一一補遺一一 マグロ延縄漁業開発試験(平成 3年度) 青山宝蔵 調査目的 本県日本海沖を北上する中・大型クロマグロ資源を有効に利用するための漁法を開発し、沿岸漁業経 営の安定に資する。 調査内容 1 . 調 査 期 間 平 成 3年 6月-9月 2 .調 査 海 域 青 森 県 日 本 海 沖 合 3 .調 査 船試験船青鵬丸 ( 5 6トン、 D650PS10人乗り組み) 4 . 調査項目及び調査方法 ( 1 ) 漁獲試験 図 1に示したナイロンテグス製延縄漁具を使用して漁獲試験を実施した。使用鉢数は、針 3本付 5 0 鉢である。また餌は自動いか釣り機によっていか釣り操業を行い、それによって得られたスルメ イカ活餌を使用することを原則としたが、スルメイカが釣れなかった場合は、予め準備しておいた 冷凍イカを使用した。 番 号 名称 材 質 格 数量 1 浮玉 サイコラック 2 4 0 皿1 m 2個 2 浮縄 ナ ン 5本経 2m 3 幹 縄 赤色ナイロンテグス 1 5 0 号 120m ナイロンテグス 1 3 0号 4 枝縄 図 1 1鉢分漁具仕様図 イ ロ // ( 10mもの) 3本 // ( 15mもの) 3本 11 (20mもの) 3本 全体漁具仕様(1ケ統) 1鉢(120m、針 3本付) x50 鉢 (総幹縄長6 . 0 0 0 m . 総釣針数 1 5 0 本) 規 5 鮪針 カ ン 付 3 . 6 寸 ( 2 ) 漁 場 環 境 水深塩分水温計 ( STD) を使用して、表面から 100mまでの深さの水温測定を行った。 ーはー 3本 操業結果及び考察 航海毎の操業結果及びそのときの水温測定結果は表 lに示した。 6月1 8日の第 l回目の試験から 9月1 1日までの聞に、延べ 8回の延縄操業試験を行ったが、マ夕、、ロを 漁獲することはできなかった。 尾8 0 k g ,メジロザメ 2尾5 0 、8 5 k g )及びシイラ (3尾)のみで 漁獲されたものは、サメ(アオザメ 1 あった。 なお、調査実施にあたっては、北海道日本海海域の手売島周辺で操業されている漁法を導入したが、 揚縄機のベビーホーラーは、本船の規模には小さすぎたためか巻きとりがスムーズにいかず、このため イカ釣り機のドラムを利用した巻き取り方式に改めた。効率よく巻き上げるためには、更に改良の余地 があるように思われた。 0m、15m、20mの 3種類とし、船足を調整し また、マクーロの遊泳層を調査するため、枝縄の長さを 1 5%位になるよう投縄した。この短縮率の場合、釣針の水深は約28-58mの聞に ながら幹縄の短縮率を 7 垂下されることになるが、このとおりになったかどうかは確認できなかった。 7月の調査については、出航したが時化のため 1度も操業できなかった。 餌用の活イカは、釣獲されたイカをポリ水槽に収容し、ポンプアップした海水をかけ流すことにより 活力は保たれた。操業が終了し、船上に縄が巻き上げられたときでも、鈎に残った餌のイカの中には、 まだ活きているものもみられたことから、延縄用の餌として充分な活力は保たれたものと判断された。 6 1 b 法 三 、 ブ 円 、 41 ~Wケ沢 ~ u 3日 139 140 H1 図 2 操業位置図 一1 5一 H2 H3 操業を行った海域は図 2に示すとおりで、本県日本海の陸棚周辺部に相当する海域である。 層では 11-170Cであった。温度躍層の形成される深さは時 また期間中の水温は表面で 16-250C、50m 期によって異なり、 6-9月では水深40m付近にそれぞ、れ認められた。 北上期のマグロは、 om15-22C、50m8-WCで漁獲される(松坂 1981)ので水温条件については 0 問題なかったと判断される。 考 察 クロマグロは日本海を北上、南下し、西端の山口県から北端の北海道に至るまで、全域の沿岸、沖合 いで漁獲されているが、漁獲量の多いところは、日本海中・西部の島根県 新潟県及び北端の北海道で ある。 月であるが、 6月と 1 1月に漁況の山が形 日本海全体を通してみた場合の漁期は大体共通して 5月-12 成されていることから前者が北上回遊群、後者が南下回遊群であるとされている。しかし、クロマグロ の回遊パターンは成長によって変わるようであり、岡地(19 6 3 ) は大型マグロは日本海を北上したの ち、大部分は津軽海峡を通って太平洋側に抜け、一方小型のメジマグロは北海道まで北上したのち、一 部は津軽海峡から太平洋に抜けるが、他の部分は再び日本海を南下すると述べている。 7 6 ) 及び松坂(19 8 1 ) 等の漁獲物組成をみるとクロマグロ中・大型魚の分布は北海道 一方、依田(19 沖で目だって認められるが本州域では少ない。 これらは、北海道はやはり北上の末端域に相当するため、先端群から後続群までかさなって滞泳し、 濃密な群を形成することによるものと考えられる。 