2015年10月号 - アヴァンティスタッフ

月刊 HRタイムズ 派遣法改正特集号②
株式会社アヴァンティスタッフ ニュースレター
33号<派遣法改正特集号②> / 2015年10月
先月号に引き続き、「2015年派遣法改正」特集をお届けします。
今月号は、政省令や指針、業務取扱要領などの内容を踏まえた詳細内容をご説明します。先月号と併せてご確認くだ
さい。
Ⅰ.派遣受入期間制限に関する内容
今回の法改正の最大のポイントは、政令26業務と自由化業務の区分が撤廃され、業務内容にかかわらず、派遣先の
事業所単位と派遣スタッフ個人ごと(組織単位)の2つの期間制限が設けられたことです。
そこで、まず「事業所」と「組織単位」の定義を確認します。
◆事業所
「原則」
まずは場所で考えます。離れた場所にある建物は原則として別個の事業所と判断します。
「例外」
場所的に分散していたとしても、出張所・支所など規模が小さく、組織的関連や事務的能力からみて、ひとつの事業所と
いう程度の独立性がない場合には、ひとつ上の組織に包括して、全体をひとつの事業所とします。
「参考」
上記の考え方は、雇用保険法の考え方と同じです。よって、雇用保険法上「事業所」として取り扱われている=雇用保
険の事業所番号が付与されているのであれば、その建物はひとつの事業所と考えます。
◆組織単位
次の2つの要件を満たす組織のまとまりが「組織単位」です。
① 業務としての類似性や関連性があること。
② その組織の長が、業務配分や労務管理上の指揮命令監督権限を有して
いること。
この基準に従って、派遣先に指定していただいき、労働者派遣契約書等に記載す
ることが必要です。
※「課」や「グループ」などが想定されていますが、名称にとらわれることなく実態によっ
て判断されることになります。
目次
Ⅰ.派遣受入期間制限に関
する内容
◆事業所
◆組織単位
◆期間制限の例外
◆クーリング期間
◆意見聴取の手続き
Ⅱ.派遣先が講ずべき措置
◆派遣スタッフのキャリアアップ
支援
Ⅲ.派遣元事業主が講ずべき
措置
◆雇用安定措置
◆社会保険・雇用保険の加
入の証明
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Ⅰ.派遣受入期間制限に関する内容
続いて、期間制限の例外とクーリング期間について確認します。
◆期間制限の例外
次の場合は例外として、派遣先の事業所単位と派遣スタッフ個人単位のいずれも期間制限がかかりません。
派遣スタッフの属性
・派遣会社に無期雇用される派遣スタッフ ・60歳以上の派遣スタッフ
業務内容
・終期が明確な有期プロジェクト業務 ・日数限定業務
・産前産後、育児、介護休業を取得する労働者の代替業務
◆クーリング期間
事業所単位、個人単位とも、派遣終了と次の派遣開始までの間の期間が3か月を超えないときは、その派遣は継続して
いるものとみなされます。よって、3か月超の期間(3か月+1日以上、クーリング期間)が空いている場合、その派遣は継
続していないものとみなされ、期間制限はリセットされます。
<個人単位の期間制限に関する注意点>
・同一の派遣スタッフについて、派遣会社が異なる場合であっても、(クーリング期間がない限り)継続しているものと取
り扱われます。
・派遣スタッフ本人が希望しないにもかかわらず、クーリング期間経過後に再び元の組織単位の業務に派遣することは、
派遣スタッフのキャリアアップの観点から望ましくないとされています。
◆意見聴取の手続き
事業所単位の期間制限は過半数労働組合等に意見を聴くことによって延長することができます。意見聴取の手続きにつ
いて、いつまでに、誰に、どのように聴くのか、聴いた結果をどうすべきかなどが細かく定められています。
○いつまでに
派遣可能期間の終了の1か月前までに意見を聴くことが必要です。なお、意見のとりまとめに要する期間を意見を聴く
相手に確認するなどして、十分な考慮期間を設けることが必要とされています。
派遣を受け入れる前に意見聴取をすることはできません。派遣の受入れ開始後、意見聴取の開始時期に関する規
定はありませんが、意見聴取の趣旨が常用代替が生じていないかの判断を現場の労使が行うことであることから、派
遣受入れ開始に接近した時点よりも、ある程度の期間経過した後の方が望ましいとされています。
