青森県獣医師会報

青森県獣医師会報
№161
2015
目 次
〔新年のごあいさつ〕
〔会員だより〕
公益社団法人 青森県獣医師会長山内 正孝…1
獣医師の見たり・聞いたり・思ったり
青森県農林水産部 畜産課長��高橋 邦夫…2
�������工藤 洋一…14
青森県健康福祉部 保健衛生課長三橋 一史…3
青森県家畜衛生保健所職員OB会開催�����21
北里大学獣医学部 獣医学部長�髙井 伸二…4
〔事務局だより〕
〔資料〕
青森県家畜保健衛生業績発表会開催のお知らせ
肉用牛繁殖経営を考える����工藤 洋一…5
�青森県農林水産部畜産課…23
〔臨床ノート〕北里大学
〔支部だより〕���������������24
202号 Colonic vascular ectasiaを
疑った犬の1例��近澤征史朗…10
〔編集後記〕����������������25
203号 膝蓋骨上方変位による内方脱臼を
呈した犬の1例��古田 健介…12
平成27年1月1日 第161号
公益社団法人
青 森 県 獣 医 師 会
〔新年のごあいさつ〕
新年のごあいさつ
公益社団法人青森県獣医師会 会 長 山 内 正 孝
明けましておめでとうございます
会員の皆様におかれましては、健やかに新年を迎えられたことと存じます
旧年中は本会の事業に格別のご高配を賜り、厚くお礼を申し上げます
北からの渡り鳥の飛来とともに各地で高病原性鳥インフルエンザウィルスが確認されるなど、野外ウィルスが養鶏場に侵入し、高病原性
鳥インフルエンザがいつ発生してもおかしくない状況が続いていましたが、とうとう、12月16日宮崎県の養鶏場において高病原性鳥インフ
ルエンザが発生しました。今回の発生が昨年4月の熊本県における発生事例と同様に、早期の防疫体制が功を奏し、他へのまん延防止が図
られるよう願っております。万が一青森県で発生した場合にも関係者一丸となって早期に終息するような防疫対策で対応する所存です。
さて、昨年の獣医師会を取り巻く情勢も厳しい状況が続いておりますが、いくつかの課題では前進できました。
① 食鳥検査センターの土地を取得し、建設は9月末に完成予定
食鳥検査センターの建設は、食鳥検査センター検討委員会及び建設委員会を新設し、そこでの検討を行い、特定事業運営委員会・理事
会に諮り進めて参りました。その結果、青森県十和田食肉衛生検査所検査棟に隣接した民有地2,373㎡を取得致しました。設計作業を年度
内に終了し、4月から着工して9月末の完成を予定しております。
② 平成26年9月(公社)青森県医師会との学術推進に係わる協定の締結
昨年9月18日青森県庁において青山副知事の立会いの下、本会と(公社)青森県医師会との学術推進に係わる協定書に署名致しました。
感染症のほとんどが『人と動物の共通感染症』であり、特に狂犬病への関心を深めていただくことが急務であります。(公社)青森県医師
会からは、高病原性鳥インフルエンザへの関心が深いとのことでした。今後の連携をさらに推進するため、シンポジウム等の開催準備を
進めているところであります。
日本獣医師会と日本医師会の連携推進では、平成26年度獣医学術学会年次大会(岡山)においてシンポジウムの開催と「人と動物の共
通感染症 ハンドブック(仮称)」の作成についてワーキンググループを設置し作業をすすめることとなりました。
③ 狂犬病予防注射事業について
主要事業である狂犬病予防注射実施頭数については、人口の減少も影響して年々減少しております。日本獣医師会に於いても委員会を
立ち上げ、抜本的な対策を協議中であります。地方会への影響も踏まえつつ国民の負託に応えるよう包括的な対応の方向を検討し3月末
に報告書の提出が予定されています。また、臨床の現場では、狂犬病を経験した獣医師が皆無という現状で、診たことのない狂犬病につ
いての発生前(個人:診断技術の向上、暴露前免疫完成、獣医師会:診断技術の向上・研修会の開催、仕組み作り、行政との関係強化、
内部の体制整備、野生動物への対応)及び発生時(行政への協力体制、正しい情報の発信、疑い動物への対応、臨時予防注射)の対応等
について協議検討しております。
これまで10年以上にわたり、狂犬病予防注射推進の強化対策として、接種率の低い市町村を対象に青森県動物愛護センターのご協力を
得て、狂犬病予防注射推進事業を実施しております。このことが急激な減少をくい止める手段となっております。同様のことを (一社)
三八支部獣医師会と八戸市が単独で実施し、登録台帳の整理・未接種犬への予防注射の実施に成果をあげております。万が一、狂犬病が
発生した場合は犬への予防注射が人への感染を防止する最も有効な手段であることから、市町村への積極的な事業推進を働きかけていた
だけるようにご協力をお願い致します。
④ 平成26年11月三村青森県知事に「青森県に勤務する獣医師の処遇改善について」要望
獣医師の地位向上の手段として処遇改善を進めることも重要であります。そのためには、公務員獣医師の処遇改善から始めることが効
果的であることから、日本獣医師会は中央において政府や国会に働きかけております。その成果の一つとして昨年7月都道府県議長会が、
国に対し公務員獣医師の処遇改善の要望をしました。本会も昨年11月11日付けで、三村青森県知事あて「青森県に勤務する獣医師の処遇
改善について」で、初任給調整手当や給料表に関しての改善を要望しており、早期実現を目指しております。
このほか、公益法人の対応として公益性を高める動物愛護や学校飼育動物支援などの推進や関係法令に基づく事務執行を滞りなく実施す
るための体制の整備等々の課題が山積しております。
これからも会員の皆様のご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げますとともにこの新しい年がよき年でありますありますよう心からご祈念
申し上げ、新年のご挨拶と致します。
― 1 ―
新年のごあいさつ
青森県農林水産部畜産課長 高 橋 邦 夫
新年あけましておめでとうございます。
公益社団法人青森県獣医師会の会員の皆様におかれましては、気持ちも新たに希望に満ちた輝かしい新年をお
迎えのことと思います。
山内会長をはじめ、貴会会員の皆様には、日頃から家畜衛生業務の推進を通じて本県の畜産振興に格段の御理
解と御協力をいただき厚くお礼申し上げます。
県では、「攻めの農林水産業」を推進するため、本県の特性を活かした産地づくりや6次産業化等を目指した
施策を展開しております。この中で、畜産については、配合飼料価格の高止まりに対応するため、飼料用米など
の地域飼料資源の利用拡大に向けた取組のほか、遺伝子解析技術を活用した種雄牛づくりなどの取組を進めてい
くこととしており、昨年の11月には、歴代の種雄牛に比べ、肉質に優れ、高い上物率が期待される「平安平」(ひ
らやすひら)を本県9番目の県基幹種雄牛に指定したところです。
さて、家畜衛生の分野に目を向けますと、一昨年の10月に7年ぶりに国内で発生した豚流行性下痢が、その後
全国に拡大し、県内においても昨年の2月に初めて発生し、4月以降続発しました。
こうした状況を踏まえ、県では、5月と6月を「豚流行性下痢緊急消毒期間」と定め、生産農場や、と畜場な
どの関連施設に消毒剤を無償で配布し、防疫対策の徹底を図るとともに、養豚農家における飼養衛生管理基準の
遵守状況の確認や指導を実施しました。
また、昨年11月以降、野鳥から韓国や昨年4月の熊本県での事例と同じH5N8亜型の高病原性鳥インフルエ
ンザウイルスが立て続けに確認され、渡り鳥を介して養鶏場へウイルスが侵入するリスクが高まっている中、12
月16日には、宮崎県の養鶏場で発生が確認されたところです。
全国有数の飼養規模となっている養鶏産業を抱える本県としては、生産農場や関係団体への速やかな情報の伝
達と共有のほか、防疫演習や講習会等を通じた防疫体制の整備を図るとともに、毎週月曜日を「家畜衛生点検日」
と位置付け、農場における定期的な防疫対策の点検等を実施することにより、本病の発生予防に継続的に取り組
んでおりますので、貴会会員の皆様におかれましては、引き続き防疫対策の徹底に御協力をよろしくお願いしま
す。
一方、県では、県政運営の基本方針である「青森県基本計画未来を変える挑戦」に基づく施策の一つとして「あ
おもり食産業を守る獣医師確保緊急対策事業」に取り組んでおり、獣医学生への修学資金給付やインターシップ
の実施のほか、平成26年度からは、北里大学と連携し、高校生を対象とした修学資金貸与制度を全国に先駆けて
実施するなど、将来、本県職員となって生産現場の家畜の健康や食品の安全を守る獣医師の安定的な確保により、
あおもり「食」産業の充実と強化を図っているところです。
