市場環境レポート 2015年8月

CELEB RATI NG 40 YE ARS
2015 年 8 月
市場環境レポート
本書はモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのグローバル・マルチ・アセット・グループが作成したレポートを邦訳したものです
この夏を振り返って
本レポート 6 月号にギリシャ危機に関して述べていたが、そ
れ以降どのような変化があったか
して 2015 年の現在も、中国政府は政策目標達成のため、国
民の財産を増やすため、そして主な国有企業のエクイティ
ファイナンスを可能にするために市場機構(ここでは株式
市場)を利用する政策を継続した。エクイティファイナン
6 月は、グレグジット(ギリシャ離脱)が現実のものとなる
かどうかを様子見している段階であり、ギリシャの動向が
議論の中心となり市場を支配していた。その後実施された
国民投票では、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、
欧州中央銀行(ECB)が提案した金融支援策の条件に反対
票を投じたことから、IMF に対する返済が滞る結果となっ
た。国民投票から 3 日後、ギリシャ政府は 3 年間の金融支
援策を正式に申し入れ、経済政策の徹底的な見直しを約束
した。
8 月 20 日、アレクシス・チプラス首相は、自党の造反者に
より党内の過半数を確保できず、自らの辞任と総選挙の早
期実施を発表した。チプラス首相は、次の総選挙でも引き
続き急進左派の SYRIZA を率いるが、離党者が結成した新
政党「Popular Unity」の挑戦を受けることになるだろう。当
然ながら、この状況を受けてグレグジットへの懸念が再燃
している。世界市場を揺るがしている中国情勢からの影響
も考えれば、今言えることは、今回のギリシャ危機が回避
できたことは、それが新たなギリシャ神話になるというこ
とだ。
中 国 の バ ブ ルがは じ け たと見 ら れ 、 世 界 市 場 に影 響 を 及 ぼ
している。発生の経緯は?
過去 30 年間で、中国は社会主義経済で市場機構を利用する
枠組みを創り上げ、これを中国式社会主義と称している。
その目標は、重要な政策イニシアチブを達成しながら、よ
り効率的にリソースを配分することであった。以前はこの
手法が機能した。2008 年には中国政府が銀行システムを通
スを成功させるため、いわゆる「コンセプト企業」の IPO
が個人投資家に魅力的な条件で提供され、その結果コンセ
プト企業の資本は強化され、政策目標は推進されてきた。
しかしながら、市場をコントロールすることはあまりにも
多くを求めすぎだ。政府の目標が、バリュエーション水準
や投資家センチメントといった市場を浮揚させる要因と一
致する場合はうまく機能するが、現在のケースのように一
致しない場合は、中国政府は大きな課題に直面することに
なる。
長期投資家にとって足元の損失の一部は評価損となるだけ
だが、投資家の心理的不安は解消されていない。また、ピ
ーク時に株式を購入し、実現損に苦しむ投資家もいるだろ
う。中国の投資家のおよそ 80%が個人投資家だといわれて
おり、これらの損失によって、個人投資家はとりわけ自動
車などの高額商品の消費を減らすだろう。コモディティ、
高級品、自動車などの分野では中国の輸入が重要な部分を
占めていることを考えると、この影響は中国経済だけでな
く、より広く世界経済に及ぶだろう。中国市場の脆弱さは
FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げのタイミング
を遅らせる可能性もある。
現在の状況の根底には何かテーマがあるのか
あると考えている。現在私たちが目にしている市場の動向
を大局的に捉えれば、極めて長期間にわたって(議論の余
地はあるが 1973 年の石油輸出禁止措置以降)機能してきた
経済構造の解体であるといえる。
じて 6,000 億米ドルの資金を注入し景気浮揚に成功した。そ
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2015 年 8 月
市場環境レポート
1973 年、石油輸出国がその輸出品価格(当時は原油)の決
