ICU的な肺炎を考える 2015.02.17 ICU勉強会 小林 秀嗣 今日の内容 • 「ICU的」市中肺炎? ~ICU入室(≒重症)予測・予後予測スコアなど~ • 「ICU的」市中肺炎に対する抗菌薬併用療法の再考 ~βラクタム+マクロライドの意義など~ • 「ICU的」院内肺炎 ~“ven0lator-‐associated”の関連の話~ 肺炎の分類と定義 CAP Community-acquired pneumonia 市中肺炎 病院到着後48時間以内に最初の感染が証明され、HCAPの危険因子がない患者 HCAP Health care-associated pneumonia 医療に関する肺炎 過去90日以内に2日以上の病院への入院歴 介護関連施設に入所、外来での化学療法、抗菌薬、注射などの入院外で注射の治療歴 透析歴、在宅での褥瘡などの創傷治療歴 HAP Hospital-acquired pneumonia 院内肺炎 病院到着後48時間以上経ってから発症した患者 CAP HCAP HAP 耐性菌による肺炎、重症肺炎 Community acquired pneumonia 2008.03.04 jikei ICU 勉強会 市中肺炎とステロイド 2011.08.30 jikei ICU 勉強会 より改変 ① 「ICU的」市中肺炎 • 「ICU的」とは? • 抗菌薬併用療法(主にβラクタム+マクロライド)は 「ICU的」市中肺炎には必須か? 「まとめ」は王道の参照で ICU管理を要する肺炎・・・ • 通常の酸素療法に不応性の呼吸不全 • ショック • 意識障害 • 免疫不全など重篤化しやすい既往 • 合併症の状況 • ・・・・? 肺炎の重症度スコア ・ PSI (=PORT study, 1997):the pneumonia severity index ・ CURB65 (2003):the modified Bri0sh Thoracic Society severity score ・ A-‐DROP:Japan Respiratory Society, community acquired pneumonia severity index ・ I-‐ROAD:Japan Respiratory Society, hospital acquired pneumonia severity index ・ IDSA/ATS guideline (2007): Infec0ous Diseases Society of America and the American Thoracic Society score ・ SCAP (CURXO) score (Am J Respir Crit Care Med 2006; 174: 1249-‐56.) ・ SMART-‐COP score (Clin Infect Dis 2008; 47: 375-‐84.) ・ REA-‐ICU score (Crit care 2009; 13: R54.) ・・・など(まだ他にも) 2014.03.11 ICU勉強会改変 A−DROPは、CURB-‐65を参考に 我が国における市中肺炎治療 の実情に合わせて修正 CURB-‐65は世界中で広く利用 3因子以上で予後不良のため ICUでの治療を考慮 5項目該当では死亡率57% 2014.03.11 ICU勉強会 IDSA/ATS guideline (2007)での「重症」の定義 Clinical InfecEous Diseases 2007; 44:S27–72 Minor criteria 3項目以上で重症 Major criteria どちらか1項目あれば重症 Minor criteriaでは CURB-‐65の年齢以外の4項目 を取り入れている。 CURB-‐65 IDSA/ATS guideline (2007)での「重症」の定義 Clinical InfecEous Diseases 2007; 44:S27–72 来院時で所見あれば、もちろん 「ICU的」。できれば「予測」したい Minor criteriaでは CURB-‐65の年齢以外の4項目 を取り入れている。 CURB-‐65 • PSI、CURB-‐65は短期死亡との関連項目をもとに考案され、 「ICU入室」 の予測には十分ではなかった。 ⇒Intensive Respiratory or Vasopressor Support (IRVS)の必要性を予測 するツールの作成を目的にした多施設前向き観察研究(Australia) • 882例の市中肺炎を解析⇒91例(10.3%)はIRVSを要し、30日以内の死 亡は14例 最大11点 Alb、pH、PaCO2のみの 簡易的な予測スコア IRVS 30日死亡 <入院早期(day 1 to 3)のICU入室 を予測できるか?> ・目的:早期にICU入室となった成人 市中肺炎患者を対象に、入室リスク 因子を検証し、予測スコアを作成。 ・アメリカ、ヨーロッパで過去に行わ れたprospective cohort study(PORT, EDCAP, Pneumocom-1,2)のデータを解析。 