第13回 国際悪性リンパ腫会議 Lugano, Switzerland, June 17-20, 2015 IX “MEET THE PROFESSOR” SESSIONS を含めたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫診断における アプローチ方法 It Is Only About MYC ? How to Approach the Diagnosis of Diffuse Large B-cell Lymphomas Leticia Quintanilla-Martinez, Institute of Pathology, University Hospital Tübingen, Eberhard-Karls-University of Tübingen and Comprehensive Cancer Center, Tübingen, Germany びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) は形態学的・生物学的に不均一な疾患であり、 臨床経過も多様である。 そのため、 DLBCL特有のサ ブタイプに基づいた個別化治療への取り組みとともに、 などの予後因子の同定が進められている。 本講演ではDLBCLの分類・診断に関する 最新の知見が論じられた。 ■ 細胞起源、形態、分子的特徴から分類 では DLBCLは細胞起源から、胚中心細胞由来のGCB-DLBCLと形質 転 座がなくてもM Y C 蛋 白が高 発 現することも多 い 。 MYC/BCL2共発現は、ABC型に多く予後不良であることが報告さ 芽球由来のABC-DLBCLに分類され(図1)、ABC型は予後不良で れた一方で6)、細胞起源とは独立した予後予測因子であることも示さ ある。GCB型ではt(14;18)転座が30∼40%に、ABC型では れている (図2)。 BCL6転座が25%と比較的高頻度に認められる。 ■ 2016年改訂WHO分類:Double Hit Lymphomaと GCB型・ABC型の位置付け また、形態学的には胚中心芽球型、免疫芽球型、未分化型に分類さ れ、免疫芽球型の90%超はABC型で予後不良である。最近報告され たCD5陽性DLBCLは、BCL2が過剰発現し、STAT3およびNF-κB D L B C L とB u r k i t tリン パ 腫 に は 中 間 型 が 存 在 す るが 7 ) 、 が活性化しており予後不良である 。一方、CD30陽性DLBCLは、 aggressiveリンパ腫として遺伝子変異パターンに共通性があること MYC/BCL2共発現の頻度が低く、p21発現頻度が高く、 から、 1) 異常 転座およびBCL2またはBCL6の陽性例を “Double Hit は検出されず予後良好である2)。 Lymphoma” と定義することがClinical advisory committeeより DLBCLの細胞起源、分子的特徴は関連している。MYC、BCL2は 示されている。WHO分類第4版は2016年に改訂予定であるが、第 細胞起源にかかわらず発現が認められるが、CD10、BCL6はGCB型 4版の「B細胞リンパ腫、分類不能型:DLBCLとBurkittリンパ腫の中 で、IRF4/MUM1、FOXP1はABC型で発現頻度が高く、 これらの 間型」 を 「high grade B細胞リンパ腫、非特定型」 とし、Double Hit Lymphomaおよびそのほかの2つに分類すること、 またDLBCLの 発現パターンから細胞起源を同定できる3, 4)。 ■ サブタイプにGCB型・ABC型を追加することが提案されている。 転座は強力な予後予測因子 1) Xu-Monette ZY, et al. Oncotarget 2015; 6: 5615-5633 転座はDLBCLの5∼10%に認められ、R-CHOP療法施行 例において 2) Hu S, et al. Blood 2013; 121: 2715-2724 再構成を有する場合は予後不良であることが報告さ れている5)。 3) Meyer PN, et al. J Clin Oncol 2011; 29: 200-207 4) Visco C, et al. Leukemia 2012; 26: 2103-2113 検査は重症、中枢神経浸潤、骨髄浸潤など症例を選 5) Savage KJ, et al. Blood 2009; 114: 3533-3537 んで行うことが望ましく、検査にはFISH法を用いる。Burkittリンパ腫 では、MYC蛋白高発現と 細胞起源と遺伝子変異 図1 6) Hu S, et al. Blood 2013; 121: 4021-4031 7) Hummle M, et al. N Engl J Med 2006; 354: 2419-2430 転座に相関が認められるが、DLBCL MYC/BCL2共発現が予後に及ぼす影響 図2 MYC/BCL2非共発現例 100 (%) 細胞起源 80 T細胞 メモリーB細胞 FDC ナイーブ B細胞 胚中心芽球 40 0 形質芽球 GCB-DLBCL 胚中心前 60 20 胚中心細胞 ABC-DLBCL 形質細胞 胚中心後 胚中心 無増悪率 ダークゾーン 無増悪率 Ag 5年 % ABC 58 分類不能 63 GCB 79 Log-rank ABC vs. GCB p<0.001 HR 2.7(95% CI:1.8 - 6.4) 0 2 4 6 148 28 51 121 22 30 90 13 26 67 78 18 8 10 12 38 6 13 15 5 8 4 2 1 期間 ABC DLBCL 0 (年) GCB DLBCL GCET1 FOXP1 LMO2 CD138 t(14;18) BCL2 t(8;14) MYC 60 40 20 0 5年 % ABC 44 分類不能 40 GCB 64 Log-rank ABC vs. GCB p=0.11 HR 1.7(95% CI:0.9 - 2.9) 0 2 4 6 36 10 57 24 4 31 18 4 21 10 4 11 分類不能 DLBCL 8 10 12 7 2 6 5 1 2 1 0 2 8 10 12 13 6 8 2 1 2 期間 14 (年) ABC型 80 無増悪率 IRF4/MUM1 無増悪率 BCL6 40 100 (%) 5年 % MYC/BCL2 共発現 64 MYC/BCL2 非共発現 79 Log-rank p=0.02 HR 2.1(95% CI:1.1 - 5.5) 0 2 4 6 148 36 121 24 90 18 67 10 60 40 20 8 10 12 38 7 15 5 4 1 期間 MYC/BCL2非共発現例 提供: 14 GCB型 100 (%) 60 20 80 CD10 MYC/BCL2共発現例 100 (%) 80 14 0 (年) 5年 % MYC/BCL2 共発現 44 MYC/BCL2 非共発現 59 Log-rank p=0.30 HR 1.3(95% CI:0.8 - 2.2) 0 2 4 6 51 57 30 31 26 21 18 11 期間 14 (年) MYC/BCL2共発現例 この資材は学会の最新情報を掲載しています。掲載されている薬剤の使用に あたっては各薬剤の添付文書を参照ください。
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