第6学年 授業の実際 単元名 浮世絵美術展を開催しよう 「 『鳥獣戯画』を読む」 「この絵,わたしはこう見る」 1 研究の視点 (1) 言語活動を位置付けたダイナミックな「読むこと」の単元構想 本単元を貫く言語活動を「浮世絵美術展を開こう」と 位置づけた。この言語活動の遂行には, 「事実と感想,意 見などの関係を押さえる力」 「筆者の文章構成の工夫を考 える力」 「筆者の表現の工夫を考える力」 「作者のものの 見方と,自分のものの見方の相違点・共通点を考える力」 「書くことを決め,目的や意図に応じて内容を整理する 力」等が必要である。よって,これらの力が身につくよ うに各時に具体化していくように単元構想をしていくこ とで,指導事項「目的に応じて,文章の内容を的確に押 さえて要旨を捉えたり,事実と感想,意見などとの関係 を押さえ,自分の考えを的確にしながら読んだりするこ と。 」 (C 読むことウ) 「本や文章を読んで考えたことを発 表し合い,自分の考えを広げたり深めたりすること。 」 (C 読むことオ) 「考えたことなどから書くことを決め, 目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通し て事柄を整理すること。 」 (B 書くことア) 「事実と感想, 意見などを区別するとともに,目的や意図に応じて簡単 に書いたり詳しく書いたりすること。 」 (B 書くことウ) を実現するのにふさわしい言語活動であると考えた。 【指導計画】 【言語活動】浮世絵美術展を開こう 第1次(導入) 第2次(展開・発展) 第3次(発展・終末) ・ 課題を設定する ・ 事実と感想,意見を意見などの関係を押さ ・ 学習したことを活用して, えながら読む。 他の資料を読む。 ・ 筆者の読み手をひきつける文章表現や文章 ・ 自分のものの見方と友達の 構成を考えながら読む。 ものの見方の共通点や相違 ・ 学習したことを活用して,他の資料を読む。 点を話し合う。 (2) 条件や過程を工夫した記述活動 1単位時間の授業の前半では,教科書を通して、筆者の表現の工夫等を読み,後半では自分の表現に生か す時間を設定することにした。そうすることで,児童が授業の中で何を学ぶことができたのかを意識し,学 んだことを活用できるように授業を構成した。 第1時で,実際に浮世絵に関する鑑賞文を書いたことで, 学習に対する必要感を持たせることができた。子どもたち は, 「どういう風にかけばいいのかわからない。 」 「何を書け ばいいのか分からない。 」といった課題をもち,浮世絵の鑑 賞文を書けるようになるために「自分の思ったことを表現す る力が必要だ。 」 「書く順番(構成)を考える力が必要だ。 」 「言葉の力(語彙力)が必要だ。 」といった課題が出され, それをもとに学習計画を立てて授業を進めたことで,最後ま で意欲が持続することができていた。 【児童の学習計画】 また,全文ワークシートを活用し,事実と感想・考えに色分けしたり,表現の仕方を工夫を書き込んだり することで,一目で文章構成を考えることができるようにした。また、図と対応して考えることで,筆者が そのようなことをどのように表現しているのかを確認できるようにした。 【全文ワークシート】 〈身に付けた力を可視化した表現物:ワークシート〉 使いたい文章構成 (第4時) 伝えたいこと (第6時) 使いたい文章表現 (第3時) 意見・感想 (評価する言葉) (第2時) 絵の描写的な説明 (第2時) 第6時までに学習したことを生かして,浮世絵の紹介文を書くと, 【浮世絵紹介文の下書き】 (3) 学年や目的に応じた効果的な交流活動 毎時間交流の時間を設定し,自分の表現したものと友達の 表現したものを読み合うことで,自分や友達の表現のよさに 気付いたり,推敲したりすることができるようにした。個人 で考える時間に,意見がまとまらなかった子どもも,友達の 力を借りながら,自分の作品を作ることができていた。 また,話合いの際には,司会・タイムキーパー・書記・発 表者の役割分担を徹底したことや,時間制限などの制限をか けたこと,話合いの目的を明確にした指示を出したことで, 子どもたちの話合いに対する意欲や話合いの仕方に高まりが 見られた。 【話し合いの様子】 2 考察 【成果】 ○ 第 1 時に,実際に浮世絵の鑑賞文を書いたことで,学びの必要感をもってその後の活動に取り組むこと ができた。 ○ 全文ワークシートをもとに学習を進めたことで,大まかな文章構成を読み取ることができた。 ○ ワークシートを工夫し,各時間に学習したことを1枚にまとめたことで,自分が身に付けた力を確認し ながら学習し,それを生かして紹介文を書くことができた。 【課題】 ● 書く活動で,条件を掲示しなかったため,あまり条件を意識して書かない児童がいた。 ● 学習したことをまとめたワークシートがあっても,その中から紹介文に取り入れる内容を取捨選択する ことができない児童がいた。 ● 話し合いの目的を示して交流活動を行わせたが,まだ,練り上げるという段階まで行かず,ただそれぞ れが発表するだけになることが多かった。
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