derivation cohort (70%)、validation cohort (30%)にランダムに分類 ・HCAP、来院時点でのICU適応(人 工呼吸管理、カテコラミン)、治療制 限患者は除外 ・6560人⇒303人(4.6%)が3日以内に ICU入室 Risk of Early Admission (REA)-‐ICU score これまでの研 究でなかった 項目としては 低Na血症 AUC: 0.81 (95%CI: 0.78-‐0.83) AUC: 0.69 本研究からは「ICU的・重症」肺炎の識別能としては ATS 2007が最も有用 (ただしMajor criteria)。 「予測」スコアとしてはSMART-‐COPもなかなかよさそう。 <日本での検討> N=505, single center ① 重症肺炎(死亡 or 人工呼吸 or ショック) ② ICU入室 ③ 死亡 における各スコアの予測能評価 Overall mortality:6.5% Severe CAP: 12.3% ①重症肺炎 SCAP score (Espana rule) ②ICU入室 IDSA/ATS rule or SMART-‐COP ③死亡 IDSA/ATS rule ( or SMART-‐COP) 初期治療(抗菌薬)についての Reviewでの記載 ATS/IDSA市中肺炎診療ガイド ライン2007での推奨 入院を要する肺炎治療において、 β-‐ラクタム系薬とマクロライド系薬 またはキノロンの併用を推奨。 「ICU患者では必須」的な記載 Clinical Infec0ous Diseases 2007; 44:S27–72 免疫調整作用 Immunomodulatory agents in the treatment of community-‐acquired pneumonia: A systema0c review Journal of Infec0on 2011: 63, 187-‐e199 マクロライド系抗菌薬における免疫調整効果は、各種サイトカインの測定で 明らかになってきた。 2014.03.11 ICU勉強会 アジスロマイシンの肺炎改善に寄与すると考えられている報告 v リボソームへ結合によるタンパク合成を阻害する直接的な抗菌作用に加え、菌の quorum-‐sensing機構の制御 AnEmicrob Agents Chemother 45(6) :1930-1933, 2001 v バイオフィルム形成の抑制 AnEmicrob Agents Chemother 48(6):2251-2259, 2004 AnE-‐microb Agents Chemother 52(1):137-145,2008 v β一デフェンシンの分泌促進 AmlPhysiol Lung Cell Mol Physiol 289(4):L565-573,2005 マクロライド系薬の大きな特徴として気道炎症の抑制作用 v 好中球遊走活性をもつIL-8や好中球エラスターゼを抑えることによる好中球性炎症の抑制 Am Rev ResPir Dis 148 : 1061-1065,1993, ResPiraEon 63 (1) : 42-48, 1996 v リンパ球や肺胞マクロファージなどの炎症細胞浸潤の抑制 J anEbiot (Tokyo) 46(9):1406-1413,1993, J anEbiot(Tokyo)47(1): 80-89, 1994 v 気道分泌やムチン産生の抑制 Am J ResPir Crit Care Med 168(5) : 581-587,2003, Chest 122(1) : 213-218, 2002 2014.03.11 ICU勉強会 マクロライド系抗菌薬の治療効果 生命予後への影響は報告により様々 各観察研究の結果からは、少なくとも悪いことは なさそうだが・・・ Journal of Infec0on 2011: 63, 187-‐e199 2014.03.11 ICU勉強会改変 v βラクタム系抗菌薬との併用 v アジュバンド治療としての役 割を考慮 Journal of Infec0on 2011: 63, 187-‐e199 2014.03.11 ICU勉強会改変 入院を必要とするCAP成人患者におけるマクロライド併用療法の報告 lntensive Care Med 36(4):612-‐620,2010 • 市中肺炎球菌性肺炎の死亡は近年減少傾向にあるよう ⇒抗菌薬治療の変化(進歩)と、死亡率の影響を検証 Europeで行われたCAPUCI I, II study (ICU入室を要した市中肺炎に対する 多施設前向き観察研究)のデータベースを 用いたmatched case-‐control study (N=160) ICU入室を要する肺炎球菌性肺炎は 近年の方が有意に増えている 27% (143/529)) vs. 44% (101/230) OR 1.30 (95%CI: 1.15-‐1.48) 併用療法(主にマクロライド)、かつ早期投与(< 3hr)の傾向が顕著 「併用療法 vs. 