コミュニティへの参画、コミュニティの発展 第三者意見 地域との交流・貢献活動 聴こえ支援スピーカー寄贈 AMラジオ組立教室 聴こえ支援スピーカーシステム 「comuoon」 (コミューン) 2015年8月、上田日本無線 (株) は日本無線 (株) と共催で は、ユニバーサル・サウンドデザイン (株) の委託を受け、新日 「AMラジオ組立教室」 を開催しました。近隣の小学校から4∼ 本無線 (株) で設計・開発、佐賀エレクトロニックス (株) で生産 6年生30名が参加し、最初に電波がどのようなものなのか、 を行っています。コミューンは、補聴器のように難聴者の方が 身近で生活に必要不可欠なものであることをクイズや実験 装用するのではなく、話し手が専用マイクから会話すること を通じて楽しく学びました。その後、 はんだ付けや組立作業を で聴こえやすさを大幅に改善しています。新日本無線と佐賀 行いスタッフや保護者のサポートを得ながら全員がAMラジ エレクトロニックスはコミューンの普及により行政、教育機関 オを完成させました。この教室をとおして子どもたちにもの などでの健聴者と難聴者のコミュニケーションを支援する活 作りの楽しさや無線に興味を持ってもらうことができ、次世代 動を行っています。2015年は埼玉県ふじみ野市と佐賀市教 の育成や地域社会に貢献することができました。なお、日本 育委員会へそれぞれ寄贈しました。 無線は創立100周年の記念事業として当教室を全国9か所 で開催し、約300名の小学生が参加しました。 埼玉県ふじみ野市へ寄贈 佐賀市教育委員会へ寄贈 びんずる祭り 長野日本無線 (株) は、長野市の夏祭り 「長野びんずる」 に 毎年参加しています。長野びんずるは長野市を代表する市 民参加型のイベントです。2015年は日本無線 (株) とともに 総勢170 名の 「長野日本無線連」 を結成し、地域の皆さまと ともに約2時間半にわたり熱く踊り、お祭りを盛り上げまし た。翌日は会場周辺の清掃活動に参加し、環境美化活動を 通しても地域との交流を深めました。 CSRを企業価値向上につなげる おがわ みつお 小河 光生 (株) クレイグ・コンサルティング 代表取締役 プロフィール 早稲田大学卒業、大手自動車関連メーカーを経て、ピッツバーグ大学経営学修士 (MBA) 取得。三和総合研究所、PwCコンサルティングで経営コンサルティングにたずさわる。2004 年に独立し、現在に至る。組織論・人材活性化論が専門分野。 おもな著書に 『ISO26000で経営はこう変わる』 『 CSR 企業価値をどう高めるか』 (日本経済新聞社) など多数。名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科 客員教授。 日本企業におけるCSRは企業理念の実践手段である、 と定 に 「経営」 と 「CSR」 は別物、 と取られてしまっては 「共創」 は進ま 義する企業が多い。これは企業理念には必ず社会性と経済性 ないだろう。事業部門の理解・協力を得つつ経営計画との実 が両立しているからである。金を儲けさえすればよい、 という 体的な統合を進めたい。 理念を掲げる会社が皆無である一方で、社会性だけを追えば 第二に、ステークホルダーとの対話を積極的に進めたい。 それはNPOと変わらなくなる。その企業の理念に基づいて 本レポートでは特集として 「ダイバーシティへの取り組み」 と 社会性と経済性をいかにバランスさせていくかが、CSRの要 題して有識者との対話が採録されている。このようにステー 諦と考える。 クホルダーからレビューをもらい、 より良い活動に昇華するヒ 日清紡グループの企業理念において、 この点で特に注目し ントをもらうことが大切である。当社はBtoB企業であるが、 ているのは 「未来共創」 である。ステークホルダーとの共創に ステークホルダーとのコミュニケーションは奥手ではないは より社会に新しい価値を提供して企業成長につなげるという ず。前出の銅フリーの開発過程では規制当局やエンドユー 思想が出ており、 トップインタビューで河田社長が述べてい ザーとのコミュニケーションは相当尽くされたはずだ。製品 る 「2025年長期経営戦略目標」達成こそがまさに 「未来共 開発だけではなく、CSR目標の進捗やマテリアリティなども 創」 の実現ということになろう。たとえば 「銅フリーブレーキ ステークホルダーとの対話を通じてブラッシュアップしたい。 パッド」 は未来共創の典型的な事例である。