BCOP法におけるIVISと病理組織所見の関連性 ~弱刺激性評価基準の

BCOP法におけるIVISと病理組織所見の関連性
~弱刺激性評価基準の提案~
化合物安全性研究所
病理検査室
室長 古川 正敏
牛摘出角膜を用いた眼刺激性試験(BCOP法)は、無刺激性物質(GHS区分外)および腐食性・強
刺激性物質(GHS区分1)を評価可能な眼刺激性代替法試験である(OECD TG437)。他方、BCOP
法をはじめとする眼刺激性代替試験において、弱刺激性物質を含むGHS区分2Aと2Bを評価可
能な試験系はなく大きな課題となっている。我々は、BCOP法の評価規準であるIVIS (in vitro
irritation score)と角膜の病理組織所見の成績より、弱刺激性物質の評価の可能性について検
討を続けてきた。その結果、(1)IVISが高値になるに従って,組織変化は角膜の深部に至る傾向
が認められた。(2)IVISが3を超えた物質でも角膜上皮表層に限局した変化である場合には速や
かに回復すると考えられた。(3)IVISが3を超え,翼細胞層および基底細胞層に変化が認められた
物質でも,基底細胞層の変化が一部の細胞に限局したものである場合には,回復性が期待でき
ることから,弱刺激性物質であると評価出来ると考えており,弱刺激性物質の評価規準として提
案したいと考えている.