VOL. 27 NO. CHEMOTHERAPY 1 109 肺 炎 桿 菌 性 マ ウ ス 実 験 肺 炎 を 場 とす るCefazolinに よ る化 学 療 法 の解 析 松 本 慶 蔵 ・宇 塚 良 夫 ・永 武 宍 戸 春 美 ・鈴 木 毅 寛 ・野 口 行 雄 玉 置 公 俊 ・井 手 政 利 ・渡 辺 貴 和 雄 長崎大学熱研 内科 (昭和53年8月18日 緒 言 受 付) ウ ス に約500LD50の 学 療法 の進 展 を始 め とす る医 学 の進 歩 は,そ れ ら の ちに1つ 菌 を テ イ ク させ る 。 噴 霧終 了 後 直 の ケ ー ジ に3匹 ず つ無 作為 に 割 り振 り,1群, ら した 人 口の 加 令 化 や各 種 の 免 疫 不 全 状 態 患 者 の増 2群,3群,… よっ て,重 症 グ ラム陰 性 桿 菌 性 肺 炎 の増 加 とい う新 お よび 注射 は この順 に行 な う こ と と した 。 と番 号 を 付 し,以 下 の 肺 内 生菌 数 測定 問 題 を提起 して い る1)。 これ ら の重 症 肺 炎 は今 後 ま 2. す増加 す る と考 え ら れ,こ れ に 対 し,新 抗 生 物 質 が 1回 に1群3匹 肺 内生 菌 数 測定 法 と生死 判 定 を解 剖 台 に 固定 し,体 表 面 を 酒精 綿 に 的 に 開発 され て い る とは い え,こ れ ら の薬 剤 を 有 効 て よ く清拭 し た後,腋 窩 を 開 き,鎖 骨 下 動脈 を 切断 して に用い るため の 新 しい 化学 療 法理 論 の 確立 が 求 め ら 脱 血 屠殺 す る。 再 び 胸 廓 を 清 拭 した 後,開 胸 して,汚 染 しか しなが ら,こ の た め に こ うい う重 症 肺 炎 を 多 し な い よ うに 肺 を 摘 出 し,化 学 天秤 に て 重 量 を 測定 す めて試 行錯 誤 す る こ とは許 さ れ ず,臨 床 例 に 近 い 実 る。 滅 菌 乳鉢 に て 肺 を よ く摩 砕 し,9倍 デルに よっ て検 討 す る こ とが,そ れ に 近 づ く最 良 の 塩 液 を加 え て ホ モ ジ ナ イ ズ した 後10倍 稀 釈 系 を 作製 し, であ る と考 え られ る。 そ こで我 々 は ま ず マ ウ スを 用 0.01mlず 均一 な グラ ム陰 性 桿 菌 性肺 炎 モ デ ル を 作 る こ とを 検 定 量培 養 を 行 な っ た 。 な お菌 数 が 減 少 して い る検 体 は全 3種 の 菌 に よ る肺 炎 モ デ ル を報 告2)し た。 この う 100%致 死 性 のKlebsiella pneumoniaeB-54株 る肺炎 は,こ れ るCefazolinを Soy 量 を培 地 に 接種 した 。1群3匹 Agar<BBL>に 接種 し の マ ウス 肺 当 りの菌 数 を 測 定 した 後 この3つ の値 の 幾 何 平均 を 求 め て 各時 点 に お うい う重 症 肺 炎 の モ デ ル に適 切 で あ る え,本 実験 系 を 用 い,今 つTrypticase 量 の 滅菌 生 理 食 日肺 炎桿 菌 に 最 も有 効 で 多 選 ん で投 与 ス ケ ジ ュー ル に よる肺 け る 肺 内生 菌 数 と した 。 治療 中止 後 の 生 死 判 定 は,CEZ投 観 察 を続 け,7日 与 中止 後7日 ま で 後 まで の 死 亡 率 で 判定 した 。死 亡 し た 菌 数変 動 と死 亡 率 を 主 な マ ー カ ー と して,化 学 療 法 マ ウス は,す べ て 直 ち に 剖 検 して 各膿 器 を 観 察 し肺 炎死 討 を行 ない,い で あ る こ とを確 認す る と と もに,肺 内 生菌 数 の 測定 を行 くつ か の示 唆 に とむ 新 知見 を 得 た の 告 す る。 な っ た。 3. 実 験方 法 お よび 材 料 抗生物質投与法 Cefazolin 肺 炎作 製 法 sodium(以 下CEZ)を 著2)に 述 べ た 噴 霧感 染 法 に よ り肺 炎 を 作 製 した 。 以 溶 解 し10mg/mlの 要点 を記 す と, 重 を測 定 し て0.005ml/g,す 物:ddyマ ウ ス ・オ ス,体 重15g前 後(12∼17g) 800mg/kg投 丑菌:糖 尿 病 に合 併 した 重 症 肺 炎 患 者 血 中 か ら 分離 し 血 清 型I型 。MIC 三は 日本化 学療 法 学 会 標 準 法 に 準 じて106/mlの 接種 行 ないCEZに 対す る 感 受 性 はMIC1.56μg/ml 各す)に 調 整 した 菌 類10mlを マウ , 与実 験 に お い て は,40mg/ml,160mg/ml の溶 液 を作 製 し注 射液 量 が 同 じに な る よ うに し た。 薬 剤 の 始 ま る感 染12時 間 後 か ら行 な う こ と とし た。 