一般演題 口演(151) 大阪府高槻市における心原性院外心停止症例に

一般演題
口演(151)
大阪府高槻市における心原性院外心停止症例に対す
る救急医療体制の検討
1
大阪医科大学附属病院救急医療部、2京都大学医学研
究科予防医療学分野、3大阪大学医学部附属病院高度救
命救急センター、4大阪府立泉州救命救急センター、
5
済生会千里病院千里救命救急センター、6京都大学医
学研究科医学教育推進センター、7行岡病院
林敏雅1、石見拓2、梶野健太郎3、西内辰也4、林靖之5、
小林正直1、平出敦6、行岡秀和7、冨士原彰1
【目的】高槻市では2005年12月より、市民の救命意識、
AED(自動体外式除細動器)に対する認知の向上を目
的に心肺蘇生に関する啓発キャンペーンを行ってい
る。本研究では、キャンペーンの効果検証のための基
礎データとして高槻市の院外心停止例の背景と救急
活動の状況、転帰を検討する。
【対象】2005年1月から12月に高槻市(人口約36万人)
で救急隊による蘇生が行なわれた院外心停止例206例
のうち心原性で心停止現場を目撃された49例。
【方法】ウツタイン様式に基づき院外心停止例の記録
を前向きかつ網羅的に集計。背景と救急活動の状況、
転帰を検討した。
【結果】平均年齢75.8歳(標準偏差 15.3)、男性
55.1%、Bystander CPR実施率 40.8%(胸骨圧迫のみ
16.3%、胸骨圧迫+人工呼吸 24.5%、)、初期心電図
調律が心室細動であったものは18.4%であった。虚脱
から覚知まで2.5分、覚知から現着まで5.0分、覚知か
ら初回除細動まで11.0分(いずれも中央値)であった。
転帰は心拍再開率 30.6%、1ヶ月生存率 8.2%、脳機
能良好な状態での生存退院率 4.1%であった。
【結論】高槻市における院外心停止症例に対する救急
医療体制を検証したところ、Bystander CPR実施率は高
かったが、除細動までに10分以上要していることが明
らかとなった。院外心原性心停止例の生存退院率は
4%程度であり、今後更に救命率を向上させるために、
Bystander CPR実施率の更なる向上と市民によるAED
を使用した迅速な除細動を実現していく必要がある。
今後は、キャンペーンをはじめとした市民の救命意識
を向上させ、救命の連鎖を強化するための活動を継続
するとともに、救急システムの改善、院外心停止例の
救命率向上を客観的に評価していく予定である。