商業科3年生の「課題研究」での指導事例(指導計画と展開例) 「課題研究」における現場実習 1 学習内容と指導計画の作成について (1)学習内容について 「課題研究」を構成する4項目のうちから ,「(3)産業現場等における実習」として実施 します。これまでの学習で得た知識と技術を,企業における実際の活動を通すことにより, 実践的な知識や技術とするための機会となります。そのため,各学科の目的や学習内容等が できるだけ活かせるような職種での実習であれば,一層の効果が期待されます。 ※「課題研究」の4項目 … (1) 調査,研究,実験 (2) 作品制作 (3) 産業現場等における実習 (4) 職業資格の取得 (2)指導計画の作成について 「課題研究」は専門的な知識と技術の深化,総合化を図るとともに,問題解決能力や自発 的,創造的な学習態度の育成が目標となりますから,1・2年生での学習内容が総合的に応 用できるような指導計画が必要となります。 実習先については,地域の産業の実態を考慮して,できるだけ幅広く設定するとともに, 地域や産業界などと連携を図ることが必要で,事前・事後の指導の充実等の工夫も重要とな ります。特に,安全教育に関しては,実習中のみならず,移動中の事故等にも充分留意させ, できれば傷害保険等に加入させることが望ましいと考えられます。また,現場実習の成果に ついては,分かりやすい報告書を作成させるとともに,成果を発表する機会を設けることも 必要です。 教員による巡回指導については,生徒への指導・観察はもちろんですが,各実習先の担当 者との意見交換や相互の信頼構築という観点からも貴重な機会となります。 2 指導計画 <「課題研究」2単位(3年次履修)> 学 習 内 容 1 現場実習ガイダンス(4月~7月) ・現場実習の心構え ・実習先事業所や職種についての事前学習 ・自己紹介書の作成 2 現場実習(9月~11月) 【本時】 ・各事業所での実習(週1日,計10日間) 3 現場実習事後指導(12月~3月) ・お礼状の作成・発送 ・報告書の作成 ・現場実習体験発表会の開催 商業科の各科目 ・ビジネスに関する知識・技能の習得 ・諸活動に関する実践的な能力の育成 ・職業人としての倫理観の醸成 等 指導上の留意点(・)と4能力領域(◇) ・生徒の興味・関心に基づき,実習先事業 所を決定する。 ・事前学習を徹底する。 ◇情報活用能力 ◇将来設計能力 ・巡回指導を充実させる。 ◇人間関係形成能力 ◇意思決定能力 ・事後指導を徹底する。 ・的確な報告書の作成とわかりやすい発表 の方法について指導する。 ◇人間関係形成能力 ◇情報活用能力 インターンシップ ・短期間の就業体験 ・ビジネスマナーの習得 ・コミュニケーション能力の育成 44 3-1 展開例1(実習先や職種について調べる)(5・6校時) (1)本日の目標 ・実習先の業務内容や職種について調査し,実習に必要なデータとしてまとめることができる。 (2)本日の授業ではぐくむキャリア教育の能力 ・書籍やインターネットを利用して,必要な情報を収集することができる【情報活用能力】 (3)展開 過程 学習内容と活動 導入 1 展開 2 終末 本時の学習内容を聞く。 実習先や職種について調 べる。 ・図書室を利用する。 ・インターネットを利用す る。 3 調べた内容をまとめる。 学習支援 ・利用可能な施設・教室を準 備し,利用について説明す る。 ・個別指導により,内容を深 めさせる。 はぐくむ能力・資料 ・図書室やインターネ ットが適切に利用で きる。 ・適切なまとめができ たか。 3-2 展開例2(スーパーマーケットでの実習)(5・6校時) (1)本日の目標 ・商品に関する知識を深め,販売状況に応じた的確な活動ができる。 ・顧客に対し適切に応対することができる。 ・トラブルが発生した場合は,指導者に報告するとともに,問題解決にあたることができる。 (2)本日の授業ではぐくむキャリア教育の能力 ・自らの責任と判断に基づいて作業し,実習上の諸問題に適切に対応できる。 【意思決定能力】 ・顧客との円滑なコミュニケーションを図ることができる。 【人間関係形成能力】 ・販売活動のもつ社会的役割を理解し,自己の果たすべき役割の認識を深めることができる。 【将来設計能力】 (3)展開 過程 導入 学習内容と活動 1 2 展開 終末 4 実習内容の打合せ。 企業指導者からの指導 制服を着用 身だしなみを整える。 3 現場実習(品だし) 4 巡回指導 5 日誌の記入 企業指導者の指導 学習支援 はぐくむ能力・資料 ・本日の担当部署と商品に関 する情報を説明する。 ・本日の業務内容が理 解できる。 ・サービス業にふさわ しい服装・身だしな みができる。 ・販売状況を見なが ら,的確に商品補充 ができる。 ・顧客からの質問等に 適切に対応すること ができる。 ・実習状況の観察 ・企業担当者との情報交換 他学年の学習とのつながり 現場実習は,企業現場等での実際の活動であるため,1・2年生での学習内容の中に,ケー ススタディやディベート等の体験的活動を取り入れることにより,より実践的な経験を積むこ とが望まれます。さらに,現場実習に参加する生徒は,できるだけ1・2年生でインターンシ ップを体験しておくと,導入がスムーズになると考えられます。 45
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