台湾スマートオートメーション技術の 発展と産業推進戦略 王維漢(WANG, Wei-Han) 財団法人工業技術研究院機械とシステム研究所 業務組長 【要旨】 現在の工業製品は多様化しており、且つライフサイクルが短いため、頻繁に生産 品目を変更することによって生産ニーズを満たす必要がある。そのため製造プロセス の多くは大量の労働力を消費して組立、試験、包装などの工程を行っている。昨今 は中国大陸における労働力コストが大幅に上昇しており、バックエンドエ程とシステ ムの組立にスマートオートメーションを導入することが台湾メーカーの発展のための 重要課題となっている。Foxconn、Quanta、Foxlink などの台湾大手メーカーは、ス マートオートメーションソリューションの開発に積極的に取り組んでおり、これにより関 連する産業チェーンの形成が促されることになる。工業技術研究院(ITRI)機械 システム研究所は、台湾におけるスマートオートメーションのキーテクノロジー発展に おいて重要な役割を果たしている。スマートオートメーションシステムは、産業用ロボッ トを核とし、視覚と力制御技術を有する応用システムを発展させ、さらにスマートオー トメーションによる人とロボットの協働作業モデルを構築することで、生産効率、品質、 産業の付加価値を大幅に高めることができる。 現在台湾の製造業は、国際的には先進国と新興国に上下を挟まれ圧迫され る事態に直面しており、産業の生産効率向上とコスト削減を促し、さらに台湾の産 業が直面している国際競争による深刻な影響を緩和するため、インダストリー(「生 産力」)4.0 の推進は緊急の課題となっている。インダストリー4.0 は主に、カスタマー バリューを核とし、スマートオートメーションを基礎とし、モノのインターネット、スマート ロボット、ビッグデータなどの技術を応用し、さらにリーンマネージメントを行って、スマ ート生産、スマートサービスを推進し、生産とサービスを統合したシステム・オブ・シス テムズを発展させる。台湾メーカーの大半は中小企業であることから、その能力はま だ十分に強化されていない。そのため、IT 及びオートメーションの基礎を有する中堅 企業とそのサプライチェーンである電子情報、金属輸送、機械設備、食品、繊維 などの重点産業を優先的に選定し、インダストリー4.0 による革新的ビジネスモデル を構築し、さらに複製、拡散により、徐々に中小企業のレベルアップを促す。これは、 台湾のスマートオートメーション産業振興のための重要な戦略である。
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