ENVI Tutorials

ENVI チュートリアル
マルチスペクトル分類
この章は以下の内容から構成されています。
概要 ........................................................................................................................ 2
使用するファイル .................................................................................................. 2
Landsat TM によるカラー画像の調査 .................................................................... 4
ENVI の起動.......................................................................................................... 4
Landsat TM データを開いて表示する .................................................................. 4
画像の色の調査 ...................................................................................................... 5
カーソル位置 / 値 ................................................................................................... 5
スペクトルプロットの調査 .................................................................................... 6
教師無し分類 ......................................................................................................... 6
教師付き分類 ......................................................................................................... 8
スペクトルの分類方法 ........................................................................................... 11
分類後処理 ............................................................................................................. 15
対話的な操作による分類のオーバーレイ ............................................................... 19
分類結果のベクタレイヤーへの変換 ...................................................................... 20
注釈を使用した分類凡例 ....................................................................................... 21
ENVI セッションの終了 ........................................................................................ 22
概要
この章では、コロラド州 Canon City の Landsat TM データを使用した代表的
なマルチスペクトル分類の手順を説明します。教師無し分類と教師付き分類の両
方 に よ る 結 果 を 確 認 し 、 凝 集 ( clump )、 選 別 ( sieve )、 ク ラ ス 結 合 ( combine )、
精度評価などの分類後処理について説明します。
使用するファイル
DVD: Resource DVD
Path: Data /can_tm
ファイル
概要
can_tmr.img
コロラド州 Boulder の TM 反射率
can_tmr.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_km.img
K MEANS 分類
can_km.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_iso.img
ISODATA 分類
can_iso.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
classes.roi
教師付き分類用の関心領域(ROI)
can_pcls.img
平行六面体分類
can_pcls.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_bin.img
バイナリエンコーディング分類の結果
can_bin.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_sam.img
SAM 分類の結果
can_sam.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_rul.img
SAM 分類用のルール画像
can_rul.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_sv.img
選別(sieve)した画像
can_sv.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_clmp.img
選別した画像を凝集(clump )したもの
2
can_clmp.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_comb.img
クラス結合した画像
can_comb.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_ovr.img
グレースケール画像にクラスをオーバーレイしたもの
can_ovr.hdr
上記用の ENVI ヘッダ
can_v1.evf
クラス #1 から生成されたベクタレイヤー
can_v2.evf
クラス #2 から生成されたベクタレイヤー
3
Landsat TM によるカラー画像の調査
ここでは、米国コロラド州 Canon City の L andsat TM データのスペクトル特
性を理解します。分類の際、トレーニングデータ(教師データ)の特徴的な領域
を捜して識別する作業の最初のステップとして、カラー合成画像が使用されます。
ENVI の起動
プログラムを起動する前に、インストールガイドの指示通り ENVI が正しくイン
ストールされていることを確認してください。

UNIX もしくは Macintosh OS X で ENVI を起動するには、UNIX のコマ
ンドラインに envi と入力してください。

Windows システムで ENVI を起動するには、ENVI アイコンをダブルクリ
ックしてください。
プログラムが正常にロードされ実行されると、ENVI メインメニューが表示され
ます。
Landsat TM データを開いて表示する
画像ファイルを開きます。
1.
ENVI メインメニューから File -> Open Image File を選択してくださ
い。Enter Data Filenames ダイアログが表示されます。
2.
ファイル選択ダイアログで、他のアプリケーションを使用するときと同様
に、Resource DVD の Data ディレクトリの can_tm サブディレクトリ
に移動し、リストからファイル can_tmr.img を選択して Open
(Windows )もしくは OK(UNIX)をクリックしてください。
Available Bands List ダイアログが画面上に表示されます。このリスト
から、画像の表示や処理を行うスペクトルバンドを選択してください。グ
レースケールまたは RGB カラーのいずれかを選択し、画像を読み込んで
ください。
3.
Available Bands List ダイアログの RGB Color ラジオボタンを選択し、
マウスの左ボタンでバンド 4、3 および 2 を順番にクリックして選択して
ください。選択したバンドがダイアログ中央の対応するフィールドに表示
されます。
4.
