「腹腔鏡下胃全摘術における 食道離断前経胃アンビル挿入法を用いた DST 吻合の成績と評価」 京都桂病院 消化器センター外科 小西 小百合、間中 大、工藤 亮、光岡 英世、金井 俊平、神頭 聡、 吉野 健史、濱州 晋哉、西躰 隆太 【目的・背景】胃癌に対する腹腔鏡下手術の適応は胃全摘術にも広がりつつあり、食道 空腸吻合はさまざまな方法が提唱されている。しかしそれぞれの方法において吻合部 狭窄や縫合不全等の合併症も少なからず認められる。 当院にては、腹腔鏡下胃全摘術時の食道空腸吻合において、食道離断前にアンビル(Av) を胃前壁または食道に切開をおいて留置する、食道離断前 Av 挿入法を用い完全鏡視 下 DST 吻合を行っている。また合併症予防対策として firing 時の腸管のねじれ予防 や、腸管過緊張の防止のための工夫を施行しており、これらの実手技を紹介するとと もに、術後成績について検討した。 【手技】Av シャフトに綿製で長さ 30-40cm のテープを 1-0 ナイロン糸でくくりつけ、 胃上部前壁に 2cm の小切開を、また食道から挿入する場合は、食道離断部より肛門側 の食道に腸管クリップをかけクリップ口側に切開をおき Av をそれぞれ挿入する。 Linea Stapler で食道を離断。食道断端部前壁に小孔をあけ管腔内の綿テープを牽引 し Av を食道内より断端部まで引き出し Av 装着を完了する。 【対象・方法】対象は 2007 年 11 月より 2014 年 11 月までの約 7 年間に胃癌に対して腹 腔鏡下胃全摘術を施行し、食道空腸吻合を DST 吻合にて行った 130 例。 検討事項は合併症の内訳、出血量、手術時間、在院日数、circular Stapler(CS)の種 類、サイズ、stage 等について。 【結果】再建方法は全例 Roux-en-Y 吻合(結腸前経路)。 CS の種類は DST-EEA®128 例、CDH®2 例。サイズは全例 25mm。 stage la 39 例、lb 16 例、lla 16 例、llb 8 例、llla 11 例、lllb 9 例、 lllc 7 例、lV 24 例。 出血量(median[Range])202ml(7-3750) 、手術時間(median[Range]) 408min(238-664)、 在院日数(median[Range]) 13.5day(8-71) 食道空腸吻合部合併症は縫合不全 0 例(0%)、体腔内 SSI 1 例(0.7%)、吻合部狭窄 5 例 (3.8%)。 吻合部狭窄については 5 例とも術後約 1-2 か月後に認め, 内視鏡下バルーン拡張術を 行い 3 例は軽快したが、2 例は軽快認めず、再吻合術を施行。 【結語】食道離断前 Av 挿入法を用いた、食道空腸 DST 吻合は合併症が少なく簡便で安 全な優れた方法であると考えられた。
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