カスタムアプリ初心者ガイド SkyDesk CRM 2015年 8月富士ゼロックス株式会社 CRMはどのような組織においても、その中心となる仕組みです。ビジネスデータを一カ所にまとめて管理できる豊富な機能を持っており、同じ事を他のツールで実現するのは難しいでしょう。 CRMを使えば、よほど誤った方向に舵を切らない限り、完全な状態でデータを維持できますが、ちょっとした、でも日常業務で重要な工夫が加えられれば、より作業がはかどります。それを実現するのがカスタムアプリです。使い慣れたCRMの中で、その機能を拡張できます。 1 第１章 CRMと個別アプリケーション開発営業部やマーケティング部は、キャンペーンを実施し、お客様との取引をまとめ、経費や収益を管理し、代理店などへの支払いレポートを作成するなど、さまざまな業務を実施します。必要なデータはCRMで管理しますが、販売手数料の集計、旅費や経費の申請処理、キャンペーンの費用対効果の追跡などは、その限りではありません。だからといって、個別アプリケーションを開発すると、ソフトウェアとハードウェアの保守に高額な費用がかかります。また、CRMと個別アプリケーションの開発を別々の業者が担当する場合、上手く調整しないと重複データの発生につながってしまいます。次のページから、このような問題の解決方法を紹介します。 2 第２章 SkyDesk Creator 一般的に、アプリケーションビルダーの特長は、誰でも短時間に個別アプリケーションを作成できることです。 SkyDesk Creatorの提供するアプリケーションビルダーも、必要な要素をドラッグして、タスクの実行タイミングを指定するだけで、個別アプリケーション（カスタムアプリ）を作成できます。初めて使う場合でも、直観的なドラッグ&ドロップのインターフェースで、無理なくアプリを作成できます。ワークフローとビジネスルールもドラッグ&ドロップだけで設定可能です。ワークフローのカスタマイズ機能を使うと、アプリを柔軟に設計できますので、自社の業務に最適な開発が可能になります。 3 1. 技術的な専門知識は不要 2.ドラッグ&ドロップのインターフェース SkyDesk Creatorでは、必要に応じて簡単にカスタムアプリを作成できます。技術的な専門知識やプログラム言語の経験は不要です。開発者に依頼する必要はなく、専門知識や経験に関わらず誰でも自信を持ってカスタムアプリを作成できます。 3. 開発の速さ 4. 拡張性従来のソフトウェアアプリケーションとは異なり、メンテナンス停止期間はありません。SkyDesk Creatorではパッチやアップデートを自動更新するため、手動でインストールしなくても最新版に維持できるだけでなく、アプリの変更も瞬時に反映します。事業拡大による要求変化に追随して、アプリ機能も拡張する必要が生じます。SkyDesk CRMでは、アプリケーションの利用環境に影響を与えることなく、新規タブを追加できます。 4 第３章カスタムアプリの利用方法 SkyDesk CRMアプリケーションビルダーを利用できるユーザー 1. SkyDesk CRMアカウント管理者 2. CRMアカウント管理者以外はデフォルトで無効 SkyDesk CRMエンタープライズ版のみ有効化できます。カスタムアプリケーションビルダーの有効化 1. 「設定」画面を開きます（画面右上のリンクをクリックします）。 2. 「SkyDesk Apps & オプション」画面で「SkyDesk Creator」を選択します。 3. 「有効にする」ボタンをクリックします。 5 第４章初めてのアプリ作成カスタムアプリケーションビルダーを有効化するとアプリの作成を開始できます。「作成」ボタンをクリックするとドラッグ&ドロップのアプリケーションビルダーが開きます。では最初のアプリを作成してみましょう。なお、SkyDesk Creatorアカウントに作成済みのアプリからは、フォームをカスタムタブにインポートできます。ネーミング「作成」ボタンをクリックするとダイアログボックスが表示されるので、フォームとアプリに名前を入力します。SkyDesk CRMのカスタムタブにもフォームを表示したい場合は、タブ名も指定できます。フォームの作成 SkyDesk Creatorでは、23種類のフィールドが利用できます。アプリに求める機能によりますが、アプリケーションビルダーでドラッグ&ドロップするだけでフィールドを追加できます。必要に応じてフィールドのプロパティを指定するとアプリにデータを入力できます。