単剤療法」の生存曲線 全患者 Shock 患者 人工呼吸患者 Macrolides and Mortality in CriEcally Ill PaEents With Community-‐Acquired Pneumonia: A SystemaEc Review and Meta-‐Analysis* Crit Care Med 2014; 42:420–432 (※ Macrolides単独投与例は除外) P=0.02 ただし異質性はかなり大きい 28個全て 観察研究 Combina0on an0bio0c therapy with macrolides improves survival in intubated paEents with community-‐acquired pneumonia. lntensive Care Med 36(4):612-‐620,2010 ATS/IDSA市中肺炎診療ガイドライン2007に従った 市中肺炎治療による生存率 Macrolides vs. Fluoroquinolones 75%(30/40例) 58.3%(28/52例) Ø Prospec0ve, observa0onal cohort, mul0center study Ø ヨーロッパ9ヵ国における27の ICU Ø 218人の挿管が必要なCAP患者 βラクタムにマクロライドを併用した群は、フルオロキノロンを 併用した群よりも有意に高い生存率を示した。 Intensive Care Med 36(4):612-620, 2010 Macrolide-‐Based Regimens and Mortality in Hospitalized Pa0ents With Community-‐Acquired Pneumonia: A Systema0c Review and Meta-‐analysis Clinical Infec0ous Diseases 2012;55(3):371–80 ただし、RCTに限った解析では、マクロライドとマクロライド以外の 抗菌薬との有効性における違いはなかった。 5日間のアジスロマイシン服用患者 コホートデータベースから抽出 アジスロマイシン服用 34万例 傾向スコアマッチした抗菌薬非服用 139万例 アモキシシリン服用 13万例、 シプロフロキサシン服用 26万例、 レボフロキサシン服用 19万例を解析 抗菌薬非服用患者と比較して アジスロマイシン服用患者の 心血管死亡リスクは2.88倍 (95%CI 1.79-‐4.63, p<0.001) 全死亡リスクは1.85倍(95%CI 1.25-‐2.75, p=0.002)有意に増 加した. アジスロマイシンの心血管死亡リスク はシプロフロキサシンよりも有意に高 いが、レボフロキサシンとは有意差が みられてはいない。 N Engl J Med 2012; 366: 1881-‐90 2014.03.11 ICU勉強会改変 • An0bio0c regimen (mono/combina0on) for CAP is “controversial” • open-‐label mul0center noninferiority randomized trial (in Switzerland) • Immunocompetent adult pa0ents hospitalized for moderate-‐ to severe CAP <Primary outcome> Clinical stability at day 7 ・ HR < 100/min ・ SBP > 90mmHg ・ BT < 38℃ ・ RR < 24/min ・ SpO2 > 90% (room) <Secondary outcome> ・ admission to ICU ・ Length of stay ・ mortality ・ readmission ・・・ 非劣性マージン:90%CI, 8%に設定 4割が重症 ・Primary outcome (day7での臨床的安定) 絶対差7.6%だが90%CI上限13%(>設定8%) ⇒ monotherapyの非劣性は示されなかった。 ・ICU入室、90日死亡率、胸水合併、入院期間、肺炎再発については2群間に 明らかな差はなかった。