問題提起 第1日 - BSC Japan 矯正歯科研究会

第1日
問題提起
12:20~12:50
小倉 公
■ 略歴
1981 年
1981 年~ 1984 年
1984 年~ 1987 年
1987 年~
千葉 おぐら矯正歯科
東京歯科大学卒業
東京歯科大学矯正学教室
千葉市茂田矯正歯科に勤務
千葉市にておぐら矯正歯科開業
問題提起
※ここでは、あくまで先生方への一方的な情報伝達ではなく以下のテーマについて問題提起を行ない、
特別講演の講師の先生方と会場の先生方が一つのテーマについて話し合える場を提供する事が主題
ですので、闊達な発言をシンポジウムでお願い致します。
重度の歯周病を伴う症例に対して矯正治療は禁忌であり、矯正の動的治療に入る前に歯周疾
患がないことが大前提とされてきた。
重度の歯周病患者に対して矯正治療はどこまで可能なのか?
「さあ、はたして、本当に手を出すべきではないのでしょうか?」 因みに 2005 年から 2014 年までの 10 年間に当院で矯正治療を始められた方の中で、2005 年は、
出生率の減少と超高齢化が進む中、我が国の成人における歯周病罹患率は 80%とも言われ、
歯周病はもはや国民病と言っても過言ではない。歯周病は口腔内だけでなく歯原性病変として
約 4%、2014 年は約 8% の方に程度の差はあるものの歯周病の徴候が認められ年々増加傾向を
呈している。年齢は 10 代から 60 代まで幅広い年齢層に見られた。
全身の健康にも様々な悪影響を及ぼす事から、医科も問題視し始めている。特に重度歯周病患
者の治療は困難で、炎症がコントロールされてもその後著しい支持組織の破壊を伴う咬合崩壊
例えば、この様な方が初診で来院された場合先生でしたらどう対処されますか ?
を認め、最終治療としての咬合再編には矯正治療が必要となる。
歯周治療後における歯列および咬合の問題としては、動揺歯、臼歯部咬合高径の減少、歯冠
の近心傾斜、叢生歯、過蓋咬合、前歯のフレアアウト、空隙歯列などが挙げられる。軟組織の
問題としてはブラックトライアングルの発生、フェイシャルプロファイルの悪化などを認め、
異常嚥下癖や舌突出癖、口呼吸など機能的問題を有する事が多い。重度歯周病患者に対する本
格矯正治療には多くのネガティブ因子があるため、矯正医にとっては歯牙移動を行う際にかな
りの覚悟が必要となる。
歯周病医は歯周病の最終治療として補綴処置を含めた咬合改善を計画する。可能であれば矯
正治療による咬合再編を前提とした補綴治療計画を立案したいと願う。一方、歯周病と闘い天
然歯を残せた患者には、“これ以上歯を失いたくない”という思いと、美しく健康な噛み合わ
せを獲得したいという願いがある。矯正医が両者のリクエストを満足させる結果を導き出すた
めには、正確な診断と治療目標および、治療メカニクスの選択が重要である事は言うまでもな
い。私見ではあるが、矯正治療の介入により”ブラッシングをし易くし、なるべく天然歯を失
わない” 歯列および咬合の獲得が目標だと考える。
本講演は実際の臨床現場で問題視される矯正医と歯周病医とのクロスミッシング、すなわち
問題提起をさせて頂く。その後、それぞれのエキスパートから特別講演を頂き、最後に会場の
先生方から活発なご意見やご質問を賜り、皆様と一緒にこの問題に対して考えていきたい。
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