2015 年 8 月 12 日~8 月 17 日 第 10 回たすきプロジェクト 活動報告書 報告者 アジア教育支援グループたすき 池上温人、犬飼さき、松田かなえ (2015 年9月30日作成) 1 目次 Ⅰ 活動報告 1 買い出し 2 CCASVA 訪問 3 CHA 訪問 4 村の小学校訪問 Ⅱ 会計報告 Ⅲ 今後の活動に向けて 2 1 買い出し 活動日:8月12日、13日 オルセイマーケットのお店で、カンボジアメンバーが事前に調査した Daun Sdeurng 小 学校と Wat Thlork 小学校の生徒数をもとに必要な文房具を購入しました。なお、その際、 今回たすきの新たな支援先の候補として挙げられた Tuoljreyraksmeysamake 小学校の分 も購入しました。これは、事前のミーティングで実際に小学校を見学してから支援するか どうかを決定することになり、支援することになればできるだけ早く届けることができる ように考慮した上で行いました。加えて、CCASVA へ支援する文房具も調達しました。ま た、PDH BOOKSHOP にて、Daun Sdeurng 小学校へ支援する教科書を購入しました。 <小学校への文房具> 品目 <教科書> 数量 品名 数量 鉛筆 700 クメール語5年生 14 赤ボールペン 700 算数5年生 14 青ボールペン 1,000 クメール語6年生 15 算数6年生 15 ノート(120P) 600 ノート(160P) 500 ノート(200P) 1,100 <CCASVA への文房具> 大ノート 25 品目 コピー用紙 5 青ボールペン 150 定規 10 ノート(120P) 280 3 数量 4 2 CCASVA 訪問 訪問日:2015 年 8 月 12、13 日 文責:池上温人 CCASVA とは、スラムなどに住む子供で、親からの暴力、性的虐待、搾取などを受ける 子供たちを預かる施設です。1996 年に設立し、現在は約 40 人の子供たちが生活していま す。 私たちは、この施設を訪問し子どもたちと遊び、交流し、また文房具の支援もしました。 支援内容は 青ペン×150 本 120 ページノート×280 冊です。この物品は施設内の子ども たちとスラムの子どもたちに分配されます。文房具を手渡した際に、子どもたちが恥ずか しそうにお礼を言う姿が印象に残りました。 CCASVA 職員とたすきメンバー 以下に、この施設の職員の方の話からわかったことを記します。 1 子どもたちが施設に引き取られる手順 まず子供たちに何らかの問題が生じた場合、基本はその場での解決を目指します。こ こで解決されない場合、その村の村長は施設へ報告をします。この報告を受けた CCASVA 職員が現地に行き、状況を確認し、子供を引き取るという流れになっています。 2 子どもたちが家族のもとに帰ることはあるのか 子どもたちの中には、学校が休みの期間などに家族のもとに帰る子もいるそうです。 施設では、こういった期間でも子どもたちの様子を気にかけ、e-mail で連絡したり、実 際に現地に出向いたりしています。 5 3 施設での子どもたちの様子 やはり子どもたちは元気いっぱいで、次から次へといろんな遊びを教えてくれました。 訪問者に慣れているのか、私たちが行ったらすぐに近くに寄ってくる子もいました。 この CCASVA には、パソコンの使い方を学ぶ授業や、英語の授業があります。子ども たちのなかには英語を積極的に使う子や、タイピングを上手にこなす子がいました。 4 施設の活動について この施設は財政的な不安を抱えていて、その活動は支援金の量にどうしても左右され てしまいます。 スラム訪問 CCASVA は施設内で子供を保護するだけでなく、定期的にスラムを訪問し、スラムの子ど もたちに異常がないか確認しています。今回私たちは、職員の方々にお願いし、スラムへ 連れて行ってもらいました。 訪れたスラムは三つですが、どれもやはり衛生的にはよくない状況です。中には、明らか に傷口が炎症を起こしているのが見て取れる人もいました。その状況下でも、裸で地面を 這う赤子や、遊びまわる子どもたちがいます。 こちらでも、文房具を子どもたちに手渡しました。名簿順に子どもたちを一人ずつ呼び、 学年に合わせた数のノートとペンを渡しました。 6 3 CHA訪問 文責:犬飼さき 活動日:8月13日 CHA(カンボジア・ハンディクラフト 協会)では地雷による被害やポリオなどで 障害をもった女性が裁縫技術などを身に 付けながら社会的自立を目指し、共同生活 を送っています。