山梨大学における臨床研究等実施体制の整備 High Quality、Reasonableな臨床研究パッケージの確立を目指して ‐体制整備におけるAROの役割の検討(第1報) 1 1 ○伊藤久裕 、矢野岬 、 1 安達健 、 1 山梨大学大学院臨床研究開発学講座 【目的】 大学病院における、High QualityかつReasonableな臨床研究パッケージの確立を、 臨床研究及び治験等の実施体制整備の過程において検討する。 また、体制整備におけるAcademic Research Organization(ARO)の役割につ いても検討する。 【方法】 本学医学部附属病院においては、臨床研究支援センター、治験センター等を統括 する、臨床研究連携推進部が平成24年に再編された。それに伴い、臨床研究及び 治験等の実施体制が整備されてきたが、今後の更に積極的な研究推進の過程において、 よりHigh Quality かつReasonableな臨床研究実施の為のインフラ整備をパッケージ として開発することを検討した。また、体制整備に伴う、院内スタッフの意識につい てアンケート調査を行い検討した。 アンケート結果及び院内の情報に関しては、Qlik View (情報分析視覚化ソフトウエ ア)を用い、情報の一元管理と視覚的分析を行った。 2 1 長沼みづき 、岩崎甫 2 山梨大学医学部附属病院看護部 2012年度 補 足 全般 グローバルスタディー受託数 7件 2012年度までの累計 施設選定 候補となる実患者数の開示 △ ICD10コーディングによる実患者数の開示を検討中 IRB セントラルIRB機能 △ SOPを改訂準備中 契約関係 研究費前払い △ 1部あり。改訂を検討中。 IRB~契約締結まで(平均) 3W 統一書式の利用 △ 統一書式+一部固有の書類 責任医師ファイルの作成、保管 △ 一部依頼者に作成を依頼、保管は医局(秘書等) SDV無料 ○ SDV時間、回数の制限 ○ 入力期限の順守 ○ ほぼ入力期限内 LAN等の環境整備 △ CRA使用可能なPCあり モニタリング 安全性情報のメール送信 ○ 研修 ALCOAの認識、啓蒙 △ CRCにALCOAの認識あり、PIに啓蒙中 企業e-learningの受け入れ △ EDCトレーニングのみ 機器のメンテナンス記録 ○ 提示可能 英語の履歴書の提出 △ 一部対応中 ドキュメント SDV その他 院内スタッフの臨床研究及び治験に関する意識調査 本学附属病院の外来看護師43名に対して、アンケート調査を実施した。 調査対象者に関する基礎データは以下のとおりである。 勤務年数 :0.3~27年 、外来経験年数:0.1~16.2年 調査は対象者の基本データを含め12項目であり、大別すると以下の3つとなる。 本学附属病院における治験実施について 治験参加患者に関する情報収集と対応に関するもの 治験全般に関する項目 特に差異が顕著であった、外来での経験年数による比較を下図に示す。 【結果】 本年度は、臨床研究推進部再編後の体制の見直しを行った。まず、臨床研究及び治験 実施に関するSOP等の改訂・再整備並びにAROとして必要な俯瞰的な視野から、大学病 院の実情に沿ったプロトコール及びICFのテンプレートの作成等を行い、臨床研究パッ ケージの一部として実際に使用し、パイロット研究を開始した。 また、当院に所属する外来看護師43名に対しアンケートを実施し、現状での院内ス タッフの臨床研究及び治験等に対する意識のバラツキを把握した。 尚、今後、アンケートの対象範囲を医師等にも拡大すると共に、体制整備に伴うス タッフの意識の経時的変化も合わせて検討していきたい。 今後の課題として、以下の3点についてさらに調査を広げる予定である。 ①診療科別・病棟別等での調査実施、看護師以外の院内スタッフとの差異分析 ②研究を主導する医師とその他の医療従事者との認識・意識の差異分析 ③効果的な情報提供及び教育・研修による、医療従事者の意識変化 【考察】 地域の基幹病院としての中心的役割を担う大学病院におけるHigh Qualityかつ Reasonableな臨床研究パッケージの確立は、院内の臨床研究等の活性化のみならず、 地域医療ネットワークや近隣病院との連携を通じ、広く信頼性の高いエビデンスの構築 に貢献できる事が期待される。開発されたパッケージの使用状況及び満足度については、 来年度以降の調査において検証し、臨床研究パッケージ全体の改善に繋げたい。また、 治験に関しても、当講座が院内スタッフの研修、啓蒙等に積極的に参画し、整備状況を 俯瞰的に調整しアドバイスしていくことが必要と考えられた。 【結論】大学病院における、臨床研究、治験実施体制等の整備には、エビデンスの信頼 性の確保、手順のシンプル化やその管理等の面から、ARO的な役割者が俯瞰的な視野で 各調整を行い、整備を行っていくことが重要と考えられた。 本演題発表に関連して、開示すべきCOI関係にある企業等はありません。
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