抗 生 物 質 血 清 ・肺 内 濃度 測 定 法 鎖 骨 下 動 脈 を切 断 し て血 液 を採 取 し,血 清 を分 離 し て ×10/マウ ス肺 で あ る。 血 中濃 度測 定 用 の 検体 とし た 。脱 血 屠殺 後 摘 出 した 肺 を 貴霧感 染:我 々の 噴 霧 感 染 装 置 に 約100匹 forming ウス体 なわ ち50mg/kgを 投 与 は,す べ て 肺 内 細菌 が 増殖 し,肉 眼 的 肺 炎病 巣形 成 4. ある こ とを 確 め て あ る。 本 実 験 系 に お け るLD50は 2×109colony 溶 液 を投 与 直 前 に調 製 し,マ ス の瞥 部皮 下 に注 射す る 。 た だ し,最 初 の200mg/kg 回の実 験に 約100匹 使 用 。 Klebsiella pneumoniaeB-54株 滅 菌 生理食塩液 に units/ml(以 の マ ウス を 滅 菌 乳鉢 で 摩 砕 した 後,2倍 下CFU/ml て ホ モ ジ ナ イ ズ し,そ の 一 部 を 定 量 培 養 して菌 数 を 測定 噴 霧 吸 入 さ せ,全 マ し,残 量 の 滅菌 生 理 食塩 液 を 加 え りを 肺 内 濃 度 測定 用 検 体 と した 。 CHEMOTHERAPY 110 Fig. 1 Growth of Klebsiella pneumoniae B-54 in lungs of mice after exposure to aerosols JAN. Fig. 2 Effects そ れ ぞ れ1回 は,菌 濃 度 測 定 は,Bacillus subtilisATCC6633を well法 検定菌 を用 い,標 準 曲線 は マ ウス プ ー ル血 清 稀 釈 液 で 作製 した。 薄 層 カ ップ法 で の検 出限 界 は0.2μg/mlで あ るが,1カ の検 体 を 要 す るた め1群10匹 Agar ップ 当 り0.3ml を プ ー ル し て検 体 と した 。 well法 で は,直 径3mmの 孔 を 作 り,1孔 当 り 10μlの 検 体 を用 い た が,検 出 限 界 は1.0μg/mlで あ った 。 績 500LD50お よび8,000LD50テ 間 で は コ ン ト ロ ー ル の4.6×108CFU/マ そ れ ぞ れ7.0×108お 103CFU/マ 経 過 の 代 表 的1例 をFig.1に 示 す(Fig.1だ け前 著 に 次 に,50mg/kg1回 投 与 後6時 間 ま で の肺内生菌 血 中 お よ び 肺 内 濃 度 を よ り精 細に 霧 菌 量,テ イ ク 菌 量 とも多かっ 療 開 始 時 肺 内 生 菌 数 は4.1×106CFU/マ 肺 で あ っ た が,CEZ投 4.1×105と 与 後15分 菌 数 が 減 少 す る が,1時 間 で1.4×106CFU ,2時 た 。6時 ×107CFU/マ 発 性 肺膿 瘍 形 成 を 認 め,42∼72時 度 に つ い て は,血 間 で マ ウ ス は 全数 肺 ウス体 重 と テ イ ク菌 量 に よ り肺 内生 菌 数 曲 線 が 変 化す る の で,以 後 の 実 験 は す ベ て コン トロ ール群 を 加 え ,肺 内生 菌 数 の 経 過 を 追 跡 し,か つ 全 数 肺 炎 死 す る こ とを確 認 して い る。 2. CEZ1回 投与実験成績 Fig.2に 示 す とお り,12時 間 後 肺 内 生 菌 数1.1×105 CFU/マ ウス肺 に お い て ,CEZ50,200,800mg/kgを μg/mlに 間3,2×106,3 間 で 薬 剤 投 与 前 の 菌数に達し 間 後 は コ ン トロ ー ル の1.0×108に 時 間 か ら肉眼 的 肺 炎 病 巣 の 形成 が 始 ま り,36時 間 以後 多 ウス で6.5×105,30分で 時 間6.7×106と2,3時 炎死 す る。 な お,マ と もす べて50時 間 内 に 肺 炎 死 した 。 わ りして お く)。詳 細 は前 著2)に 記 した が ,6∼12時 後 ,肺 内 細 菌 は 急 速 に 増 殖 し,12 間で43× ウ ス 肺 ま で 減 少 す る が そ の 後 は コントロー ル と 平 行 す る 急 速 な 菌 増 殖 を 示 し,3群 マ ウ ス肺 と再 び菌 数 増 殖 が 始 ま り initial clearanceの ウス肺では 与 で は18時 既 に 示 した が,本 論 文 の必 要 上 再 度 掲 載 した こ とを お 断 間の ウ ス肺に対し, よ び1.2×108CFU/マ ぼ 等 し く な っ た 。800mg/kg投 た た め,治 イ ク後 の 肺 内 生 菌 数 の on the in lungs だ け 皮 下 注 射 す る と,50,200mg/kgで 討 し た 。 