J P M A 2015年1月号 No.165 N E W S L E T T E R Topics|トピックス 「バイオジャパン2014」開催・参加報告 -アジア製薬団体連携会議(APAC)の創薬連携に関する活動について- バイオジャパン2014ワールドビジネスフォーラムが2014年10月15日~17日にパシフィコ横浜で開催されました。多数 のセミナーやアカデミックシーズ発表会、バイオベンチャー中心の発表の場が企画されました。製薬協も主催団体の 一つとして参加し、製薬協会員会社の方々が発表するとともに、多くの会社・団体がアライアンスブースを出展し、アカ デミアやベンチャーなどと面談するなど、活発な交流が行われました。今回、製薬協ではアジア製薬団体連携会議(以 下、APAC)の創薬連携に関するセミナーを企画するとともに、アジアからの参加者と意見交換の場を設けて活用しまし た。 バイオジャパンはわが国の国際バイオ総合イベントであり、2014年で16回目を迎えました。バイオインダストリー協会を 中心に、製薬協を含めた9団体からなる組織委員会の主催で、多数のセミナーやアカデミックシーズ発表会、バイオベン チャー中心の発表の場を通して活発な交流がありました。アカデミア、バイオベンチャー、バイオクラスター、行政関係者、 製薬・化学・食品などの各企業などから多くの参加があり、また、出展・パートナリング参加企業数678社(うち海外から208 社)、面談成立数は5,801件と、過去最大規模でアジア最大級のマッチングイベントとなりました。主催者セミナーなど多く の企画がありましたが、ここではAPACの創薬連携に関するワーキンググループ(以下、WG)の活動を報告します。 APAC創薬連携WG企画の公開セミナー 製薬協は2012年に、『革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける』をミッションとしたAPACを設立し、規制許認可 と創薬連携に関する2つのWGを中心に活動しています。 創薬連携WGでは、 (1)情報共有、 (2)ネットワーキングの場の設定、 (3)創薬の能力向上、という3つの柱で活動を進めてお り、今回、オープンイノベーションを進めたい関係者が多く集まるバイオジャパン2014(第2日目)において、創薬連携WG 主催の「Capacity building(能力向上)セミナー」を開催しました。 モデレーターの吉松賢太郎氏(バイオ医薬品委員会委員長、エーザイ)のもと、オープンイノベーションの成功例としてア クテムラの研究(土屋政幸氏、中外製薬)、韓国における創薬の初期研究への投資(Dongho Lee 氏、韓国 KDDF)、台湾に おけるオープンイノベーションを活用した創薬づくりの枠組み(Wei-Kuang Chi 氏 、台湾 DCB)、タイにおける創薬の取り組 み(Nares Damrongchai 氏、タイ TCELS)、ならびに、創薬における研究者の育成(礒田博子氏、筑波大学 教授)の講演が あり、その後パネルディスカッションが行われました。能力向上におけるオープンイノベーションと共同研究の役割、創薬 創薬に向けた「Capacity building(能力向上) セミナー」の様子 JPMA NEWS LETTER 2015 No. 165 Topics|トピックス 「バイオジャパン2014」開催・参加報告 1/3 J P M A N E W S 2015年1月号 No.165 L E T T E R 「 バ イオジャパン 2 0 1 4 」開 催・参 加 報 告 Topics|トピックス 推進のための投資と出口戦略、研究者の育成に おける課題、オープンイノベーションという考え 方を能力向上に活かすこと、創薬能力の向上へ の政府の関与などについて、時間は短かったも のの、率直な発言が続きました。アカデミアな どが保有する外部の情報や基になる化合物を利 用して企業が薬に創り上げるというプロセスの中 で、創薬の能力向上というのは時間がかかり明 快な解はないものの極めて重要なことである、 創薬に向けたCapacity building(能力向上) セミナー パネルディスカッションの様子 との共通認識のもとで盛んな意見交換が行われ ました(参加者は約80名)。 そのほかのAPAC創薬連携WG活動 1. 武田薬品工業 湘南研究所ならびに協和発酵キリン 東京研究センター見学(バイオジャパン開催前日) APAC創薬連携WGのアジア各国メンバーの「創薬に関して日本に学びたい」 という強い要望を受け、今回、バイオジャパ ン会場近くに研究所をもつ武田薬品工業と協和発酵キリン2社の好意によって研究所見学が実現しました。台湾 15名、タイ 4名、マレーシア 2名、韓国 1名、これに日本から4名が加わり総勢26名で、広大な敷地で最新の設備を誇る武田薬品工業 湘南研究所ならびにバイオ医薬品に特色のある協和発酵キリン 東京研究センターを見学しました。アジア各国の皆さんは2 つの研究所の規模、レベルの高さなどに圧倒されたようでした。 2. 事業開発パートナリングセッション (バイオジャパン第1日目) APAC参加各国のアカデミアやベンチャーと製薬企業事業開発担当者とのネットワーク構築を目的に、事業開発パートナ リングの機会が設けられました。 本セッションではAPAC創薬連携WGリーダーの渡辺敬介氏からWG活動について説明があり、続いて韓国(Lee氏)、マ レーシア (Jay Padasian氏)、台湾(Shan Chi Ku氏)、タイ (Nares氏)の各国の状況が説明されました。その後、日本企業の 会社情報を共有したうえで、意見交換・ネットワーキングの実践の場となりました。日本から13社21名、海外企業・アカデミ アから15団体20名が参加し、各出席者が自分の興味に応じて相手を探し、会議室内の至る所で各々意見交換が行われると いう状況になりました。各国の全体的な状況把握、各国の個別案件の情報など、参加者のニーズは多様と思われますが、 参加者の多くが熱のこもった会話を行っているように見受けられました。参加者に後日アンケートを送り、これを機にお互 いに情報交換を密にしていこうというあいさつで閉会しました。 APAC創薬連携WG事業開発 パートナリングの様子 意見交換の様子 JPMA NEWS LETTER 2015 No. 165 Topics|トピックス 「バイオジャパン2014」開催・参加報告 2/3 J P M A N E W S 2015年1月号 No.165 「 バ イオジャパン 2 0 1 4 」開 催・参 加 報 告 L E T T E R Topics|トピックス このほか、バイオジャパン第3日目には、創薬連携WGの全体会合を行いました。出席者は、海外からの電話参加の3名 を加え17名を数えました。アジアからの創薬という壮大な目標に向かって進もうとしている中、以上のように、オープンイノ ベーションの具体的な促進の「場」 としてバイオジャパン2014を活用することができました。 創薬連携WGの全体会合の様子 今回はAPAC創薬連携に関する活動報告に絞った報告となりましたが、大きなセミナーが多い中、展示場フロアでは大学 の出展とミニ発表会の場も多く、参加者が積極的にバイオジャパンを活用しているように思われました。比較的大規模で開 催されるバイオジャパンが産学官連携においてさらに大きな役割を果たすことが期待されます。 次回の「バイオジャパン2015」は 2015年10月14日 (水)~16(金)、パシフィコ横浜で開催されます。 (研究振興部 吉田 博明) JPMA NEWS LETTER 2015 No. 165 Topics|トピックス 「バイオジャパン2014」開催・参加報告 3/3
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