本県農業の基幹部門のひとつである畜産業の更なる発展を図るためには、家畜伝染病が発生した場合、関係者
一丸となった迅速な初動防疫対応が何よりも重要です。そのためには、豊富な知識と高い技術を有する貴会会員
の皆様の果たす役割が、ますます大きくなっておりますので、これまでにも増して会員相互の結束を固められ、
引き続き、本県の家畜衛生の推進と畜産業の発展に御尽力くださることをお願い申し上げます。
結びに、会員の皆様の御健勝と御活躍を御祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。
― 2 ―
新年のごあいさつ
青森県健康福祉部保健衛生課長 三 橋 一 史
新年あけましておめでとうございます。
公益社団法人青森県獣医師会の皆様には、日頃から、本県の動物愛護管理行政、食品衛生行政、並びに食肉衛
生行政の推進に格別の御理解と御協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年9月、貴会と公益社団法人青森県医師会の間で「公益社団法人青森県医師会と公益社団法人青森県獣医師
会の学術協力推進に関する協定」が締結され、今後、医師と獣医師の連携強化が期待されているところです。
県では、感染症をはじめとする公衆衛生対策について、今後とも、貴会及び青森県医師会と連携しながら施策
を展開していくこととしていますので、一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。
動物愛護管理行政につきましては、平成26年3月に貴会の御協力をいただき「青森県動物愛護管理推進計画」
を一部改正し、今後10年間の県の動物愛護管理行政が目指すべき方向性を示しました。これに基づき、動物の適
正飼養及び動物愛護思想の普及啓発を推進しているところです。貴会から、ボランティア活動や譲渡動物のマイ
クロチップ装着に対する助成、動物愛護イベントへの参加など、同センターの事業に対して多大な御協力を賜っ
ていることに厚くお礼申し上げます。
近年、動物は、飼い主の生活に潤いと喜びを与えてくれる存在となる一方で、動物遺棄をはじめとする虐待行
為や不適正飼養による近隣トラブルなどの問題が依然として数多く生じています。このため、人と動物を結ぶ接
点にある存在として、獣医師の果たすべき役割は、ますます大きくなってきています。
県では、今後も人と動物が共生できる社会の実現に向け、動物愛護管理行政を推進していくこととしています
ので、引き続き御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
食品衛生行政につきましては、食品製造における衛生管理についてHACCPによる工程管理を普及推進するた
め、青森県食品衛生自主衛生管理認証制度(あおもりHACCP:A-HACCP)を立ち上げたところです。引き続き、
県内の食品衛生の向上に努めてまいります。
食肉衛生行政につきましては、昨年4月に「と畜場法施行規則」及び「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に
関する法律施行規則」が一部改正され、平成27年4月から、と畜業者及び食鳥処理業者が講じる衛生措置につい
て、従来のものとHACCP方式によるものが選択できるようになります。
また、県が平成15年4月に食鳥検査を貴会に委任してから早11年が経過し、この間、高病原性鳥インフルエン
ザの国内発生等、様々な事案が発生したところです。この様な中で貴会では、厳正で適切な食鳥検査を実施する
ため、食鳥検査員の検査技術の向上を図る研修会を開催する等、消費者に安全で衛生的な食鳥肉の提供に御尽力
いただいていることに改めて感謝申しあげます。
最後になりますが、公益社団法人青森県獣医師会の益々の御発展と、会員の皆様の御健勝と御活躍をお祈りし、
新年の御挨拶といたします。
― 3 ―
新年のご挨拶
北里大学獣医学部 獣医学部長 髙 井 伸 二
青森県獣医師会・会員の皆様あけましておめでとうございます。
皆様にはお健やかに、新しい年をお迎えになられたことと心からお慶び申し上げます。
平成26年を振り返りますと、我が国では7年ぶりに届出伝染病である豚流行性下痢(PED)の発生が確認され、
現在までに39県820農場において発生が確認されています。平成26年2月には青森県の養豚場で豚流行性下痢の
初発例が確認され、10月22日には22例目となる発生がありました。本県では22農場、127,041頭発症、24,698頭死
亡と甚大な被害となりました。関係各位のご尽力により、これまでに発生した農場では発症豚が認められない状
況になりましたが、少し時間を置いて発生した10月の事例は、蔓延防止には万全の体制が必要であることを示唆
するものとなりました。今回のわが国の大流行は、ワクチン予防の重要性と有効性が結果的に検証され、予防衛
生対策の重要性をPEDにおいても再確認することになりました。しかし、それに費やされた対価は尽大でした。
この原稿を書いている今も、鹿児島県出水市、東京都大田区、鳥取市、千葉県長生郡長柄町、宮城県栗原市で、
死亡野鳥或いは渡り鳥の糞便からA型インフルエンザ・高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたとの報
道があり、高病原性鳥インフルエンザの発生が危惧されております。養鶏場におけるカラスや野鳥の侵入防止対
策など、こちらに対しても万全の備えをお願いします。
さて、農林水産省・中央畜産会の助成事業として、平成27年度地域枠特別選抜入学試験が北里大学獣医学部に
おいて実施され、平成27年4月に1名の入学生を迎えます。この入試は青森県内の高等学校を卒業し、大学卒業
後、青森県獣医師職員として家畜衛生業務等の従事を希望する者を対象に「青森県獣医師職員養成修学資金制度」
により修学資金を受ける者を選抜する制度です。現在、全国で10名の枠があり、私立5大学が受け皿となる国主
導の地域の産業動物に従事する獣医師養成の制度となっております。
さて、北里大学獣医学部は、2016年に50周年を迎えます。2014年8月末には、獣医学部新棟(7階建と3階建
の2棟、約1万平米)が完成しました。我が国の経済・雇用情勢は、引き続き厳しい状況にありますが、北里大
学獣医学部は、これからも、青森県獣医師会の皆様と協力・連携しながら、頑張ってまいる所存で御座います。
2015年(平成27年)が青森県獣医会・会員の皆様にとって、素晴らしい年となりますことを心から御祈念申し上
げまして、新年のご挨拶といたします。
― 4 ―
〔資 料〕
肉用牛繁殖経営を考える
青森支部獣医師会 工 藤 洋 一
子牛の生産頭数が少なくなった。高齢者が多い、後継者が育たない。小規模頭数、零細経営が多い肉用牛繁殖
経営はどうなるのだろう。
繁殖経営はたいへんなことは分かる。しかし、牛の持つ優れた能力を生かして繁殖牛を気軽に飼うことはでき
ないものだろうか。
何のために肉牛を飼うのだろう。
金儲けのために、趣味と実益を兼ねて、肉牛ならば何とか飼えると思うから、国、県などで推進しているから、
それぞれに思うところがあるのだろうが、牛を飼うことの目的、意義、メリットは何だろう。
◎牛飼いの目的
①金儲けのために、仕事として、収入の差こそあれ金になる。
②趣味と実益を兼ねて、好きだから、そしてそれが金になるのであれば理想。
③食糧の備蓄のため、牛は生きて食料を産み、死んでは肉を残す。
④副産物の利用ができる、自然、草で飼える、自然のバランス保持。
⑤家族で出来る、老若男女、やる気があれば誰でもできる。
⑥健康保持のため、体力、気力、知力の充実が図れる、生涯現役。
⑦自分の力が試せる、生きがい、夢がもてる。
「儲けるため」「楽しみのため」「生きがいのため」に牛を飼い始めることになると思うのだが……。
目的を達成するためには、どんなことが必要なのだろうか。
◎「牛飼いの気力・体力・知力」
生きものを飼うということは「気力・体力・知力」の充実があってこそ目的を達成できる。
「牛飼いの気力とは」→夢に向かって努力する意欲であり、精神力であり、気持ちの持ち方である。「楽しみな
くして牛飼いなし」
「好きこそ物の上手なれ」好きになり楽しむ心がなくては長続きしないし牛飼いの成功はない。
「牛飼いの体力とは」→牛飼いは健康でなくてはならない。生きものを管理する、しかも毎日である。「健康な
体に長寿の神宿る」生涯現役を貫くためには、健康でなくてはならず、体の力こそ牛飼いの資本である。
「牛飼いの知力とは」知恵、知識、技術が必要である。「困ったときの技術頼み」