こ の 実 験 は,噴 無 治 療 マ ウス に お け る 肺 炎 の経 過 of cefazolin pneumoniae 数 増 加 は コ ン ト ロ ー ル よ り も 抑 え られ るが,36時 の 変 動 と,CEZの 成 1. dose growth of Klebsiella of mice of bacteria とす る薄 層 カ ップ法 とAgar of single 1979 対 して5.3 ウ ス 肺 と ほ と ん ど 差 が な か っ た。CEZ 中 で は 投 与 後15分 達 し,そ μg/ml,120分 で ピー ク値173 の 後 速 や か に 減 少 し,90分 で 検 出 不 能 で あ り,肺 ピ ー ク値59μg/ml,60分 で伍1 内 濃 度 は,15分 で で4.0μg/ml,90分 で検出 不 能 で あ った 。 先 述 の よ う に,本 のMICは1.56μg/mlで に,ヒ 実 験 で 用 い たB-54株 あ り,こ に 対 するCBZ の 臓 器 内濃 度をもと トに お け る 投 与 量 を 考 慮 し,1回 量 を50mg/kg VOL. 27 NO. CHEMOTHERAPY 1 Fig. 4 Effects of repeated injections of cefazolin q. 2 h. The mice injected 22 times did not survive, but those injected 67 times were cured. Fig. 3Effects of repeated injectionsof cefazolin on the number of viable bacteria in lungs of mice. Injections weres tarted 12 hours after exposure. A dose: (a) q.12h. Cefazolin 50mg/kg s.c. (b) q.6h. (c) q.3h. Fig. 5 定め て以後 の 連続 投 与 実 験 を 行 な うこ と と した 。 CEZ50mg/kg連 続 投 与 実験 成 績 2時 間 毎,6時 間毎,3時 間 毎,2時 111 間毎の投与実験 で 治療 開始時 の 肺 内生 菌 数 を 同 一 菌 数(約1.0×105CFU/ Effects of repeated injections of cefazolin every 1 hour on the number of bacteria in lungs, and concentrations of cefazolin in serum and lungs. All of the mice injected 10 times were cured. クス肺)に な る よ うに 調 整 した 。 (1)12時 間 毎投 与:Fig.3(a)に 増加 は僅 かに 抑 制 され るが,コ 示 す とお り,菌 ン トロ ー ル とほ ぼ 平 行 増殖 曲線 を示 し,コ ン トロ ー ル と 同 じ く40∼50時 全数 死亡 す る。す な わ ち,12時 (2)6時 間 毎 投 与:Fig.3(b)の 瞭に抑制 され る もの の,72時 ス肺 に達 し,72∼84時 間 間毎投与 は 無効 であ とお り,菌 増 殖 は 間 で2.8×108CFU/マ 間 で大 部 分 が死 亡 し,121時 間 全例 死亡 した 。 従 って6時 間毎 投 与 は延 命 効果 だ け が められた 。 (3)3時 間 毎 投 与:Fig3(c)の とお り,治 療 開 始 菌数 はほ ぼ104台 に抑 え られ て お り,42回 司で5.0×104CFU/マ ウ ス肺 で,こ 生存 した 。 し か しな が ら,138時 間 で も肉 眼 的 に 肺 炎 巣は 明瞭 に存 在 し,治 療 中止 後 約48時 って,3時 投 与 し138 の 間 マ ウス は す べ 間 で 死亡 した 。 間毎 投 与 中 は死 亡 は 免 が れ る が,135時 間毎 投 与:Fig.4に 時5.6×105CFU/マ 時間 で104CFU/マ 間)で 治 療 を 中 止 した が,180時 ら 血 中 お よび 肺 内濃 度 の 推 移 をFig.5に (5)1時 示 す 。1.0×105か 間 毎 投 与:肺 内生 菌 数 の 経 過 と,CEZの の 肺 内 生 菌 数 減 少 は 速 や か で,4.5×104CFU/マ ウス肺 とな った 後96時 か ら5回 の 投 与 で一 時9.7×101に 間 まで 肺 目の 投 与 では 約103CFU/マ 目の 投 与 で再 び菌 は 減 少 し た 。10回 ウ ス肺)で 治 療 を 中 間 後 まで に 死 亡 した 。 投 与 を 続 け た 間 で3.6×103CFU/マ ウ ス肺 で あ った 138時 間 で は肺 か ら菌 は 検 出 され な くな り,肉 眼 的 も組 織学 的 に も肺 炎 病 巣 は ほ ぼ 消 失 し て い た 。