ラス要因が貢献し、第 2 四半期は幅広い分野で加速してい
定権を実質的に掌握した。これにより石油輸出国の経済力
るとの見解を示した。8 月初め、米サプライマネジメント協
に変化をもたらし、莫大な資本フローを蓄積し、外貨準備
会(ISM)が発表した 7 月の米製造業購買担当者指数(PMI)
金を積み上げるようになった。この経済構造により石油輸
は、6 月の 53.5 から 52.7 にやや低下した。ISM は、雇用の
出国機構(OPEC)加盟国は莫大な外貨準備金を積み上げ、
伸びはやや鈍化しているが、新規受注と生産はいずれも拡
大きな不均衡をもたらした。
大しているとの見方を示した。米国勢調査局が発表した 6
やがて、工業製品を製造する輸出国も輸出品価格の決定権
という経済支配力を獲得した。これは石油市場のときほど
劇的なものではなく、グローバルに事業展開する企業に製
造拠点を新興国市場に置くよう促すことで実現した。新興
国市場に製造拠点を置く魅力は、充分なスキルを備えた労
働力が低コストで確保できるうえ、輸送費を考慮してもな
お生産コストが安いことにあった。
月の小売売上高は 4,420 億米ドル(季節調整済み)で、前月
比は 0.3%増、前年同月比では 1.4%増となった。米労働統計
局(BLS)が発表した 6 月の非農業部門雇用者数は 21 万
5,000 人増加し、失業率は 5.3%と変わらずであった。「雇用
者数は、小売、ヘルスケア、専門職、テクニカルサービス、
金融で増加した」。BLS は消費者物価指数(CPI)も発表し、
6 月のインフレ率は前年同月比 0.1%(季節調整前)であっ
た。また、食料品とエネルギー価格を除くコア指数はプラ
2008 年以前は、先進国が新興国から製品とサービスを購入
ス 1.8%であった。
し(圧倒的に製品の方が多かったが)、新興国の預金者か
ら借り入れた資金で支払うという不均衡な構図が世界的に
広く見られた。例えば、中国の外貨準備高は 3 兆米ドルを
超えていたが、その大部分は米国債という形態での米国へ
の貸付であった。貿易と資本フローのこの不均衡が、2008
年の金融危機およびその後のいわゆる「大不況(グレー
ト・リセッション)」の要因であったとアナリストたちは
考えている。
7 月 29 日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の
議事録は、米国の経済活動が緩やかに拡大していると強調
した。「家計支出は緩やかに拡大し、住宅部門ではさらな
る改善がみられた。だが、企業の設備投資と純輸出は引き
続き軟調であった。労働市場では、雇用者数が着実に増加
するとともに失業率が低下して、改善が続いている」。
FOMC は、フェデラルファンド金利について、労働市場に
一段の改善がみられ、インフレ率が中期的に目標の 2%に戻
最近の市場動向で注目すべき点は、先進国が、新興国から
るとの確信を得られるまで、誘導目標を現行水準の 0.00~
借り入れた資金で新興国から購入した製品の代金を支払う
0.25%に据え置くと繰り返した。8 月初め、アトランタ地区
というこの構図が崩壊してきていることだ。主要な新興輸
連銀のデニス・ロックハート総裁はウォール・ストリー
出国の外貨準備高は減少し、実質的な経済力は先進国に戻
ト・ジャーナル紙のインタビューで、9 月の利上げは「適切
ってきている。
だ」との見解を示した。
この流れは、長期間にわたって続いた不均衡を正すという
意味では長期的には好ましいものであろうが、短期的には
株式
著しいボラティリティを創出する。さらに、こうした不均
7 月、米国の主要株式指数は上昇した。例えば、MSCI 米国
衡がそうすぐに修正されるとも思えないことから、今後し
株式インデックスは 1.88%上昇した。直近の指標は、製造
ばらくは市場のボラティリティが高まると予想すべきだろ
業とサービス業がいずれも、雇用を着実に創出しながら順
うし、投資家も警戒すべきだろう。投資機会は生じるだろ
調に成長していることを示唆した。
うが、迅速な判断が不可欠となる。
米国
債券
7 月の米国債市場は堅調なものとなった。利回りは、5 年債、
10 年債、30 年債でそれぞれ 12bps、17bps、22bps 下落した。
経済
7 月下旬に米商務省経済分析局(BEA)が発表した速報値に
