タイトル スチレンボードの積層レリーフ 学 校 名 千葉県立幕張総合高等学校 美 術 氏名 戸村 次男 教 材 費 約600円 実施時間数 24∼30 時間 1.ねらい 16個のモデュールによるレリーフ制作を通して、モチーフの形や配置の工夫によって美的秩序を作り出す ことの基本を学ばせる。目の前のモチーフを上手く描く描写力や、目を惹く着彩などを操る色感の他にも、反 復や漸増と言ったリズムのある構成を扱えることの大切さを学ばせる。 2.材料(1人あたり) 1㎜厚スチレンボード(400 550 ㎜本体用・180 180 ㎜台紙用)各1枚、ボンドペーパーキレイ(接着剤・細かい作業に適)1本 作画ソフト(Adobe Illustrator 型は古くても支障無し ) ※この単元は作画ソフトが無くても、手描きで十分可能。 3.展開(時間) ①下絵作図(8時間) 40 40 ㎜の正方形内に直線のみで構成したモデュールを1個作り ( 図1)、それをコピー&ペーストで4個に増や して ( 図2)、それぞれを 90 度、180 度、270 度と回転させて形状の検討をする ( 図3)。これを必要に応じて何度も 行い、最終的に 16 個(縦・横4列)をきちっと配置する。 図1 図2 図3 ※手描きの場合 方眼紙に 40 40 ㎜の正方形を描き、そこに直線のみで構成したモデュールを1個作る。それを同じ向きで良いから 同一なものをさらに最低3個(合計4個)描きコピー機で複写する。複写したものをハサミやカッターで切り、別の 方眼紙上にいろいろな向きで並べてみる。 ②パーツ立案(2時間) モデュール1個内の高低を考えさせ、1個のモデュールを作るのに必要なパーツの計画を考える。 【例】 図4の AB を結ぶエリアが一番低 く、CD に向かって高くなる場合。 C A B 図4 → AB を結ぶエリア が一番高く、CD D に向かって低く なる場合。 → D が一番低く、C に向かって段々高くなる場合。 ③パーツ製図とカット(6時間) パーツをモデュール1個分描き、カットして貼り重ね、計画通りモデュールが出来ることを確認してから、全パー ツの製図を行う。 ④モデュールの組み立て(6時間) ⑤台紙への貼り付け(2時間) 180 180 ㎜の台紙用スチレンボード内に、各辺から 10 ㎜の余白を取って 160 160 ㎜の正方形を薄く描いてガイド とし、モデュールのベストな配置を決め、固定する。 4.指導上の留意点 ①作画ソフトの基本操作の指導 この作画に役立つ Illustrator の基礎的な扱いを教える。展開でも書いたように手描きでも出来るが、作画の時間を 大幅に短縮できる。『グリッドの設定と表示』、『グリッドにスナップとポイントにスナップの違い』、『レイヤーの使 い方 ( 使えるとパーツの作画に便利)』。 ※作画は、緩急や漸増による効果を指導してから、直線のみを使って行わせることでより形状の工夫が行われる。 ②作図上の注意 図5 図7は、高低差は 付けられるが、線 の集束点が正方形 の中心にあるため、 回転させても図面 上では変化が起き ない。 しかし、図8の様 に集束点を中心か らずらすことで、 より大きな効果が 期待できる。 図7 図8 図6 図5は高低差を付け れば単調さを軽減で きるが、図6の様に することで、動きが 生じて来る。 図7に同じ 図8に同じ b 上図のように少しずつ交差するポイントをずらした作図をさせ、ベストな位置を探らせることが重要である。 右の図9、10 はそれぞれ の対角 a b を結ぶ線で対 a 象になっているか否かの 違いである。 図9を反転させると、270 度回転させたのと同じ図 になるが、図 10 はならな い。 a 図9 b 図 10 ※モデュールは同一のものを16個使うこととする。反転した図は、モデュールの個数をもっ と大量に使う場合は効果を生むが、この程度の個数では使わせない方が形に工夫が施される。 5.その他 *発展的制作のヒント* ①やや高くなるが、スチレンボードではなくイラストボードを使っても良い。シリコーンゴムでキャステイングすれば、 量産が出来、幾何学文様レリーフの立体制作が可能。 ②積層の枚数は多くても12枚くらいまでとしているが、30数枚重ねると接着剤の厚みも加わって厚みが 40㎜程度 になるので、側面の変化も加えてのキューブを作らせることが出来る。
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