Load RGB ボタンをクリックすると新しいウィンドウに画像が 読み込まれ
ます。
4
画像の色の調査
表示されたカラー画像を使用しながら分類について説明します。この画像は、フ
ォールスカラー赤外写真と同じものです。単純な 3 バンド画像でも、スペクトル
特性が似ている領域があることは容易に確認できます。この画像の明るい赤の部
分は赤外線の反射率が高いことを示し、通常は、耕作地や河川沿いの健康な植物
に対応します。やや暗い赤の部分は通常自然の植物を示し、この場合は基本的に
凹凸が多い土地にある針葉樹に対応します。市街化した部分と同様に、地質学的
にはっきりした特徴を持ついくつかのクラスと市街化したクラスも容易にわかり
ます。
以下の図は、これらのバンドの結果が表示されたイメージウィンドウです。
図 1:Canon City の Landsat TM データ
カーソル位置 / 値
ENVI の Cursor Location/Value ダイアログを使用して、表示されたスペクト
ルバンドにおける画像の値をプレビューします。イメージ、スクロール、ズーム
ウィンドウのカーソル位置を示すダイアログボックスを表示します。
1.
イメージウィンドウのメニューバーから Tools -> Cursor
Location/Value を選択してください。また、イメージウィンドウ内をマ
ウスの左ボタンでダブルクリックして Cursor Location /Value ダイアロ
グのオン / オフを切り 換えることもできます。
2.
画像上でカーソルを動かしてそれぞれの場所におけるデータ値を調べ、画
像の色とデータ値との関係を確認してください。
3.
作業が終わりましたら、Cursor Location/Value ダイアログから File 5
>Cancel を選択してダイアログを閉じてください。
スペクトルプロットの調査
ENVI に組み込まれたスペクトルプロファイリング機能を使用してデータのスペ
クトル特性を確認します。
1.
イメージウィンドウのメニューバーから Tools -> Profiles -> Z
Profile(Spectrum) を 選択し、スペクトルのプロファイルを取り出してく
ださい。
2.
ディスプレイグループウィンドウのいずれかでマウスの左ボタンをクリッ
クして、カラー画像と Cursor Location/Value ダイアログを使用して上
記でプレビューした部分のスペクトルを確認してください。画像の色とス
ペクトル形状の関係を確認してください。プロット内で赤、緑、青の線で
マークされたスペクトルプロファイルの画像バンドの位置を確認してくだ
さい。
図 2:Canon City の TM データのスペクトルプロット
3.
Spectral Pro file ダイ アログで File -> Ca ncel を選択しダイアログを
閉じてください。
教師無し分類
ENVI メインメニューから Classification -> Unsupervised -> K-Means もし
くは IsoData を選択して ENVI の教師無し分類機能を起動してください。
6
K-Means
教師無し分類では、統計的手法を使用して n 次元のデータを自然のスペクトルク
ラスに分類します。K-Means による教師無し分類ではクラスタ分析法を使用す
るので、データ内に配置するクラスタ数を選択し、このクラスタ中心数を任意に
配置し、さらにスペクトルの分離度が最適化されるまで、繰り返し計算されます。
あらかじめ分類処理した結果が can_tm ディ レクトリに用意されていますので、
これを確認することもできます。以下にその方法を示します。
1.
ENVI メインメニューから File -> Open Image File を選択し
can_km.img を開いてください。
2.
Available Bands List の Gray Scale ラジオ ボタンをクリックし、リス
ト上部のバンド名をクリックし、Display ボタンプルダウンメニューの
New Display を選択 して Load Band をクリックしてください。
3.
イメージウィンドウから Tools -> Link -> L ink Displays を選択し、ダ
イアログで OK をクリ ックして画像をリンクしてください。
4.
イメージウィンドウ上でマウス中央ボタンをクリックしてください。ダイ
ナミックオーバーレイの範囲を決めることができます。
5.
マウスの左ボタンをクリックアンドドラッグして画像上でダイナミックオ
ーバーレイを動かし、K-MEANS 分類の結果をカラー合成画像と比較して
ください。(図 3)
6.
作業が終わりましたら、Tools -> Link -> U nlink Display を選択してリ
ンクとダイナミックオーバーレイを削除してください。
図 3:Canon City の TM 画像と K-MEANS による教師無し分類した画像の比較
興味のある方は、クラス数、閾値、標準偏差、最大距離誤差の値を変えてさまざ
まな場合を試し、これらが分類に与える影響を調べてください。
7
Isodata
IsoData による教師無し分類では、データ空間内に均一に分布したクラス平均値
を計算し、さらに反復的に最小距離法を使用して残りのピクセルを分類します。
繰り返すたびに平均値を計算しなおし、新しい平均値を使用してピクセルを分類
しなおします。各クラスに含まれるピクセル数の変動が選択したピクセル変動の
閾値より小さくなるまで、あるいは繰り返し回数が上限に達するまで、この処理
が続けられます。
あらかじめ分類処理した結果が can_tm ディ レクトリに用意されていますので、
これを確認することもできます。以下にその方法を示します。
1.
