ダイコンは大きな根?

国語学習指導案
指導者 日高附属中学校 岩崎 雅予
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日時 平成 27 年 5 月 19 日
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場所 日高附属中学校1年A組教室
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学級 1年A組(男子9名・女子11名 計20名)
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単元名 ダイコンは大きな根?
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生徒観
入学して約1カ月が経ち,環境にも慣れてきたようだ。少人数のクラスなので,一人ひとりの意見を
発表する時間なども取り入れやすい。そのことから入学当初から自分の考えを発信するような形態を取
り入れ学習してきた。学習へ取り組む態度は真面目で意欲的で向上心がある。学習への関心が高く授業
等を通じて知ったことに対し,情報を集め知識を深めようとする態度が見られる。インターネットや本,
その他資料集などを効果的に使うことができる生徒が多数いる。しかし情報の収集でとどまり,それを
うまく活用したり,得た情報をもとに自分の考えを深めたり,自分の体験と照らし合わせて考えたりす
るということにはまだまだ課題がある。今後の授業でグループ活動等を通じ,自分の考えを発信する場
を多く設定し,人の意見を取り入れることや物事を多角的にとらえる力を伸ばしていきたい。
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教材観
中学校に入って初めての説明文である。身近なダイコンを話題にしていることや,日常生活に根差し
た疑問をもって読み進めることができ教材に入っていきやすい文章である。短い文章なので段落の役割
をつかみやすく,段落ごとの要旨をまとめる力をつけることに適している。また筆者が読者に対し投げ
かける「問い」について書かれている段落と,その答えが書かれている段落を見つけることで,説明文
の段落の相互関係「導入・問題提起・答え・補足・まとめ」の構成がつかみやすい。説明文の一般的な
構成を理解させ,それを考える際の「問題提起の文」や「つなぎ言葉」の働きについても十分知らせて
おきたい。説明文の大まかな形をとらえ,次の教材「ちょっと立ち止まって」の段落相互の関係をつか
む学習につなげていきたい。
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指導観
取り上げている内容が身近なもので,文章も短く平易であることから,教材文を構成する九つの段落
をバラバラに提示し本来の順序に並べる作業を通じて,
「導入・問題提起・答え・補足・まとめ」という
段落の役割を考え,全体の構成をとらえさせたい。
まず,説明文の構成の仕方や,
「問題提起の文」
・
「接続語」の働きの重要性について知らせ,それを意
識して役割や構成を考えさせるようにする。次に,各段落の要点をまとめる作業を通して,各段落のキ
ーセンテンスをとらえさせる。まとめに,本教材と他の文章と読み比べることで,説明文の特徴や筆者
の表現の特徴をとらえさせ,それに対する自分なりの考えを持たせたい。
1
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単元の目標
ア(国語への関心・意欲・態度)
・植物として見たときの大根について説明した文章を読み,新しい知識を得たり,自分の考えを広
げたりしようとする。
ウ(読む)
・段落の役割に着目して内容を的確に読み取ったり,要約したりできる。
・文章の構成や表現をとらえ,自分なりの考えを持つ。
オ(言語についての知識・理解・技能)
・文脈の中における語句の意味を的確にとらえたり,接続語や問いかけの文に着目して,段落の役割
や全体の構成をとらえたりする。
9指導計画
(1)説明文について知り,バラバラに配置された九つの段落を,正しい順番に直す。各段落の役割
や全体の構成をとらえる。
(2)各段落の役割をふまえ,内容を読み取って,段落ごとに二十字程度で要約し,ダイコンの各器
官の特徴や働きをまとめる。
本時(3)筆者の文章の構成や書き方の工夫についてとらえ,自分の考えを持ち発表する。
10 指導と評価の計画
単元の評価基準
ア関心・意欲・態度
ウ
読む能力
内容まと ・段落の役割を考えたり, (ア)文脈の中における語句の
オ
言語についての知識・理解・技能
(ア)音声の働きや仕組みに
まりごと
文章と図を照らし合わ
意味を的確にとらえ,理解
ついて関心をもち,理解
の評価基
せたり,自分の生活と
する。
を深める。
