05−13−14(1) 事例NO.05−13−14 被爆防護技術を用いて原子力発電所の保守点検工事の受注 会 社 概 要 会社名(団体名) 株式会社 ジェイテック 代表者名 吉浦 孝典 (50才) 所在地:東京都 品川区 会社創業時期: M・T・S・H 37年2月 建設業としての主な業種(複数回答可) □総合工事業(□土木 □建築) □専門工事業(具体的に プラント建設業 ) □建設関連業(□測量 □地質 □設計 □その他) □建設業団体・組合等 □その他(具体的に ) 建設業としての主要受注先(複数回答可) □国、公団等の国の機関 □都道府県及びその機関 □市町村及びその機関 □民間発注者 □官公庁工事の下請 □民間工事の下請 □その他(具体的に ) 建設業許可番号:東京都知事(般12)第011128号 役職員数 21人 (うち建設業従事 約18人) 資本金額: 40百万円 直近年度の売上高: (注)新分野進出が子会社等の別会社方式の場合には、本体の建設会社の情報を記述 新分野・新市場への取組又は先進的な取組の概要 取組分野 (複数回答可) 取組の類型 (複数回答可) 事業の段階 取組体制 (複数回答可) 工業所有権の有無 □リフォーム・リニューアル (□住宅、□非住宅建物、□その他) □環境分野(□土壌汚染浄化、□廃棄物処理、□省エネ、□リサイクル、□解体 □緑化、□その他) □農林水産業、□福祉(□介護、□その他) 、□運輸、□物品販売 □その他(具体的に 原子力発電所高被爆重要機器点検・改造工事 ) □新製品の開発、□新技術・工法の開発、□既存技術の応用、□販路の開拓 □仕入ルートの開拓、□既存人材の有効活用、□IT の活用、□遊休地の活用 □余裕資金の活用、□コストダウン、□財務力の強化 □その他(具体的に 専門熟練工の育成確保 ) □調査検討段階、□準備段階、□着手段階、□事業展開段階(既に展開している) □自社単独(□子会社、□別会社設立、□その他) 、□フランチャイズ □協力会社方式、□共同出資会社の設立、□合併・吸収分割、□組合組織活用 □業務提携(同業又は関連業種と) 、□異業種連携、□ネット上での連携 □産学連携、□上記以外の組織からの技術・ノウハウの導入 □その他(具体的に ) □特許権取得(申請中) 、□実用新案権取得(申請中) 、□取得は考えていない 問い合せ不可 05−13−14(2) 取 組 内 容 の 詳 細 1.新分野・新市場への取組又は先進的な取組等(以下「当該取組」という。 )のテーマ 被爆防護技術を用いて原子力発電所の保守点検工事の受注 2.当該取組の内容 東京電力㈱等が採用している沸騰水型原子炉の最重要機器である原子炉制御用の制御棒駆動機構 (CRD)等の点検工事は、自動化やロボット化が将来的にも非常に難しく、原子炉からの放射線 被ばくを多量に受ける工事である。 現社長と常務取締役は大学卒業後、大手プラント建設会社で放射線被ばくの防護とそのコントロ ールを専門に行なう職務に 10 年程度従事した経験を持っていた。 社長就任後、従来の業務で付き合いのあった企業を独占的下請会社とし、 「被ばく防護のノウハウ とIT化」ならびに「専門熟練工の確保」でアライアンス化を図り、某原子力メーカから当該取組 をほぼ独占的に確保する受注戦略を展開し、現在はその目標を達成し売上高を毎年右肩上がりで伸 ばしている。 3.当該取組との出合い又はアイデア発案の契機 当該企業は創立以来約 30 年の間、火力・原子力発電所の建設工事を2次下請として受注してきた が、ここ数年の受注工事減少と請負単価の低下に悩まされ、また同業他社との差別化ができる技術 も乏しかった。 現社長と常務取締役は就任後、社会インフラにおける原子力発電の将来性を鑑み、同業他社の中 小下請建設会社が不得意とする高度な放射線防護技術を習得してきたことに自信を持っており、ま た当該取組に必要不可欠な専門熟練工をOJTの中でスパイラルに育成できるシステムの確立を独 占的下請会社との間で確認できたことから、従来からの業務範囲を大きく転換し会社の存亡をかけ て進出した。 4.社長の役割と社内の実行体制 社長は当該取組に着手した当初は現場で陣頭指揮をとり、受注元の信頼を確保する事に専念して きたが、現在の当該取組が成長期である事に満足せず、更に将来的に有望な新分野進出を探求した。 その結果、最近既存技術の応用を生かしての有害化学物質処理施設の建設工事の受注に成功してお り、その陣頭指揮に専念している。 