テキスト、数字、メールアドレスのように一般的な標準フィールド以外にも、ファイルアップロードやCRMのフィールドのような詳細フィールドも利用できます。次ページでは、基本フィールド一覧と詳細フィールドの概要を紹介します。 6 標準フィールド 1. テキスト – １行 2. テキスト – 複数行 3. メール 4. 数値 5. 通貨 6. 詳細フィールド 1. 数式 4. ファイルの添付数式フィールドは、他のフィールドに入力した値をもとに自動計算します。手数料の計算や金融系のアプリに役立ちます。フォームに入力したデータを補足する文書やファイルを添付できます。カスタムタブで添付ファイルをデータと共に表示できます。パーセント 2. ルックアップ 5. SkyDesk CRMタブ 7. 小数 SkyDesk CRMでは、データを連絡先、 8. URL 9. ドロップダウンルックアップフィールドは、２つのフォームを関連付けます。一方のフィールドの値を取り出し、他方のフィールドに設定します。 10. ラジオボタン 11. チェックボックス 12. 複数選択リスト 13. 日付 14. 日時 15. リッチテキスト 16. 画像 17. メモ 18. 真偽値見込み客、商談、仕入先、ユーザー、請求書など数種のタブに分類します。 SkyDesk CRMのフィールドを利用すると、SkyDesk CRMタブのデータを 3. サブフォームカスタムアプリで表示できます。メインフォーム内で、そこに埋め込ん SkyDesk CRMタブがカスタムアプリだサブフォームからデータを追加できのフィールドとして機能します。ます。メインフォームのひとつのフィールドのように、サブフォームを取り扱えます。 7 第５章ワークフローをアプリに追加カスタムワークフローとビジネスルールはカスタムアプリに不可欠です。これらを使うと、一定の処理を確実に実行し、決められた判断を行うことができます。単純なIf-else構文や役職をもとにした共有や承認プロセスのワークフローを、ドラッグ&ドロップするだけで誰でも作成できます。ドラッグ&ドロップのスクリプトビルダーは、独自のDELUGEと呼ばれるスクリプト言語で動作します。最大の特徴はプログラマー以外でもカスタムアプリを作成できることです。 CRMタスク次のページから、SkyDesk CRMで実行できる6種類のタスクについて解説します。CRMタスクはカスタムアプリ実行時に特定の動作をするコードです。これらのタスクを利用すると、カスタムアプリからCRM タブのデータを作成、表示、検索、更新できます。 8 SkyDesk CRMデータの作成カスタムアプリに入力されたデータはカスタムタブでのみ表示されます。CRMタブでもそのコピーを使いたい場合は、カスタムアプリにデータを入力するたびに、このタスクを実行する必要があります。コード形式: <CRM Response> = zoho.crm.create(<CRM Module Name>, <Field values as map value>, <optional duplicateCheck as Integer>); CRMタブからデータの表示複数のCRMタブのデータを取り出したい場合に。例えば、見込み客タブから顧客データ、そして商品タブから商品リストを表示して、カスタムアプリで更新できます。コード形式: <list-variable> = zoho.crm.getRecords(“ <ModuleName>”,<fromIndex>,<toIndex>); 9 CRMデータの検索特定の基準でCRMデータを検索します。複数の基準を指定すると、データをピンポイントで検索できます。フィールド値の一部一致や完全一致、そして除外する文書を特定してデータをフィルターできます。コード形式: <variable>= zoho.crm.eachRecords(“<moduleName>”, “<criteria>”, fromIndex, toIndex); PDCによるデータの検索 PDCとは、予め決まったカラム（Predefined Column）です。このタスクは検索対象が明確な場合に役立ちます。例えば、ある仕入先の取引先情報を検索する場合などです。コード形式: zoho.crm.searchRecordsByPDC(<moduleName>, <criteriaColumnName>,<criteriaColumnValue>); 10 レコードIDを指定したデータ更新 SkyDesk CRMの各レコードには固有のIDが与えられます。