有機化学IV

有機化学Ⅳ
Organic Chemistry IV(2単位)
2年次後期 必修
【担当教官】
教授 高山 廣光
准教授 北島 満里子
【授業概要及び目標】
二年次後期
(目的)現在用いられている医薬品のみならず、今後も創られる医薬品の本体ならびに生物活性物質は大部
分は有機化合物である。また、生体構成成分の大半も有機化合物である。これら有機化合物の構造、性質、
反応性、ならびに合成法を薬学の教育・研究における基礎学問(有機化学)として修得・理解する。
(授業概要)有機化学Ⅳでは、そのうちベンゼンおよびその誘導体の化学、さらに高い反応性と多様な反応
性を示し、生体内の反応においても重要な官能基であるカルボニル基の化学について講義する。また、分子
軌道や共鳴理論を用いる反応性の予測・説明の方法について講義する。
(到達目標)ベンゼンおよびその誘導体、カルボニル化合物の化学的特徴と反応について理解し、説明できる。
【授業計画及び授業内容】
回
項
目
<授業方法>
環状セクステット電子
系(1):ベンゼンの命
名、構造、分子軌道、
Hückel 則
<講義>
月日
担当者
授
業
内
容
1 10. 2
高 山
2 10. 9
〃
環状セクステット電子
系(2):ベンゼン誘導
体の合成-1
<講義>
3 10.16
〃
環状セクステット電子 炭素求電子剤によって起こるベンゼンの置換反応として、
系(3):ベンゼン誘導 2種類の Friedel-Crafts 反応(アルキル化、アシル化)に
ついて解説する。
体の合成-2
<講義>
4 10.23
〃
ベンゼン誘導体への求 ベンゼン環上の置換基が、求電子攻撃に対しオルト位およ
電子攻撃(1):置換基 びパラ位への配向性を示す活性化基と、メタ位への配向性
による位置選択性の制 を示す不活性化基の2種類あることを解説する。
御
<講義>
5 11. 6
〃
ベンゼン誘導体への求
電子攻撃(2):置換ベ
ンゼンの合成戦略
<講義>
6 11.13
〃
ベンゼン誘導体への求 ナフタレンを例にとり、共鳴構造を用いて多環芳香族分子
電子攻撃(3):多環芳 の反応性や位置選択性の予測を解説する。
香族炭化水素の反応性
<講義>
ベンゼン誘導体の命名の規則及び慣用名を説明する。ベン
ゼン環は反応性が乏しいが、この共鳴安定化の理由をπ分
子軌道を用いて解説する。また環状ポリエンの芳香族性を
決定する Hückel 則についても解説する。
ベンゼンは求電子剤の攻撃を受けるが、アルケンとは異な
り付加ではなく芳香族求電子置換反応が起こる。その反応
例としてハロゲン化、ニトロ化、スルホン化について解説
する。
置換基を持つベンゼンを合成するには、ある特定の位置に
置換が起こるように計画をたてる必要がある。そのための
戦略としてオルト-パラ配向性基とメタ配向性基を化学反
応を用いて互いに変換する方法や、スルホン酸基によって
特定の位置をブロックする方法等を解説する。
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ア ル デ ヒ ド と ケ ト ン アルデヒド及びケトンについてまず命名法の規則と慣用名
(1):アルデヒド、ケ を説明する。次いで極性の大きいカルボニル基の結合を分
トンの命名、構造、合成 子軌道を用いて解説し、合成法も概説する。
<講義>
高 山
8 11.27
〃
9 12. 4
北 島
10 12.11
〃
ア ル デ ヒ ド と ケ ト ン アルデヒド、ケトンへの求核付加反応の例として水和反応、
アルコールの付加によるアセタールの生成、アミン類の付
(3):反応-1
加によるイミンやエナミンの生成を解説する。
<講義>
11 12.18
〃
ア ル デ ヒ ド と ケ ト ン カルボニル化合物はヒドラゾンを経て還元(脱酸素反応)
(4):反応-2
されて炭化水素になる。またその他の付加反応(シアノヒ
<講義>
ドリンの生成、Wittig 反応)、及び Baeyer-Villiger 酸化
についても解説する。
12
1. 8
〃
エノールとエノラート
<講義>
カルボニル化合物の第三の反応点としてα炭素に注目す
る。そのα水素の脱離によって生じるエノールあるいはエ
ノラートの化学について解説し、アルデヒド、ケトンの酸
性度、ケト・エノール平衡、アルキル化を説明する。
13
1.22
〃
アルドール縮合
<講義>
アルドール縮合はエノラートがカルボニル基へ攻撃し、炭
素-炭素結合が形成されるものである。この反応の機構を
解説し、さらに交差アルドール縮合、分子内アルドール反
応についても説明する。
14
1.29
〃
α,β-不飽和アルデヒ α,β-不飽和アルデヒド・ケトンの合成及び性質について
ド・ケトン
解説する。この化合物は求核剤による共役付加反応を受け
<講義>
る。求核剤としてエノラートが付加する Michael 付加や
Robinson 環化についても説明する。
15
2. 5
〃
総括・試験
<講義・演習>
小括・試験
<講義・演習>
第1~7回の講義についてのまとめ及び質疑応答を含めた
知識の確認。
アルデヒドとケトン
(2):カルボニル基の
反応性
<講義>
カルボニル基もアルケンのπ結合と同様に付加反応を受け
やすいが、非常に極性が大きいので炭素が求核剤の攻撃を、
酸素が求電子剤の攻撃を受ける。この性質に基づいて付加
反応の機構を解説する。
第9~14 回の講義についてのまとめ及び質疑応答を含め
た知識の確認。
【授業外学習】テキストの各章末にある問題を解く。
【キーワード】ベンゼン、芳香族求電子置換反応、配向性、カルボニル、求核付加、共役付加、炭素-炭素結
合形成、反応性
【教科書・参考書】教科書:K. P. C. Vollhardt, N. E. Schore 著(古賀、野依、村橋 監訳)
「現代有機化学(下)」第6版(化学同人)
【評価方法・基準】授業態度(30%)、第1〜7回講義の試験(35%)、第9〜14 回講義の試験(35%)で
総合的に評価する。原則として授業時数の3分の2以上出席が必要。
履修開始時に配布する評価基準に基づき各評価を実施する。
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二年次後期
7 11.20