67回 ウ ス肺 台 とな り,9,10回 で投 与 を 中止 し,1 時 間 後 に な お肺 内 に は3.7×101CFU/マ 残 存 し て いた が,治 ウ ス肺 減 少 した が,6∼8回 与(肺 内生菌 数2.2×104CFU/マ のでは,96時 示す。治療開始後 ウス 肺 に菌 数 が 増 加 して い るが, 生菌 数は ほ ぼ一 定 の 値 に 止 ま って い る。 この 間22回 する と全 数38時 間におい て も肺 炎 の 再 発 は な く,肺 か ら菌 は 検 出 され な か った 。 での治療 で は治 癒 しな か った 。 (4)2時 投 与(144時 間 ウ ス肺 の 菌 が 療 中止7日 後 まで6匹 全 例 が 生 存 し,肺 か ら菌 は 消 失 して い た 。1時 間 毎 の 頻 回 投 与 で あ る こ とか ら蓄積 の 有 無 を 知 る 目的 でCEZ濃 度 を 投 与15 CHEMOTHERAPY 112 Fig. 6 Effects of repeated injections of cefazolin on number of bacteria in lungs of mice. Comparison of intervals of injections. JAN.1979 見 て も頷 け る成 績 で あ り,極めて示唆に富んでいる。し か しな が ら,当 時 応 用 す る こ とが 出 来 た 薬剤はPCGと 少 数 の サ ル フ ァ剤 に 限 られ,今日から見れば化学療法学 的 に は そ の 検 討 が 不 充 分 で あ ることはやむを得なか。 た 。WOOD以 後 の 実験肺炎による研究は,前報2)に触れ た とお り,気 道 防御能に関する研究や全体的宿主防御能 低 下 時 に み られ る 肺 炎 の 研 究に中心が移り,肺炎の化学 療 法 を 目的 とす る も の は ほ とん どみ られ て いない。 最 近 土 屋 ら6)は,噴 霧 感染によるマウスの肺炎桿菌性 肺 炎 を 場 と して,各 種抗生物質の薬剤間の効力比較を中 心 と した 検 討 を 行 な っ て いるが,その肺炎モデルと我々 の モ デ ル で は 初 期 ク リアランスの有無を始め,細菌棚 パ ター ン等 の違 い が あ る こ とは前報2)に指摘したとおり で あ る。 しか し,未 だ そ の 成 績の詳報に接していないの 分 お よび60分 後 に 測定 した が,Fig.5下 段 に 示す とお り血 中 に も肺 内 に も蓄積 は 認 め られ な か った 。 肺 内濃 度 は,15分 後 の ピー クが51∼59μg/ml,最 分 後 で3.6μg/ml以 上 であ り,10回 MICの1.56μg/mlを (6)連 少 とな る60 の投 与 期 間 中 常 に 越えていた。 か ら1時 間 毎 投 与 まで の成 績 をFig.6に 間毎投与 ま とめ て 示 す 。 投 与 量 と す る と,12 時 間 毎 投 与 は 無 効 で あ り,6時 我 々 が ここ に示 し た 研 究 は,臨 床 例 に近 似の経過をた ど る肺 炎 モ デ ル を確 立 し,起炎菌に有効な薬剤を用い, 投 与 ス ケ ジ ュー ル に よる 治療 効果を長期に亘って厳密に 検 討 し,100%致 続 投 与成 績 の総 括:以 上,CEZ12時 す なわ ち,CEZ50mg/kgを1回 で,詳 細 な 比較 は 今 回 は 行 な わ な い こ と とした。 間毎では延命効果だけで 死 か ら100%治 療 までに 亘 る投与方式 を 明 確 に した 点 に 最 大 の ポ イ ン トが あ る。 さて,先述の WOODら3)4)に よ る ラ ット肺炎桿菌性肺炎を用いた実験 系 は,エ ー テ ル 麻 酔 下 に 左 主 気 管 支 に ゾ ンデを挿入し チ ン添加 菌 液 を 接 種 す る も ので,接種菌数は10∼1,000 治 療 中 に も拘 らず死 亡 す る。3時 間 毎 投 与 で は,治 療 中 個 と幅 広 く,無 処 置 で 死 亡 率98.2%で は 生 存 す るが,138時 に 近 似 す る一 様 な 肺 炎 とは い い なが ら,我 々の肺炎モデ 間 で も治 癒 しな い 。2時 間 毎 で は, 96時 間 以後 に肺 炎は 治 癒 に 向 か い,144時 す る。1時 間 毎 では10回 101CFU/マ 投 与23時 間 ま で で 治癒 間 で肺 内 に3.7× ウ ス肺 の菌 が残 存す るが,こ の 時 点 で 治 療 を 中止 し て も治 癒 す る。 菌 と同 一 で あ り,さ らに菌 株 か ら適 宜 選 んでMICを 定 した が,CEZに ル と比 較 す る と,全 身麻 酔 の 影響 ,ム チ ン添加,接種菌 量 のば らつ き な ど の難 点 を 残 して い る。 