第3学年 1 単元名 2 単元が目指す「語る子供」 ○ こちらお祭り放送局 国語科学習指導案 ―「つな引きのお祭り」― 要点や段落相互の関係をとらえながら読み,自分の考えを話し合う中で,説明の仕方を学ぶこと ができる。 ○ グループで協力しながら,地域の祭りを調べ,中心をはっきりさせて話の構成や表現を工夫した 放送番組作りができる。 3 単元について (1) 本単元のねらいは,「つな引きのお祭り」で読み取った説明の仕方を生かしながら,自分たちで 調べた地域の祭りを分かりやすく表現することである。 「つな引きのお祭り」は,秋田,沖縄,鳥取の三県に伝わるつな引きのお祭りを紹介している。 それぞれの祭りについて「あらまし」 「準備」 「つな引きの様子」 「由来」という四つの内容を順番 に説明しながら,祭りには人々の祈りや願いが込められていることを伝えている。2年で学習し た時系列の順序にそった説明的文章の発展であるが,文章構成が明確で話のまとまりや筆者の思 いを捉えやすい。学習指導要領「C読むこと」の内容イ「目的に応じて,中心となる語や文をと らえて段落相互の関係を考え,文章を正しく読むこと」を指導するのに適した教材といえる。 また, 「つな引きのお祭り」は,迫力のある写真や掛け声,臨場感あふれる表現で読み手を引き つける。ここで学んだ説明の仕方を生かし,身近な祭りを取材し紹介する学習へとつなぐことに より,学習指導要領「A話すこと・聞くこと」の内容ア「伝えたい事を選び,自分の考えが分か るように筋道を立てて,相手や目的に応じた適切な言葉遣いで話すこと」イ「話の中心に気を付 けて聞き,自分の感想をまとめること」の力をつけることができると考える。 (2) 公開1 児童は6月に「知らせようこん虫にん者のひみつ―自然のかくし絵―」で,段落ごとに中心文 を考え,要点をまとめながら説明文を読む学習を経験している。要点をカードに書き,段落と段 落の関係を考えながらツリー図に表す学習も行った。それによって,文章全体を「はじめ」 「中」 「終わり」と大きく三つに分けてとらえたり,それぞれの例の意味を考えることもできた。しか し,初めてのツリー図作りに戸惑いを感じた児童も多く,中心文を見付けたり,要点をまとめた りする学習も十分定着しているとはいえない。 単元の最後にある表現活動への取り組みは大変意欲的で,四コマ漫画,クイズ,絵など自分が 選んだ得意な方法で進んで読み取ったことや自分の思いを伝えようとする姿が見られた。しかし, 学習した説明文の書き方の良さや工夫を積極的に自分の文章に生かそうとしたり,より分かりや すい文章にしようとしたりする意識には個人差が見られる。 音声言語による伝え合いは, 「わたしのお気に入りの場所」で,紹介したい場所を取材し役割分 担して放送番組のような形で発表する活動を行った。 「放送番組作りの学習が好き」と答える児童 は○%であり,放送での表現活動に楽しみを感じている児童も多く見られる。しかし,その反面, 「放送番組作りの学習が好きではない」と答える児童は○%であり,発表会のような音声言語で 表現することに抵抗を感じている児童も見られる。 公開2 児童は6月に「知らせようこん虫にん者のひみつ―自然のかくし絵―」で,要点をカードに書 き,段落と段落の関係を考えながらツリー図に表す学習を行った。それによって,文章全体を「は じめ」「中」「終わり」と大きく三つに分けてとらえたり,「中」の部分では,「保護色が役に立つ 場合」と「保護色が役に立たない場合」の2つに分けて書かれていることやそれぞれの例の意味 を考えたりすることができ,ツリー図を作るよさについて気付く児童も見られた。しかし,自力 でのツリー図作りや,要点をまとめたりすることは,まだ十分定着しているとはいえない。 この単元の最後では,かべ新聞に調べたことをまとめる表現活動を行い,自分が読み取った昆 虫の保護色について,大変意欲的に伝えようとする姿が見られた。また,グループで話し合った り,見直したりして,よりよい作品にするために,グループ活動のよさを感じることもできた。 しかし,学習した説明文の書き方の良さや工夫を積極的に自分の文章に生かそうとしたり,より 分かりやすい文章にしようとしたりする意識には個人差が見られる。 