平成 27 年 3 月 24 日 版 チャック付ポリ袋を利用した昆虫の観察 中家 啓吾 1 ねらい,目的 昆虫の観察の際,直接触るのが苦手だったり,昆虫が動き回ってスケッチが難しかったりすると いう問題点がある。そこで,チャック付ポリ袋を用いて昆虫等を手軽にじっくり観察することで, アリやバッタ等の成虫のからだのつくり(頭,胸,腹,あしの数や付き方)が正確に捉えられ,実 感を伴って,その特徴を理解することができる。 2 教材の内容 (1) 準備物 ・ チャック付ポリ袋 1袋 (例:アリであれば A9 サイズのもの,バッタ等であれば A6 サイズのもの等) ・ ルーペまたは虫眼鏡 1個 ・ 観察対象となる昆虫 1匹 ・ 虫かご ・ 千枚通しまたはコンパスの針 複数個 1つ (2)作成手順 ① 観察対象となる昆虫を虫かご等に採集しておく。 ② 千枚通し等で,チャック付ポリ袋に空気穴を2カ所以上あける。 ③ 観察したい昆虫を捕まえて,ポリ袋の中に入れる。 ④ 観察しやすい向きや角度に移動させながら観察する。 (3)工夫・コツ 【図1.大小のポリ袋】 ポリ袋は,大小様々なものが市販されている(図1) 。よって,採集した昆虫のサイズに合わせて 選ぶことができる。昆虫のサイズにできるだけ合うサイズの袋を用いると,昆虫が動きにくくなり, 観察しやすくなる。 また,ポリ袋には,忘れずに空気穴をあけておく。生命尊重の観点から,昆虫がつぶれないよう にもつ等,観察時の扱いを指導したり,観察後は採集場所に戻すか,適切な生息環境に戻すように 指示したりする。 3 教材の使用方法,活用例 3年単元「こん虫を調べよう」等で使用する。 以下は,アリを用いた実践例である。 ①観察前に予想を描く すぐにアリを観察するのではなく,児童一人一人がもっているアリの 【図2.予想場面】 平成 27 年 3 月 24 日 版 イメージを描かせ,それぞれが描いたものを基に共通点や差異点について話し合わせる。そのよ うに相互に比較させる(図2)ことで,実際に観察する時に気をつけて見るべき視点(足の数や 足のつく位置等)を明らかにすることができる。 ②実際にアリを観察し,スケッチする 気をつけて見るべき視点を意識しながら観察するよう助言し,実際に アリの成虫をルーペや虫眼鏡を使って観察させ(図3),スケッチさせ る。見るべき視点を中心に,観察前の予想と実際の観察によるスケッチ を比較することで,実感を伴ってアリのからだのつくりを捉えることが できる(図4)。 【図3.観察場面】 予想段階 実際の観察を通して 【図4.観察前後で児童が描いたアリの比較】 ③アリ以外の昆虫のからだのつくりについても観察し,それをアリと比較する アリはからだのつくりが見えやすく,観察しやすい。よって,アリの観察を通してそのからだ のつくりを把握した上で,他の昆虫についても観察し,それをアリと比較することによって昆虫 のからだのつくりについて理解を深め,一般化を図っていく。 4 まとめ すぐに観察するのではなく,事前にもっているイメージを予想として描かせ,児童間で互いに意 見を交流させることで観察時の視点を焦点化することができる。また,児童がもっているイメージ と実際のつくりの違いに自ら気付くことで,昆虫のからだの正しいつくりについてより確実に理解 させ,知識として定着させることもできる。 加えて,個人の観察を終えた後,最終的にテレビ画面等に大きく拡大した昆虫を映し出して学級 全体でからだのつくりを確かめる際にも,チャック付きポリ袋に入れた昆虫は容易に教材提示がで きるので便利である。 これらの学習を通して,からだの部分,あしの数,あしがついている部分等の昆虫のからだのつ くりについて実感を伴った理解が期待できる。 【参考文献】 ・ 東京書籍「新しい理科3」
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