さ らに用いた主 要 な薬 剤 はSulfadiazineとSulfamerazineで,薬剤 の 作 用 上,CEZを なお,各 マ ウ スの 肺 か ら再 分離 した 菌 株 は す べ て 接 種 よる 治療 中 もMICの 上 昇 は1株 測 も認 め な か った 。 あ るが,臨床例 用 い た 我 々の 実 験 と異 な り,薬剤 効 果 だ け で 菌 数 を 減 少 させ 治 癒 させ る こ とが 不可能な実験 系 で あ った 。 そ の ため病巣中での効果解析は複雑で,治 癒 の 主 体 を貧 食 能 に 帰 す る結 果 とな っ てい る。その後, 同 著者 ら5)が 行 な ったPCGによるラット肺炎球菌性肺 考 察 炎 の 治癒 過 程 に 関 す る研究において,病巣部位により細 実 験 肺炎 研 究 の 歴 史 を 振 り返 って み る と,化 学 療 法 剤 の 登 場 に よ って,急 性 肺 炎 の 多 くが 治癒 し得 る疾 患 と な 菌 が増 殖 期 か 静止 期 か の 差 があるため,PCGの殺菌作 用 発 現 が著 し く異 な る こ とをin vitroの成績をふまえ っ て以 来,そ れ まで ワ クチ ン と抗 血 清 に よ る治 療 法 の 確 て 説 明 し,さ らに 膿 中 でPCGの 立 を 目的 と して な され て きた 研 究 の 多 くが 中 断 され て し とを 示 した 。 す なわ ち病 巣 部位によって治療効果に及ぼ ま った 感 が 濃 い 。 そ の 間 に あ って 一 部 の 実験 肺 炎 研 究 す 薬 剤 の 作 用 が異 な る こ とを 明 らか に した。 しかしなが 殺 菌 作 用 が低下するこ は,化 学 療 法剤 に よる肺 炎治 癒 過 程 の追 求 へ と移 っ て い ら,そ れ 以 前 に 行 な っ た 肺 炎 桿 菌 に つ い てみ ると,有効 っ た 。 な かで もWOODとSMITH3)4)5)ら に よる1941年 な 薬 剤 が な か った た め,肺 炎 桿 菌 の 病 巣 内で の増殖形態 に亘 る一 連 の 報 告 は,後 述 す る よ うにin が 肺 炎 球 菌 とは 著 し く異 な る こ と,従 って化学療法効果 か ら1956年 vitroとin vivoに お け る 化学 療 法 剤 の作 用 の違 いの 解 析 に も及 ぶ 優 れ た もの で あ った 。 ラッ ト肺 炎 球 菌 お よび 肺 炎 桿 菌 性 肺 炎 を用 い て行 な った 化 学 療 法 の 検 討 成 績 と 肺 炎 治 癒過 程 の組 織 学 的 解 析 は,今 回 の 我 々の 研 究 か ら も 異 な るで あ ろ うこ とを 示 唆 す る に 止 まっ ている。 この度 の 我 々の 研 究 は,肺 的 に 作 用 す るCEZを 用 い,マ 炎桿 菌B-54株 に対し殺菌 ウス の 肺 内 におけるCEZ 濃 度 の経 時 的 変 化 とそ れ に よ って肺内生菌数がどのよう VOL, 27 NO. CHEMOTHERAPY 1 113 化す るかを 精細 に 追 求 した 点 で 特 異 的 で あ る。 す な 投 与 で 達 成 し うる こ とか ら,よ 肺炎 にお いて この よ うに 菌 数 変 動 か ら化 学 療 法 効果 投 与 間 隔 を 短 縮 して,短 時 間 ・少 数 回投 与 す る方 法 とい り有 効 な化 学 療 法 とは, 析 した報告 は 僅 か で,今 回我 々 が見 出 した 後 述 の よ う こ とに な ろ う。 この 際,ど の よ うな時 期 に 化 学 療 法 を 特異的 な菌 数 減 少 パ タ ー ンに 言 及 した 論 文 は 見 当 ら 中 止 す るか に つ い て は,必 ず し も肺 内生 菌 数 が0に さ らに 同時 に 今度 は肺 全 体 とし て の 生菌 数 変 動 を した が,そ の 成績 を検 討す る と,WOODら5)が 組織 検討成 績 か ら指 摘 し た よ うな 肺 内 で の 薬 剤 の 分 布 お 効果 の不均 一 性 を も明 白 にす る こ とが 出 来 た 。 す な CEZ50mg/kg皮 下 注 後 の 肺 内CEZ濃 度 は60 なる まで 続 け る必 要 は な い こ とが 実 験 的 に証 明 され て お り, 現 在 の と こ ろ我 々はLD50値 て い るが,さ を1つ の 目安 と して 想 定 し らに 検 討 を 要 す る も の と考 えて い る。 今 回 の 実 験 成 績 か ら ヒ トに おけ る肺 炎 の 化 学 療 法 を 考 え る と ど うな るで あ ろ うか。 化 学 療 法 効 果 発 現 の 基 礎 と 後には な る病 巣 中 薬 剤 濃 度 の ヒ トと マ ウ ス に お け る差 を 考 慮 し 肺 内細菌 の再 増 殖 が 始 ま っ て お り,し か も菌 の 耐 性 な け れ ば な らな い。 