(サンプルは少ないので、本当に同等かは評価できない) ・30日再入院はmonotherapyで有意に多かった 黒:monotherapy 青:combina0on ・PSI Ⅳの重症度(30日死亡率約8%)においてはmonotherapyでは臨床的安定までの 遅れがみられる ・PSI Ⅰ-‐Ⅲでは2群間に有意な差は認めず ⇒ 現状、重症(≒ICU的)肺炎ではmonotherapyはやや不利な立ち位置か ② 「ICU的」院内肺炎 • Ven0lator-‐associated pneumonia (VAP)の前段階である tracheobronchi0s (VAT)を治療するのがよいのか? • VAT/VAPはICU患者の「死因」か? Pathogenesis of VAP and VAT <VAT> • 2002年にNseirが提唱 • 画像で肺炎所見が “ない”下気道感染症 • VAPの「前段階」として の位置づけ 2013.11.13 ICU勉強会 <VATの診断> 気道感染症を疑う臨床徴候+「菌量」 2013.11.13 ICU勉強会一部改変 検体保護ブラシ BAL 診断閾値(CFU/ml) 106 103 104 Sensi0vity(平均) 76% 66% 73% Specificity(平均) 75% 90% 82% 比較 最も感度が高い 最も特異度が高い 総合的に最も正確 気管内吸引液 Chest 2000;117:195S-‐7S CCM2000;28:962-‐8 Crit care 2008;12:R56 →BALが培養法としては最も優れている。3つの培養法で患者outcomeは変わらない。 K.Saito et al,JIKEI ICU勉強会 2010.0608.04-‐06 Cu-‐off値を定量:105cfu/ml ≤ 、定性: (1+) ≤ とした場合、 感度は80-‐90%あるものの、特異度は20-‐60%程度だった <VATの原因菌 > • グラム陰性菌が75% • 緑膿菌、黄色ブドウ球菌、 アシネトバクターが多い • 細菌以外では、単純ヘル ペス、アスペルギルスの 関連の報告あり AJRCCM 2007; 175: 935-‐42 Eur Respir J 2007; 30: 782-‐800 <VATの予後評価> • VATにより人工呼吸期間、ICU滞在期間は延長 • 死亡率には関連なし VAT(-)でも人工呼吸期間が10日程度であり、 本研究ではVATに「Late-Onset」という要素はありそう。 ⇒ P. aeruginosaを含めたGNRが多くなった理由の1つか Insignificant coloniza0on 104/188 (55%) ・後ろ向き観察研究 ・Mixed ICU ・48hr < の人工呼吸患者188人 ・痰:感染のwork-‐upとして採取 <VATの診断> 臨床所見(38℃以上の発熱、 WBC↑、膿性痰)のうち2つ + 痰の定量培養 > 105cfu/mL <VAPの診断> VAT + X ray所見(+) 2013.11.13 ICU勉強会 Coloniza0onの 程度の違いでは 有意差なし VATに進行すると ・人工呼吸期間 ・ICU滞在期間 ・入院期間 が有意に延長 死亡率は ① Coloniza0on, ② VAT, ③ VAPの いずれにおいても 有意差なし ① 35.0% vs. 33.0% p= 0.94 ② 23.8% vs. 32.5% p= 0.56 ③ 28.6% vs. 32.1% p= 0.83 2013.11.13 ICU勉強会改変 VATの時点で治療したら予後はよくなる?を検証 [Design] • 12 ICU in France, prospec0ve un-‐blinded RCT • 65 PaEents older than 18, June 2005 to June 2007 • 1st episode of VAT diagnosed more than 48 hours aser star0ng mechanical ven0la0on • Exclusion: pregnant, history of immunosuppression tracheostomy before ICU admission, SAPS II 65< 2013.11.13 ICU勉強会 • Defini0on of VAT ① 他に原因のない38℃以上の発熱 ② 膿性痰(ETAで106 cfu/mL以上) ③ 画像で肺炎所見がない • Primary endpoint: dura0on of MV • Secondary endpoint: ven0la0on-‐free at 28days (28VFD), length of ICU stay, subsequent VAP, ICU mortality 2013.11.13 ICU勉強会 <An0bio0c or No-‐an0bio0c therapy group> p An0bio0c therapy group VATの基準を満たした時点で、empiric therapyを開始。 後の培養結果を元に抗菌薬を変更 原則8日間 p No an0bio0c therapy group VATの時点で抗菌薬の投与はせず、VAPの基準(= VAT + 画像所見の変化)を満たした時点、もしくは他の感染症を 認めた場合は投与 randomiza0on • Random assignment: computer-‐generated • 「青」の比較:Inten0on-‐To-‐Treat (ITT) • 「赤」の比較:modified ITT (DNR患者を省いたもの) ITT Modified ITT • 人工呼吸、ICU滞在期間に有意差 なし。 