マイクロRNA-126 封入ナノ粒子積層ステントによる血管治療法

文部科学省橋渡し研究加速ネットワークプログラム
京都大学
B12.マイクロRNA-126封入ナノ粒子積層ステントによる血管治療法
京都大学大学院医学研究科 循環器内科学
齋藤 成達 出原 正康 渡辺 真 桑原 康秀 木村 剛 尾野 亘
京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター
池田 隆文 高谷 宗男 湯浅 浩司 清水 章 横出 正之 上本 伸二 高橋 良輔
• 調達法
プロジェクトの概要
国内企業に製造委託
冠動脈疾患に対する薬剤溶出性ステントの使
用は、再狭窄を抑制する一方で、内皮化の遅
延による遅発性ステント血栓症の危険性が指
摘されている。我々は、内皮化を促進するマイ
クロRNA-126に注目し、マイクロRNA-126を血
管内で徐放させるためにマイクロRNA-126封入
ナノ粒子積層ステントを作成した。本研究では、
ブタ冠動脈モデルで非臨床POC (Proof of
Concept)を取得し、医師主導治験への橋渡しを
する。
開発目標
①開発の最終目標
再狭窄を抑制し、かつ、内皮化を促すような冠
動脈ステントを開発・市販化し、冠動脈疾患患
者の予後を改善させる。
1000
100
• 製造元または供給元の名称
原薬製造委託:日東電工アベジア(GMP基準対応)
製品化:ホソカワミクロン
• 規格
暫定規格を設定
2015年度中に規格及び試験方法を決定する予定。
現在の進捗
• マイクロRNA-126ナノ粒子は、ヒト臍帯静脈内皮細胞
において高い細胞導入率を示した。
• ウサギ腸骨動脈モデルにおいて、再狭窄抑制効果を
示した。「マイクロRNA溶出型ステント及びそれを用い
た管腔治療」(特願2014-044463)として出願済み。
高い細胞導入率
ナノ粒子の細胞質への取り込み
(ヒト臍帯静脈内皮細胞)
(ウサギ血管平滑筋細胞)
1000
100
0
0
1nM
1nM
10nM
10nM
100nM
10
1000nM
10
②当該プロジェクトの「出口」
内皮細胞の増殖を促す作用のあるマイクロ
RNA-126封入ナノ粒子積層ステントを作成し、
ブタ冠動脈モデルにおいて、非臨床POCを取得
する。
100nM
1000nM
1
1
0 .1
0 .1
マイクロRNA126 ナノ粒子
コントロール
RNAナノ粒子
No NP
マイクロRNA-126NP
積層ステント
コントロールRNA NP
積層ステント
試験物の概要
• マイクロRNAとは21塩基程度の
マイクロRNA-126
タンパクをコードしないRNAで、
コレステロール付加27塩基2本鎖
遺伝子の転写後の発現調節に
RNA
関与しており、発生、分化、増殖、
代謝など広範な細胞機能に関
与している。マイクロRNA-126は、
内皮細胞に特異的に発現する
マイクロRNAで、内皮細胞の増
殖や炎症細胞の接着に関与す
ると言われている。
• このマイクロRNA-126を血管
内で安定的に徐放させるため
マイクロRNA-126封入PLGAナノ粒子
にコレステロール付加27塩基2
本鎖RNAを作成し、マイクロ
RNA-126に相当する配列の部
分をホスホロチオエート化した。
• さらに、このRNAをPAGAナノ
粒子に封入し、ステントに積層
することで、マイクロRNA-126
封入ナノ粒子積層ステントを作
成した。
miR-126NP積層ステント
コントロールRNA積層ステント
P value
新生内膜の厚さ (mm)
0.49 ±0.09
0.53 ±0.08
0.0290
新生内膜の面積 (mm2)
2.88 ±0.51
3.17 ±0.61
0.0020
今後の研究計画
研究開発項目
非臨床試験関連事項
ブタ冠動脈モデル
徐放化のプロファイルの詳細な解明
試験物の製造体制の構築
規制当局対応事項
マイクロRNA-126封入ナノ粒子積層ステント
治験相談
企業折衝
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