ヒ トに お い ては 急 性 肺 炎病 巣 中で の 認 め られ な い ので,病 巣 の 一 部 で は 既 にCEZが 薬 剤 濃 度 は 血 中 濃 度 に 平 行 す る8)も の と考 え られ るが, も2MIC以 上 の 値 を 保 つ に も拘 らず,60分 有 度 以下に 低下 した か,ま た は 薬 効 の 発 現 しな い 状 態 ヒ トに お け る皮 下 も し くは 筋 注50mg/kg投 成 され てい るか が 考 え られ るが,こ の こ とは 肺 内に ー タは み られ ず ,皆 無 で あ るの で,投 与 方 法 が 異 な る る分 布 の不均 一 性 を 示 して い る もの と考 え られ る。 が,我 が用 い てい る マ ウ スの 肺 の 大 き さ と生 物 学 的 定 量の で 点 滴 静 注 した 場 合 の 成 績 を み る と,ピ ー ク値 は60∼ か ら部分 的 な濃 度 の 決 定 は 困 難 で あ るが,家 兎 実 験 90μg/mlで,点 に おい ては,病 巣 部 と健 常 部 で 薬 剤 移 行 が 非 常 に 異 た 。 ピ ー ク値 が今 回 の マ ウ スに お け る値 の1/2∼1/3で こ とは既 に 報 告7)し た 。 殊 に この 度 の 本 マ ウ ス肺 炎 は あ る が,マ ウ スに お け るMIC値 いては,無 治療 では30時 時 間 が約90分 間 以 後 明瞭 に 多発 性 肺 膿 与 で のデ 々 が以 前 報 告9)し た 約50mg/kg(3g)を3時 滴 終 了 後6時 間 間 で 約5μg/mlで あっ 以上 の 血 中 濃 度 持 続 で あ る の に対 し,ヒ トで は約9時 間 と6 形成 して お り,こ うい う病 巣 中 に は 薬 剤 移 行 が低 率 倍 の時 間 で あ っ た。 従 っ て,投 与方 法 な ど の違 いを 無 視 ろ うと推定 され る。 し て 単純 に有 効 濃 度 持 続 時 間 か ら今 回 の成 績 を見 る と, 学療 法 に よ る肺 炎 治癒 過 程 を肺 内生 菌 数 変 動 か ら追 マ ウス に お け る50mg/kg1時 た報告 は,前 述 の とお り極 め て少 な く,WOODら5) を 得 る に は,ヒ 肺炎球菌 性 肺 炎 を 油性 ブロ カ イ ン ペ ニ シ リ ン3,000 時 間 毎,つ ま り1日4回 12∼24時 間 毎 投 与 で 治療 し,72時 し,こ の投 与方 法 を厳 密 に考 え て み る と臨 床 投 与 量 と し 間 ま で一 様 に菌 減 少す る こ とを示 して い る。 しか し,我 々 の成 績 で CEZ50mg/kg.2時 間 毎投 与 で,96時 間毎 投 与 と同様 の 効 果 トに50mg/kg3時 間で の点 滴 静 注 を6 行 な え ば 良 い こ とに な る。 しか て は ま だ 多 量 に過 ぎ絶 対的 な も の とは考 え得 な い が,要 間 までほぼ は,肺 炎 桿 菌性 肺 炎 の 早期 に,副 作 用 を考 慮 し可 能 な量 の肺 内生菌 数 を 保 ち,以 後 速 や か に 消失 ・治癒 し で,投 与 間 隔 を短 縮す る こ とが,効 率 的 かつ 適 正 な化 学 従 って,100時 療 法 に連 らな る も の と期 待 され る。 間(感 染5日 目)以 後,菌 の 環境 が く変わ るもの と思 わ れ,免 疫 学 的 機 序 も考 え られ る これに つ い ては 現 在検 討 をす す め て い る 。 さ らに, 結 論 重 症 グ ラム陰 性桿 菌 性 肺 炎 の モ デ ル とし て噴 霧感 染 に 間毎投 与 にお い て も,肺 内CEZ濃 度 が11時 間に よる 肺 炎 桿 菌性 マ ウス 肺 炎 を場 と し て,CEZに てMICを 内生 菌 数 は 一 様 学 療 法 の検 討 を 行 な い,以 下 の結 論 を 得 た 。 凌 駕す るに も拘 らず,肺 少 を示 さず,途 中 で 一時 菌 数 減 少 が ス トップす る 現 認 め られた こ とは初 め て の観 察 結 果 で甚 だ興 味 深 い があ る。時 間 的経 過 を考 慮 す る と,こ の系 で は 免 疫 機序 に よる もの とは 考 え難 く,2時 .時期 との関 連 に お い て,さ EZ50mg/kg1回 間 毎 投与 の菌 数 らに検 討 を要 し よ う。 間 で薬 剤 投 与 前 の 菌 数 す る事実 を ふ まえ る と成 績 は,3時 て治 療 中 の肺 炎 死 を阻 止 し,さ 間 毎 投 与 に して らに,2時 間以内の 間 隔で肺 炎 を 治 癒 させ る事 実 を説 明 して い る もの と てい る。 また,治 癒 さ せ る た め に は ,2時 し60回 以上 の 投与 が必 要 で,1時 間毎投与 間 毎 で は10回 1回 だ け の 投 与 で は,800mg/kg投 与 で も僅 か の延 命 効 果 を示 す に過 ぎな い 。 