ENVI メインメニューから File -> Open Image File を選択し
can_iso.img を開いて ください。
2.
Available Bands List の Gray Scale ラジオ ボタンをクリックし、リス
ト上部のバンド名をクリックし、Display ボタンプルダウンメニューの
New Display を選択 して Load Band をクリックしてください。
3.
イメージウィンドウから Tools -> Link -> L ink Displays を選択し、ダ
イアログで OK をクリ ックしてこのカラー画像と K-MEANS の結果をリ
ンクしてください。
4.
イメージウィンドウ上でマウス中央ボタンをクリックしてください。ダイ
ナミックオーバーレイの範囲を決めることができます。
5.
マウスの左ボタンをクリックアンドドラッグして画像上でダイナミックオ
ーバーレイを動かし、K-MEANS 分類の結果をカラー合成画像と比較して
ください。
6.
File -> Cancel を 選 択 し て 2 つ の イ メ ー ジ ウ ィ ン ド ウ を 閉 じ て くだ さ い 。
興味のある方は、クラス数、閾値、標準偏差、最大距離誤差、クラスのピクセル
特性などの値を変えてさまざまな場合を試し、これらが分類に与える影響を調べ
てください。
教師付き分類
教師付き分類を行うには、分類の基本となるトレーニングエリアをユーザが選択
する必要があります。次に、さまざまな比較方法を使用して、特定のピクセルが
あるクラスの所属メンバーとして適しているか判定します。ENVI には、平行六
面体法(Parallelepiped )、最尤法(Maximum Likelihood )、最小距離法
(Minimum Distance )、マハラノビス距離法( Mahalanobis Distance )、バ
イナリエンコーディング法(Binary Encoding )、SAM(Spectral Angle
Mapper)およびニューラルネット( Neural Net)などのさまざまな分類方法が
用意されています。以下の処理結果を確認するか、これらの分類方法においてそ
れぞれにデフォルトの分類パラメータを使用してユーザ自身でクラスを生成して
結果を比較してください。
8
ENVI メインメニューからユーザ自身で分類を実行するには Classification ->
Supervised -> [Me th od ] を選択します。ただし [Method ] はプルダウンメニュ
ーにおける ENVI の教師付き分類方法(平行六面体法、最小距離法、マハラノビ
ス距離法、最尤法、SAM、バイナリエンコーディング法、ニューラルネット)の
いずれかです。以下に示す 2 つの方法のいずれかを使用して、トレーニングエリ
ア(関心領域)を選択してください。
関心領域(ROI)を使用したトレーニングデータ(教師データ)の選択
ENVI チュートリアル「ENVI とは」や本書に示すように、ENVI では分類用の
統計量の抽出やマスクなどの操作によく使用される関心領域を容易に定義するこ
とができます。この演習では、あらかじめ定義された関心領域を使用しても、ユ
ーザ自身の関心領域を作成しても構いません。
あらかじめ定義済みの関心領域の読み込み
1.
あらかじめ選択された関心領域を使用するには #1 ROI Tool ダイア ログを
開きます。このためには、Display #1 イメ ージメニューから Overlay ->
Region of Interest を 選択してください。
2.
#1 ROI Tool ダイアロ グで、File -> Restore ROIs を選択してください。
3.
Enter ROI Filename ダイアログが表示されます。入力ファイルとして
CLASSES.ROI を選択してください。
ユーザ自身による関心領域の作成
1.
イメージウィンドウのメニューバーから Overlay -> Region of Interest
を選択してください。ROI Tool ダイアログが表示されます。
2.
イメージウィンドウに新しい関心領域を示す Polygon (ポリゴン)を描画
します。以下の手順で行ってください。
3.

イメージウィンドウ内でマウスの左ボタンをクリックすると、そこが関心領
域 Polygon(ポリゴン)の最初の点になります。

マウスの左ボタンをクリックして辺を規定する点を順番に選択していき、マ
ウスの右ボタンをクリックし Polygon(ポリゴン)を閉じてください。マウ
スの中央ボタンは最後の点を削除します(ポリゴンがすでに閉じられている
場合はポリゴン全体を削除します)
。マウスの右ボタンをもう一度クリックす
ると Polygon(ポリゴン)が確定します。
新しい関心領域を定義するには New Region ボタンをクリックしてくださ
い。
古典的な教師付きマルチスペクトル分類
以下の方法はリモートセンシングに関するほとんどの教本で説明されており、現
9
在のさまざまな画像処理ソフトウェアシステムで使用できます。
平行六面体(Parallelepiped)
平行六面体分類では単純な判定ルールを使用してマルチスペクトルデータを分類
します。この判定の境界が、画像データ空間内に n 次元の平行六面体を形成しま
す。平行六面体の次元は、選択されたそれぞれのクラスの平均値からの標準偏差
の閾値によって決まります。
1.
