セガサミーグループ CSR REPORT 2015 01・お客さまとともに 第三者意見 第三者意見 このコメントでは、セガサミーグループの 「CSR Report 2015」を拝見し、評価したい取り組みと今後の 期待事項について、筆者の主観的な意見を述べています。 1. CSRマネジメントのグループ展開 2014年度はCSRマネジメントのグループ展開に大きな進捗がありました。とりわけ重要な成果は報告書 の改革です。これまでは、取り組み実績が「セガ」 「サミー」 「その他のグループ会社」 に分けて報告されており、 各 CSR 課題に対するグループ全体のパフォーマンスを評価するのが困難でした。しかし、2014年度に行わ れた事業セグメントの再編を契機に、グループCSR 方針とパフォーマンスの関係がよく整理されて、とてもわ かりやすい報告書になりました。グループの経営理念体系とCSR 方針が「マネジメント」区分にまとめられ たことも、グループCSRマネジメントの理解に対する視認性を向上させています。 取り組み内容では、現在も継続中の東日本大震災復興支援活動における社員ボランティアや意欲的な企 上智大学 経済学部教授 上妻 義直 氏 画であるCSRワークショップが共に完全なグループベースで実施されており、マネジメント層向けのCSR 研修 と併せて、CSRマネジメントのさらなるグループ展開を期待させる成果になっています。 2. 女性の働きやすい職場作り セガサミーグループの従業員は20% 強が女性であり、そのうち半数近くは非正規雇用です。そのため、 ワークライフバランス施策やダイバーシティ施策が優れていなければ、女性従業員の貢献を長期的な企業成 長に結びつけることができません。 しかし、 データで見ると、女性管理職者数・管理職比率は増加傾向にあり、 女性の働きやすい職場作りに一定の配慮が行われていると推察できます。とくに男性の育児休業取得者数 が経年的に増加していることは特徴的な傾向で、これらの諸施策が十分に機能している状況を示唆していま す。2015年6月には、埼玉県が実施する「多様な働き方実践企業」認定制度において、 サミー川越工場が 「ゴールド認定」を受けました。これもこの取り組み分野の大きな成果になっています。 3. 開示面での改善 2014年度は開示面でもいくつかの改善が見られます。まずは「人事・労務に関するデータ」が大幅に増 加したことです。外国子会社の現地人役員数、各役職階層別の女性比率、定年後再雇用者数、育児休業 復職者数・復職率、男性の育児休業取得期間、月平均時間外労働時間、労災度数率など、CSRマネジメ ントを評価する上で重要なデータが一気に開示されました。雇用政策の実効性に対するセガサミーグループ の自信を表すものとして高く評価したいと思います。また、報告バウンダリーに関しても、対象範囲が明確に 特定され、連結正規雇用者数に対するカバー率が開示されるなど、大幅な改善が行われています。いずれ もデータ管理が丁寧に行われている証拠です。 4. 今後の課題 最大の課題は定量的な目標・実績管理の実現ですが、そのシステム構築には時間がかかりますので、今 後も努力を継続していただきたいと思います。報告バウンダリーの完全な連結ベース化も検討が必要な事 項であり、データ収集プロセスを含む早期の対応が望まれます。また、環境マネジメントに関しても、CO₂排 出量が増加傾向を示しているので、PDCAの有効性評価が必要であるように思います。 第三者意見をいただいて エンタテインメント分野の変化は非常に早く、 この変化に迅速に対応する体制を構築すべく当 グループは2015年4月にグループ再編を行いました。激しい変化に迅速に応え、安心安全など 守るべき部分は守りつつ、グループとしての更なる進化を成し遂げてまいります。 上妻先生からのご意見のように、本レポートではグループ全体としての方針や活動状況の明 確化と人事・労務データ等の開示項目拡大に重点的に努めました。 またマネジメント層へのCSR研修を進めるとともに現在では一般社員層向けにも着手してお り、グループ全体への浸透を推進したいと考えております。 東日本大震災復興支援につきましても復興フェーズにおいてこそエンタテインメント企業として の特徴を活かすことができると信じ、イベント参加など被災地を明るくする活動を継続しております。 ご指摘いただきますように、ワークライフバランス、ダイバシティー、環境マネジメントに関し持 セガサミーホールディングス株式会社 続的な改善が進める体制作りが課題であると受け止めております。情報開示面での一層の充実 執行役員 グループCSR 推進室長 石倉 博 も含め、改善を続けてまいります。 46
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