ここでは彼女たちが手作 りした商品が販売され、その利益がCHA の運営費となっています。今回もイベント で販売する商品の買い付けを兼ね、CHAを訪問させていただきました。 代表のキムタさんにお話をうかがいました。 ・一日の生活リズムが決まっており、二 部制で、裁縫の他、クメール語や英語、 日本語の勉強も行っている ・知的障害をもつ女性の受け入れもして おり、現在は 25 名で共同生活を送っ ている ・共同生活を送り始めてから半年以上経 てば、自己申告で帰郷することが可能 そして、作業も見学させていただきました。ニュ ージーランドからの大量注文で大忙しだそうです。 ・商品のデザインは主に代表のキムタさ 一緒にお話しすることもでき、製作は大変と答えな んが行っているが、ボランティアの がらも、にこにこと作業を続ける彼女たちの笑顔が 方々に協力してもらうこともある。彼 とても印象的でした。最後には日本語で「糸」と 女たちが作った商品がアメリカの展 「さんぽ」の歌を披露してくださり、私たちも一緒 覧会に出展された に楽しく歌いました。 CHAは今年で 15 年目を迎えます。商品の利益が直接CHAの運営費になることで、 7 売り上げが運営を左右するため、一人でも多くの人にCHAを知ってもらい、商品を手に 取ってもらうことが重要だと実感しました。たすきでは今年もイベントでCHAの商品を 販売していきます。今後もこのような活動を継続していくことが大切だと思いました。 8 4 村の学校訪問 文責:松田かなえ 小学校への文房具支援 Wat thlork 小学校 (1人あたり) 人数 鉛筆 赤ペン 青ペン 1年生 50 1 1 1 2年生 29 1 1 1 3年生 23 1 1 1 4年生 27 1 1 2 5年生 35 1 1 2 6年生 23 1 1 2 合計 187 187 187 272 Daun sdeurng 小学校 (1人あたり) 鉛筆 赤ペン 青ペン 1年生 55 1 1 1 2年生 38 1 1 1 3年生 43 1 1 1 4年生 42 1 1 1 5年生 25 1 1 2 6年生 23 1 1 2 合計 226 226 226 274 9 ノート 教科書(クメール語・数学) 120p×2 0 〃 0 160p×3 0 200p×4 0 〃 14 〃 15 120p×158 835 160p×69 200p×340 ノート 教科書(クメール語・数学) 120p×2 0 〃 0 160p×3 0 160p×4 0 200p×4 14 〃 15 120p×186 695 160p×297 200p×192 子ども達に学年順・男女別に整列してもらい、一人一人に文房具を手渡した。 渡す際に子どもの数を数え、集計した。子どもたちは皆手を合わせて「ありが とう」と言ってくれた。 1年生と、授業は受けているが年齢的には未就学児の子どもを区別すること に手間取った。Daun sdeurng 小学校では数が不足する恐れがあるため、未就学 児の子どもにはたとえ授業を受けていたとしても文房具は配らなかった。Wat thlork 小学校では報告の人数に最初から入っていたため文房具は配った。 校長先生へのインタビュー 各小学校の校長先生にお話を伺ったことをもとに、学校の現状をまとめた。 ○Daun sdeurng 小学校 ・支援した文房具は、次回支援する2月ごろまでなくならない。 文房具をもらうと学生の勉強意欲は上がる。 ・今年の小学校中退者は5人で、女性のみ。 うち3人(6年生)は学校を辞めプノンペンの工場へ働きに行き、2人(2 年生)はプノンペンへ両親と引っ越した。 ・中学校への進学率は 84.21%。(前年より増) カンボジア日本友好学園への進学者は 14 人。 近くのの中学校ではなくカンボジア日本友好学園に進学するために、卒業し てからもう一度 6 年生をやる学生もいる。 ・カンボジア全体で進学率は上がっている。 ・フランスの団体 ASSAR が新校舎を建て、服・机・鞄を支援した。 校舎完成後に小学校を訪れたことはない。 古い校舎は使わないがそのまま放置する。現在は職員室などを新校舎に移動 中。 ・校舎新築により大量の瓦礫がグラウンドに落ちているが、先生と学生で片づ 10 ける。 ・他に欲しいものとしては、絵を描くための色えんぴつ、色画用紙、模造紙。 ・学校の休みの月が変わり、9、10月と正月(2 週間ほど)と4月が休みにな った。 ・以前たすきが寄贈した本は古い校舎の職員室に置いてあり、古い校舎に入る のは危ないので学生は現在読めない状況。新しい校舎に本棚ごと移動すれば、 また読めるようになる。 本の数:98冊/200冊寄贈(Wat thlork 小学校と共有) ○Wat thlork 小学校 ・支援した文房具は、次回支援する2月ごろまでなくならない。 文房具をもらうと生徒の勉強意欲は上がる。 ・今年の小学校中退者は5人(去年は3人だったため2人増)。 プノンペンへ働きに行っている。 ・生活は農業不振のため悪くなっており、学校に行けない子どもが30%程い る。 ・中学校への進学率は80%。 カンボジア日本友好学園への進学は2人(5人受験)。 ・校舎は1979年に建設され、現在は雨漏りをしていて、雨の日に授業は行 えない。 ・以前たすきが寄贈した本の貸し出しは増えている。 先生が教室で読み聞かせを行っている。 本の数:71冊/200冊寄贈(Daun sdeurng 小学校と共有) ・コピー用紙は生徒の人数調査に活用している。 ・教科書カバーとカバーをつけるためのホチキスの芯が欲しい。 ⇒今回の活動期間中に支援した。 *本について* たすきが寄贈した本は200冊だったが今回数えたところ本の数は減ってお り、その理由は子どもが家に持って帰ったり失くしてしまうからということだ った。 本の利用を促進するために、本棚を寄贈するかどうかをメンバー内で話し合 った。その結果、まずはお金を使わずに工夫して読書環境を改善しよう、その 際に先生に負担をなるべくかけないようにしようということになった。 具体的にどのようなことをするかは、これからメンバーで話し合って決めて いく。 11 子ども達との交流 ○Daun sdeurng 小学校 午前中にグラウンドでメンバーが散らばりそれぞれ子どもたちと遊んだ。遊 びの内容は、大縄、綱引き、サッカー、折り紙、写真撮影、新聞に手形をつけ る、腕相撲、鉄の棒を使った遊びなど。大人数での遊びは盛り上がり、特に綱 引きは参加できる子どもの数が多く、みんなで協力することもできたので良か った。折り紙も喜んでもらえた。 ○Wat thlork 小学校 午後からグラウンドで Daun sdeurng 小学校の時と同様に遊んだ。 大繩で、学年ごとに誰が1番たくさん 跳べるか競争をし、賞品として飴をあ げたり、カンボジア版ハンカチ落とし のような遊びをしたり、おにごっこを した。Daun sdeurng 小学校よりもグラ ウンドが広かったため、走る遊びのバ リエーションが増えたように思う。そ の分汗をかくし午後で暑かったこと もあり、子どもたちの水分補給が足り ているのかどうかが気になった。 新しい小学校の支援について 12 今回、新たな支援先として TuolJreyraksmeysamake 小学校が候補として挙が っていたため、支援するかどうか決定するために実際に小学校へ行き、授業の 見学をした後校長先生の話を聞いた。 ○校長先生による学校の状況説明 ・2011 年に台風で校舎が倒壊した後、2012 年に JHP(東京の NGO/NPO “JAPAN TEAM OF YOUNG HUMAN POWER“)により校舎が建設された。しかし校舎は足りな い。 ・JHP 以外の団体からの支援は受けていない。また JHP による校舎建設後の訪 問はない。 ・自転車通学の子どもが多く、その自転車は自分で買っている。 ・中学校への進学率は 85~90%。 ・先生は 4 人で、5 つの小学校で教えている。 ・1 人あたり 4 教科×2 冊(授業用・宿題用)のノートを使用。 ・文房具を持っている子どもと持っていない子どもがいるが、ノートを 1 冊も 持っていない学生はほとんどいない。 これと小学校を見学した感想をふまえ、支援するかどうかを話し合った。 その結果、今回は支援しないこととなった。 理由は ・小学校が現在は他の小学校と比べて比較的裕福であること。 ・小学校側が希望する 1 人ノート 8 冊の支援はできないため中途半端な支援 になってしまう恐れがあること。 ・支援する小学校を増やすことで増額する支援金を集める責任と覚悟が持て るかについて現時点で不安があること。 ・たすきの活動理念は、必要最低限の読み・書き・そろばんができるように 文房具支援をすることだということ。 ただ、主な収入源である米の収穫量は年によって変わるため、農業不振にな れば貧乏な家が増え小学校に通えなくなる子どもが増える。