ファイル can_pcls.img にはあらかじめ結果が保存されています。これら
の結果を確認するか、上記の関心領域 CLASSES.ROI を使用してユーザ
自身で分類処理を実行してください。デフォルトのパラメータを使用し、
関心領域の平均値からの標準偏差を色々と変更して試してください。
2.
画像リンクやダイナミックオーバーレイを使用して、この分類結果をカラ
ー合成画像や前述の教師無し分類と比較してください。
図 4:平行六面体分類による画像
最尤法(Maximum Likelihood)
最尤分類では、各バンドの各クラスの統計量が正規分布になるものと仮定し、与
えられたピクセルが特定のクラスに属する確率を計算します。確率の閾値を選択
した場合を除き、すべてのピクセルが分類されます。各ピクセルは、確率が最も
高いクラスに割り当てられます(このため最尤法と呼ばれます)。
1.
上記の関心領域 CLASSES.ROI を使用してユーザ自身で分類処理を実行
してください。デフォルトのパラメータを使用し、さまざまな確率閾値を
設定して試してください。
2.
画像リンクとダイナミックオーバーレイを使用して、この分類結果をカラ
ー合成画像や前述の教師無し分類、教師付き分類と比較してください。
10
最小距離法(Minimum Distance)
最小距離分類では、各関心領域の平均ベクタを使用して、未知の各ピクセルから
各クラスの平均ベクタまでのユークリッド距離を計算します。すべてのピクセル
は最も近い関心領域クラスに分類されますが、ユーザが標準偏差か距離の閾値を
指定した場合は例外であり、選択された条件に適合しない一部のピクセルが分類
されずに残る可能性もあります。
1.
上記の関心領域 CLASSES.ROI を使用してユーザ自身で分類処理を実行
してください。デフォルトのパラメータを使用し、標準偏差と最大距離誤
差をさまざまに変えて試してください。
2.
画像リンクとダイナミックオーバーレイを使用して、この分類結果をカラ
ー合成画像や前述の教師無し分類、教師付き分類と比較してください。
マハラノビス距離法(Mahalanobis Distance)
マハラノビス距離分類は方向が重要な役割を果たす距離分類法であり、各クラス
の統計量を使用します。この分類法は最尤法と似ていますが、すべてのクラスの
共分散が等しいものと仮定しているため処理が高速です。すべてのピクセルは最
も近い関心領域クラスに分類されますが、ユーザが距離の閾値を指定した場合は
例外であり、閾値に適合しない一部のピクセルが分類されずに残る可能性もあり
ます。
1.
上記の関心領域 CLASSES.ROI を使用してユーザ自身で分類処理を実行
してください。デフォルトのパラメータを使用し、最大距離誤差をさまざ
まに変えて試してください。
2.
画像リンクとダイナミックオーバーレイを使用して、この分類結果をカラ
ー合成画像や前述の教師無し分類、教師付き分類と比較してください。
スペクトルの分類方法
以下のいくつかの方法はハイパースペクトル用に特別に開発されたものですが、
マルチスペクトルデータの分類にも使用でき、物質のスペクトル特性を容易に比
較しやすい結果が得られることも多くあります。通常、これらの分類方法は画像
やスペクトルライブラリを使用する Endmember Collection ダイアログから使
用されますが、分類メニューから Classification -> Supervised -> [me thod ]
で起動することもできます。この [method ] はプルダウンメニューに示される方
法の 1 つを表します。
Endmember Collection ダイアログ
Endmember Collection: Parallel ダ イ ア ロ グ は 、 ASCII フ ァ イ ル や 関 心 領 域 、
スペクトルライブラリ、統計量ファイルなどから教師付き分類用のスペクトルを
収集するのに使用されます。
1.
ENVI メインメニューから Classification I nput File ダイアログを開く
11
には、 Spectral -> M apping Methods -> Endmember Collection を選
択してください。ENVI メインメニューから Classifictition ->
Endmember Collection を選択して開くこともできます。
2.
Classification Input File ダイアログ下部のプルダウンメニューから
Open -> New File を 選択してください。Please Select a File ダイ アロ
グが表示されます。
3.
Please Se lect a File ダイアログで、入力ファイルとして can_tmr.img
を選択し、Open(Windows )もしくは OK(UNIX)をクリックしてく
ださい。 選択後 can_tmr.img ファイルは、Classification Input F ile
ダイアログの Select I nput File: の項目に表示されます。
4.