「技術は経験と苦労から生まれる」
と言われるように毎日の工夫、努力によって身につくものである、そして「技術は一生の財産」である。
この「気力・体力・知力」の持ち方に寄って経営に差が出てくる。
― 5 ―
「牛飼いの気力」
まずは牛を好きになることである。好きになれば知りたくなり、知れば知るほどに牛が愛おしくなり、もっと
技術を磨きたくなる、その技術を生かすことに寄って、牛はその行為に報いるようになる。その結果として牛か
ら得るものが多くなり夢が膨らんでくる。
しかし牛飼いはK産業だといって嫌われている。
どうしてなんだろう。それは牛に対しての偏見もあるのではないのだろうか。
少し見かたを換えて見ることよっても新しい展開が開けてくるような気もするのだがどうなんだろう。そして、
どうせ仕事をするのなら気持ちよく、楽しんで仕事をした方が能率が上がるし、結果もついてくると思うのだが
……。
牛飼いの嫌いな15Kも知れば好きになる
くさい→牛のトイレ、でも草食動物だから、そんなにくさくはない。
きたない→糞はきたないものと思っている、糞だって金になる。
暗い→ほんとうは明るいところが好きなんだ。
危険→体が大きいし、角が気になる、でも本当は大人しい。
恐い→牛の横にらみ、でも大きい瞳はキラリとして美しい。
公害・苦情→くさい、害虫は困るけど、きれいにすれば問題はない。
後継者不足→牛の良さを知らないだけ、やれば魅力いっぱい。
健康的でない→危険、不衛生などのは間違った考え。
金にならない→やり方しだいで、腕のみせどころ。
結婚できない→牛が悪いんじゃない、本人の魅力の欠如。
休暇がとれない→ヘルパー、家族、仲間の協力で出来る。
近所迷惑→付き合い方によって仲良くなれる。
格好がわるい→カウボーイスタイルは魅力的。
喧嘩のもと→気持ちの持ちようで、牛ははけ口にもなる。
苦労・苦しみ→技術の一里塚、心の持ちように寄って決まる。
嫌いなKを、どうしたら好きになるようにできるのか、それは考え方を変えてもらうしかないと思うのだが、
我々、獣医師や畜産関係者の粘り強い指導、相談相手になってやることが必要である。
○牛飼いに愛を求めて
シャレな言い方をするなら、嫌いなK(ケイ)に好きなI(アイ)を与えてK+Iで気力のKI気(ローマ字
のキ)とする。気力は「やる気、本気、根気」の原動力である。今、牛飼いにとってはこのことが必要なことで
あり求められている。そして「元気」を取り戻し「陽気」に仕事ができるようになれば、「人気」が出て「活気」
が出てくる。
その好きなI(アイは愛)を与えることが我々の使命であると思うのだが、それが忘れ去られているのてはな
いのか。
― 6 ―
楽しくなる15Kだってあることを忘れずに
可愛い→手をかけてやれば可愛くなる。
金になる→金のなる木である。
気持ちが分かる、強い味方→何にも言わず期待にこたえる。
きれいになる→手入れすればするほどきれいになる。
食うに困らない→困っときには金になる、食料になる。
健康的だ→自然の中で仕事ができる。
子育ての楽しみ→歳をとっても子牛を育てることができる。
経営者(社長)になれる→やり方しだいで大物にもなれる。
子供でもできる→子供にとっては魅力のある仕事。
休暇・休憩が自分のもの→自分で自由に時間がつくれる。
カウボーイになれる→憧れの仕事である。
賭け事師(ギャンブラー)になれる→牛の売買、市場では売り買いは楽しみ。
コーデネェターになれる→牛を演出できる、自然が舞台。
変わり身(7つの顔)ができる→毎日が変化の連続、生きがい全開。
期待を裏切らない→手をかけてやれば恩を返してくれる。
嫌いなKも考え方によって違和感がなくなる。楽しくなるKは魅力あることばかり、気持ちの持ちようで、考
え方によって好きになり楽しくなる。
◎牛飼いは魅力がいっぱい
○牛飼いは男性の夢を叶えてくれる。
金がなくても、学歴がなくても、資産財産がなくても夢を叶えてくれる。
アメリカではどんなに偉く有名になっても、牧場を持つこと(アメリカン・ドリーム)が男子一生の夢だとい
う。そしてカウボーイに対しての憧れがある。
「カウボーイ憲章」
自然を知り・牛を知り・人を思いやり・優れた体力、気力を持ち・強い決断力を示し・女性に優しく・人生を
楽しむ方法をしっている。こんなカウボーイなら皆んなから尊敬され憧れるはずである。
○牛飼いは女性の天職である。
自分の腹を痛めずに高齢になっても子作り子育てができる。理想的な子牛、若牛、成牛づくりは何のしがらみ
もなくできる。しかも牛作りは自らの体験、経験が生かすことができる。
○牛飼いは楽しく飽きの来ないドラマがある。
毎日の飼養管理、改良、分娩、子育ての中に変化がありドラマがある。その中で自分のいろいろの顔を見せる
ことが出来る。
― 7 ―
「7つの顔を持つ・スーパー仕事人」
ある時は、ドクター(獣医師),異常を見つけて薬を飲ませたり、助産、難産での分娩介助をする。
ある時は、コック(調理人)、毎日のように牛の食事をつくり、献立を考える。
きれいに食べてくれるのでやりがいがある。
ある時は、ギャンブラー(家畜商)、市場での売った買ったのかけ引きがある。
あのドキドキ感はやめられない。
ある時は、プロジューサー(演出家)、自然、牛を相手にドラマをつくる。
どんなドラマだって描けることができる。
ある時は、ドライバー(特殊車の運転)、トラクター、トラック、トレーラーなどの特殊自動車の運転、メカに強い。
ある時は、カウボーイ(牛飼い)、牛を追い回し、捕獲、輸送、支配する、牛のボスである。馬に乗っての仕事なら、
もっと格好がよい。
ある時は、オーナー(経営者)、言わば社長である。一国一城の主である。
○仲間ができる
仕事を通しての仲間、特に生きものを飼う同士の仲間は共通の悩みや苦しみがあるので、共通の話題は尽きる
ことがない。仕事を通して、牛の日常の中から、喜怒哀楽をぶつけ合う仲間って、そうざらにあるものではない。
男同士の集まり、身分の上下、年齢の差なんて関係ない、お互いに助け合うことが出来る仲間なんて、最高である。
○自分の自由になる
牛は強い味方、財布であり、へそくりでもある。愚痴を言っても何も反論はしない、だまって聞いてくれるだ
け、考え方によっては最高の理解者でもあるような気がする。裏切ることなく最後まで人間に尽くしてくれる。
○生涯現役で仕事ができる
人に使われることもなく、従順な牛を相手にいつまでも仕事ができる。
60歳(還暦)にして牛を飼う、そして仲良く
70歳(古希)にして自然を歩き、牛を思う
77歳(喜寿)にして牛を磨き、汗を流す
80歳(傘寿)にして牛のごとく良く噛み(8020)眠る
88歳(米寿)にして牛の心を知る伯楽となり
90歳(卒寿)にして牛を友に語り合う
99歳(白寿)にして牛に引かれて桃源郷を求め
100歳に至るまで牛と共に一歩一歩、のんびりと健やかに歩む、生涯現役。
○目的ができる、夢がもてる
理想的な牛づくり、理想的な家庭づくり、理想的な生活設計ができる。大きな夢が持てる。
― 8 ―
◎牛は愛願動物である
牛は経済動物であると言われている。だから経済的に合わなくなれば簡単に排除されしまう。しかし趣味とし
て道楽として愛玩動物のように飼われているようなところもある。そのことが生産性の低下にもなっているよう
な気がする。
牛は愛願動物であって、愛玩動物とは違う。
愛とは、西洋では幸福を求めること(キリスト教の教え)
東洋では五欲をむさぼること(仏教の教え)
願うとは、希望する、目的とする、欲しがる、望むこと
愛願動物とは愛玩動物のように、ただ可愛がるだけではなく、「幸福を願う動物」「五欲を満足させる動物」で
ある。
五欲とは、財欲(金)金儲けがしたいこと
色欲(愛情)好きになること
飲食欲(生きる)食うこと
名誉欲(権力)支配すること
睡眠欲(健康)極楽浄土、長生きすること
人生の欲望を叶えてくれる動物として牛が存在する、そのように考えたらもっと「牛が好きになり、大切に扱っ
てくれる」ようになるのではないのか。
愛願動物と愛玩動物の比較
内 容 愛願動物(例えば牛) 愛玩動物(例えば犬)
可愛さ 手をかければ可愛い 可愛い
管理・散歩 引っ張って歩ける 引っ張って歩ける 運動(優越感) 散歩(運動)
危険度 恐いが大人しい 噛み付く・吠える
導入 市場・金がかかる ペットショップ
無料の時もある
施設 牛舎・簡易な施設 室内・犬小屋
野外・放牧地 食べ物 草・穀類・粕類 ドックフード・残り物
金がかかる 金がかかる
排泄物・糞尿 多量・肥料として使用 少量・毎日片付ける
病気 共済・保険制度 共済制度不明
子の始末 子牛は全て金 野犬・捨てるに困る
生産力 肉・乳・堆肥・皮 なし
金になる 金にならぬ
夢・楽しみ 夢が持てる・あり 夢?・あり・継続性?