2. 50mg/kg皮 μg/ml,60分 下 注 に て 肺 内 濃度 は15分 で3.6μg/mlの で51∼59 値 を示 し,排 泄 は 極 め て 速 や か で あ る。 投 与 で 一 度 減 少 し た 肺 内生 菌 数 1時 間 以後 再 増 加 し,2∼3時 1. よる化 の 3. 60分 50mg/kg投 与 で 肺 内 菌 数 は30分 か ら再 増 殖 して,2∼3時 まで 減 少 し, 間後に投与前 の 値 に 戻 る。 4. 50mg/kgの 投 与 間 隔 を3時 間 と して 初 め て 肺 内 菌 数 増 殖 は 阻 止 され るが,治 癒 させ るに は,2時 60回 以 上,1時 間 毎 で10回 間毎で の 投 与 が 必 要 で あ り,投 与 間 隔 を短 縮 す る と化 学 療 法 の効 率 が上 が る。 5. Med. 肺 内菌 数 を或 る値 以 下 に 低 下 させ れ ば,治 療 を 中 5) 止 し て も肺 炎は 治 癒 す る。 6. JAN. CHEMOTHERAPY 114 化 学 療 法 中 の 肺 内 生 菌 数 は 一 様 な 減 少速 度 を示 さ 86: 249•`255, SMITH, M. mental analysis penicillin R. ず,途 中に 減 少 の 停 止 す る時 期 が 存在 す る。 文 1) 2) 献 松 本慶 蔵, 宇 塚 良夫, 野 口行 雄, 今 岡 誠, 本 田 一陽 , 木 村久 男, 西 岡 き よ: 最 近 の肺 炎107例 の 解析 。 日本 医 事 新 報No.2699: 27∼31, 1976 松 本 慶 蔵, 宇 塚 良夫, 永 武 毅, 宍 戸 春 美, 鈴 木 寛, 野 口行 雄, 玉 置 公 俊, 羅 士 易, 井 手 政 利: SALE, the to L. Jr. & mechanism of SALE, J. L. Jr. on pneumonia II. upon Exp. the due The effect the FRIEDLANDER's Jr.. in Studies due The to of Med. R. 86: SMITH mechanism W. of FRIEDLANDER's sulfonamide pulmonary bacillus lesion bacillus. pneumonia. J. 武, Jr.: bacterial suppuration of the An curative excel action infectinnt. upon drug. J. the Exp. U antibact Med. 103 土 屋皖 司: K. pneumoniaeに よる 1977 岡 き よ,荒 井 澄 夫,宇 塚 良夫, 轍 抗 生 物 質 の 体 液 内 濃 度 測 定 の 問 題点とそ I. 肺 (追 加 発 言)。 最 新 医 学28: 395 1973 松 本 慶 蔵,横 唐 山 紘 一, 牛襄, 五 十 嵐 卓, 林 荒 井 澄 夫,西 小 野 里 融, 雅 人, 岡 きよ, 中 斎 藤 順 治, 高 橋 荘 祐: 芦川終 Cefazolinに す る 基 礎 的 臨 床 的 検 討 と 呼 吸 器 感 染 症 を中心と た 細 菌 感 染 症 に 対 す る 効 果 に つ い て。Chemoth rapy18: 9) 552∼558, MATSUMOTO, infections Exp. WOOD, the acute 614∼615, MURA: experimental of of 松 本 慶 蔵,西 隆, in chemotherapy of 8) WOOD, recovery 西 意 義. 1947 B. B. 1956 400, pathoge- 239•`247, action 正 玄: bacillus & rial 25: 7) on pneumonia I. FRIEDLANDER's M. : Studies WOOD, bacillus. of experimental pneumonia. Jr. B. recovery FRIt-DLANDER's nesis 4) W. effect 1947 W. 験 的 マ ウ ス 気 道 感 染 症 に つ い て 。Chemotheral 噴 霧 吸 入 感 染 に よ る グ ラ ム陰 性 桿 菌 性 肺 炎 モ デ ル。 日本 胸 部 疾 患 学 会 雑 誌16 (8): 掲 載 予 定 3) in The 509•`521, 6) & 1979 J. 46: K.; 1970 K. Chemotherapy using 123•`128, YOKOYAMA of cephaloridine. 