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2016 年 2 月作成
シリーズ 「ウイルス性肝炎」
(その4) 「労働者が肝炎ウイルス陽性と分かったら」
事業者が、職場の健診の機会を利用して、従業員に肝炎ウイルス検査をすることがありますが、
基本的に検査結果は、検査を実施した機関から直接本人に通知するため、事業者は、誰がウイ
ルス陽性なのか、知り得ません。ただし、医療機関などの労働者は、業務を行う際に肝炎ウイル
スに感染するおそれがあるため、事業者がその情報を管理することがありますが、その場合は労
働者の個別の同意をとる必要があります。
以上の条件が揃って、労働者が肝炎ウイルス陽性と分かった場合、肝炎の症状の有無や、治療
の有無、治療の副作用の有無などで、就業上の配慮がかわってきます。
●肝炎の症状がない場合
ウイルス性肝炎は、多くの場合肝炎ウイルスが体内に持続的に存在していながら、
数十年間、特に自覚症状もなく、肝機能も正常である状態が続きます。
そのような労働者のための就業上の配慮は特に必要ありません。
●肝炎の症状がある場合
肝炎ウイルスによる症状が見られる労働者については、
他の病気を有する労働者と同様に、合理的な就業上の配慮が必要です。
必要に応じて産業医と相談しましょう。
●治療・副作用による欠勤
治療によっては、数週間の入院や、毎週の通院が必要なことがあります。
また、高熱、倦怠感、抑うつなどの副作用で就労できないこともあります。
この場合も、合理的な就業上の配慮が必要です。
職場の同僚へ感染することは、以下の基本的な注意事項を守っていれば、ほとんどありません。
●他人の歯ブラシやカミソリなどは使わない。
●感染者の血液や分泌物が付いたものは、他の人が触れないよう、しっかり包んで捨てる。
●けがの手当ては、できる限り自分で行う。
他人のけがの手当てを手伝う場合は、肝炎ウイルスに感染している可能性も考え、
手袋を装着する。
職場の救急箱に使い捨ての手袋を入れておくとよい。
他人の血液が付着した場合は流水でしっかりと洗い流し、心配であれば検査を受ける。
※B 型肝炎ウイルスには有効なワクチンがありますので、医療従事者など感染の危険性が高い業務を行う
労働者は、予防接種を受けましょう。なお、C 型肝炎ウイルスに有効なワクチンは現在のところ、ありません。