既存レコードのIDを指定すると、SkyDesk CRMでレコードの値を更新できます。カスタムアプリで何らかの新しい値を入力し、CRMレコードのIDを指定して実行すると、そのレコードのデータが更新できます。コード形式: <map-variable> = zoho.crm.updateRecord(<CRM Module Name>, <ID> , <New values as map object>); 関連データの抽出このタスクではタブのデータのレコードIDが判明している場合に、このデータと関連付けされている他のタブのデータをすべて取り出せます。例えば、ある商談に関連付けられたメモすべてを取り出す、などです。コード形式: zoho.crm.getRelatedRecords(<ModuleName>, <PrentModuleName>,<RecordID>,fromIndex,toIndex); 11 カスタムアクションアプリがデータを処理する段階に応じて、40件以上のタスクを設定できます。データをフォームに送信した時、フォームを開いた時、フォームにデータを入力した時などです。カスタムアクションは大きく分けて２つです。 1. フォームアクション 2. フィールドアクション 12 フォームアクションフォームに対する操作に応じて実行するタスクで、データの追加時と編集時と削除時の３つに限られます。例えば、メールアドレス欄にフォームを開いたユーザーのアドレスを予め入力しておくなどに利用できます。追加時: 編集時: 削除時: フォームにデータを入力すると定義したタスクを実行します。「送信」ボタンをクリックすると、タスクを実行します。フォームのデータを編集するとタスクを実行します。例えば、出張申請の編集時に、承認状況のフィールド値を非表示にします。フォームからデータを削除するとタスクを実行します。設定するとデータ削除の通知メールを自動送信できます。フィールドアクション他のカスタムアクションはフィールドで実行します。例えば、二者択一のラジオボタンのどちらかを選択すると、次のフィールドを表示する、または非選択のフィールドを非表示にします。入力時: 更新時: フィールドにデータを入力すると、事前に定義した条件をもとに分析や特定のカスタムタスクを実行します。フィールドには値を自由に入力させておき、後から新しい値に変更します。例えば、社員が出張申請を作成すると、ステータスのフィールド値を保留と表示しますが、マネージャーが判断すると、フィールド値を承認または否認と表示します。いずれの場合でも、フィールド値の更新を申請者に通知するメールの送信が必要です。 13 判断基準と変数条件構文ある条件を確認するときには、その条件を確認する基準を定義します。基準とはタスクを実行する条件です。基準を定義するには、確認したい値のフィールドを選択し、その比較対象と比較方法を特定するだけです。条件構文の多くはIf-else構文です。条件と2つのタスクを定義し、真の場合は一方のタスク、偽の場合はもう一方のタスクを実行します。偽のタスクは任意です。例えば、今日がクリスマスイブかどうかを確認します。クリスマスイブの場合は、連絡先にクリスマスの挨拶メールを送信しますが、クリスマスイブでない場合は何も実行しません。この条件は毎日確認されますが、真は年に一日だけで、クリスマスイブにのみメールを送信します。例えば、ユーザーがデータベースに入力したデータのみ表示させたい場合は、以下のように基準を設定します。 input.Added_User == zoho.loginuser IF (今日はクリスマスイブ) { IF (INPUT.ADDED_USER == ZOHO.LOGINUSER) { メールを全ユーザーに送信; このユーザーが入力したレコードのみ表示する } ELSE IF (今日はクリスマスではない) { 何もしないで、明日また確認する; } } 14 フィールドの表示/非表示と有効/無効あるフィールドを非表示にしたい場合があります。例えば、選択した性別により、異なるアンケートの質問を表示させる場合です。他には、マネージャーにのみ承認タブを表示する場合などです。フィールドのデフォルト値をユーザーに変更させたくない場合は、フィールドを無効にします。例えば、イベントの登録フォームで日付は表示させますが、変更できないように設定します。 15 その他のアクション通知メールカスタムアクションボタンカスタムタブは組織で共有できますが、最新データを確認するためにカスタムタブを毎回開く必要はありません。