平成27年度 事 業 計 画 書 公益財団法人日本防災通信協会(以下「日防災」という。)は、防災通信思想 の普及、防災通信機器の普及及び管理運用指導並びに犯罪等の防止等に関する 事業を行い、安全で秩序ある国民生活の実現に資することを目的としている。 日防災が主たる事業として抑止対策に取り組んでいる、金融機関を対象とし た強盗事件は、平成 13 年の発生件数 229 件をピークに 100 件台で推移してき たが、平成 20 年に 83 件と減少し、以後もその傾向を続け、平成 26 年は 31 件 にとどまった。減少した要因としては、警察活動の強化とあわせ、各金融機関 の自主防犯対策の充実等が考えられるところ、これを支援してきた日防災の事 業活動が着実に機能しているものと捉えている。 平成 22 年(2010 年)から 5 年間における金融機関強盗事件の発生率を見る と、日防災が運用指導等により防犯対策等の支援をしている金融機関では、支 援をしていない金融機関に比べて 3 分の 1 以下の発生にとどまっており、その 検挙率を見ても 1.5 倍となっている。 したがって、日防災としては、このような事業活動の成果を踏まえ、本年度 も、以下の重点推進事項に基づき、各警察と緊密に連携を図りながら、所要の 事業を推進していくこととする。 1 非常通報装置設置事業所等の自主防犯対策の支援 日防災の各支部長は、110番直結の非常通報装置(以下「非常通報装置」 という。)が設置されている事業所を個別に訪問し、その効果的な活用に関す る指導や防犯対策全般に関する指導・助言等を引き続き行う。 また、防犯講習は、事業所職員の防犯意識を醸成するのに効果的であること から、その開催を奨励し、支部長の防犯講話のほか、防犯DVD等視聴覚教材 を活用して実施する。 さらに、近年、金融機関だけではなく非常通報装置が設置されている事業所 (病院、保育所、高速道路等料金所等)においても防犯訓練を行うところが増 えていることから、日防災として、警察との連絡調整、訓練実施要領の策定等 を行い、効果的な訓練ができるよう引き続き支援していく。特に、非常通報装 置の新規設置事業所に対しては、設置後早い時期での防犯講習や防犯訓練を実 施し、事業所職員が非常通報装置を効果的に活用できるよう支援していく。 なお、これら運用指導時や保守事業者による保守点検時の非常通報ボタンの 1 押下体験は、設置者から高い評価を得ており、今後とも継続して行っていく。 また、誤報の防止指導にも力をいれていくこととする。 2 非常通報装置の普及 非常通報装置は、金融機関その他の公共的施設及びこれらに準ずる施設につ いて案件が起きたときの社会的影響等を勘案して設置されている。 非常通報装置の設置数は、平成9年度末に約4万500台に達したが、その後、 金融機関店舗の統廃合等により減少が続き、平成27年1月末では、約3万5200 台となっている。平成10年度から20年度までの減少数は、平均450台と三桁台 であったが、統廃合が落ち着いてきたことや継続的な普及活動の実施等から、 平成21年度以降は25年度まで、平均103台と低減傾向であった。 その後、平成26年度は、統廃合が落ち着いてきたことに加え、無線方式から の移行と積極的な普及活動により平成27年1月末現在で、プラス269台と平成9 年度以来17年ぶりに増加した。 設置対象別の内訳を見ると、金融機関については約3万1,300台が設置され、 都市銀行・地方銀行等については、ほとんどの店舗に設置されている。一方、 農協・漁協等については、未設置店舗があることから、普及率の一層の向上が 必要である。 金融機関以外の対象については、官公署、病院、保育所等に約3,900台が設 置されている。その中で、保育所等へはここ数年の積極的な普及活動により155 台が新たに設置されて298台となった。また、官公署や病院についても継続的 な普及活動により、官公署等で223台、病院等で267台となった。 無線方式からの移行は、京都府防災無線協会の事業縮小によるもので、今年 1月末現在で125台あった。 今後とも、犯罪の抑止・犯人の早期検挙に有効な非常通報装置の普及活動に ついては、次の項目を重点に、積極的に実施していくこととする。 ○ 金融機関店舗における普及率 100%を目標とした継続的な普及活動 ○ 社会の安全・安心に向け、金融機関以外の必要な施設に対する積極的な普 及活動 3 広報活動の充実 金融機関をはじめとする非常通報装置設置事業所の自主防犯態勢の充実強化 と職員の防犯意識の啓発と高揚に資し、非常通報装置の適正かつ効果的な運用 を図るため、次のような広報活動を推進する。 ○ 機関紙「防災通信」の充実 ○ 視聴覚教材「防犯DVD」の新規制作(金融機関強盗事件防犯対策、 2 幼稚園・保育園等侵入事件防犯対策)及び無料貸出等 ○「非常通報装置設置ステッカー」及び「防犯ポスター」の増刷と提供 ○ 非常通報装置設置事業所の事業形態及び防犯対策に応じた指導・教養資 料の作成と提供 ○ 各種防犯講習会・模擬強盗訓練、設置事業所における新入職員研修及び ホームページ等を通じた幅広い広報活動の推進 3
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