よれば、2015 年第 2 四半期の米 GDP 成長率は前期比 2.3%
増であった。2015 年第 1 四半期の GDP 成長率の改定値は年
率換算で前期比 0.6%増であった。BEA は、個人消費支出、
投資家のセンチメントは、超低インフレ下で景気はさらに
拡大する(そして、それに伴い歳入も増える)との見通し
に後押しされた。米国の金利上昇を見越してか、米ドル建
てのクレジットはややアンダーパフォームし、特に格付け
が BBB 以下の債券では顕著であった。
輸出、州政府や地方政府の支出、住宅設備投資といったプ
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2015 年 8 月
市場環境レポート
欧州
イングランド銀行(BoE)金融政策委員会は 7 月初旬と 8 月
初旬に開催された会合で、バンクレートを 0.50%に、また
経済
資産買い取りプログラムの購入枠を 3,750 億ポンドに据え置
経済指標の多くはユーロ圏経済が引き続き全般的に改善し
いた。しかし、8 月初旬の会合では、同委員会メンバーのイ
ていることを示していた。マークイット社が発表した 7 月
アン・マカファーティー氏が 25bps の利上げに賛成票を投
の製造業 PMI は、6 月の 52.5 から 52.4 へとわずかに低下し
じた。その理由は、全体として、中期インフレ率の見通し
た。ギリシャの PMI は史上最低の水準に低下したが、ユー
に対するリスクが、利上げを正当化できるくらい上向いて
ロ圏各国の 7 月の業況は、フランスを除いて拡大した。イ
いるためとした。また、同氏は、バンクレートの緩やかな
タリアの製造業 PMI は 51 カ月ぶりの高水準まで上昇した。
引き上げ開始時期を先延ばしすれば、より大幅な引き上げ
EU 統計局が発表した 2015 年第 1 四半期の GDP 改定値は、
を迫られるリスクが高まる可能性も示唆した。全メンバー
ユーロ圏も EU 全体も前期比 0.4%増であった。前年同期比
は、当面の間、バンクレートが過去の平均水準を下回る状
では、ユーロ圏が 1.0%増、EU 全体が 1.5%増となった。5
況が続くだろうとの見解では一致した。
月のユーロ圏鉱工業生産指数は前年同月比 1.6%上昇し、EU
全体では同 2.0%上昇した。EU 統計局が発表した速報値に
株式
よれば、7 月のユーロ圏の年間インフレ率は 6 月と変わらず
7 月の MSCI 欧州株式インデックスは米ドル・ベースで
0.2%であった。
3.06%上昇した。MSCI 欧州株式インデックス(英国を除く)
欧州中央銀行(ECB)は 7 月半ばに開催された政策決定会
合で政策金利を据え置き、リファイナンス金利は 0.05%で
維持された。会合後の会見で、マリオ・ドラギ ECB 総裁は、
ECB によるユーロ建て国債の買い入れプログラムを継続す
ることを確認した。また、2014 年終盤に開始した資産担保
証券とカバードボンドの買い入れも継続する。ECB による
国債を含む資産購入金額は月額 600 億ユーロとなる。こう
した資産購入は、2016 年 9 月末まで、あるいはインフレ率
が中期目標の 2%近づいてきたと ECB が確認できるまで継
続するという。また、ドラギ総裁は、ECB の政策が「経済
成長、経済の緩みの軽減、マネーと与信の拡大」に貢献し
ているとの見解も示した。ギリシャ政府と債権団は 7 月中
に合意に達し、新たなつなぎ融資が実施された。
英国では、全般的に好調な経済と業況が続いている。マー
クイット社と CIPS(英公認購買部協会)が 8 月初めに発表
した 7 月の英製造業 PMI は 6 月の 51.4 から 51.9 にわずかな
は 3.71%、MSCI 英国株式インデックスは 1.64%上昇した。
市場センチメントは、ギリシャと債権団が合意に至ったこ
とを好感した。対米ドルでユーロ安とポンド安が進んでい
なければ、インデックスはさらに上昇していただろう。
債券
ドイツ国債とイギリス国債は、米国債と同様、長期債利回
りが急低下した。今月の特徴は、ユーロ圏周縁国のほとん
どで国債がアウトパフォームしたことである。これは、ギ
リシャ政府と債権団が合意に達したことと、ユーロ圏のほ
とんどの国で経済成長の兆候が継続して見られることによ