農家だったら『犬を飼うなら牛を飼え』と言いたいのだが……。
― 9 ―
― 10 ―
― 11 ―
KITASATO Univ.
臨床ノート
第203号
北里大学付属家畜病
動物種:犬 系統:フレンチブルドック
性別:オス 年齢:1歳 体重:9.0kg
主訴:後肢跛行を主訴に来院。
一般身体検査
右側膝蓋骨内方脱臼グレードⅠ
脛骨ドローアサイン(-)
右脛骨の内旋
血液検査所見
特筆すべき異常なし。
レントゲン所見
レントゲン検査において膝蓋骨内方脱臼は認められなかっ
たが、膝関節を伸展位における膝蓋骨のポジションが大腿骨
滑車より近位に認められ、通常よりも上位に位置していた
(Fig1)。
来院時歩様
明らかな後肢跛行は認められなかったが用手にて膝蓋骨脱
臼をさせると患肢の挙上が認められた。
Fig-1初診時レントゲン
Fig2-1:術中写真(縫工筋の解離)
治療
初診時、院内歩行にて明らかな後肢跛行が認められなかっ
たため、数日間のケージレストを指示し経過観察とした。し
かし、約1ヶ月後に右後肢の違和感が続くとの事で再来院し
た。再診時触診にて膝蓋骨内方脱臼がグレードⅡと進行して
いたため、手術適応と判断し、膝蓋骨内方脱臼グレードⅡ整
復を実施した。
アトロピン、フェンタニル前投与後プロポフォールにて導
入し、第7腰椎-仙椎間よりモルヒネ、ブピバカインの硬膜
外投与を実施した。常法に従い滅菌消毒を実施後、膝関節外
側よりアプローチを実施した。縫工筋を解離(Fig2-1)し
膝蓋骨の内方へのテンションを解除した後に筋膜、関節包を
切開し膝関節を露出した。膝関節を屈伸させながら肉眼的に
膝蓋骨のポジションを確認し膝蓋骨の脱臼位置と滑車溝の移
動範囲を確認した。大腿骨滑車近位から大腿骨遠位端にかけ
てブロックリセッションにて滑車溝の深化を行った。
(Fig2-2)
― 12 ―
十分に関節内の洗浄を行いモノフィラメント吸収糸を用い
て外側関節包を縫縮した。次に、脛骨の内旋を防止する為
に腓腹筋種子骨を用いたラテラルスーチャーの設置を行っ
た。十分に洗浄を行っ後に非吸収糸にて筋膜を縫縮し閉創
した(Fig-4)。
経過:術後 5 日間のロバートジョンズ包帯と抗生物質の静
脈内投与を実施した。術後 3 日目より患肢への負重が認め
られた。現在術後間もないため若干の右後肢跛行がのこる
ものの、改善傾向にあり経過観察を継続している。
ノート:
膝蓋骨脱臼は整形外科疾患の中でも日常的に遭遇するこ
との多い疾患のひとつである。小型犬種においては内方に
脱臼するケースが多く、無症状のものから負重困難になる
重度なものまでさまざまである。
一般的に膝蓋骨脱臼は膝関節伸展時に大腿骨滑車溝近位
で脱臼することが知られているが、その原因として浅い滑
車溝、縫工筋・内側広筋によるに内側への牽引、脛骨の内
旋など様々な要因が関係していると考えられており、その
ため膝蓋骨脱臼整復の術式も様々である。
本症例においても術前検査にて脛骨の内旋などが認めら
れた。一方で正常フレンチブルドックの膝関節と比較して
みると(Fig3)膝蓋骨のポジションが明らかに上位に位置
しているのがわかる。この原因としては、大腿四頭筋によ
る強力なテンションに加え大腿膝蓋靭帯の緩みの可能性が
考えられた。このような膝蓋骨上方変位は大腿骨骨折や膝
蓋靭帯断裂などが発生した時に認められる現象である。こ
れらの症例では膝蓋骨のポジションを正常に戻す為に大腿
骨骨切術による脚短縮を行うことで大腿四頭筋からの張力
を解放し正常な屈曲運動が可能となる。また、大腿四頭筋
のテンションが強くなく膝蓋骨が滑車より浮き上がってい
るような症例では脛骨粗面に骨切りを加え、遠位に転移さ
せることで膝蓋骨の安定化を図ることが可能である。
膝蓋骨内方脱臼を起こす症例の中に脛骨が内旋すること
により脱臼を生じる症例も少なくない。これらの症例に対
しては抗内旋処置としてラテラルスーチャーの設置が有用
であり術前術中に脛骨内旋の程度を評価した上で設置を検
討するべきである。
今回、術前診断において膝蓋骨上方変位を確認し、手術
計画において脛骨粗面を遠位へ転移することを前提として
手術を実施した。しかし、縫工筋の解離、ブロックリセッ
ション、外側関節包縫縮により浮き上がっていた膝蓋骨が
しっかりと滑車溝に収まったため、術中判断により脛骨粗
面の転移を実施しなかった。膝蓋骨脱臼整復において膝蓋
骨の位置を把握し適切な術式を選択することが、再脱臼リ
スクの軽減につながると考えている。
担当医:
北里大学附属動物病院
研修医
古田健介
― 13 ―
Fig2-2:術中写真
(ブロックリセッション)
Fig3:正常フレンチブルドック
との膝蓋骨位置の比較
(左:症例 右:正常)
Fig4:術後レントゲン
〔会員だより〕 獣医師の見たり・聞いたり・思ったり
青森支部獣医師会 工 藤 洋 一
「思うこと」
現場で見る県内の肉牛事情
最近、県内の子牛市場での上場頭数が少なくなっているということを聞くことが多くなった。全国的にも子牛
の生産頭数が少なくなっているらしい。
それぞれに原因はあると思われるのだが、口蹄疫の発生、自然災害による原発の事故の影響、TPPの問題,飼
料の高騰、それに高齢化、後継者不足など、各地域によって様々なことがあるのだろう。
上場頭数が少なくなれば当然のように子牛価格に影響を与える。
そのことがあってか、子牛市場価格も安定的に高値の状態が続いている。
最近の繁殖農家の人達は子牛市場開催が待ちどうしくて浮き浮きしている状態である。去勢牛に引きずられる
ような形で雌牛(育成牛)の価格もよくなってきている。反面、このような市場価格では肥育農家の人達は採算
ベースに乗せるためにたいへんなことだろう。枝肉価格も上昇の機運にはあるものの、飼料の高騰も相まって肥
育農家の人達の困惑ぶりが気になってくる。
それと、このように高値が続くと生産された子牛は売りたくなるのが常であり、自家保留して更新する子牛が
少なくなる。更新牛を導入するにしても欲しいと思っている血統の牛は高くて手にすることができない。
「売るも高し、されど買うも高し」では、もう少し増やそうと思っている意欲のある後継者たちも規模拡大が
出来ないというのが現状のようである。
そうしているうちに持ち牛(繋養している牛)が歳をとって生産性が衰えてくる。努力しても受胎せず、廃用、
結局は繁殖頭数は年々減少するということになる。牛も高齢化、飼う人間も高齢化では、この先どうなるのだろ
う、と言う声が聞こえてくる。
多く飼っている農家(と言っても15頭前後)であっても生活費や借入金などもあって更新牛を残せるような状
態ではない。
ましてや4~5頭飼っているような農家であってみれば、少ない子牛は高値のうちに売って金を手にしてみた
いのは当然のことである。
「牛も欲しい、されど金はもっと欲しい」子牛の高値は繁殖農家にとっては喜んでばかりいられないことのよ
うである。
それにしても子牛の生産率が低いのは?