準
結び付けたりしなが
(イ)文章の中心的な部分と付
(イ)語句の辞書的な意味と
ら,説明の文章を読も
加的な部分,事実と意見な
文脈上の意味との関係に
うとしている。
どと読み分け,目的や必要
注意し,語感磨く。
に応じて要約したり要旨
(ウ)事象や行為などを表す
をとらえたりする。
多様な語句について理解
(ウ)場面の展開や登場人物な
を深めるとともに,話や
どの描写に注意して読み,
文章の中の語彙について
内容の理解に役立てる。
関心を持つ。
(エ)文章の構成展開,表現の
(エ)単語の類別について理
特徴について,自分の考え
解し,指示後や接続詞及
を持つ。
びこれらと同じような働
(オ)文章に表れているものの
見方や考え方をとらえ,自
分のものの見方や考え方
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きをもつ語句などに注意
する。
(オ)比喩や反復などの表現
を広くする。
(カ)本や文章などから必要な
の技法について理解す
る。
情報を集めるための方法
を身に付け,目的に応じて
必要な情報を読み取る。
単元又は
・文章の内容や構成,筆 ・文章の中で使われている言葉
の意味や内容をとらえる。
・指示語や接続語及びこれら
題材の評
者の工夫点などに関心
価基準
を も っ て 読 も う と す ・段落の役割に着目したり,図
句などに注意し,内容の読
る。
み取りに生かしている。
と照らし合わせたりしなが
と同じような働きを持つ語
ら,文章の内容を的確にとら
え,要約している。
・筆者の文章の書き方の特徴を
とらえ説明文の型をとらえ
ようとしている。
①各段落の役割や全体の
①根拠をもとに,各段落の役割
①文脈上での語句の意味を的
学習活動
構成をとらえようとし
や全体の構成をとらえてい
確にとらえることができ
における
ている。
る。
る。
具体の評
②各段落の要約文を書こ
価基準
うとし,植物としての
ダイコンについてまと
めようとしている。
②各段落の内容を要約してい ②接続語や問いかけの文に着
る。
目して,段落の役割や全体の
③ダイコンの各器官の特徴や
構成をとらえている。
働きについてまとめている。
③筆者の文章の書き方の
④文章の構成展開,表現の特徴
工夫をとらえようとし
について捉えることができ,
ている。
それに対して自分の考えを
持つことができる。
11 指導と評価の計画
時
ねらい・
間
学習活動
1
○説明文につ
単元の評価基準との関連
努力を要すると判断
評価の方
法等
おおむね満足できると
十分満足できると判断
された生徒への具体
判断できる状況(B)
できる視点(A)
的な対応・手立て
ア-①
ア-①
ア-①
いて知り,
構成をとらえよう
構成をとらえようと
文末表現の違いに
各段落の役
と,文章を読み,キ
文章を読み,指示語
気付かせる。
割や全体の
ーワードとなる語を
や文末の表現に注目
構成をとら
見つけることができ
し,線を引くことが
える。
る。
できているか。
ウ―①C-②
「問題提起」とそれ
ウ-①
序論―本論―結論や
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行動観察
ワークシ
ート
ウ―①
問題提起となる文
章の文末は疑問形
の文末であること
に対する「答え」の
問題提起の段落とそ
段落を見つけること
の答えとなる段落
ができている。
を,指示語や,文の
便覧の接続詞の表
初めや終わりの言葉
を参考に,本文で
から判断し全体の構
使われている接続
本文で使われている
成をとらえることが
詞にどういう意味
接続詞の働きを便覧
できているか。
があるか考えさせ
オ-②
等を参考にしながら
理解している。
オ-②
を確認させる。
オ-①
る。
接続詞の働きから,
文の前後の関係を整
えることができてい
るか。
2
○各段落の役
ア-②
ア-②
ア-②
行動観察
割 をふ ま
キーセンテンスとな
ダイコンの特徴につ
前時の構成で確認
え,内容を
る言葉を見つけて線
いて書かれた文を見
した段落の役割を
ワークシ
読み取り要
をひくことができ
つけることができる
参考にしながら,
ート
約し,植物
る。
か。
その段落で何を言
としてのダ
ウ-②
ウ-②③
いたいのかを理解
イコンにつ
各段落を20字程度
20字程度にまとめ
させる。
いてまとめ
で要約することがで
た要約を参考にし
る。
きる。
て,植物としてのダ
わからない語句の
イコンはどのような
意味を確認させ
ものであるかをまと
る。
ウ-②
めることができる
か。
3
○2つの文章
本
を 読み 比
2つの文章を読み比
文章の書き方の違い
文末の違いや読ん
時
べ,筆者の
べて,文末や配列や
を指摘できるか。
だ時の印象の違い
ワークシ
説明文の特
接続詞などに注目し
を考えさせる。
ート
徴 をと ら
て文章を読むことが
筆者の文章の書き方