ICU死亡の 生存曲線 P=0.047 • 28 VenElaEon-‐free days, VAPへの 進展, ICU死亡は有意に治療群で良 好 死亡率に差が出たため予定症例の 半数に満たずに研究中止 • 16 country (La0n America, Spain, Portugal, France), 288施設へのアンケートを解析 • 大学病院ICU:6-‐7割 <診断関連> ・検体 気管内吸引痰:6割 ・診断手法 ü 定量培養:7-‐8割 ü グラム染色:4割 ü レントゲンでの判断 困難なら気管支鏡 やCT:4割 Early-‐onset Late-‐onset 発症時期により抗菌薬選択に 顕著な違いあり 「VATは以下のリスク因子である」へのYESの回答 ① ICU Length of stay: 93.4% ② ICU mortality: 50% • Prospective observational study in 3 ICUs(Spain, Greece, France) • Patient: 48hr以上の人工呼吸管理患者1710人 ⇒ VATの基準を満たした122人に対して、VAPへの進展の有無で2群に分類 • Primary aim: 「適切な抗菌薬の使用」と「VATからVAPへの進展」の関連 • Secondary aim: VAT患者のVAP発生率 <Subsequent VAPの診断> VATの診断後96時間以内に新規 or 進行 性の浸潤影を呈し、下記の2つ以上 ① BT 38.5℃ < or < 36.5℃ ② WBC 12000 < or < 4000 /μL ③ 膿性痰(ETA: 105 cfu/mL ≤, BAL: 104 cfu/mL ≤, PSB: 103 cfu/mL ≤ ) <VATの診断> ① 他に原因のない38℃以上の発熱 ② 膿性痰(ETAで105 cfu/mL以上) ③ 画像で肺炎所見がない Subsequent VAPではP. aeruginosa, K. oxytocaなどGNRの比率高い。 OR: 6.5 (95%CI:1.9-‐21) P=0.002 OR: 0.11 (95%CI:0.02-‐0.53) P=0.003 VAT pa0ents N= 122 抗菌薬投与 n= 74 (61%) 適切な抗菌薬 n= 58 (78%) VAP n= 2 (3%) Not VAP n= 56 (97%) p= 0.221 抗菌薬なし N= 48 (39%) 不適切な抗菌薬 n= 16 (22%) VAP n= 2 (12%) Not VAP n= 14 (88%) VAP N= 13 (27%) Not VAP n= 35 (73%) <抗菌薬投与の遅れ> VAT診断後24時間以上経過 と定義 ⇒ 10/58 例 VAP: 1例 、Not VAP: 9例 ・抗菌薬投与群において、①抗菌薬が適切だったか、②投与の遅れはいずれもVAPのリスク 因子とならなかった(①p=0.221, ②p=0.301) ・ただし、多変量解析では「適切な抗菌薬投与」がVAPを減らす唯一の因子だった。OR: 0.12 (0.02-‐0.59) Crit Care 2008, 12:R62 Crit Care Med 2008, 36:2008–2013. Respir Med 2010, 104:325–336. Intensive Care Med 2013, 39:1547–1555. 「VAT=治療」か? • mulEcenter (11 ICU, 10 Canada and 1 USA,6 academic, 5 community), from 2007.06 to 2009.12 • 17歳以上の人工呼吸管理患者(48hr <) • 各ICUで30人ずつ計330人に対してbaselineとしてVAP, VAC, iVAC症例を算出し、転帰・予後を調査。 • 研究開始6, 15, 24ヶ月後も同様にデータ収集を行い、330 x 4=1320例について検討 • Data collec0on: VAP: prospec0ve VAC/iVAC: retrospec0ve • Outcome: agreement between defini0on of VAP and VAC or iVAC, morbidity/mortality 2013.11.13 ICU勉強会改変 VAPにより人工呼吸、ICU滞在・入院期間の延長するのは多くの研究で類似 近年の研究では「死亡」とVAPとの関連は乏しい Number of patients (n, %) Age (years) Male (n, %) Height (cm) Weight (kg) APACHE II score Hosp-ICU (days) Admission type (n, %) Emergency surgery Elective surgery Non-operative Comorbidities (n, %) Immunocompromised Metastatic cancer Hematologic malignancy ESKD Liver