遺伝子組換え型第VIIa 因子および活性型プロトロンビン複合体濃縮製剤

Abstract: J. J. Van Veen, et al.
Abstract (Muskuloskeletal )
遺伝子組換え型第 VIIa 因子および活性型プロトロンビン複合体濃縮製剤
の複合レジメンを用いたインヒビター保有重症血友病 A 患者における
大手術
Major surgery in severe haemophilia A with inhibitors using a recombinant factor VIIa
and activated prothrombin complex concentrate hybrid regimen
J. J. Van Veen, R. M. Maclean, K. K. Hampton, A. Hamer and M. Makris
インヒビター保有血友病 A 患者における大手術
材料および方法
は,増加傾向にある。手術にあたっては,遺伝子組
換え活性型第 VII 因子製剤( rFVIIa )と活性型プロ
rFVIIa と FEIBA® の複合レジメン
トロンビン複合体濃縮製剤( APCC )の両者が用い
す べ て の 患 者 に, 手 術 直 前 麻 酔 室 で rFVIIa
られるが,最適な投与スケジュールは依然として不
た。それにもかかわらず,出血エピソード 8 件中
120 μg/kg 以上,その後の 48 時間は 2 時間ごとに
90 μg/kg 投 与 し,2 ∼ 6 日 目 に FEIBA® に 切 り 換
えた。人工膝関節全置換術( TKR )施行後の止血帯
除去時,60 ∼ 180 μg/kg を追加投与した( 最終投
与から追加投与までの間隔が 1.5 ∼ 2 時間の場合は
180 μg/kg,最終投与から 0.5 ∼ 1.5 時間を経過し
た場合は 120 μg/kg,最終投与から追加投与まで 30
分以内の場合は 60 μg/kg )。臨床検査後,rFVIIa を
2 日目および 3 日目には 3 時間ごとに 90 μg/kg,4
日目および 5 日目には 4 時間ごとに 90 μg/kg に減
4 件で手術とは無関係の出血を来した。このうち 3
量した。
明である。インヒビター保有患者 4 名に大手術を 8
回施行した際,術後最初の 2 ∼ 6 日に rFVIIa,そ
の後残りの期間に FEIBA® を用いた複合レジメンの
使用について報告する。rFVIIa 投与中,すべての患
者にトラネキサム酸も投与した。整形外科大手術 6
例,緊急の精巣摘除術 1 例,開腹虫垂切除術 1 例
を施行した。投与スケジュールでは,文献記載量の
限度を上回ったが,製品概要の推奨量の範囲内とし
件は同一患者に生じたことから,患者因子であるこ
すべての患者にトラネキサム酸( TXA )1 g を 1
とが示唆された。全体的な転帰はすべての出血エピ
日 4 回投与し,FEIBA® に切り換える 12 時間前に
ソードで良好であった。この複合レジメンは,手術
中止した。初回量は手術直前に静脈内投与し,それ
直後の場での rFVIIa の投与量および投与頻度の柔
以降は経口投与とした。
®
る。本研究は,こうした患者群の外科手術が依然と
FEIBA® に 5 日目までに切り換えた場合,200 U/kg/
日を 1 日 3 回分割投与,それ以降は 100 ∼ 150 U/kg/
日を 1 日 2 回分割投与した。投与を 10 ∼ 14 日間継
して克服すべき課題であることも強調するもので
続した後,数週間に及ぶ理学療法を実施した。術後,
ある。
血栓予防薬は投与しなかった。試験計画からの逸脱例
軟性と,その後数日に及ぶ FEIBA の投与頻度を
低下させるという利点とを組み合わせたものであ
は,下記患者のエピソードの中で個々に記述する。術
後の rFVIIa と FEIBA® の用量に一部みられるばらつ
きは,バイアルの含有量と患者の体重に関連したもの
である。費用上の理由から,バイアル全量(すなわち,
無駄が生じたり,また,半分使用したバイアルはなかっ
Haemophilia (2014), 20, 587–592
© 2014 John Wiley & Sons Ltd
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た)を使用した。
Abstract: J. J. Van Veen, et al.
Abstract: C. Barnes, et al.
Abstract (Clinical haemophilia )
適切な評価時期:インヒビター保有血友病患者の免疫寛容導入療法不成功
の定義に関する合意形成
When is enough . . . enough? Developing consensus of definition of failure of immune
tolerance induction in patients with haemophilia and inhibitors
C. Barnes, S. A. Brown, J. Curtin and S. Dunkley
免疫寛容導入療法( ITI )は,第 VIII 因子に対し
適な ITI レジメン,ITI の転帰の予測因子,ITI の
て高力価インヒビターを発生させた血友病 A 患者
成功・不成功の定義については依然として曖昧な
に最も望ましい管理法である。しかしながら,最
ままである。本プロジェクトは,オーストラリア
における臨床診療に際しての ITI の治療不成功の
Haemophilia (2014), 20, e275–e279
© 2014 John Wiley & Sons Ltd
定義について,修正デルファイ法を用いて合意形
成 す る こ と を 目 的 と し た も の で あ る。 連 続 し て
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