10年後の社会を 第三に、情報開示の在り方を一歩進めたい。 想定し、環境規制の一層の厳格化を見越しつつ、耐久性や経 環境面を除いて本レポートがやや活動の列挙に終始して 済性を実現しながらブレーキパッドのデファクトを握ろうとい いる感がある。その活動を通じての成果はどうだったのか、 と 日清紡ホールディングス (株) は 「次代を担うジュニアの育 う野心的な取り組みである。このような技術先行型の価値創 いう点の開示に一段上がりたい。たとえばP46 「CSR調達基 成」 を果たすため、公益財団法人日本テニス協会主催の 「全 造こそが当社の “攻めのCSR” の真骨頂であり高く評価でき 本方針」 にサプライチェーン全体で取り組む方針が紹介され 日本ジュニアテニス選手権」 に2005年大会から特別協賛を る。こうした成功例をさらに増やしていきたい。 ているが、 この方針はサプライチェーンのどのサプライヤー しています。 にある。 当社のCSR課題も上記の“ステークホルダーとの共創” を対象に適用しているのか、 フィードバックはどのように行っ さらに、 日本全国のジュニアが日本一を競うこの大会で活躍 第一に、ステークホルダーとの共創を進めるためには、 ま ているのか、方針を守れないサプライヤーはどのように扱わ が認められた選手の中から、将来有望な4名を 「NISSHINBO ずステークホルダーが当社を正しく理解することから始ま れるのか、などの成果も合わせて開示していきたい。CSR調 NATIONAL JUNIOR TEAM」 として、 南米遠征に派遣してい る。本レポートにP19 「第3期中期CSR目標」 とP20 「マテリア 達は、昨今グローバルで対応が急速に求められている。昨年 ます。2016年の2月から3月にかけて実施した遠征では、 各選 リティ」 が定められている。どこを目指したCSR活動か、 という の英国現代奴隷法の制定、来年のISO20400 (調達の国際 手とも実力を大きく伸ばし、 中でもブラジル・ポルトアレグレの 点を明示したことは評価できるが、 これが先の 「2025年長期 規格) の予定など。グローバルに事業活動を行っている当社 大会でシングルス優勝を果たした綿貫陽介選手は、ITF (国際 経営戦略目標」 とどのようにつながり、 どのように成果に貢献 として取り組みを加速しなければならないテーマである。 テニス連盟) ジュニアランキングを2位まで上げました。 するのかを開示していきたい。ステークホルダーから見た時 子どもたちとスタッフ ジュニアテニス支援 第三者意見を受けて 小河先生には本年も貴重なご意見を頂戴し、心より厚く御礼申し上げます。 長野日本無線連 当社経営理念を踏まえCSR課題として、 「ステークホルダーとの共創」 について3つの点をご指摘頂きました。 第一にステークホルダーに当社を正しく理解してもらうという点。今後、長期経営計画とCSR活動とのつながりを具体的に示し、 日清紡メカトロニクス フードバンクへの協賛 CSRがどのように成果に貢献できているかをわかりやすく表現するよう工夫してまいります。 第二にステークホルダーとの対話の機会について。グローバルに活動する企業として、多様性を重視しながら今後対話の機会を積極 日清紡メカトロニクス (株)浜北精機事業所では2015年 的に増やしてまいります。 度よりフードバンク活動に協賛し、賞味期限の1ヶ月前の災 害備蓄用食料を 「特定非営利活動法人フードバンクふじの くに」へ寄贈しています。寄贈した食料は、さまざまな理由 で生活に困窮している方々に無償配布されています。 50 日清紡グループCSR報告書 第三に情報公開の在り方について。ご指摘頂いているCSR調達をはじめ、CSR活動全般にバランスのとれた質的改善を目指し、 2016 2016南米ジュニアテニスサーキット遠征メンバー (選手・コーチ) 年度の最優先課題として取り組みを加速させます。具体的にはグループ全体のCSR活動状況の調査を実施し課題を把握の上、KPIを策 定・展開し、取り組みの過程と結果を開示してまいります。 日清紡グループは今後共企業価値向上に努め、社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。 執行役員 経営戦略センターCSR室長 杉山 誠 日清紡グループCSR報告書 51
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