市場の上場頭数の少なくなったのは、繁殖牛の頭数が減ったばかりではない。
農家を回っていて感ずることだがその生産性の低さである。前にも指摘したことがあったのだが、繁殖雌牛の
飼養頭数の割には市場に上場してくる子牛の頭数が少ないことである。
県外の購買者の声として「もっと子牛が市場に出てきてもいいと思うのにどうしてなんだろう」と言うことが
― 14 ―
あった。しっかりと調査したことではないので確たる実証ではないのだが、繁殖牛の飼養頭数からみて、そのよ
うなことを思ったのだろう。実証ではないのだが、農家を回ってみての感じでは受胎率の悪さである。そして受
胎していたとしても分娩間隔の長さである。また、せっかく生まれてきたのに死産などの分娩事故の多さである。
2~3頭の飼養農家でも順調に受胎し子牛を生産しているところは少ない状態である。かならず1頭ぐらいは長
期空胎のものがみられ悩んでいるところが多い。
アメリカの繁殖牧場で、こんな内容のポスターをみたことがある「1頭の不受胎は2頭を殺す、8割切れたら
人を殺す」ということである。
1頭の不受胎牛を飼っているということは、2頭分は不要頭数と同じようなものであり、受胎率8割をわった
ら経営が成り立たないと言うことである。そのくらいシビアなキャッチフレーズを掲げてやっているのである。
このような考え方のもとで繁殖経営をやるとしたら、5頭ぐらいとところで1頭の不受胎があればできないと
言う勘定になる。勿論、一年に一産のサイクルで考えるとなるともっともっと厳しいことになるのだろう。
このようなことを思うとき、繁殖牛を飼うことの甘さが見え隠れしてくる。
「そんなに真剣に考えなくたって、楽しみで飼っているんだから」と専業でないからと思っているのか。
「発情が来ないんだよなぁ、そのうちに来るか」など真剣みがないというか、牛はそのようなものだと思って
諦めているのか。
それとも「牛はそんなに高いものではない、だから少々分娩が遅れたって生活に影響がない」と山に放して自
然交配で子作りをしていた頃の考えがあるのか、とにかく子作りに対する考え方の甘さみたいなものが感じられ
るのである。
今や繁殖牛はすばらしい財産である。
手をかけてやれば一年に50万円以上の金をもたらしてくれる。経費がかかるとして、昔のように10万円前後で
取引されていたときと事情が違ってきている。若い人、高齢の人、お母さん達が50万、100万の金を手にできる
ことはざらにあることではない。それは自分のやり方しだい、努力によって誰でもが手にすることができる。工
夫しだいで、技術で、牛は金のなる木なのである。言わば牛は物をつくる工場であり土地であり、増やしてくれ
る貯金通帳でもある。繁殖牛は毎年子作りをする、金になる、年をとって使えなくなればその子を後釜にしてま
た生産をすれば良い、毎年成績を上げることによって評価が上がってくる、いわば利子がつくようなものである。
考え方に寄っては、こんなすばらしい資産・財産はない。そんなすばらしいものを粗末に扱うという、やはり牛
の持つ優れた能力を理解していないのだろうか。
しかし、子作りはそんなに簡単なものではない。
昔のように自然交配での子作りは種雄牛に任せておけば難しいものではなかった。しかし今は人工授精での子
作りである。発情がきたら種付けをすればいい、考え方によっては単純なものだが、そんなに簡単なものではな
い。生きているものだということである。全てが同じではない、牛によっては体調の良し悪しがある、発情の強
弱、発情期の長さ、子宮の状態、卵胞の出来具合,精子と卵子の相性、排卵の時間帯、栄養状態だつて、環境だっ
て違うはずである。
しかし、これらのことを精密機械器具を使って検査するわけでもない、継続的に記録し調整するわけでもない。
人間の五感によって見て触れて感じて経験で受精適期を予測し、精液を注入して子作りをしているのである。あ
― 15 ―
る意味ではすごいことだと思う。
人間の子作りを思うとき、人工授精とは交配により子供ができない、なんとしても子供が欲しい、そんな時に
言わば最後の頼みとして人工授精が行われるものと思っている。綿密に検査をし、継続的に記録し、時にはホル
モンで調整して、ようやく子作りが行われる。そんな思いのある中で牛の世界では人工授精が普通に行われてい
る。むしろ人間と逆で人工授精で受胎しないときには自然交配によって子作りをする。それだけ人工授精は一般
化している。いとも簡単にである。しかしそれは牛の持つ優れた能力の賜物であり、決して簡単なものでないと
いうことである。
発情を見つけるのが難しい
何故、生産性があがらないのか、極端に言うと何故に種付けがうまく行われないかと言うことだと思うのだが、
農家を回っていると子作りの基本である発情を見つけられないと言うことが非常に多い。牛同士ではないので微
妙なことはわかるわけがない、四六時中一緒にいるわけではない、栄養、群行動,住処を含めた生活環境の変化
で発情もかわってきている。しかし発情を見つけないことには人工授精はできないのである。中にはこのような
状況下にあったとしても発情を見つけて受胎率を上げている人達もいる。
この差は何なんだろう。やはり観察、しっかりとみてやれるかどうかだと思う。
牛と触れ合って、いかに牛の立場になってみてやれるかだと思うのだが、具体的にはどうすれば良いのか、と
いうことになると、それは中々難しいことである。
発情は「鳴く、騒ぐ、煩くなる」ものだと思っている。たしかに教科書にはそのように書かれている。しかし
発情には「目の色が変わってくる、寄り添ってくる、乗りたがる、もだえてくる」その他にも「食欲がなくなる、
体温があがってくる、体が熱っぽい」徴候としとてはまだまだ「粘液を流す、陰部の変化(艶、ふくれ、しわ、いろ)」
本能的としては「におい、雰囲気」などが徴候としてあげられるのであるが、一般的に発情と言うと「鳴く、騒
ぐ、煩くなる,粘液」ということで判断しているのが現状である。しかし、それも強い、弱い、ずれる、思い込
みなどによって発情の確認は難しくなる。そんなところに問題があるような気がする。
攻めの繁殖対応
発情を見つけることは難しい。そして発情に対する向き合い方にもいろいろなタイプがある。
「発情がくるまで待とうタイプ」「発情を来るようにようにするタイプ」「発情が来なかったら諦めるタイプ」
戦国の武将としての生き方になぞらえると家康タイプ、秀吉タイプ、信長タイプがあると思うのだが、現状では
家康タイプのくるまで待とうが多く、そして諦めて廃用にするという信長タイプに移行していることが多い。
このような状態では生産率が上がらないのが当たり前である。
ならどうしたら良いのかである。一年に一産が理想であるなら、次のような対応が必要である。
一年一産を実行するための対応「7×7の繁殖管理」
週 7日 日数 1 × 7 = 7日(初乳明け) ビタミンADE剤の投与
2 × 7 = 14日(床を上げ) 軽い運動
3 × 7 = 21日(汚露を見ず) 子宮の回復度をチェック
4 × 7 = 28日(発情を見る) 卵巣の機能チェック
― 16 ―
5 × 7 = 35日(産後よく) よく観察
6 × 7 = 42日(種付け順備) ビタミンADE剤の投与
7 × 7 = 49日(種付け開始) 検診(発情のないもの)
49日 ~ 89日(種付けタイミング)無発情(シダー等の応用)
「発情は来るまで待とう」ではなく「来させてみせる」ということで対応することである。分娩が終わった時
点からの対応である。
栄養剤を投与する、軽い運動、牛舎を明るくして、よく観察をし、少しの変化も見逃さずに記帳する、そして
早め早めの対応をすることである。
直腸検査の刺激だけでも効果があると言われている。卵巣のマッサージ、最近では豚の発情回帰に子宮頚管の
マッサージが効果があると言われている。
鈍性発情で徴候の分からないものが多く見られているが、PGやシダーなどを使うことが先進地では実施され
ている。
とにかく生産性を上げるためには、まず発情を見つけて受胎率を高めることからはじめなくてはならない。そ
のためには、まずは意識の改革である「発情は強弱とわず見落とすな」
「発情は鳴く、騒ぐ、煩くなるだけにあらず」
「発情は来させてみせる」ということを肝に命ずることである。
「聞いたこと・講演会」
平成26年度 馬飼養衛生管理講習会
主催 一般社団法人 青森県畜産協会
平成26年11月18日 十和田市「サンロイヤル十和田」にて開催
演題 母子の絆を尊重したサラブレットの分娩管理
~獣医を呼ぶまえに出来る難産防止~
講師 ノーザンファーム 獣医師 津 田 朋 紀 氏
「主な内容」
正常分娩では、牽引介助は不要、過剰な分娩介助は母子に悪影響
子馬を引っ張りださなくなった結果
子馬を助けるためのお産の見守り方
カンガルーケアとは?