るものだ。米国のクレジット市場とは対照的に、欧州のク
レジットは 7 月、すべてのクラスでアウトパフォームした。
日本
経済
がら上昇し、業況改善のペースが加速していることを示し
た。英国家統計局(ONS)は、6 月の鉱工業生産指数が前年
同月比 1.5%上昇したと発表した。今回の改善を牽引したの
は鉱業と採石業であった。7 月下旬に ONS が発表した速報
値によれば、2015 年第 2 四半期の英 GDP 成長率は前期比
0.7%増となり、2015 年第 1 四半期を 0.3%ポイント上回った。
前年同期比では 2.6%増であった。ONS は 7 月半ばに労働市
場調査を発表し、5 月末までの 3 カ月間の失業率は 5.6%で、
2 月末までの失業率と変わらずであった。また ONS が別途
発表した 6 月の CPI インフレ率(年率)は前月比横ばいで、
5 月のインフレ率はプラス 0.1%であった。
8 月初めに日本経済新聞社が発表した日本の 7 月の製造業
PMI は、6 月の 50.1 から 51.2 に上昇し、業況の改善を示し
た。こうした改善は、生産、新規受注、雇用、購買の拡大
によるものである。総務省統計局が発表した 6 月の世帯あ
たり消費支出の平均は 268,652 円で、名目ベースでは前年同
月比 1.5%減、実質ベースでは同 2.0%減となった。総務省統
計局が別途発表した 6 月の CPI インフレ率は、前月比で
0.2%下落したこともあって、前年同月比では 0.4%となった。
経済産業省(METI)が発表した 6 月の鉱工業生産指数(季
節調整済み)は、前月比で 0.8%上昇し、前年同月比では
2.0%上昇した。内閣府が発表した改定値によれば、2015 年
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2015 年 8 月
市場環境レポート
第 1 四半期の実質 GDP 成長率は前期比 1.0%増、年率換算で
かわらず、株価の下落は止まらなかった。MSCI 中国 A50
は 3.9%増となった。
インデックスは、米ドル・ベースで 14.49%下落した。直近
昨年 10 月に資産買い入れ枠を大幅に拡大した日銀は、8 月
初めの会合でも金融政策を据え置いた。日銀は、毎年およ
そ 80 兆円のペースで保有残高が増加するように長期国債を
買い入れる。買い入れ国債の平均残存期間は 7~10 年にな
発表された PMI は、中国、台湾、韓国、マレーシア、イン
ドネシアの製造業の業況悪化を指摘した。米ドル・ベース
で 0.43%の下落にとどまった MSCI マレーシア株式インデッ
クスが、この地域のアウトパフォーマーであった。
るようにする。また、上場投資信託(ETF)と不動産投資
信託(J-REIT)の保有残高がそれぞれ年間 3 兆円と 900 億
ラテンアメリカ
円に相当するペースで増加するように買い入れを行う。コ
マーシャルペーパー(CP)と事業債の保有残高はそれぞれ
経済
2 兆 2,000 億円と 3 兆 2,000 億円で維持する。
ブラジルの中央銀行は 7 月下旬の会合で、一向に収束しな
株式
い同国のインフレに対処するため、政策金利 Selic をさらに
50bps 引き上げて 14.25%とした。だが、同中央銀行は、こ
7 月の MSCI 日本株式インデックスは米ドル・ベースで
れ以上の利上げはないだろうとの見解を明らかにした。マ
0.46%上昇した。円安が進んでいなければ、上昇率はさらに
ークイット社が発表したブラジルの 7 月の製造業 PMI は前
大きくなっていただろう。直近の PMI は、日本の製造業と
月の 46.5 から 5 カ月ぶりの高水準となる 47.2 に上昇した。
サービス業で成長が加速していることを示した。
しかし、同月の総合 PMI は、サービス業の減速が寄与し、6
債券
月の 41.0 から 2009 年 3 月以来最低となる 40.8 に下落した。
マークイット社が発表したメキシコの 7 月の製造業 PMI は、
7 月の日本国債のイールドカーブは 2~5bps 下方へシフトし
新規事業取引と輸出受注の回復を受けて、6 月の 52.0 から
た。
52.9 に上昇した。
アジア太平洋地域(日本を除く)
株式
7 月の MSCI ラテンアメリカ株式インデックスは米ドル・ベ
