「天狗熱?いやいやデング熱です」 静岡赤十字病院小児科 大河原 一郎 第 35 号(不定期) もう秋ですね。最近はどこもかしこもデング熱報道でもちきりですね。花火大会の O-157 の件は どこへやら、といった感じですが、まだ二次感染の方もいるので注意が必要です。 「デング熱って蚊が問題なんでしょ?」と言う事は連日の報道でご存知の方も多いでしょう。しか し実際デング熱にかかるとどうなるのでしょうか?実はウイルスに感染しても発症する人は 10-50%しかありません。症状が出る人は 3-7 日の潜伏期の後、発熱(99%)・頭痛(57%)・発疹 (52%)・筋肉痛(29%)等の症状を認めます。発熱は 2-7 日程度つづきます。 一部に「重症型」と呼ばれる血小板の低下や血が止まりにくいといった出血傾向を認める方もいま すが、デング熱患者のうち 1-5%に過ぎません。これは放っておくと死亡する率が 10-20%ですが、 適切な治療を行えば 1%未満です(2006-2010 年に日本でデング熱と診断され死亡した方はいま せん)。裏面にここ最近のデング熱の患者数を載せました。実は渡航者等で年間 200 人前後は診 断されている病気で、決して珍しいものではありません。 実際の治療は対症療法であり、水分補給や解熱剤(アセトアミノフェン)の投与です。この時アス ピリンを使用すると出血傾向が増悪するので、使用してはいけません。予防はワクチンがないの で、蚊にさされない事が一番です。つまり長袖・長ズボンを着て、きちんと虫よけを使う事が大切で す。右の QR コードから国立感染症研究所作成のデング熱予防対策動画を視聴できます。 虫よけには DEET という成分が高いほど効果的ですが、日本では最高でも 12%のものしか販売 されていません。また日本では 6 カ月未満の乳児には使用を勧めていません。また顔に使用しな い事、目や口に入れない事が注意点です。6 カ月~2 歳未満では 1 日 1 回、2 歳~12 歳未満は 1 日 1-3 回の使用を勧めています。 しかし同じ蚊が媒介する病気で今すぐ皆さんが対応できるものがあります!それは日本脳炎の ワクチン接種です。日本脳炎は発症すると 20-40%が死亡します。まずは身近にできることから始 めてみませんか?他のワクチンも接種漏れがないか母子手帳を確認してみましょう! バックナンバーは「病院のホームページ」→「診療科案内」→「小児科」で閲覧可能です! http://www.shizuoka-med.jrc.or.jp/section/diagnosis/pediatrics-4.html 2014/9 月作成 <デング熱のポイント> 長袖・長ズボン・虫よけが大事 アスピリンは使わない 日本脳炎ワクチンも忘れずに 2014/9 月作成
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