当該取組は国内に数箇所の現場があり、取締役以下会社幹部が直接現場に張付いて指揮をとって いる。 5.従業員教育、新規の人材確保等の方法 放射線防護担当者の育成は、某原子力メーカの原子力発電所定期検査時(3ヶ月/年)にそのメ ーカ等に出向させ実務技術を習得させる一方、そのメーカの専門研修コース(1週間)に参加させ、 また自己啓発の奨励として国家試験にチャレンジさせている。 専門熟練工の育成は定期検査時に受注した工事でのOJTを中心に実施している。 05−13−14(3) 人材育成費用の自己負担は中小建設会社では経営的に非常に厳しいものがあり、当該企業では、 請負った工事の中でのOJTと受注先企業への出向による費用負担軽減を展開している。 ここ数年は工事及び放射線防護担当者として、20 歳代を中心に1∼2名程度を毎年中途採用して きたが、平成 14 年度は初めて学卒者1名を放射線防護担当者として採用している。 6.事業化までに至る間で苦心した(苦心すると思われる)こと、及び成功の要因 専門熟練工を保有する独占的下請会社は、従来別の原子力メーカ傘下で当該取組を行なっていた 中小建設会社の一つであり、その会社を専属で下請として使用することに対し、某原子力メーカの 当該取組工事年間作業高を1社で対応処理する為の専門熟練工不足に関して、受注先企業の信頼を 得るのに苦心した。 この信頼を得る為に、当初は社長と取締役以下社員全員が受注工事現場で専門熟練工不足を補う ために直接作業に従事して対応した。 資金繰り面では、受注先企業が一部上場企業であり銀行の信頼性も大きく、当初の融資に対する 説得にそれほどの困難は発生しなかった。 成功の要因は、将来的にも自動化やロボット化が難しく、高度な放射線防護技術と専門熟練工が 必要不可欠なニッチ分野に戦略目標を設定した事と、その為の人材育成を継続し、信頼性の確保に 努めていることである。 7.相談・助言、情報収集等の相手先。外部組織と連携した場合は相手先との連携形態 受注先企業の工事部門や某原子力メーカの設計部門に社員を業務出向させ、最新機器の点検技術 や放射線防護技術の相談・助言を受けている。業務出向させる事により、相談・助言、情報収集等 の為の人件費を最小限に抑えている。 外部組織との連携は当該独占的下請会社以外には行なっていない。 8.当該取組の主たる顧客(活動領域)等 某原子力メーカのグループ企業であるプラント建設会社(一部上場企業) 。 9.当該取組の差別化等のポイント ①放射線防護技術を持った人材の確保育成(社員中心に展開中) 。 ②専門熟練工の育成確保。独占的下請会社に対し十分にサポートし(OJTに発生する人件費は、 双方が納得できる範囲で工事従事人工費用として補償している。 ) 、従属関係の信頼性を強固なま でに確立している。 ③当該取組の工事施工に関しては、某原子力メーカ等に社員を出向させることで元請会社レベルの 工事施工デザインレビュー技術を保有している。 10.当該取組への投資額及び必要資金の調達法 非公開 11.当該取組に係る事業のスタートから現在までの売上及び利益の推移 05−13−14(4) 非公開 12.当該取組の大きな成果と思われるもの 同業他社が追従出来ない技術力を保有したことにより、現社長及び常務取締役が就任する以前の 従来型中小建設業の特色であった現場作業施工のみの体質から、高度な施工技術を駆使した元請発 注にも対応できる体力をつけた事である。また、売上高も2∼3倍に飛躍してきている。 13.今後の課題と解決方針 原子力発電所については現在いろいろな問題が出てきており、また電力事業参入の自由化や世界 的な原子力発電所の閉鎖処置等、今後とも原子力業界の発展が持続していくことが必ずしも保証さ れていない。 現社長は、当該取組で得た経験から、高度な技術力と専門的な熟練工を必要とするニッチな新規 進出分野として、環境分野に注目しており、既に平成 13∼14 年にかけて初めて有害化学物質処理設 備のプラント建設を受注し工事完成に至っている。 ただし、この分野での保守点検・改良工事には、高度な化学的技術力や関係国家資格者等の人材 を確保しなければ、当該取組のような他社を追従させない独占的エクセレントカンパニーに発展さ せることは難しい。人材開発育成が大きな問題解決となっており、現在この問題解決方法について 検討中である。 14.公的助成・支援制度の活用状況(これら制度の改善要望などもあれば併せて記述) 非公開
© Copyright 2024 ExpyDoc