このダイアログの Select Input File : の項目 にある can_tmr.img ファイ
ルをクリックし、OK をクリックしてください。
5.
Endmember Collection:Parallel ダイアログが表示されます。
図 5:Endmember Collection ダイアログ
デフォルトの場合は、Endmember Collection ダイアログが表示された時点で
分類方法として Parallelepiped が選択された状態になっ ています。
Endmember Collection ダイアログから Algorithm -> [me thod ] を選択する
と、使用可能な分類方法やマッピング方法のリストが表示されます。この
[method] は使用可能な方法の 1 つを表しており、現在、平行六面体法
(Parallelepaiped )、最小距離法(Minimum Distance )、マハラ ノビス距離法
(Mahalanobis Distance )、最尤法(Maximum Likelihood )、バイナリエン
コーディング法(Binary Encoding)、SAM(Spectral angle Ma pper )があ
ります。
バイナリエンコーディング分類法(Binary Encoding)
バイナリエンコーディング分類法では、あるバンドがスペクトル平均値より大き
いか小さいかによってデータと端成分のスペクトルを O と 1 にエ ンコードしま
す。排他的 OR 関数を使用して、エンコーディングされたそれぞれの参照スペク
12
トルを、エンコーディングされたデータスペクトルと比較し、分類画像が作成さ
れます。すべてのピクセルは、最大バンド数を用いて端成分に分類されますが、
閾値をユーザが指定した場合は例外で、条件に適合しない一部のピクセルが分類
されずに残る可能性もあります。
1.
ファイル can_bin.img には、バイナリエンコーディング法による結果が
あらかじめ保存されています。これらは、最小エンコーディング閾値を
75% にして生成したものです。これらを確認するか、上記の関心領域
CLASSES.ROI を使用してユーザ自身で分類処理を実行してください。あ
らかじめ保存されている結果を確認するには、メニューバーから
Algorithm -> Binary Encoding を選択してください。
2.
ファイル CLASSES.ROI に入っている定義済みの関心領域を使用してく
ださい。Endmember Collection ダイアログメニューバーから Import
-> from ROI /EVF fro m Input File を選択 してください。
3.
Select Regions for Stats Calculation ダイアログが表示されます。
Select All Items ボタ ンをクリックし、 OK をクリックしてください。
4.
Endmember Collections ダイアログに収集されている関心領域用の端成
分スペクトルプロットを表示するには、Select All をクリックし Plo t を
クリックしてください。
5.
Endmember Collections ダ イ ア ロ グ で Apply を ク リ ッ ク し て く だ さ い 。
Binary Encoding Parameters ダイアログボックスが表示されます。
6.
Binary Encoding Parameters ダイアログで、Output Resu lt to 項目
にある Memory ラジオボタンをクリックしてください。
7.
Output Rule Images テキストフィールドのトグルボタンをクリックし、
No に変更してください。ダイアログ下部の OK をクリックすると、分類
処理が開始されます。
8.
画像リンクとダイナミックオーバーレイを使用して、この分類結果をカラ
ー合成画像や前述の教師無し分類、教師付き分類と比較してください。
SAM 分類(Spectral Angle Mapper)
SAM は、n 次元の角度を使用してピクセルと参照スペクトルとを比較する物理
的なスペクトル分類方法です。このアルゴリズムでは、2 つのスペクトルをバン
ド数と同じ次元の空間内のベクタとして扱ってスペクトル間の角度を計算するこ
とにより、両者の類似性を判定します。
Endmember Collection メニューバーから Algorithm -> Spectral Angle
Mapper を選択することによって分類処理を行うことができます。また ENVI メ
インメニューから Classifictition -> Supervi sed -> Spectral Angl e Mapper
を選択して開くこともできます。
13
詳細は、ENVI チュートリアルの「ハイパースペクトルを使用した分類方法 ->
Spectral Angle Mapper(SAM) 分類」を参照してください。
ルール画像
ENVI は、分類画像の生成に使用されるピクセル値を示す画像を生成します。ユ
ーザは、これらのオプション画像から分類結果を評価したり、必要ならば閾値に
従って分類し直すことができます。これらはグレースケール画像であり、分類に
使用されるそれぞれの 関心領域または端成分 スペクトルごとに 1 つ ずつあります。
図 6:Canon City の Landsat TM データの SAM 分類用のルール画像
(一致度が高い(スペクトル角が小さい)部分が明るいピクセルとし
て表示されるようにストレッチ処理されています。)
以下のように、ルール画像のピクセル値によって示されるものは分類処理のタイ
プによって異なります。
分類方法
ルール画像の値
平行六面体
平行六面体の条件に適合するバンドの
数
最小距離法
クラス平均からの距離の和
最尤法
マハラノビス距離法
ピクセルがクラスに属する確率
クラス平均値からの距離
バイナリエンコーディング法
パーセントで示したバイナリマッチン
グ
SAM
(Spectral Angle Ma pper )
ラジアン単位で示したスペクトル角
(角度が小さいほど基準スペクトルと
の一致度が高いことを示します)
14
1.
