四時(四季)における 24 節気 暦に書いてある 24 節気は解説されてもなかなか理解できないことが多い。典故は漢方の原典でもある黄 帝内経素問に出て来る。素問のダイジェスト版の内経知要では「道生」の二番目「四気調神大論」に出て来 る。 内容は春夏秋冬、四季のことを述べている。代表的な文章は次のようになっている。 春三月,此謂発陳,天地倶生,万物以栄・・(春の三月、これを発陳という。天地ともに生き、万物もって栄え・・) 夏三月,此謂蕃秀,天地気交,万物華実・・(夏の三月、これを蕃秀という。天地の気が交わり、万物が華やかに実し・・) 秋三月,此謂容平,天気以急,地気以明・・ (秋の三月、これを容平という。天気はもってすみやかに、地気はもって澄んで・・) 冬三月,此謂閉蔵,水冰地坼,無擾乎陽・・(冬の三月、これを閉蔵という。水は凍り地は裂け、陽をみだすことなし・・) ここで、春は発陳(はっちん) 、夏は蕃秀(ばんしゅう)、秋は容平(ようへい)、冬は閉蔵(へいぞう) とそれぞれの季節のポイントが出て来る。 それぞれの意味を簡単に述べよう。 発陳:古いものを押しのけて、新しいものが出るという意思(是推陳出新的意思)。 蕃秀:蕃は葉を布く、秀は華が出ること。草木が美しく茂る(是説草木盛長,揚布秀美) 。 容平:容は盛ん(従容)なこと,平は成熟。 (是説草木盛長,到了秋天,已達成熟階段) 。 閉蔵:気機が潜伏し、陽気を内蔵する。冬は発散させず蓄える。 (是生機潜伏的意思) 。 さて、四季の三ヶ月間を6つずつに分け 24 節気を完成させた。 立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨六個節気為春三月。 立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑六個節気為夏三月。 立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降六個節気為秋三月。 立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒六個節気為冬三月。 実際に農業の目安などに利用した。それらの由来を種類別に分けると 昼夜の長短を基準にした季節区分(各季節の中間点) - 春分・夏至・秋分・冬至 昼夜の長短を基準にした季節区分(各季節の始期) - 立春・立夏・立秋・立冬 気温 - 小暑・大暑・処暑・小寒・大寒 気象 - 雨水・白露1・寒露2・霜降3・小雪・大雪 物候 - 啓蟄・清明4・小満5 農事 - 穀雨・芒種6 となる。性質别に分類してみると覚えやすい。 1 白露:大気が冷えてきて、露ができ始めるころ。 寒露:露が冷気によって凍りそうになるころ。雁などの冬鳥が渡ってきて、菊が咲き始め、コオロギなどが鳴き始めるころ。 3 霜降:露が冷気によって霜となって降り始めるころ。 4 清明:万物がすがすがしく明るく美しいころ。様々な花が咲き乱れ、お花見シーズンになる。 5 小満:万物が次第に成長して、一定の大きさに達して来るころ。麦畑が緑黄色に色付き始める。 6 芒種:芒(のぎ 、イネ科植物の果実を包む穎(えい)すなわち稲でいう籾殻にあるとげのような突起)を持った植物の種 をまくころ。 2 さて、これら 24 節気は暦上、何月何日と固定できない。閏年があるので理解できるであろう。区別の仕 方に太陰太陽暦や旧暦、太陽の角度などによって決められている。詳細を知りたければ以下を読むといい。 なお、最後に今年の 24 節気の日付け表を附録した。 暦月と節月 太陰太陽暦における 1 ヶ月は月の運行に基づき朔日から晦日までとする区切り方である。この月を暦月と いう。各暦月の名称は二十四節気を基準に定められる。暦では正月・2 月・3 月を春、4 月・5 月・6 月を夏、 7 月・8 月・9 月を秋、10 月・11 月・12 月を冬とする。なお暦注において暦月による月の区切り方を月切 りという。 太陽黄経が 30 の倍数であるもの(春分・穀雨など)を中(中気) 、そうでないもの(清明・立夏など)を 節(正節、節気)という。節気から次の節気の前日までの間を 1 か月とする月の区切り方を節切り、その月 を節月という。日本において占いや年中行事を記す暦注の中で節切りによるものがよく使われ、また季語の 分類も主として節切りで行われている。節月では、正月節(立春)から 2 月節(啓蟄)までが正月、2 月節 (啓蟄)から 3 月節(清明)までが 2 月、3 月節(清明)から 4 月節(立夏)までが 3 月というようになり、 立春から立夏までが春、立夏から立秋までが夏、立秋から立冬までが秋、立冬から立春までが冬というよう に定められる。 旧暦においては月名は、その月が含む中気によって決まる。従って雨水が正月 15 日以前にきたときは立春 はその 15 日前なので、立春が前の年ということが起こり、これを「年内立春」という。古今集の「年のう ちに春は来にけり、一年を去年とやいはむ、今年とやいはむ」はそのことを歌ったものである。 二十四節気一覧 カッコ内は太陽黄経と 2015 年における日付(日本時間)である(年によって変動する)。中気を含まない月 を閏月とする。詳しくは閏月を参照のこと。 季節 節月 節(せつ) 中(ちゅう) 春 一月 立春(315 度、2 月 4 日) 雨水(330 度、2 月 19 日) 二月 啓蟄(345 度、3 月 6 日) 春分(0 度、3 月 21 日) 三月 清明(15 度、4 月 5 日) 穀雨(30 度、4 月 20 日) 夏 四月 立夏(45 度、5 月 6 日) 小満(60 度、5 月 21 日) 五月 芒種(75 度、6 月 6 日) 夏至(90 度、6 月 22 日) 六月 小暑(105 度、7 月 7 日) 大暑(120 度、7 月 23 日) 秋 七月 立秋(135 度、8 月 8 日) 処暑(150 度、8 月 23 日) 八月 白露(165 度、9 月 8 日) 秋分(180 度、9 月 23 日) 九月 寒露(195 度、10 月 8 日) 霜降(210 度、10 月 24 日) 冬 十月 立冬(225 度、11 月 8 日) 小雪(240 度、11 月 23 日) 十一月 大雪(255 度、12 月 7 日) 冬至(270 度、12 月 22 日) 十二月 小寒(285 度、1 月 6 日) 大寒(300 度、1 月 20 日)
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