子どもの繭 −加古川市における大学連携による児童養護施設− Prologue 孤児院から児童養護施設へ 児童養護施設とは 児童養護施設は、環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のため の援助を行うことを目的とする施設である。入所対象者は、1 歳以上 18 歳未満の幼児及び少年である。 戦後すぐは戦争孤児を保護する役割だったが、現在は孤児は少なく、親はいるが養育不可能になって預けられる場合が多い。中 でも、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童の割合は年々増加している。 Proposal 〝 72 人が大学生とともに生活する” Site 戦後の施設を現存させる加古川市 現在加古川市にある児童養護施設は二つある。そのひとつ立正学園は、子どもの養育の充実のため、小規模化を目指しステップが踏 まれている段階である。 一方で播磨同仁学院には児童が 119 名在籍する。養育の充実を図るため、国が掲げた「本体施設は定員 45 人以下とする」という目標達成 大学と連携した児童養護施設を提案する。隣接する兵庫大学にある生涯福祉学の教育プログラムの一環として、児童養護施設の子ども達とともに一年 間生活することを取り入れる。また住民、大学生も自然と巻き込む。子どもが大学に包み込まれ見守られながら、人との接点を増やしていく。 地域住民 には、児童数が多いため先が見えない状況となっている。 ①立正学園 立正学園 生涯福祉学部 食育 本体施設 + 地域小規模児童養護施設 1 棟 加古川市八幡町野村 617-4 平成 23 年 4 月以前 播磨同仁学院 今後 本園 加古川市平岡町山之上 518 本園 68 名 児童数:119 名 小規模 グループケア 各6名 定員:120 名 地域小規模 ファミリー 児童養護施設 ホーム 各6名 各6名 域を与えつつ、グループに分けて養育する。 そうすることで、他の人と接する機会が増え、生徒に対して多角的な養育が望め 専門家 先生 12 人 (現況で子供 6 人に対して 先生 1 人つく) 本園 対象敷地 現在箱に押し込められているだけであった子供たちを自分の家という個人の領 る。 里親 平成 23 年 4 月 62 名 サポート 子供 72 人 得し後に本園の定員を引下げを試みている。 定員:75 名 一学年当たり 20 人 畑作り 1棟の地域小規模児童養護施設を設立し、小規模養育のノウハウを習 児童数:68 名 大学生 グルーピングによる養育 地域小規模 児童養護施設 6名 住居 大学生 健康マネジメント学部 NPO 加古川市平岡町、大学と住宅と地域資源である池に囲まれる場所に児童養護施設の 住居 住居 食育 畑作り 大学生 1 ∼ 2 人 先生 1 人 1/1500 配置図 屋根伏せ載せる。 子ども 4 ∼ 5 人 一部移転を計画する。これら三つと上手く付き合うことで、児童に多角的な指導を行い、 一軒当たりの数 社会に出ていくための準備を促す。また、子ども達は故郷の記憶として池の風景を思い 出すだろう。 居間 2-3 棟で一つの居間をコの字に囲み、 ユニットを形成する。 Diagram SITE 子どもが自ら選択するパブリックのレベル 人と関わる大小さまざまな場は完全に囲うことな 配置 〝包み込まれる施設 池側 住宅側 池 が繋がる。子どもは徐々にパブリックのレベルを上げ 大学側 SITE 大学側 た場を選択し、社会に出ていく準備をしていく。 住居側 低(密接) ・隣人との空間 ・1 ユニット間の空間 住居 居間 住居 大学 住宅 住居をずらすことで生まれ た小さな場。 ・2 ユニット間の空間 住居 住居 居間 住居 住居 住居をコの字にすること で生まれた共有居間。 高 ・複数のユニット間の空間 住居 住居 居間 居間 居間 居間 住居 住居 住居 2 つのユニットが並びできた、 路地のような細い場。 居間 居間 複数のユニットの居間を繋ぎできた、 大人数が集まれる場。 家族と生活できなくとも大学に見守られながら、人と様々な関わり方を持つ中で人の温もりを感じ自分の居場所を得る。彼らは故郷の存在を思い 配置図 1/1500 ながら、社会に出ていくことができるだろう。 A B A C C 1F PLAN S=1/200 A B ユニット間の関係 住宅内と共有リビングの関係 C A C B 2F PLAN S=1/200 2F PLAN S=1/200 隣の住宅へつながる賑わい A-A Section S=1/200 隣のユニットへ繋がる賑わい 住宅間の関係 B-B Section S=1/200 隣のユニットへ繋がる賑わい C-C Section S=1/200 バルコニーと住宅と池の関係 Elevation S=1/150
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