APGARの測定導入と効果
牛の分娩事故が多いので、なにか参考になることがあるのではないかと受講したのであるが有意義であった。
「お産のポイント」
破水を見逃さずに羊水、胎位の確認が重要
正常なお産の時は人が邪魔をしない
見守るときの10分間ルール(10分間お産が進まなければ胎位の確認をする)
難産整復の20分ルール(20分で整復できなければ獣医師に依頼)
APGARスコアと酸素、タオルの順備
― 17 ―
APGARスコアとは゛?新生子の仮死の程度を知るスコア
心拍数・呼吸数・筋肉の緊張、鼻,臀部の刺激・可視粘膜の度合いを分娩直後10点満点で判定(8~ 10点・
人は速やかに馬房より退室・1~7点・呼吸、循環改善のため牛に応急処置をしなければならない)
携帯用の酸素は常に準備しておく、タオルはマッサージ用として準備
馬と牛とは分娩管理に若干の差があるように思ったが基本的なことは非常に参考になることが多かった。
平成26年度 海外家畜伝染病等危機管理対策強化講習会
主催 (公社)中央畜産会
日時 平成26年11月21日 仙台市 ホテル白萩 萩の間
演題 わが国における家畜防疫対策の取り組みについて
(海外伝染病の発生状況とPED等の防疫対策等)
講師 農林水産省、消費・安全局動物衛生課家畜防疫対策室 室長 伏 見 啓 治 先生
◎わが国における家畜防疫対策の取り組みについて
1.海外における家畜伝染病の発生状況
口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザともに近隣諸国に発生。
中国・韓国等ではO型口蹄疫、中国・ロシア等でA型口蹄疫が断続的に発生。
本年1月以降、韓国で高病原性インフルエンザ(H5N8亜型)の発生が継続中。
アフリカ南部、欧州、ロシア等でアフリカ豚コレラが発生中。
2.空海港における水際防疫対策
発生国の渡航者に対する畜産物の持ち込み禁止の周知徹底。
海外における家畜関連施設への立入り制限、帰国後の家畜との接触制限等の注意喚起。
発生国からの旅客等に対する靴底消毒。
検疫探知犬による旅客手荷物チェック。探知犬(14頭)による手荷物検査の強化、25年度はソーセージや鶏肉
の持込が3万件を超えている。
3.国内の家畜防疫対策
「ポイント」
○悪性伝染病の侵入を防ぐためには、水際措置の強化と生産段階における日頃の衛生管理の徹底が非常に重要。
○日頃から家畜を観察し,異常がある場合には、迷わず早期通報。
○防疫措置を迅速に講ずること(まん延防止措置)が大切だが、そのためには日頃の備えが大切。
○継続的な防疫演習が必要。
4.PEDの防疫対策
PEDのウイルスは北米型、INDELs型の2種類の株で、動物、人を介して侵入した可能性が高い。
PED防疫マニュアルに基づいて実施する(11月中に配布)。
― 18 ―
演題 マイコプラズマ性疾病と対策について
(牛マイコプラズマ感染症)
講師 酪農学園大学 獣医学類獣医衛生学 教授 樋 口 豪 紀 先生
内容
◎牛肺疫について
○1941年、輸入した朝鮮牛より発見されて以降、国内での発生はないが、アフリカ、中東、アジア(マレーシ
ア)等に発生しており注意したい伝染性疾患である。
○特に幼齢牛の死亡率が高い(1才未満60%、2~3才50%、3才以上0%)。
○伝播力が強く、一度蔓延すると長期にわたり生産性を低下させる。
○耐化牛は保菌牛として感染源になる。現行のワクチンは発症の抑制には効果があるものの、感染を完全に防
御することはできない。
○消毒が大切,次亜塩素酸ナトリュムなどが有効である。
◎マイコプラズマ病
乳房炎、肺炎、関節炎、中耳炎の発生が見られ、難治性の事例が多く、経済的損失が大で恐れられている。
酪農場におけるマイコプラズマ種の侵潤状況、バルククーラースクリーニング陽性率1.29%。
マイコプラズマ感染症の病態と感染経路~乳房炎~、~呼吸器感染~。
マイコプラズマ種の検出技術。
マイコプラズマ乳房炎の被害をいかにして防ぐか~早期発見~早期対応が必要。
演題 家畜伝染病の病性と臨床診断について
(口蹄疫、PED等の早期診断、防除対策)
講師 宮崎大学 産業動物リサーチセンター防疫戦略部門 教授 末 吉 益 雄 先生
内容 スライドでの臨床症状、獣医師の対応、生産者の苦しみの声など、発見から経過を追ってのスライド(音
声付き)、まるで強烈なドラマをみているような講習会であった。
◎病原菌の持込の危険性
発生国の渡航で気をつけることは、観光、留学、学会、視察、農場に行く、畜産関係施設、食品売り場等、あ
らゆるところから持ち込む危険をはらんでいる。
違法肉類の持込みも中国、台湾、韓国などから10トンも探知犬に寄って摘発される状態である。このようなこ
とは氷山の一角であり、常に病原菌の持込が危惧される状況である。
産業動物講習会と言う事で年輩の人達の参加が多かったが、もっと若い人達の参加,例えば勤務獣医師達が参
加できるような配慮が欲しかった。それに内容の割には時間が短く、もっと時間を取ってほしかった、それだ
け有意義な講習会であった。主催者に要望書を提出しておきました。
― 19 ―
平成26年度 大動物講習会
主催 (公社)青森県獣医師会 青森支部獣医師会
共催 東青地区家畜衛生推進協議会
演題 「母牛の管理から始まる子牛の衛生管理」
~山形県の大規模肉牛農場の現状も紹介します~
講師 公益法人 山形県畜産協会 衛生指導課長 種 市 淳 先生
内容
◎生まれる前の衛生管理
○清潔な飼養管理 消毒液を過信してはいけない 効果的な消毒法
○母牛に必要なワクチン接種 アカバネワクチン、下痢五種混合ワクチン、かぜの混合ワクチン
○母牛の栄養管理
○精液の選択
◎生まれた後の衛生管理
○子牛の下痢
○呼吸器病の対応
○飼養衛生管理
◎山形県の大規模肉牛農場の現状
「感 想」
生まれる前,後の衛生管理、あらためてなおざりにしていることに気づかされました。多くの人達の参加があ
り大盛況でした。
講習会で学んだことをどうして実行できないのだろう。
なんとなく知っている。それがベターなものではなくて、どうにかできる。
だから何度でも良いことを聞いても実行できないでいる。
一つでも自分のやっていることから踏み込んでやってみる。
その結果がどうであれ、何かを得ることができるはずである。
一歩踏み込んでみる難しさ、それを克服するためには何が必要なのだろう。
やる気をおこさせるための講習会だろうか。
もっと喜怒哀楽を喚起させるような生活心情だろうか。
いつも講習会の後に悩むことである。
― 20 ―
平成26年度 青森県家畜衛生保健所職員OB会開催
平成26年11月29日(土)青森市アラスカ会館でOB会を開催しました。
OB会は平成元年からスタート、今回で26回目になりますが年々参加する人達が少なくなりましたが、賛助会
員、事務局員を含めて20名の出席がありました。多忙中、高橋畜産課長さんが出席され県内の畜産事情を話題と
して提供いただきました。
◎豚流行性下痢(PED)の発生状況と対策について
◎全国初の高校生を対象とした獣医師職員養成修学資金について
◎新たなる県基幹種雄牛(平安平)指定について
状況も変わり厳しい中で頑張っている職員の人たち、OBとしてもしっかりと見守り、少しでも支えになれれ
ばと思いました。
久しぶりに顔を合わせたOB達、一分間のスピーチにも時間不足の話しぶりに盛り上がり和気藹々のうちに終