え,表現の
できる。
や表現の工夫をとら
2つの文章を読み
えたうえで,自分が
比べた時どちらが
工夫を読み
ア-③
ウ-④
ア-③
ウ-④
ア-③
ウ-④
取 るこ と
筆者の文章の書き方
説明文を書く際にど
良く理解できた
で,説明文
や表現の工夫をとら
のような書き方を
か,その理由を考
に対する自
えることができ,そ
し,工夫をするか自
えさせる。
分の考えを
れに対し自分の考え
分の考えを書き表す
持つ。
を持つことができ
ことができるか。
る。
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行動観察
12 本時の目標
筆者の文章の書き方の特徴や表現の工夫に対し,自分の考えを持つ。
13 本時の言語活動
筆者の文章の特徴や表現の工夫について,根拠をもとに自分の意見を出し合い,意見を出し合い,
班の意見をまとめ発表する。
14 本時のICT活用とアクティブラーニングを取り入れた授業展開
ICT:グループ活動後,本文を拡大投影機で映した発表。
アクティブラーニング:役割を決めた4人グループの活用。
15 本時の展開
学習事項
生徒の活動
評価・留意点
導
・筆者の他の作品を用い
・「ダイコンとカブの見分け方」の段落ごと
・緊張を解きほぐし,
入
て説明文の構成の復
にバラバラになった文章を正しく並べ替
発言しやすい状況を
習をする。
え,説明文の構成を思い出す。
作る。
序論:
(導入・問題提起)
・本時のねらいの確認
本論:問題解明
結論まとめ・筆者の考え
問題提起の文末「~だろうか。
」
・並べ替えた本文を拡大投影機で映し発表す
る。
・筆者の文章の書き方や表現の工夫を読み取
る意識を持つ。
5
・他の文章と比べること
展
開
《個人》
・文末表現や接続語,
で,筆者の文章の書き ・ワークシートに書かれた「ダイコンの特徴」
最初や最後の文等を
方や表現の工夫を次
についての文章と,本文を読み比べること
手掛かりに考えさせ
の三つの観点で挙げ
で,筆者の文章の書き方の特徴や表現の工
る。
る。
夫を読み取る。
・根拠となる言葉や表
現に印をつけさせ
三つの観点
①題名の工夫
②言葉の使い方
③説明の順序
る。
[ウ―③]
求める答え
①題名
疑問符をつけることで興味を引く工夫がある。ダイコンを漢字で
表記すると「大きな根」と器官の名前となることを利用した題名
にしている。
②言葉の使い方
専門的な言葉をなるべく使わないようにしている。敬体を用いるこ
とで読みやすく,難しさを感じさせない。問いかけや呼びかけの表
現を用いることで,親しみやすい。接続詞(「では」
「いっぽう」
「つ
まり」
「そこで」
)などを用いることで論理の展開を把握しやすくし
ている。
・各自考えた意見をグル ③本題に入る前に,身近な話題を取り入れ読者も疑問を持ちやすく,
すんなり話題に入れる工夫がある。問いかけとそれに対する答えで
ープで持ち寄り,グル
ープで意見をまとめ
構成されていて,論理の整理がしやすい。最後には他の野菜にも関
る。
心を広げさせる内容になっている。
・班でまとめた意見を, 《4人グループ》
発表する。
・今後自分が説明文を書
・自分の考えを根拠を用いて発表し合い班の
意見をまとめる。
くならどのようなこ
とに気をつけて文章
な意見交換をし合
う。
《全体への発表》
を 書 く か ワ ー ク シ ー ・自分が配置した段落について,根拠を用い
トに記入する。
(
「ちょ
・役割分担をして活発
発表する。
・求める答えやそれに
似た意見が出なかっ
っと立ち止まって」の
た場合は,意見が出
学習後説明文を書く
るようヒントを与え
予定)
・説明文を書くにあたり,筆者の文の構成や
る。
表現を自分なりにどのように取り入れる
か自分の考えをまとめる。
め ま
と
め
まとめ
・説明文を読み取るポイントをまとめる。
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[ウ-④]
16 本時の評価基準
おおむね満足できると判断でき
十分満足できると判断する視点
努力を要する生徒への指導の手
る状況(B)
(A)
立て(C)
ア-③
ア-③
ア-③
2つの文章を読み比べて,文末
2つの文章の書き方の違いを
文末の違い。読んだ時の印象の
や配列や接続詞などに注目し
指摘できる。
違いを考えさせる。
て文章を読むことができる。
ウ-④
ウ-④
ウ-④
筆者の文章の書き方や表現の
2つの文章を読み比べた時ど
筆者の文章の書き方や表現の
工夫をとらえたうえで,自分が
ちらが良く理解できたか,その
工夫をとらえることができ,そ
説明文を書く際にどのような
理由を考えさせる。
れに対し自分の考えを持つこ
書き方をし,工夫をするか自分
とができる。
の考えを書き表すことができ
る。
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