failure Readmission (n, %) Duration of MV (days) Reintubation within 48 hours (n, %) Tracheostomy (n, %) RRT (n, %) ICU LOS (days) ICU mortality (n, %) Hospital LOS (days) Hospital mortality (n, %) VAP 20 (5.0) 67 (61-72) 14 (70.0) 164 (158-174) 54 (51-69) 17 (14-27) 6.5 (1.3-7.8) 3 (15.0) 13 (65.0) 4 (20.0) 1 (5.0) 0 (0) 0 (0) 3 (15.0) 0 (0) 3 (15.0) 8.5 (6.5-19) 4 (20.0) Non-VAP 384 (95.0) 68 (58-76) 269 (70.1) 164 (156-169) 57 (48-67) 24 (18-30) 5 (0-18) 88 (22.9) 107 (27.9) 189 (49.2) 145 (37.8) 11 (2.9) 22 (5.7) 41 (10.7) 9 (2.3) 74 (19.3) 5.8 (3.8-10.3) 23 (6.0) P value 0.837 0.996 0.402 0.918 0.013 0.934 0.002 0.356 0.443 0.271 0.545 0.489 0.635 0.006 0.014 7 (35.0) 5 (25.0) 13.2 (12.2-22.2) 5 (25.0) 74 (39.8-135) 5 (25.0) 124 (32.3) 108 (28.1) 10.3 (6.6-16.5) 69 (18.0) 62.5 (32.3-120) 144 (37.5) 0.801 0.761 0.006 0.428 0.399 0.259 InternaEonal MulEcenter Study of VenElator Associated TracheobronchiEs. (TAVeM) This study is currently recrui0ng par0cipants. (see Contacts and Loca0ons) Verified March 2014 by Corporacion Parc Tauli Sponsor: Corporacion Parc Tauli Informa0on provided by (Responsible Party): Ignacio Mar0n-‐Loeches, Corporacion Parc Tauli ClinicalTrials.gov Iden0fier: • prospecEve internaEonal mulEcentre observaEonal study will be conducted in 5 NCT01791530 countries (Spain, Argen0na, France, Portugal, First received: February 11, 2013 Brazil) Last updated: March 17, 2014 Last verified: March 2014 • Es0mated Enrollment:1000 ⇒現状はまだ「Recrui0ng 」 • Primary Outcome Measures: To determine the incidence of VAT in pa0ents requiring intuba0on and mechanical ven0la0on >48h. 当院でのVATに対する現状の立ち位置 • 半定量培養の結果は必ずしも感染の証明にはならず、正確 な菌量も反映していない。抗菌薬の開始/継続/中止は培養結 果単独では決められない。 • BALを行う意義・手間・リスクと、半定量培養方式下での診断・ 治療価値を考慮して培養検体を決める。 • 感染徴候に対するwork-‐up (+ empiric therapy)やde-‐escala0on は現行通り。ただし、「VAT」の治療期間に関する情報はほと んどない。 • VATの治療判断は難しいが、当院でのVAPの状況を考慮する とルーチンに治療するには根拠が乏しいか。 まとめ ü A-‐DROPなど単一の重症度判定だけでは「ICU的」肺炎かどうか の判断は難しい可能性がある。その他のICU入室予測スコア (SMART-‐COPなど)も参考にし、入室適応は総合的に検討する。 ü 重症市中肺炎における抗菌薬併用(特に肺炎球菌性肺炎に 対するマクロライド)の根拠はほぼ観察研究によるものだった。 ただし現状はそれを覆す根拠もない以上、原則はガイドラインに 準じるという方針でよいだろう。 ü VATの積極的な治療についての根拠は現状ではまだ乏しい。 もう少し静観してもよいかもしれない。
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