わりました。
年月を経れば体の調子が悪かったり、仕事の関係で参加できなかった人たちが多かったようですが、一年に一
度、旧交を温めながらの楽しい数時間でした。
毎年のように遠い盛岡市から参加してくれる泉山さん、うれしく思いました。
ほんとうに元気で思い出話に尽きないものがありました。
趣味の話や健康のこと、ちょっぴりTPPの問題だとか、昔の思い出話など先輩や後輩達の頑張っている情報
など歳をとるとこのような集まりが懐かしくて頑張れる力になり必要だと思いました。
参加人数が少なくても続けるべきだという声も多く、また来年の集まりを約束して散会いたしました。
皆さんが集まりやすく出来るように、何かよいアイデァがありましたら、ご一報願います。
「集まり飲む機会が少なくなってきた」
「飲まなくたって楽しむことがあるからじゃないのか」
「そう言えば飲み屋にもいかなくなったもんなぁ」
「景気が悪いからかなぁ」
「むしろ昔は景気が悪くても飲みにいったもんた」
「結局は人との付き合いが少なくなってきたんじゃないの」
「TV、パソコン、携帯、スマホなど一人で
時間をつぶすことができるもの」
「でもさぁ、年を取ってくると、一人じゃ寂
しくなるよ」
「女子会だとか、趣味の仲間、カルチャー仲
間など、墓友などのこじんまりした集まりは
盛んなようだけど」
「先輩、後輩のOB会なんて魅力がないのか
なぁ」
― 21 ―
〔事務局だより〕 ◎会員の動向
数料について
1.会員数
平成26年
当 初
結果:大きな指摘事項は無し。
4月1日~ 12月1日
入 会
446
退 会
10
⑷ 支部事務担当者会議
平成26年
12月1日
現 在
16
期日:平成26年11月12日㈬
場所:県獣医師会館
440
内容:支部経理事務について
2.食鳥検査関係
2.入会者
入 会
年月日
氏 名
⑴ 特定事業運営委員会
支部名
期日:平成26年12月5日㈮
勤務先
場所:県獣医師会館
家畜改良センター
平成26年
浅野 雅司 上十三
奥羽牧場
10月20日
内容:① 平成26年度事業進捗状況について
② 食鳥検査事業の推進について
平成26年
木村 祐哉 上十三 北里大学獣医学部
11月17日
③ 食鳥検査センター建設について
以上の案件について、審議し承認。
3.訃 報
⑵ 食鳥検査センター建設委員会
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
期日:平成26年12月8日㈪
・玉 熊 直 哉 享年76歳
場所:県獣医師会館
平成26年11月8日逝去されました。
内容:① 前回の委員会開催(26・7・10)
後の経過について
葬儀は、平成26年11月13日
② 新食鳥検査センターの概要につ
玉 熊 博 英 氏により
いて
執り行われました。
以上の案件について、審議し承認。
◎事務日誌
⑶ 東北厚生局立入検査
1.事務関係
期日:平成26年11月19日㈬~20日㈭
⑴ 監 査
場所:食鳥検査センター及び県獣医師会館
① 中間監査
内容:業務運営に関する事項及び食鳥検査
事業に関する事項他
期日:平成26年11月17日㈪
場所:県獣医師会館
結果:指摘事項なし。
内容:平成26年度中間監査
3.東北獣医師会連合会関係
結果:適正に執行されている。
⑴ 東北・北海道事務局会議
② 食鳥検査センター備品確認等
期日:平成26年11月6日㈭~7日㈮
期日:平成26年12月1日㈪
場所:会津若松市 「新滝」
場所:食鳥検査センター
内容:平成26年度各獣医師会事業計画等他
実施者:監事 髙村定男・佐藤昌智
◎事業関係
⑵ 学校飼育動物支援対策検討委員会
1.部会等の開催状況
期日:平成26年10月27日㈪
場所:八戸市立白鷗小学校他
⑴ 会報部会
内容:「ふれあい指導」実施状況研修他
平成26年11月5日㈬ No.160号の校正
⑶ 青森市出納検査
⑵ 女性獣医師部会
期日:平成26年11月21日㈮
期日:平成26年11月1日㈯
場所:県獣医師会館 青森支部
場所:県獣医師会館
内容:狂犬病予防注射済票交付及び登録手
内容:女性獣医師部会活動について他
― 22 ―
平成26年度青森県家畜保健衛生業績発表会開催のお知らせ
青森県農林水産部畜産課
今年度の県内家畜保健衛生所職員による業績発表会は、来る平成27年1月16日に下記のとおり開催されます。
事前の参加申し込みは必要ありませんので、青森県獣医師会会員の皆様には多数御参加くださるよう御案内いた
します。
開催日時 平成27年1月16日(金曜日) 9:50 ~ 17:10(発表:10:00 ~ 16:00)
開催場所 県民福祉プラザ 県民ホール 青森市中央三丁目20-30 電話 017-777-8118
発表演題一覧
部門
1部
2部
参考
№
演 題 名
所属家保
発 表 者
1
管内一地域におけるタマネギ袋を用いたアブ防除ジャケットに
青
よる牛白血病対策
森
青 木 杏津沙
2
公共放牧場利用農家における牛白血病の現状と課題
八
戸
松 崎 綾 美
3
青森県における豚流行性下痢の発生状況と病性鑑定成績
青
森
林 敏 展
4
管内で発生した豚流行性下痢への対応と発生要因の考察
八
戸
八重樫 恵 嗣
5
養豚農家の衛生意識向上と豚流行性下痢の発生がもたらした関
十
連施設の防疫意識向上
和
田
渡 辺 測 子
6
豚流行性下痢の発生農場実態調査に基づく防疫対策の一考察
十
和
田
角 田 公 子
7
県内初の豚流行性下痢の発生と防疫対応
つ
が
る
佐 野 明 子
8
高病原性鳥インフルエンザの実践的防疫演習による地域の防疫
青
対応能力向上への取組
森
田 中 慎 一
9
高病原性鳥インフルエンザの県境発生に備えた青森・岩手合同
八
防疫演習とその検証
戸
川 畑 清 香
10
寒立馬における地域一丸となった衛生対策
む
つ
佐怒賀 香 澄
11
春季に酪農場で発生した牛コロナウイルス病
十
和
田
富 山 美奈子
12
県内初のC群ロタウイルスによる搾乳牛の集団下痢症
つ
が
る
對 馬 澄 人
13
牛ヨーネ病発生農家の環境中ヨーネ菌汚染状況調査
十
和
田
福 住 翔
14
牛の糞便から分離されたSalmonella 04群:i:-の疫学解析
む
つ
長谷部 加 奈
15
乳用育成牛の大脳にみられた顆粒小体と硝子様封入体を伴う星
青
細胞腫
森
水 島 亮
16
牛白血病感染リスク評価に向けたリンパ球数簡易測定法の検討
青
森
齋 藤 豪
17
誘引性改良アブトラップの作製と試験成績
青
森
菅 原 健
18
鶏から分離された大腸菌の性状と病原遺伝子の保有状況
青
森
太 田 智恵子
19
ブロイラーの飼養条件が鶏舎環境に及ぼす影響
八
戸
二 俣 雅 之
20
カマイルカ(Lagenorhynchus obliquidens )にみられた播種性非
青
結核性抗酸菌症
森
相 馬 亜 耶
21
平成26年度現場後代検定成績
畜産研究所
鎌 田 丈 弘
― 23 ―
〔支部だより〕 (青森支部)
(上十三支部)
期日:平成26年11月16日㈰
期日:平成26年11月29日㈯
場所:ラ・プラス青い森
場所:十和田食肉衛生検査所 会議室
内容:「緊急医療について」
内容:「と畜場、食鳥処理場における
北里大学獣医学部 小動物第2外科学
十和田食肉衛生検査所三沢支所
○小動物講習会
○食肉衛生技術研修会