経済
財新が 8 月初めに発表した 7 月の中国の製造業 PMI は、6
月の 49.4 から 2 年ぶりの低水準となる 47.8 に低下した。新
規受注と新規輸出受注の落ち込みを受け、製造業は 2011 年
終盤以来最も速いペースで生産を削減した。しかし、サー
ビス部門は底堅く、7 月の財新中国綜合 PMI は 50.2 で、横
ばいを示す基準値を上回っている。6 月の同 PMI は 50.6 で
あった。日本経済新聞社が発表した 7 月のインドの製造業
PMI は 6 月の 51.3 から 52.7 に上昇した。生産と新規輸出受
注の伸びがともに加速している。同月のインドの日経総合
ースで 8.45%下落した。これは主にブラジルの通貨レアル
の下落によるものだが、投資家は景気減速を示す最近の指
標に反応した。MSCI ブラジル株式インデックスはこの 1 カ
月で 12.29%下落した。7 月下旬、ブラジルの中央銀行は政
策金利を前月に引き続き 50bps 引き上げて 14.25%としたが、
これ以上の金融引き締めは実施しないとの見解を示した。
新規輸出受注の増加により、メキシコの製造業部門の成長
は加速した。MSCI メキシコ株式インデックスは、米ドル・
ベースで 2.71%下落したが、ラテンアメリカ地域のアウト
パフォーマーであった。
PMI は、サービス業の拡大が貢献し、前月の 49.2 から 52.0
に上昇した。中国とインド以外の地域では、ニュージーラ
東欧、中東およびアフリカ
ンド準備銀行が政策金利を 25bps 引き下げて 3.00%とした。
同準備銀行は、成長のペースが鈍化し、インフレ率は目標
経済
レンジの 1~3%を下回っているとの見解を示した。
政策立案者の関心は、引き続き低インフレ環境に集まって
株式
いる。例えば、ハンガリーの中央銀行は 7 月下旬、政策金
利をさらに 15bps 引き下げて 1.35%とした。ハンガリーの中
7 月の MSCI エマージング・マーケット・アジア太平洋株式
央銀行は、同国経済の成長は、内需の拡大と輸出の増加の
インデックスは、米ドル・ベースで 8.62%下落した。中国
おかげで、早いペースで継続するとの見通しを示した。ロ
政府が A 株式市場を下支えするために政策を講じたにもか
シアの中央銀行は、「景気が大きく冷え込み、[また]イ
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市場環境レポート
ンフレリスクか僅かながら増大している」というリスクバ
株式
ランスの変化を考慮して、政策金利を 11.50%から 50bps 引
7 月の MSCI 東欧株式インデックスは米ドル・ベースで
き下げて 11.00%とした。マークイット社が発表したロシア
5.96%下落した。これは、ロシアのルーブル安が対米ドルで
の 7 月の製造業 PMI は、6 月の 48.7 から 48.3 に低下した。
さらに進み、約 12%下落したことによるものである。今月
この指標では、ロシアの製造業は 8 カ月連続で後退してい
特筆すべき点は、ロシア中央銀行が先月に引き続き政策金
る。一方、ロシアのサービス業は拡大に転じている。トル
利を 50bps 引き下げて 11.00%としたことである。一方、南
コでは、マークイット社の製造業 PMI が 50.1 に回復し、業
アフリカ準備銀行は、インフレリスクの高まりと金利正常
況の安定を示した。ポ-ランドでは、マークイット社の製
化の必要性への対策として、政策金利を 25bps 引き上げて
造業 PMI が 4 カ月ぶりの高水準となる 54.5 となり、経営環
6.00%とした。今月、ハンガリー、チェコ、アラブ首長国連
境が堅調に改善していることを示した。アラブ首長国連邦
邦(UAE)の MSCI 株式インデックスは、いずれも米ド
(UAE)とサウジアラビアでは、7 月の非石油民間部門の
ル・ベースで上昇した。
PMI が成長の加速を示した。
5
市場環境レポート
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CRC1298885 exp.09/11/2016
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