上記の SAM 分類の場合は、分類画像とルール画像を別のウィンドウに読
み込みダイナミックオーバーレイを使用して比較してください。 Tools > Color Mapping -> ENVI Color Tables 内の Stre tch Bottom スライ
ダと Stretch Top スライダをダイアログの両端にドラッグし、SAM ルー
ル画像の色を反転してください。スペクトル角の小さい部分(スペクトル
の類似性の高い部分)ほど明るく表示されます。
2.
他の方法を使用して分類画像とルール画像を作成してください。ダイナミ
ックオーバーレイと Cursor Location /Value を使用して、より適した閾
値を使用して空間的整合性の高い分類結果が得 られるか判断してください。
3.
より適した閾値が見つかった場合は、ENVI メインメニューから
Classification -> Post Classification -> Rule Classifier を選択して
ください。
4.
can_tmr.sam 入力フ ァイルをダブルクリックし、 Rule Image
Classifier Tool を表示してください。適切な閾値を入力して新しい分類
画像を作成し、その新しい分類結果を前の分類結果と比較してください。
分類後処理
分類精度を評価したり、クラスを地図画像やベクタ GIS にエクスポートするため
には、分類した画像に後処理を施す必要があります。ENVI には、これらの処理
を行うための一連のツールが用意されています。
クラス統計量
この機能を使用すると、分類に使用した画像から統計量を抽出することができま
す。基本的な統計量、ヒストグラム、平均スペクトルなどの統計量が、選択した
クラスごとに計算されます。
1.
処理をはじめるために Classification -> Post Classification -> Class
Statistics を選択して、分類画像(can_pcls.img)を選択して OK をク
リックしてください。
2.
次に、分類に使用した画像(can_tmr.img) を選択して OK をクリ ックし
てください。
3.
Class Selection ダイ アログで Select All Items 、OK の順にクリ ックし
てください。
4.
Compute Statis tics P arameters ダイアログで Histogra ms 、
Covariance 、Covariance Image チェックボックスをクリックし、可能
な統計量をすべて計算してください。
5.
Compute Statis tics P arameters ダイアログ下部の OK をクリックして
15
ください。Class Stati stics Results ダイアログが表示されます。
図 7:Canon City の平行六面体分類の統計量レポート
混合マトリクス
ENVI の混合マトリクス機能を使用すると、 2 つの分類画像(分類画像と「トゥ
ルース(現地調査した)」画像)を比較したり、分類画像と関心領域を比較するこ
とができます。トゥルース画像は、別の分類画像でも、実際のグランドトゥルー
ス測定値から生成された画像でも構いません。
1.
Classification -> Post Classification -> Confusion Matrix ->
[method ] を選択してください。[method ] は、Using Ground Truth
Image または Using Ground Truth ROIs のいずれかにします。
2.
Ground Truth Image 法による場合は、2 つのファイル名 can_sam.img
と can_pcls.img を入力して OK をクリックし、平行六面体分類と SAM
分類を比較してください(この演習ではグランドトゥルースとして
can_pcls.img ファイ ルを使用します)。
3.
Match Classes Parameters ダイアログを使用し、2 つの画像から対応す
るクラスをペアにして OK をクリックしてください。
4.
Output Result to ラ ジオボタンを使用して Memory に出力した後、
Confusion Matrix Pa rameters ダイアログで OK をクリックしてくださ
16
い。
5.
混合マトリクスと混合画像を確認してください。ダイナミックオーバーレ
イ、スペクトルプロファイル、Cursor Location/Value を使用して分類画
像を元の反射率画像と比較し、エラーの原因を判断してください。
6.
Ground Truth ROI 法 を使用するには、分類画像 can_sam.img を 選択
し評価してください。
7.
画像のクラスを、CLASSES.ROI から読み込んだ関心領域と比較し、 OK
をクリックして混合マトリクスを計算してください。
8.
Confusion Matrix Pa rameters ダイアログで OK をクリックしてくださ
い。
9.