通知メールの設定をすることで、フォームに入力された最新データを知ることができます。ユーザーがデータを送信するたび、即座に通知メールが届きます。通知メールは複数の宛先に送信できます。カスタムアクションボタンは、クリックすると指定した複数のタスクを実行することができます。追加や削除ボタンのようにビュー画面に表示できます。タスクを実行したいデータを選択してから、このボタンをクリックします。フォームのデータを別のフォームで表示動的選択リスト連絡先、販売や支払の管理に複数のフォームを利用している場合は、それぞれのフォームですべてのフィールドを作成する必要はありません。例えば、連絡先フォームでは名前とメールアドレスを管理しています。別のフォームでは連絡先フォームからデータを取り込み、ビューに表示することが可能です。これにより、データの重複を防ぎます。２件の選択リストでそれぞれカテゴリーとサブカテゴリーを表示します。カテゴリーで値を選択すると、次にその値に紐付いているサブカテゴリーだけを表示します。例えば、最初の選択リストが国のリストで「 U.S. 」を選択すると、次の選択リストではU.S.の州だけを表示します。例えば、今月の支払を済ませた顧客にお礼のメールを送信したい場合、メールの送信を実行するカスタムボタンを設定します。それからデータを選択してこのボタンをクリックすると、選択した連絡先にメールが送信されます。リストに選択したい国や州がない場合は、その国や州を追加してから選択します。選択リストの「+」ボタンをクリックすると、新しい値を追加できます。 16 第6章タスクのスケジュールスケジュールとは繰り返し行うタスクの自動処理です。指定した日付に必要なデータで定期的に実行することができます。スケジュールを使えば、煩雑な手動処理を自動化できます。フォームスケジュール: レポートスケジュール: カスタムスケジュール: フォームスケジュールはフォームの日付項目の値に依存し、その値によって実行されます。条件に指定した日付をフォームの各データの日付項目の値と比較します。条件を満たすと定義したタスクを実行します。フォームの項目が日付ではなく日時でも同様にタスクを実行します。レポートスケジュールはアプリのビューに依存します。特定のビューのレポートスケジュールを実行すると、指定したメールアドレスにメールが送信されます。このメールにはビューに保存されているデータすべてのレポートが添付されています。レポートスケジュールでは、カスタムアクションを定義できません。レポートのメール配信専用です。カスタムスケジュールは非常に強力かつ柔軟で、どんなフォームやビューでもスクリプトを使用した検証が可能です。つまり、スクリプトビルダーで、通常できる操作を実行できます。ユーザー定義のアクションはすべてカスタムスケジュールに分類されます。 17 アプリの共有アプリの共有はデータ収集で最も重要な設定です。ユーザーがフォームにデータを入力できるようにするには、そのフォームを共有する必要があります。SkyDesk CRMでフォームを作成し、カスタムタブを使用して表示しているので、そのCRMのタブをユーザーと共有します。アプリ完成後、次の手順は、カスタムタブのアクセス権を設定することです。管理者や開発者を選択する画面にSkyDesk CRMアカウントのユーザーの役職がすべて表示されます。管理者や開発者はデフォルトでカスタムタブを開けますが、他の役職にもタブを共有させたい場合は、SkyDesk CRMアカウントの役職一覧から該当するチェックボックスを選択します。開発者のアクセス SkyDesk CRMでは、柔軟にアプリケーションを開発者に割り当てることができます。開発者は新しいアプリを作成したり、あなたが作成したアプリを編集できます。あなたのアプリ作成を手伝うことも可能です。アプリをいつでも別の開発者へ再度割り当てることができます。 18 これで準備OKです。カスタムアプリの作成に取りかかりましょう。 19 資料 SkyDesk CRM ヘルプ https://www.skydesk.jp/ja/apps/crm/help/custom-apps/ お問い合わせ [email protected] https://www.facebook.com/FujiXeroxSkyDesk https://twitter.com/FujiXerox_SD http://www.youtube.com/user/FujiXerox/search?qu ery=skydesk