳嗽原因頻度として鼻炎/後鼻漏が14∼93%に対し、本邦ではあま り注目されておらず、副鼻腔気管支症候群として7∼17%占める結果でした。しかし丸茂先生は積 極的に問診で鼻漏を聞き出し副鼻腔CTを撮っています。それにより鼻炎/後鼻漏の占める割合が、 2005年では3%、2013年では13%でしたが今回の集計では24%にまで引き上がり、欧米と 色 ない結果が出ていました。 治療は副鼻腔炎の治療をするだけで咳嗽も収まります。起炎菌は黄色ブドウ球菌、インフルエン ザ菌、肺炎球菌、嫌気性菌などがあり、急性期の感染による好中球炎症のコントロールは抗菌薬 がメインになります。警察病院における肺炎球菌の薬剤感受性はオーグメンチン、メイアクト、ク ラビットでsensitivityが見られています。慢性期の非特異的炎症のコントロールではマクロライド を3ヶ月間使用します。好酸球性炎症のコントロールにはアレルギー性鼻炎は抗アレルギー薬、好 酸球性副鼻腔炎は経口ステロイドを使用します。好酸球性副鼻腔炎はかなり特殊な副鼻腔炎で、 一般的な副鼻腔炎が自然口の閉塞を伴うのに対し、自然口の閉塞はなく、成人発症で難治性であ り、両側篩骨洞に多く、非Ⅰ型アレルギーで好酸球増多を伴い、鼻ポリープを形成しやすく、マク ロライドは無効、経口のステロイドのみ有効な病態です。 副鼻腔炎は思っているよりも頻度の高い病気です。よく病歴を取りましょう。 山本博之 症例1XP/症例2XP 症例2CT 症例3XP/症例4XP 症例4CT 症例5XP/CT
© Copyright 2025 ExpyDoc