混合マトリクスを確認し、スペクトルプロファイル、Cursor Location/
Value を使用して分類画像を元の反射率画像内の関心領域と比較し、エラ
ーの原因を判断してください。
図 8:第 2 分類画像をグランドトゥルースに使用した場合の混合マトリクス
凝集(clump)と選別(sieve)
凝集と選別により分類画像のノイズ除去をする ことができます。通常はまず、選
別処理を行い閾値のサイズ(ピクセル数)に従って孤立したピクセル群を除去し、
次に、凝集処理を行って分類後の類似性の高い隣接領域を結合して既存のクラス
17
の空間的コヒーレンシーを向上させます。ファイル can_sv.img( 選別)と
can_clmp.img (選別結果を凝集した結果)にあらかじめ計算済みの結果が入っ
ていますので、これらを分類画像 can_pcls.img (平行六面体分類)と比較する
か、ユーザ自身で画像を計算していずれかの分類結果と比較してください。
1.
この機能を実行するには、Classification -> Post Classification ->
Sieve Classes を選択し、いずれかの分類画像を選択し、結果を Memory
に出力して OK をクリ ックしてください。
2.
さらに選別処理の結果を入力して凝集処理を行います。そのためには、
Classification -> Post Classification -> Clump Classes を選択し、メ
モリから作成した画像を選択して OK をクリ ックしてくださ い。
3.
Clump Parameters ダイアログでメモリを選択し OK をクリックしてく
ださい。
4.
3 つの画像を比較し、必要に応じ操作を繰り返してノイズ除去された分類
画像を生成してください。
クラスの結合(combine)
クラス結合機能を使用して分類結果 のノイズ除去をすることもできます。類似性
の高いクラスを結合して 1 つまたは複数のクラスにすることができます。
1.
あらかじめ計算済みの画像 can_comb.img を 確認するか、以下のようにユ
ーザ自身で結合処理を行ってください。
2.
Classification -> Post Classification -> Combine Classes を選択し
てください。
3.
Combine Classes Input file ダイアログで can_sam.img ファイルを選
択し、OK をクリックしてください。
4.
Region #3 を選択して Unclassified と結合し、Add Combination をク
リックし、Combine Classes Parameters ダ イアログで OK をクリ ック
してください。メモリを選択して OK をクリ ックしてください。
5.
画像リンクやダイナミックオーバーレイを使用して、クラス結合画像を、
分類画像やノイズ除去された分類画像と比較してください。
クラスの色の編集
分類画像が表示されている場合、クラスの色を編集することで特定のクラスに対
応する色を変更することができます。
1.
イメージウィンドウから Tools -> Color Ma pping -> Class Color
Mapping を選択してください。
18
2.
Class Color Mapping ダイアログでいずれかのクラス名をクリックし、
対応するカラースライダをドラッグするか任意のデータ値を入力して色を
変更してください。変更内容は直ちに分類画像に適用されます。変更内容
を保存するには、このダイアログで Options -> Save Changes を 選択し
てください。
クラスのオーバーレイ
クラスをオーバーレイすることで、分類画像の重要な要素を、グレースケール画
像や RGB 画像上にカラーオーバーレイとして配置することができます。
1.
あらかじめ計算済みの画像 can_ovr.img を 確認するか、反射率画像
can_tmr.img と上記のいずれかの分類画像からユーザ自身のオーバーレイ
を作成してください。
2.
ENVI メインメニューから Classification -> Post Classification ->
Overlay Classes を選択してください。
3.
Available Bands List ダイアログから、クラスオーバーレイの入力先と
して現在のウィンドウを選択してください。
4.
Input Overlay RGB I mage Input Bands ダ イアログで、各 RGB バン
ドに can_tmr.img の バンド 3(R バンドにバンド 3、G バンドにバンド
3、B バンドにバンド 3)を選択して OK をクリックしてください。
5.
Classification Input File ダイアログで、分類入力として
can_comb.img を使用 してください。
6.
Class Overlay to RGB Parameters ダイア ログで、OK をクリックし、
Region #1 と Region #2 を選択して画像上にオーバーレイしてください。
メモリを選択して OK をクリックし、オーバーレイ処理を完了してくださ
い。
7.
オーバーレイ画像をイメージウィンドウに読み込み、リンクやダイナミッ
クオーバーレイを使用して分類画像や反射率画像と比較してください。
対話的な操作による分類のオーバーレイ
ENVI には、分類データの操作機能として上記の方法の他に対話的な分類オーバ
ーレイツールも用意されています。このツールを使用すると、表示されている画
像上にオーバーレイされるクラスのオン / オ フを対話的な操作で切り換えたり、
クラスの編集、クラスの統計量の算出、クラスの統合(結合)、クラスカラーの編
集などを行えます。
1.