1970 chronic & T. NAK respirator Postgrad.Med VOL, 27 CHEMOTHERAPY NO. 1 EXPERIMENTAL THERAPY 115 ANALYSIS OF MURINE TO OF CEFAZOLIN PNEUMONIA KLEBSIELLA DUE PNEUMONIAE KEIZO MATSUMOTO,YOSHIOUZUKA, TSUYOSHINAGATAKE, HARUMISHISHIDO,HIROSHISUZUKI, YUKIONOGUCHI, KIMITOSHITAMAKI, MASATOSHIIDE and KIWAOWATANABE The Department of Internal Medicine, Institute for Tropical Medicine, Nagasaki University (12-4, Sakamoto-machi, Nagasaki, Japan) The therapeutic een effects studied, utilizing of cefazolin on the method for the murine pneumonia quantitating both due to Klebsiella intrapulmonary pneumoniae viable have bacteria and drug mcentrations. Klebsiella ours pneumoniae (initial of the mice ours after -800 mg/kg 6 h. Ionia did a The On s not ncreased cured. than The of relation basis as as to of these possible, high of I. C. s during the of however, number of the started the 12 of drug bacteria in before 6 killed injection mg/kg, bacteria and was Single 50 about lungs, therapy 1.56 ƒÊg/ml. injection 1 hour, the diminished throughout is s. c. during ding mice Cefazolin bacteria After excee of U./lung). this dose. 2 M. both despite of of 3 h. 2 h. more viable continuous cefazolin 50 levels the lungs injection 2 to 3 it may dose considering be and examined. the than bacteria 69 in Neither bacterial growth times lungs and did q. not injections in 1 h. the 10 decrease q. lungs, times 12 but saved all gradually, h. pneu- but the sho- chemotherapy. as utilizing a were suppressed pneumonia, results, possible q. of chemotherapy that mg/kg q. number experimental and as 50 Injections Injections phase the early curative lungs pneumonia C. F. against injection, injeetions pneumonia. stationary in after curative. significance 956), a the making 9. 7 •~ 10 cefazolin not in rapidly, (LD50: of more 1 hour s. c. were from red hours. was deposited grew injection. repeated q. lice at and then I. C. maintained grow after Then or 72 M. cefazolin lungs to ours within of inhaled and infection. murine tarted B-54 clearance), the concluded the side compared bactericidal that administration effects. with the antibiotic, administration frequency reports by cefazolin, of antibiotics of those WOOD was et al. (1941•` discussed. shoud antibiotics be started should be
© Copyright 2024 ExpyDoc