4 章 合同式を使った方程式 2015 年 5 月 7 日 (木) (1).2 を法とした方程式について考えよう。 ∼準備∼ 1.初めに次の 2 を法とした表を埋めてみよう + 0 1 0 0 1 1 1 0 × 0 1 0 0 0 1 0 1 2. 補数と逆数の表を埋めよう 補数 逆数 0 1 0 1 0 1 / 1 1,2 より、2 を法とした足し算・掛け算に関しては 1 の表を見ることで計算可能になり、 2 の表より引き算は補数を足す事で計算可能になる 割り算は逆数を掛ける事で計算可能になる よって全ての計算が可能になる。 1 ∼練習∼ x+1 ≡ 0(mod2) x+1+1 ≡ 0+1(mod2) (両辺から 1 を引く、つまり 1 の補数を足す) x ≡ 1(mod2) (2).3 を法とした方程式について考えよう。 ∼準備∼ + 0 1 2 0 0 1 2 1 1 2 0 2 2 0 1 × 0 1 2 0 0 0 0 1 0 1 2 2 0 2 1 補数 逆数 0 1 2 0 2 1 0 1 2 / 1 2 ∼練習 1∼ . 次の 1 次方程式を解いてみよう 2x+1 ≡ 0(mod3) 2x+1+2 ≡ 0+2(mod3) 2x ≡ 2(mod3) 2・2x ≡ 2・2(mod3) x ≡ 1(mod3) ∴x ≡ 1(mod3) 2 ∼練習 2∼ . 次の連立方程式を解いてみよう 2x + y ≡ 1(mod3) ... (1) x + y ≡ 2(mod3) ... (2) (1) (1) の両辺から 2x を引く x+2x+y ≡ x+1 (左辺に 2x の補数xを加える) 左辺:2x+x+y ≡ (2+1)x+y ≡ 0+y ≡ y ∴y ≡ 1+x ...(1)‘ (1)‘を (2) に代入 x+(1+x) ≡ 2 2x+1 ≡ 2 (両辺から 1 を引くつまり 1 の補数である 2 を足す) 2x ≡ 2+2 2x ≡ 1 (両辺を 2 で割るつまり 2 の逆数をかける) x≡2 よって求めた x を (1) に代入すると y≡0 ∴x ≡ 2,y ≡ 0 x + 2y ≡ 2(mod3) 2x + y ≡ 1(mod3) ... (1) ... (2) (1) より x について解く x+2y+y ≡ 2+y x ≡ 2+y ...(1)‘ 求めた x を (2) に代入 2(2+y)+y ≡ 1 1+2y+y ≡ 1 1≡1 結果左辺も右辺も 1 になるので この式は y と無関係に成り立ちます。 よって (1)‘を満たすような x,y の組はすべて解になります。 3 (2) (1)‘は y を勝手に決めれば x が自動的に決まります。 よって方程式の解は x ≡ 2 ... (1) y ≡ 0 ... (2) (3) x ≡ 0 ... (1) y ≡ 1 ... (2) (4) x ≡ 1 ... (1) y ≡ 2 ... (2) (5) POINT! 普通、連立方程式では解が決まらないときその数は無限に存在するが 3 を法とした場合考えている数自体が有限個だから解の数も 有限個になります。 x + 2y ≡ 2(mod3) 2x + y ≡ 2(mod3) ... (1) ... (2) (2) の両辺を 2 倍すると、 2(2x+y) ≡ 2・2 2・2x+2y ≡ 1 x+2y ≡ 1 ...(2)‘ (2)‘と (1) を比べてみると、左辺が同じなのに対して 右辺が異なるので (2)‘と (1) が両立しないことが分かります。 よって、上の連立方程式には解が存在しない。 4 (6) (3).4 を法とした方程式で遊ぼう。 ∼準備∼ + 0 1 2 3 0 0 1 2 3 1 1 2 3 0 2 2 3 0 1 3 3 0 1 2 × 0 1 2 3 0 0 0 0 0 1 0 1 2 3 2 0 2 0 2 3 0 3 2 1 補数 逆数 0 1 2 3 0 3 2 1 0 1 2 3 / 1 / 3 ∼練習 3∼ . 