Available Bands List ダイアログを使用して can_tmr.img の Band 4
をグレースケール画像として表示してください。
2.
イメージウィンドウのメニューバーから Overlay -> Classification を選
19
択してください。
3.
Interactive Class Too l Input File ダイア ログで、can_sam.img を選
択し OK をクリックしてください。Interactive Class Tool ダイア ログが
現れ、各クラスとそれぞれに対応する色のリストが表示されます。
4.
それぞれの On チェックボックスをクリックすると、グレースケール画像
上にオーバーレイされる各クラスの表示が切り換わります。
5.
Options メニューのさまざまなオプションを試して分類結果を調べてくだ
さい。
6.
対話的な操作で特定のクラスの内容を変更するには、Edit メニューのオプ
ションを選択してください。
7.
イメージウィンドウから File -> Save Image As -> [De vice] を選 択し
([Device ] は Postscr ipt または Image)、 クラスを焼き付けて新しいフ
ァイルに出力してください。
8.
Interactive Class Tool ダイアログを終えるには File -> Cancel を選択
してください。
分類結果のベクタレイヤーへの変換
あらかじめ計算済みのベクタレイヤーをグレースケール反射率画像に読み込みラ
スタ分類画像と比較するか、機能を実行していずれかの分類画像をベクタレイヤ
ーに変換します。上記の凝集した分類画像から生成されたあらかじめ計算済みの
ベクタレイヤーを読み込むには、以下のように実行してください。
1.
凝集した画像 can_clmp.img が表示されている状態で、イメージウィンド
ウから Overlay -> Vectors を選択してください。
2.
Vector Parame ters ダイアログから File -> Open Vector File を選択し、
ファイル can_v1.evf と can_v2 .evf を選択 してください。Available
Vectors List ダイアロ グで Select All Layers を選択し、Load
Selected そして can_ dmp.img を選択してください。分類 Polygon(ポ
リゴン)から得られたベクタは、ラスタ分類されたピクセルの輪郭を形成
します。ユーザ自身で分類結果をベクタに変換するには、以下のようにし
てください。
<注>
Available Vectors List ダイアログが表示されない場合は ENVI メインメニュ
ーの Window -> Available Vectors List を選択し表示させてください。
3.
Classification -> Post Classification -> Classification to Vecto r を
20
選択し、 Raster to Vector Input Band ダイアログ内で can_clmp.img
を選択してください。
4.
Region #1 と Region #2 を選択し、ルート名 canrtv を入力して OK を
クリックすると変換処理が開始されます。
5.
Available Vectors Li st ダイアログでの 2 つ の領域を選択し、ダイアロ
グ下部の Load Selected をクリックしてください。
6.
Load Vector ダイアログでグレースケール反射率画像が表示されているデ
ィスプレイ番号を選択すると、ベクタレイヤーがウィンドウに読み込まれ
ます。Vector Parame ters ダイアログで、Edit -> Edit Laye r
Properties を選択し、ベクタレイヤーの色やフィルパターンを調整してく
ださい。
7.
ウィンドウ内をマウスの右ボタンでクリックすると凡例の位置が確定され
ます。画像の注釈に関する詳細は、ENVIオンライン ヘルプ を参照してく
ださい。
注釈を使用した分類凡例
ENVI には、画像や地図レイア ウトに分類凡例を配置する注釈ツールが用意され
ています。分類凡例は自動的に生成されます。
1.
いずれかの分類画像またはベクタオーバーレイを含む画像用に、イメージ
ウィンドウのメニューバーから Overlay -> Annotation を選択してくだ
さい。
2.
Object - > Map Key を選択して画像への注釈付け処理を開始してくださ
い。凡例の特性を編集するには、Annotation: Map Key ダイアログの
Edit Map Key Items ボタンをクリックし、任意の特性に変更してくださ
い。
3.
凡例を位置決めするには、マウスの左ボタンで凡例をクリックアンドドラ
ッグしてください。
4.
ウィンドウ内をマウスの右ボタンでクリックすると凡例の位置が確定され
ます。画像の注釈に関する詳細は、ENVI オンラインヘルプ を参照してく
ださい。
21
図 9:分類凡例を含む分類画像
ENVI セッションの終了
ENVI セッションを終了するには、 ENVI メインメニューから File -> Exi t
(UNIX は Quit)を選択し、さらに OK を クリックして IDL を終 了します。
ENVI RT をご使用の場合は、 ENVI を終了するとオペレーティングシステムに
戻ります。
22