80%納税猶予制度を適用できますか? (2)

株式の納税猶予制度を検討する場合、注意点としてどのようなことがあるのでしょうか?
1.納税猶予税額が0円になる場合があります
「納税猶予額がいくらとなるか」を判定するには、納税猶予の対象株式等の相続税評価額から、後継者が承継した
債務等を控除した額によります'措令40の8の2⑫(。したがって、判定額が0円となると、納税猶予税額も0円となり
ます。
後継者が
対象株式の
負担する
相続税評価額
債務等の額
対象株式の相続税評価額より、後継者の負担
する債務等が大きい場合は、猶予される税金
が0円となります。
納税の可能性
【例えば】
非上場会社Xのオーナー経営者Aは、自身の相続税対策のために納税猶予制度を利用して、後継者への税
負担を減らそうと考えています。同族内に株式が分散しているので、金融機関からの借入れで資金を調達し、
株式を事前に買い取る計画です。
【注意点として】
上記事例において、経営者Aの死亡後、後継者がX社の株式と借入債務を承継する場合、X社株式の相続税
評価額より、後継者の負担する債務等が大きい場合は猶予される税金が0円となります。
2.後継者の取得した普通株式が、納税猶予制度の適用対象外となる場合があります
相続税及び贈与税の納税猶予制度の適用対象となる株式は、議決権に制限のないものに限られています。
つまり、後継者が『株主総会等において議決権に制限がある株式等』を相続または贈与等にて取得した場合、
後継者が取得した株式等は納税猶予制度の適用対象外となります。
【例えば】
非上場会社Yのオーナー経営者Bは、事業承継のために贈与税の納税猶予制度を利用して、後継者へ普通
株式の贈与を検討しています。しかし、事業承継後、後継者の独断経営とならないように、普通株式の贈与に
合わせて拒否権付株式'黄金株(の取得を検討しています。
【注意点として】
先代オーナーBが拒否権付株式'黄金株(を取得し保有すると、後継者の持つ普通株式は『株主総会等にお
いて議決権に制限がある株式等』に該当するため、後継者が贈与により取得した普通株式は、贈与税の納税
猶予の適用対象外になります。
納税猶予制度はメリットも多いですが、注意すべき点も多くございます。事前に経済産業大臣の確認を
受けていないと納税猶予制度を受けられない等、制度利用には事前の取り組みが必要です。制度が適
用できるかどうかについては、専門家への事前の相談、早めの相談をお薦めいたします。
本資料は、現在の法律に基づいて作成しております。情報の目的として、一般的な
状況を前提として法律・税務上の取扱いを記載しております。なお、簡易な表現に
略していますので、諸条件により本資料の内容と異なる取扱がなされる場合があり
ますことをご了承ください。実行にあたりましては、顧問税理士、専門家等にご相談
の上、ご判断頂きますようお願い申し上げます。
2009.09
株式会社 事業再編・M&A研究所
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