異なる条件下の活性汚泥が産生するカビ臭物質の調査

2013 年度
応用生物学部
卒業論文概要
論文題目
異なる条件下の活性汚泥が産生するカビ臭物質の調査
氏名
指導教員
仲
真美
浦瀬
太郎
キーワード:下水処理水, カビ臭, 活性汚泥, GC/MS
1.はじめに 下水処理水には特有の臭気があり、その臭気は 2-MIB,Geosmin,
2,4,6-Trichloroanisole(2,4,6-TCA)により部分的に説明できることが明らか
になってきた。そこで本研究では、下水処理に用いられる活性汚泥を様々な条
件で培養し、与える基質や微生物群集の差がこれら 3 つのカビ臭物質の生成な
どに与える影響を調べた。
2.実験方法 活性汚泥を好気条件・嫌気条件それぞれに分けて 5~6 日間培
養し、活性汚泥に与える基質の組成を変えることにより、カビ臭物質の濃度に
差が出るのかどうかを検討した。実験に使用した活性汚泥は、大学排水処理施
設である工科大処理場と大規模下水処理場である北野下水処理場から採取し
た。試料水は、ヘッドスペース-SPME 法による前処理を行った後、GC/MS 分析
で測定した。
3.結果・考察 好気条件で北野の汚泥に廃糖蜜を与えると 2,4,6-TCA が多量
に産生された。これは北野の汚泥に 2,4,6-TCA の前駆物質が含まれており、好
気条件で微生物が廃糖蜜をエネルギーとし、前駆物質を 2,4,6-TCA に転換した
ためであると考える。工科大の汚
泥では 2,4,6-TCA は産生されなか
った。2-MIB は好気・嫌気条件や
基質の種類に関係なく北野で必
ず検出されたので、2-MIB の産生
は微生物種の違いによる影響を
受ける。また、Geosmin は嫌気条
件下で産生されやすかった。ま
た、Glucose 等を与えた場合より
も廃糖蜜を与えた場合の方が、
Geosmin は多く産生された。
北野,廃糖蜜,嫌気
北野,廃糖蜜,好気
北野,G・T,嫌気
北野,G・T,好気
工科大,廃糖蜜,嫌気
工科大,廃糖蜜,好気
工科大,G・T,嫌気
工科大,G・T,好気
工科大,G・T・Y,嫌気
工科大,G・T・Y,好気
工科大,純水,嫌気
工科大,純水,好気
G…Glucose
T…Tryptone
Y…Yeast Extra
0
20
40
60
濃度[ng/L]
濃度[ng/L]
80
図.様々な条件での 2,4,6-TCA 濃度の最大値