2015/1/19 目次 英語教育における多読の存在 人文・文化学群 人文学類 学籍番号:201310119 Y. Y. • 多読とは • 日本における多読の現状 • 多読の効果 • 多読に関する研究とその結果みえてくること • 多読の現在での課題点とその打開策(考察) • 参考文献 多読とは 多読とはー精読との違いー ・Palmerによると・・・ 「素早く、次から次へと本を読むこと」 • Palmerによると精読(intensive reading)とは、 ・自分のレベルに合った本を辞書を使わずに、細かいことは気にせず に全体の内容を把握しながら読み進めていくこと 本の内容そのものを楽しむ姿勢が身につき、英語に対してより前向き に取り組めるようになる。 日本における多読の現状 現在 ・特に、2000年代から、日本での多読人口が急増している。 ・英語の授業に対してモチベーションが上がらない生徒がいる中で、 多読を利用する先生が増え始めた。 ・TOEICを推進している大学で多読を導入しようとする試みが見られる。 「絶えず辞書や文法を調べ、比較し、分析し、訳し、テキスト に出てくるあらゆる表現を記憶しながら学ぶ」こと。 途中で立ち止まって、語彙や文法に関して辞書を使って調べ たり、和訳したりする点が多読との違い。 多読の効果 ◎気持ちの面 • モチベーションの向上(Mason & Krashen,1997ほか) • 自信(Takase,2007ほか) • 英語を読むことを楽しむ(Takase,2008) ◎英語力に関する面 • • • • • リーディングスピード向上(Beglar et al,2011ほか ) リーディング力の向上(Takase,2004ほか) 語彙力向上(Waring & Takagi,2003ほか) スペリング能力向上(Polak & Krashen,1988) リスニング・ライティング力の向上(Furukawa,2010ほか) 1 2015/1/19 多読の効果を裏付ける研究 ーモチベーションとリーディング能力に焦点をあててー Takase, A(2012). The Effectiveness of Sustained Silent Reading in Becoming Autonomous Leaners より ※Sustained Silent Reading(SSR):多読の一種であり、授業内の決められた時間で “何でも読みたい本”を声に出さず読むこと。 この研究において • 142人のEFLの英語を専攻していない大学生が対象 • 大学生をグループ1(1年間、英語の授業90分のうち45分をSSRの時 間とした。それに加え、できるだけ授業外でも英語の本を読むように 指示された)とグループ2(1年間、英語の本を授業外でのみ読むよう に指示された)に分けた。 研究からわかったこと • 本を読めば読むほどリーディングの熟達度が上がる。 • 自分のレベルに合った本を読むことで効果が得られる。 • 易しい本から読むことで“読める”という実感が“もっと読みたい”というモ チベーションにかわる。 • 難しい本を1冊読むよりも、簡単な本を何冊も読むほうが効果的である。 多読の効果を裏付ける研究 ーモチベーションとリーディング能力に焦点をあててー グループ1(G1)と2(G2)の、読書に対する姿勢、post‐testにおける成績、 その他両グループの違いをみた。 結果 ・G2に比べG1の方が授業外における読書時間が長かった。 ・G1は、多くの易しい本からだんだんレベルの高い本を読んだのに対し、G2は途 中で読むのをやめるか少しの本しか読まない、または、本のレベルが1年間変わ らない学生が多かった。 ・SSRを行ったG1のリーディングスピードがあがった。 ・post‐testのEPERにおいて、G1は著しく伸びたが、G2は伸びが見られなかった。 多読に関する課題とその打開策(考察) • 生徒たちは、他の教科の課題や部活等があり、本を読む時間が取 れないのではないか。 →英語の授業において多読を取り入れていく。少しの時間でも継続的に行ってい くことが必要。読書習慣を身につけることで、授業外でも読むようになるのではな いか。 • 自分に合ったレベルの本を選ぶといっても、選択する生徒たちにとっ ては負担になるのではないか。 →英語の本に記載されている、レベルやその本の総語数を参考にし、教員も本選 びをサポートする。また、最初のうちは易しい本を薦めるようにする。 • 授業内多読を取り入れることは、授業外での読書時間を増やすことにつ ながる まとめ 参考文献 • 自分のレベルに合ったテキストで多読を行うことが重要。 • Takase, A.(2012). The effectiveness of sustained silent reading in becoming autonomous leaners. Forum for Foreign Language Education (11).1‐14.Faculty of Foreign Language Studies, Kansai University. • 継続していかなければ成果が出ないため、負担にならないようなテ キストを選択する。 • 多読を行うことで、リーディングスピードも向上する。 • 継続的に行えば、リーディング能力だけでなく、ライティング能力や 語彙力、スペリング能力等も身につき、またモチベーションや自信に もつながる。 • Takase, A.(2012).The Impact of Extensive Reading on Reluctant Japanese EFL Leaners. The European Journal of Applied Linguistics and TEFL(7).97‐110 • Takase, A.(2007).Extensive Reading in the Japanese high school setting. The Language teacher,31(5).7‐10 2 2015/1/19 • 高瀬敦子(2010)『英語多読・多聴指導マニュアル』 大修館書店. • リチャード・R・デイ、ジュリアン・バンフォード(2006)『多読で学ぶ英 語ー楽しいリーディングへの招待』 松柏社. 3
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