次の 1 次方程式を解いて比べてみよう (1)2x+1 ≡ 0(mod4) 2x+1+3 ≡ 3 2x ≡ 3 (2)2x+2 ≡ 0(mod4) 2x+2+2 ≡ 2 2x+≡ 2 x ≡ 1,3 結果:逆数が存在しない数に対しては、割り算の答えは一定しない。 5 ∼練習 4∼ . 次の連立方程式を解いてみよう 2x + y ≡ 1(mod4) ... (1) x + y ≡ 2(mod4) ... (2) (7) 2x+2x+y ≡ 1+2x y ≡ 1+2x ...(1)‘ (2) に (1)‘を代入 x+(1+2x) ≡ 2 3x+1 ≡ 2 3x ≡ 1 x≡3 x ≡ 3 を (1)‘に代入 y ≡1+ 2・3 y≡3 ∴x ≡ 3(mod4),y ≡ 3(mod4) ∼練習 5∼ . 次の 4 を法とした連立方程式を解き、3 を法とした時の解と比べよう。 (3 を法としたとき答えが 1 つに決まらなかったもの) x + 2y ≡ 2(mod4) 2x + y ≡ 1(mod4) x+2y+2y ≡ 2+2y x ≡ 2+2y ...(1)‘ (2) に (1)‘を代入 2(2+2y)+y ≡ 1 y≡1 6 ... (1) ... (2) (8) y ≡ 1 を (1)‘に代入 x ≡ 2+2・1 x ≡ 2+2 x≡0 ∴x ≡ 0(mod4),y ≡ 1(mod4) (3 を法としたのでは解がなかったもの) x + 2y ≡ 2(mod4) 2x + y ≡ 2(mod4) ... (1) ... (2) (9) x+2y+2y ≡ 2+2y x ≡ 2+2y ...(1)‘ (2) に (1)‘を代入 2(2+2y)+y ≡ 2 y≡2 y ≡ 2 を (1)‘に代入 x ≡ 2+0 x≡2 ∴x ≡ 2(mod4),y ≡ 2(mod4) (4).5 を法とした 3 元連立方程式に挑戦しよう! ! + 0 1 2 3 4 0 0 1 2 3 4 1 1 2 3 4 0 2 2 3 4 0 1 3 3 4 0 1 2 4 4 0 1 2 3 × 0 1 2 3 4 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2 3 4 2 0 2 4 1 3 3 0 3 1 4 2 4 0 4 3 2 1 7 補数 逆数 0 1 2 3 4 0 4 3 2 1 0 1 2 3 4 / 1 3 2 4 3x + y + 2z ≡ 2(mod5) ... (1) 2x + 3y + 4z ≡ 3(mod5) ... (2) 4x + 2y + 2z ≡ 1(mod5) ... (3) (ヒント:解 5 つ) 3x+2x+y+2z ≡ 2+2x y+2z ≡ 2+2x y+2z+3z ≡ 2+2x+3z x ≡ 2+2y+3z ...(1)‘ (2) に (1)‘を代入 2x+3(2+2y+3z)+4z ≡ 3 3x+3z+1 ≡ 3 3x+3z ≡ 2 ...(2)‘ 3z ≡ 2+2x z ≡ 4+4x z ≡ 4+4x を (1)‘に代入 y ≡ 2+2x+3(4+4x) y ≡ 4+4x 以上より x により y,z は決まる。また y ≡ z よって x ≡ 0(mod5),y ≡ 4(mod5),z ≡ 4(mod5) x ≡ 1(mod5),y ≡ 3(mod5),z ≡ 3(mod5) x ≡ 2(mod5),y ≡ 2(mod5),z ≡ 2(mod5) x ≡ 3(mod5),y ≡ 1(mod5),z ≡ 1(mod5) x ≡ 4(mod5),y ≡ 0(mod5),z ≡ 0(mod5) 8 (10)
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