また、北海道沖では、大型マグロの分布が認められることから昭和田年以降マグロ延縄漁業が盛んに なり 5-10トン級の小型漁船用漁具も開発されて急な成長をとげつつある。 未満の 隣接海域のこのような現状を踏まえ、従来青森県沿岸で漁獲されているクロマク辛口が体重 7kg メジが主体となっているが、沖合いを通過する大型マグロが存在する可能性が高いこと等の理由によ り、大型マグロを対象とした延縄操業試験を試みたが、時化等で操業回数が少なかった点及び広い海域 についてまで調査が及ばなかった点等が調査の課題として残された。 参考文献 岡地伊佐雄(19 6 3 ) ・漁獲統計からみた日本海産魚族の分布構造、日水研報告(11) 依田 7 6 ) ・本道日本海のクロマグロについて、北水試月報3 3 (3) 孝(19 松坂 常弘(19 8 1 ) • E3本海におけるクロマグロの漁獲試験結果並びに漁獲状況からみたその来遊 特徴について、富山県水産試験場 マリーンランチング計画・クロマク守口(19 8 7、1 9 8 8 ) 遠洋水産研究所 昭和5 9 年度版漁具・漁法実例第 4巻 日本海北部マグロ延縄北海水産新聞社 a u 表 1 平成 3年度マグロ延縄漁業開発試験操業結果 4 3 2 操業次数 6 5 8 7 日 6 .1 8 6 . 1 9 6 . 2 5 8 .2 8 . 2 2 9 . 3 9 . 4 9 . 1 1 投縄開始 0 2 :0 0 0 1:3 0 0 2 :2 0 0 2 :3 5 1 1:2 0 0 2 :2 0 0 2 :1 0 0 2 :0 5 業 投縄終了 0 3:3 0 0 2 :3 0 0 3 :0 5 0 3 :2 0 1 2:2 0 0 3 :3 0 0 3:1 0 0 2 :4 0 時 揚縄開始 0 6 :0 0 0 5:5 5 0 5 :5 5 0 6 :0 0 1 5:2 0 0 6 :0 0 0 5:2 5 0 5 :2 0 揚縄終了 0 8 :4 0 0 7:1 5 0 7:1 0 0 7 :2 0 1 7:1 5 0 7 :5 0 0 7 :5 0 0 6 :1 5 t 支 N 4 0 4 0 4 1 0 6 4 0 5 8 4 03 8 4 1 0 6 4 1 1 9 4 1 1 6 4 0 5 7 月 操 間 操 業 位 置 各 層 7 . 1 < 温 縄 E 投縄方 0 0 0 0 0 0 0 5 1 3 9 2 8 1 4 0 0 3 1 3 93 5 1 3 9 4 5 1 3 9 5 0 4 0 0 1 3 9 2 8 1 4 0 0 3 1 0 0 0 0 0 NW NW w SE S 0 0 0 NE ENE SE Om 1 8 . 5 1 1 6 . 5 5 1 7 . 8 2 2 2 .8 0 2 4 .6 3 2 3 . 3 5 2 3 .4 5 2 3 .8 0 10m 1 7 . 4 4 1 6 . 5 2 1 7 . 8 2 2 2 .0 4 2 3 . 9 1 2 3 . 2 7 2 3 . 4 5 2 3 .0 4 20m 1 5 .2 1 1 6 . 1 7 1 5 . 8 0 2 1 .3 3 2 3 .0 1 2 1 .9 4 2 3 . 3 1 2 1 .1 9 30m 1 2 . 8 3 1 3 . 9 5 1 3 . 5 2 1 9 .7 9 2 0 .9 5 1 8 . 3 6 2 2 . 9 6 2 0 .2 6 40m 1 2 .0 4 1 1 .7 0 1 2 . 0 1 1 6 .3 8 1 9 .6 2 1 6 .4 4 2 0 .0 0 1 9 .1 9 50m 1 .5 8 1 1 1 .2 6 1 1 .1 5 1 4 . 6 4 1 7 . 8 1 1 4 . 3 3 1 7 . 4 3 1 6 . 2 1 75m 1 0 . 9 7 1 0 . 5 8 1 2 .8 8 1 4 . 3 3 1 1 .6 4 1 2 . 3 7 1 4 .3 5 100m 1 0 . 4 5 1 0 . 3 2 1 0 . 4 0 1 2 . 0 6 9 . 8 2 1 0 .7 9 1 2 . 3 9 9 0本 9 5本 1 5 0 本 1 3 5 本 9 0本 使用針数 使用餌料 漁獲尾数 備 0 考 1 5 0 本 9 0本 Ä}~; イカ AM カ イ ス ル メ イ カ A } 以 イ カ 活餌 活餌 活餌 活餌 海底深 海底深 12m 204m 冷凍イカ 1 3 5 本 一部鮮イカ ス}~メイカ AMカ イ 活餌 活餌 。 。 。 。 。 。 。 。 イ シ7 3 メ サ 2 -1 7ー ジ ロ ザ メ 7 オ ザ メ 1 メ 2
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