教授 岡 野 昇 三 氏
参加者数:16名
HACCP導入研修会報告」
総括主幹 坂 上 友 康
十和田食肉衛生検査所
○大動物講習会
期日:平成26年11月26日㈬
田舎館食肉衛生検査所
場所:ラ・プラス青い森
内容:「母牛の管理から始まる子牛の衛生管理」
「農場HACCPについて」
~山形県の大規模肉牛農場の
(一社)青森県畜産協会
現状も紹介します~
主 査 國 分 英 輝
価格安定・衛生課長 鹿 内 晴 美
参加者数:65名
(公社) 山形畜産協会
主 査 渡 辺 宏
衛生指導課長 種 市 淳 氏
参加者数:78名
○畜産経営セミナー
期日:平成26年11月28日㈮
(三八支部)
場所:サン・ロイヤル十和田
○小動物講習会
内容:「全国の種雄牛情勢と
期日:平成26年10月26日㈰
場所:八戸パークホテル
㈲ 北国肉牛商事
内容:「まるまる一日臨床病理学!
血液から細胞診まで」
参加者数:185名
小笠原犬猫病院 小笠原 聖 悟 氏
青森県の和牛改良について」
代表 小 野 健 一 氏
(下北支部)
参加人員:16名
○ペット講習会
○大動物講習会
期日:平成26年11月8日㈯
期日:平成26年12月2日㈫
場所:プラザホテルむつ
場所:きざん八戸
内容:「お口は健康ですか?
内容:「乳牛の繁殖成績向上
㈱ ビルバックジャパン
~繁殖生理の変化から見た展望」
~本当は怖いワンちゃんの歯周病~」
北里大学獣医学部 獣医臨床繁殖学
参加者数:36名
教授 坂 口 実 氏
冨 田 聡 氏
参加人員:13名
○下北地域狂犬病予防注射関係機関会議
○「ふれあい指導」終了座談会
期日:平成26年11月27日㈭
期日:平成26年11月21日㈮
場所:むつ家畜保健衛生所 研修館
場所:きざん八戸
内容:平成27年度狂犬病予防注射の
内容:平成26年度ふれあい指導実施状況について
参加者数:8名
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日程等について 他
〔編 集 後 記〕
短命県で思うこと
名誉なことではないのだが、短命県返上の報道や声が聞こえてくる。
どうして青森県は短命なのだろう。新聞のお悔やみの欄を真っ先に見たくなるのも、分かるというものである。
高齢者の中に、40代、50代の人達が見られるのだが、若い人たちの死亡原因となっているのは何なんだろう。食
べ物なのか、環境なのか、気候、医療の充実が今一なのか、分からないのだが、同じようなりんごの生産県であ
る長野県が長命県であることを思うとき、何か打開策があるような気がしてくる。「りんごが赤くなれば医者が
青くなる」と言われているのに、売るほうに熱心のあまり食べる量が少ないのだろうか。青森県は海の幸、山の
幸にも恵まれているため「美食は健康を害するのだろうか」それとも美食は売りすぎて「粗食に甘んじているか
らだろうか」。
小型犬の哀れ
小型犬の大量遺棄が問題となっている。改正動物愛護法が施行された以降、人気種の小型犬が繁殖に使われな
くなると捨てられることになっているようである。繁殖が不適になり、管理費に金がかかる、安楽死もだめ、そ
れじゃということになるようである。物扱いになっているのか、無責任が横行しているのか、人間のご都合主義
に振り回されてしまって、飼う資格がないように思うのだが、愛くるしい小型犬を思うとき、人間の恐ろしい面
を見るようである。
期待の県基幹種雄牛「平安平」
県の9頭目の基幹種雄牛として指定が決まった。宮崎県の伝説の名牛「安平」の精液で誕生、精液は8月から
県内の農家に販売されている。「安平」は兵庫系、第一花国の雌牛との交配に適していると言われ、県内外から
期待されている。
現存する基幹種雄牛は「第二花国」「光茂」の3頭となり、第一花国以来のブームがやってくるのではないか
と思われている。
「平安平」が起爆剤となり、若い後継者が増えてくれれば青森県の産業に貢献することになるのだが、夢よ、
もう一度、である。
2013年、野生鳥獣の食害
ニホンザル、約2280万円、カラス、約2250万円、ツキノワグマの食害、約1020万円と報じられていた。それに
積雪の多い年は野ねずみの被害が激増するとも言われている。特に畜産関係の飼料の食害を思うとき野ねずみも
侮れないものとなってくる。飼料の高騰を考えると畜舎内で飼われているネコの存在は大きい。また、この数字
は食害としての損害額であり、おそらく精神的な害、損害を守るための時間、経費など勘案したらこんなもので
は済まされないことだろう。その他、猪、鹿などの環境破壊、野鳥などの病気の伝播防除に係わる害を思うとき
計り知れないものがあるのだろう。野生鳥獣の保護対策など真剣に考えてみる必要がありそうである。
(苦 道)
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原 稿 募 集
平成27年4月1日発行予定の会報第162号の原稿を募集いたします。
会員各位の投稿のほか、各支部獣医師会だよりの原稿もお願いいたします。
原稿は、投稿規程を参照して作成し、次の方法で青森県獣医師会にお送りください。
締切り日は2月28日です。期日までにお願いいたします。
〔原稿の提出方法〕
原稿は原則としてワードプロセッサーで作成し、ファイルは電子メールに添付して本会事
務局に送信してください。なお、原稿ファイルがMS-word以外で作成された場合は、使用し
たソフトをお知らせください。
手書きの原稿や、大容量(10MB以上)の原稿ファイルはCD-R等に記録し、本会事務局に
郵送してください。
本 会 事 務 局 住 所:〒030-0813 青森市松原二丁目8の2
電子メールアドレス:[email protected]
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41
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メディパルグループ
動物の健康はヒトの健康につながる
●動物用医薬品販売の全国ネットワークを駆使し、あらゆる動物の
健康を守ります。
●安全な畜水産物の生産をサポートし、食の安全・安心と自給率の向
上に貢献できる会社を目指します。
本社 〒061-1274
北海道北広島市大曲工業団地6丁目2番地13
TEL 011(376)3860 FAX 011(376)2600
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リサーチセンター
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まごころでサービス
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Nipponkoa
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tel 017-739-6583 fax 017-739-3321
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平成27年1月1日
発行所 青森市松原二丁目8の2
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