J P M A 2015年3月号 No.166 N E W S L E T T E R Topics|トピックス 「環境報告書2014」 を発刊 製薬協では2014年12月に 「環境報告書2014」を発行しました。会員会社をはじめ、環境省などの行政機関、環境 NGO、業界団体、マスコミ関係、大学などの研究機関に配布するとともに、環境報告書などの無料請求サイト 「エコほっ とライン (http://www.ecohotline.com/)」 を通じてご希望の方に幅広く無償で提供しています。また、製薬協ホーム ページにもこの報告書のPDFを掲載しています (http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/eco/eco2014.html)。 環境報告書が目指すこと 製薬協 環境安全委員会は、地球温暖化対策、環境、安全衛生の3つの専門部会を中心に、さまざまな社会の要請や会 員会社が直面する課題に対して重要なテーマを設定し、継続的・自主的に活動しています。同委員会は環境報告書を、これ らの活動内容や実績を広く社会に向けて積極的に公表し、多様なステークホルダーに製薬企業の環境保全活動や労働安全 衛生への取り組みの現状を理解していただくための重要な手段と考えています。 2014年度版の特徴 今回で16号目となる2014年度版では、環境安全委員会の組織体制や行動計画と その実績を報告するとともに、専門部会や各部会に設けられた研究会や分科会に おけるさまざまな活動を紹介しています。また、経団連の低炭素社会実行計画お よび環境自主行動計画(循環型社会形成編)のフォローアップについて、協働して いる日本製薬団体連合会(日薬連) との連携や開催した講演会、セミナー、各種研 修会の概要なども掲載しています。 環境報告書の概要 1. 地球温暖化対策 製薬協 環境安全委員会は、2013年度から開始した経団連低炭素社会実行計画 に日薬連の一員として参加し、策定した目標「2020年度の製薬企業のCO2排出量 を、2005年度を基準に23%削減する」に向けた活動を推進してきました。工場・研 究所を対象として2013年度実績を調べた、2014年度のフォローアップ調査には、 製薬協を含む日薬連の業態別9団体90社が参加しました。2013年度のCO2排出量 「環境報告書2014」表紙 は181万トンで、基準年度である2005年度の排出量237万トンに対して56万トン(24%)の削減、前年度比では9万トン(5%) の削減となりました。地球温暖化対策を2005年度以降実施しなかったと仮定すると2013年度のCO2排出量は281万トンと見 込まれ、これと比べると削減量は100万トン、電力と化石燃料の炭素排出係数変動の影響を除いた実質的な削減量は70万 トンとなります。 2. 省資源・廃棄物対策 2011年度から新たな目標「2015年度の産業廃棄物最終処分量を、2000年度を基準に65%程度削減する」を設定し、廃棄 物削減に向けた取り組みを継続しています。なお、昨年までは製薬協会員会社の取り組みについて報告していましたが、 本報告書では環境自主行動計画(循環型社会形成編) フォローアップとして経団連へ報告する内容と調査対象範囲を統一す るため、日薬連傘下4団体の取り組みについて報告しています。2013年度の最終処分量は2012年度実績から約2千トン減少 し、約5千トン(2000年度比83%減) となりました。この2013年度実績ですでに目標を達成したことになりますが、今後、生 産量などの増加などが見込まれます。このため、目標の最終年度である2015年度においても、数値目標の継続的な達成は JPMA NEWS LETTER 2015 No. 166 Topics|トピックス 「環境報告書2014」を発刊 1/2 J P M A N E W S 2015年3月号 No.166 L E T T E R 「 環 境 報 告 書 2 0 1 4 」を 発 刊 Topics|トピックス もとより、より高いレベルで最終処分量の削減に取り組む必要があります。また、本報告書から、廃棄物の発生から中間処 理、再資源化、そして最終処分までのフロー図を掲載し、各段階のデータを示すことにより、より理解しやすい内容としまし た。 3. 化学物質管理 有害性のあるPRTR[1]物質、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、VOC)など101種類について、取扱量と 環境への排出量の調査結果を報告しています。会員会社におけるPRTR物質の環境への排出量(ほとんどは大気排出)は着実 に減少してきており、2013年度の排出量は2002年度に比べて80%削減されました。2009年度からはじめたVOCの大気排出 量の前年度実績調査でも減少傾向を示しています。また、 「プロセス安全研究会」 (2007年度発足)および「高薬理活性物質取 り扱い分科会」 (2013年度発足)の活動概要を報告しています。さらに、関心が高まっている生物多様性保全について、研修 会開催を中心にした取り組みを紹介しています。 4. 労働安全衛生活動 会員会社の従業員が、心身ともに健康で安全に仕事に打ち込める職場環境(営業車両運転を含む)を構築できるよう、労 働安全衛生に関する会員会社の取り組みについて、幅広く調査した結果を掲載しています。労働災害事故の発生(頻度およ び重篤度) と型分類(転倒、巻き込まれ、交通事故など)を休業災害だけでなく、不休災害を含めた調査結果を記載しました。 また、「営業車両事故防止研究会」の中で、営業車両の交通事故状況と安全対策の取り組みなどの調査結果をまとめ、事故 防止への課題として挙げられている 「新卒MRの事故」 と 「事故多発者」に焦点をあてた調査・分析を行っています。さらに、直 属上司による指導面接で、運転停止期間を設けることや自動車教習所に通わせることも多くの会社が取り入れ、効果を上げ ていることを述べています。 5. 社会との調和 製薬協は、日薬連と連携して地球温暖化対策や省資源・廃棄物対策などの環境課題に取り組むとともに、経団連と連携し て自主行動計画や医療廃棄物対策などの製薬業界固有の環境課題にも取り組むことにより、法的・社会的な要請に応えてい ます。日薬連環境委員会の役割、事業計画(重点課題)、取り組みの現状、そして、2013年度から開始した日薬連「低炭素 社会実行計画」の概要を記載しています。さらに、日薬連環境委員会に参加している製薬協以外の団体のうち、日本OTC医 薬品協会(OTC薬協)および日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の取り組みも紹介しています。 以上のほかに、開催した環境安全講演会、セミナー、技術研修会の概要、および環境委員会(環境安全委員会の前身)の 設置から最近までの「環境保全・安全衛生活動の歩み」を掲載しています。 (環境安全委員会 登坂 晃之) [1]化学物質排出移動量届出制度(Pollutant Release and Transfer Register)。有害性のある化学物質を製造・使用している事業者が環境(大気・水域・土壌など) 中への排出量、および廃棄物の移動量を把握・届出し、行政機関がそれらを集計し公表する仕組みのこと。 JPMA NEWS LETTER 2015 No. 166 Topics|トピックス 「環境報告書2014」を発刊 2/2
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