そういった場合に は支援をする必要がでてくる。そのため支援が必要かどうかの確認はこれから もしていく。 13 Ⅱ会計報告 第 10 回たすき渡航プロジェクト会計報告 池上温人 ① 支援物品(Wat Thlork, Daun Sdeurng, CCASVA) 品目 単価(R) 数量 金額(R) 鉛筆 145 700 101500 青ペン 190 1150 218500 赤ペン 190 700 133000 120 ページノート 940 880 827200 160 ページノート 1150 500 575000 200 ページノート 1427 1100 1569700 11500 5 57500 4800 25 120000 2000 8 16000 500 1 500 4800 14 67200 4800 15 72000 3800 14 53200 4300 15 64500 A4 コピー用紙 (ケース) 先生用ノート ビニールカバー (メートル売り) ホッチキスの芯 (ケース) クメール語の教科書 (5年生用) クメール語の教科書 (6年生用) 数学の教科書 (5年生用) 数学の教科書 (6年生用) 3875800 合計 支援物品支出(R) ドル、リエル交換レート 3875800 1 ドル=4100R 端数処理($) -3.992 支援物品支出($) 941.325 14 ② 商品の仕入れ 仕入れ先 金額 138 ドル CHA 暁の家(タイ) 1005 バーツ ③ 支出合計 支援物品($) 941.325 商品の仕入れ($) 138 商品の仕入れ(バーツ) 1005 合計 1079.325$と 1005 バーツ 15 Ⅲ 今後の活動に向けて 私は、今回のたすきの活動で初めてカンボジアに行きました。想像していた東南アジア の風景を実際に自分の五感で確かめることが出来ました。 カンボジアの生活を実際に体験できたのも、私にとって大きな経験でした。たすきとし て支援をしていく以上、カンボジア人の生活を知り、彼らがどういった支援を必要として いるのか知る必要があるからです。そして今回の活動で、自分自身の知識不足を痛感しま した。その土地を深く理解するためには、歴史や文化を学ばなくてはなりません。 開発が進み、日々変化していくカンボジアの姿をこれからも見続けていきたい、関わり 続けていきたい、と思える活動でした。 (池上温人) 今回、たすきの一員として初めてカンボジアで教育支援というボランティアに参加し、 私が今までに受けてきた教育の環境とは大いに異なるものであることに驚きました。情報 としては認知していましたが、実際に目の当たりにし、衝撃を受けました。私たち日本人 学生が置かれている教育の安全性がいかに守られているか、そして、日本がどれほど豊か な国であるのかを再認識しました。同時に、私自身が勉強することの意味も考えさせられ ました。どのような環境であっても学びたいという子供たちの真剣な眼差しに感動しまし た。子供たちのキラキラした目を見るたびに、一人でも多くの子供たちが楽しく学べるよ うに手助けをしたいと強く感じました。今回得た様々な経験を生かし、今後の活動につな げていきたいです。 (犬飼さき) 私は今回初めてカンボジアへ行き、今まで想像でしかなかったカンボジアの実際のすがた を見ることができました。プノンペンの町は私が思っていたよりも発展しつつあって、国 の発展とともに変わる必要な支援の形についてや、国をどういった方向に開発していくか の方向性について人によってそれぞれの「あたりまえ」は違っていて"良い"ボランティア とは何か判断し行動する難しさについてなど、多くのことを考えさせられる良い経験にな りました。 まだまだわからないことだらけですが、この経験を忘れずに少しでも答えがでるよう考え ていけたらと思います。(松田かなえ) たすきの活動にかかわってくださるすべての皆様へ 今回たすきの活動が無事終了することが出来たのも皆様の支えがあってのことです。こ の場を借りてお礼申し上げます。まだまだたすきの活動は道半ばで、これからメンバーで 16 話し合い解決していかなければならないこともたくさんあります。その中でもたすきの基 本理念を忘れず、これからの活動に励んでまいります。今後とも宜しくお願いいたします。 17
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