音声言語による伝え合いは, 「わたしのお気に入りの場所」で,紹介したい場所を取材し役割分 担して放送番組のような形で発表する活動を行った。 「放送番組作りの学習が好き」と答える児童 は○%であり,放送での表現活動に楽しみを感じている児童も多く見られる。しかし,その反面, 「放送番組作りの学習が好きではない」と答える児童は○%であり,発表会のような音声言語で 表現することに抵抗を感じている児童やグループでの台本作成や発表練習などの協同作業の楽し さが理解できていない児童も見られる。 (3) ① 意欲を高める放送番組作りの設定 ―研究仮説1より― 自分たちの身近にあるお祭りについて,興味を持ったり,疑問に感じたりしたことを調べ, 放送番組を作り全校生に発表をする場を設定することで,低学年の子にもわかりやすく伝えよ うとしなければならないという相手意識や目的意識をもち,より主体的に学習に取り組むこと ができるようになると考える。また,お祭りについて分かりやすく伝えるための方法を学ぶと いうはっきりした視点をもつことで教材文の読みも意欲的になると考える。音声言語での発表 は,相手を意識した話し方を考えることはもちろん必要なことであるが,さらに,補助資料や 役割を工夫したり,動作を入れたりすることが可能で,楽しみながら発表するための活動を考 えることができる。 ② 読みと表現をつなぐツリー図作りの工夫 ―研究仮説2より― 「自然のかくし絵」の学習では,要点を書いたカードをもとにツリー図を作成したが,本単 元では,さらに段落の要点から「小見出し」を考えることで,全体の構成を考えられるような ツリー図の作り方を学習する。そして,その学習をもとに,それぞれの祭りの段落の関係が自 力で考えられるようにする。そうして出来上がったツリー図が,自分たちの表現活動にも生か すことができることを知ることで,ツリー図作りの意味や良さが分かり,今後の説明文の読み 取りの方法としての価値に気付くことができると考える。 ③ よりよい台本にするためのグループでの話し合い活動 ―研究仮説3より― 自分たちの調べた祭りを紹介する活動では,まず,小見出しごとに原稿作りを分担し,児童 一人一人が作った原稿をグループで話し合い検討していく。そしてその中で,みんなで決めた 推敲の観点をもとに,グループ間で推敲し合うことで,他の表現方法の良さや工夫に気付き, さらによりよい台本にしようとする意識を高めるようにする。また,既習の「わたしのお気に 入りの場所」での活動を振り返ったり,教材文に立ち返ったりすることで,祭りの様子の伝え 方,由来・願いなどについて,中心がはっきりした聞き手を引きつける台本にするための工夫 を見つけ,自分たちの台本に生かすようにさせたい。 4 単元の評価規準 関心・意欲・態度 話す・聞く 相手意識をもっ 地域の祭りに興 味を持ち,自主的 て,自分が伝えた に調べ,地域につ いことを分かりや いてもっと知ろう すく話している。 としている。 5 書く 聞き手をひきつ ける表現や段落相 互のつながりに気 をつけて分かりや すく伝えられる文 章を書いている。 時 学習活動 1 一 2 3 二 次 4 5 6 公 開 1 7 8 9 10 三 次 11 12 13 公 開 2 14 15 四 次 言語事項 文末表現を手が かりとして,書き ことばと話しこと ばの違いを理解し ている。 学習指導計画(総時数17時間) 文章に向かって 次 読む 「はじめ」「中」 「おわり」の段落 の組み立てや文章 の要点を押さえな がら,正しく読み 取っている。 16 17 昼 教師が提示する祭りの資料 を見て,知っていることや 経験を話し合う。 全文を通読し,紹介したい お祭りを放送番組で発表す るという見通しを持つ。 3つの綱引きが紹介されて いることをとらえ,おおま かな文章構成を理解する。 それぞれの綱引きの内容の まとまりを考えながら,ツ リー図を作り,表現の工夫 について考える。 他者に向かって 読み取 組み立 読み取 組み立 る力 てる力 る力 てる力 地域のお祭りや行事について 知っていることを積極的に話そ うとしている。 (関) 放送番組つくるために,本文 を正確に読み取ろうとする意欲 を持っている。 (関) はじめ,中,おわりのまとま りと中は3つのまとまりに分け ている。 (読) 4つの事柄の順序を理解し, ツリー図を作っている。 (読) ○ ○ ○ ○ ○ それぞれのお祭りの書き方の 工夫を捉えている。 (読) 紹介したいお祭りを決め て,グループに分かれて放 送番組作りの計画を立て る。 ツリー図を活用して,取材 メモを整理する。 ○ ○ 調べた内容をもとに,台本 を書く。 ○ 台本を推敲する。 ○ 台本や補助資料を作成し, 発表練習をする。 放送番組を収録し,VTR を見て話し合う。 VTRを全校放送する。 本時の評価規準 ○ ○ ○ 放送番組をつくるために,紹 介したいお祭りを考え,取材を する計画を立てようとしてい る。 (関) 紹介する順序や内容を考え て,情報を選択したり,整理し たりしようとしている。 (関) 既習の分かりやすい表現の工 夫を考えて台本を書いている。 (書) 友だちの台本を推敲し,その よさや学んだことを自分の台本 に生かしている。 (書) 相手により分かりやすく伝え ることを意識しながら話してい る。 (話) 友だちの発表の分かりやすい ところを考えながら聞いてい る。 (話・聞) 6 本時の学習指導(公開2) (1)目標 聞き手の興味をひき,分かりやすく伝わるような台本にするために,書き方のよさを学び合い,自分の台本に生かそうとするこ とができる。 (2)学習指導過程 ○語る子供を育成するために 学 習 活 動 児 童 の 意 識 の 流 れ 支 援 活 動 1 学習課題を確認す る。 ・自分たちが調べたお祭りを紹介するための台本ができたよ。 ・早く放送番組にしてみたいなあ。 ・他のグループの台本はどんなふうにしているのかな。 ・聞いている人によくわかるか心配だなあ。 台本を見直して,聞き手にもっとよくわかる台本にしよう。 2 推敲の観点を確認 し,他のグループの 台本を聞いてみる。 聞き手の興味をひく ような書き方ができ ているかな。 祭りの内容を詳しく 書いて,わかりやす くしているかな。 話がつながるように 段落の組み立てがで きているかな。 ・自分たちの台本がわかりやすいか聞いてもらおう。 ・他のグループの台本を聞いて,工夫しているところを見つけよう。 3 4 5 他のグループの台 本から学んだことを 話し合う。 自分のグループの 台本を推敲する。 次時の課題を持 つ。 放送するときに,呼 びかけるような言い 方をすると聞き手を ぐっと引きつけるね。 具体的な数字や言葉 を入れると,祭りの 様子がわかりやすく なるね。 ・呼びかけ,つなぎ の言葉 ・具体的に,資料や データーを使って 紹介したいことの 中心がわかるように, 段落の組み立てを考 えないといけないな あ。 ・あらまし,準備, 様子,由来 ・紹介したい中心がわかるように,まず先に中心を書くようにしよう。 ・調べてきた資料から,具体的な数字やかけ声などを使うようにしよう。 ・呼びかけるような書き方やつなぎの言葉を工夫して,聞き手をひきつけ るようにしよう。 ・次は,番組に必要な資料を作って,もっとわかりやすくしたいなあ。 ・放送番組だから,よくわかってもらえる話し方を練習しなければいけな いなあ。 -1- ・前時に作成した台本を振り返るこ とにより,本時は,内容面につい て推敲していくことを確認する。 ・聞き手によくわかる台本にするた めに,推敲の観点を明確化する必 要があることを押さえる。 ・聞き取りだけでは推敲が難しいの で,全員で観点を確認できるよう に,台本を大きく掲示できるよう にしておく。 ・確認した観点を入れた評価カード を使って,他のグループの台本の よさを捉えさせるようにする ○台本の工夫点が聞き手に捉えやす くするために,発表者は,どの観 点に気をつけて台本を作ったのか を伝えてから発表するようにする。 ・以前に学習した発表の台本や本単 元のツリー図を掲示しておき,書 き方の参考にできるようにする。 ○グループで話し合いながら推敲す る時に容易に変更しやすくするた めにカード形式で原稿を作るよう にしておく。 (評) 推敲の観点を決めて,聞き手によ く分かるように台本を見直してい る。 ○他の放送番組のVTRから,放送 番組の特徴やポイントをつかませ るようにし,次時への課題を持た せるようにする。
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