○誰に
①事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合。(以下、「過半数組合」)
②事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者。(以下、「過
半数代表者」)
※会社全体ではなく、事業所ごとに判断します。例えば、派遣先A社の労働組合はXひとつのみ。A社全体では、X
労働組合の組織員が全労働者の過半数であったとしても、Y事業所単体でみたときにX労働組合の組織員が過半
数に満たない場合には、Y事業所では過半数代表者に意見を聴くことが必要です。
●過半数代表者の選出方法について
過半数代表者は、次の両方を満たす必要があります。
①労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者(管理監督者)でないこと。
②目的(派遣可能期間の延長に係る意見を聴取される者を選出すること)を明らかにして実施される投票、挙
手等、民主的な方法により選出された者であること。
※①に該当する者がいない(=管理監督者しかいない)事業所では、②に該当する者が対象となります。
<注意>
意見聴取した過半数代表者が次のいずれかに該当する場合には、意見聴取が行われていないものと同視され、
労働契約申込みみなし制度(期間制限違反)が適用されます。
・管理監督者(上記※の場合を除く) ・使用者の指名等、非民主的な方法によって選出された者
・派遣期間の延長手続のための代表者選出であることを明示せずに選出された者
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○どのように
①次の内容を書面で通知します。
・派遣受入れの事業所 ・延長しようとする派遣期間(3年以内)
②意見聴取の参考となる資料を提供します。
・派遣受入れの開始時(延長した場合は延長時)からの受入れた派遣労働者数及び正社員数の推移(派
遣労働者の受入れが、常用代替となっていないかの観点)
③過半数組合等からの求めがあれば、部署ごとの派遣労働者数、派遣労働者ごとの受入期間等に関する情報等
を提供することが望ましいとされています。
○意見を聴いた後
①過半数組合等が異議を述べたときは、事業所単位の期間制限の抵触日の前日までに次の内容を説明すること
が必要です。 ・延長しようとする期間とその理由 ・異議への対応方針
②以下の内容を記載した書面を、事業所単位の期間制限抵触日から3年間保存することが必要です。
・意見聴取した過半数組合の名称または過半数代表者の氏名(過半数代表者の場合には、選出方法も併せ
て記載することが望ましい) ・通知した内容(○どのようにの①の内容)と通知日 ・意見を聴いた日及び意
見の内容 ・①で説明した内容 ・意見を聴いて延長する派遣期間を変更したときは、その変更した派遣期間
Ⅱ.派遣先が講ずべき措置
派遣先に課される義務のうち、派遣スタッフのキャリアアップ支援に関する内容をご紹介します。
◆派遣スタッフのキャリアアップ支援
○派遣会社への評価情報等の提供の努力義務
派遣先は、派遣会社から求めがあった場合には、派遣スタッフの職務遂行状況や職務遂行能力の向上度合など
(評価に関する)情報を提供するように努めなければならないとされています。
この努力義務は、派遣会社による派遣スタッフへのキャリアアップ支援が適切に講じられることを目的としています。
○優先雇用の努力義務
派遣先は、①~③のすべてを満たす場合、派遣スタッフを雇い入れるように努めなければならないとされています。
①組織単位ごとの同一の業務に、1年以上継続して派遣労働に従事したこと
②①の業務について、派遣期間終了後は、直接雇用の労働者を雇い入れて従事させようとすること
③派遣会社から、雇用安定措置(次ページ)のひとつとして直接雇用の依頼があったこと
○正社員募集情報の周知義務
・派遣先は、次の場合、派遣スタッフに対して、事業所の正社員募集情報(※1)を周知することが必要です。
①同一の事業所で同一の派遣スタッフを継続して1年(※2)以上受け入れており
②その事業所で働く正社員を募集する場合(※3)
・掲示板やイントラネットへの掲示、直接メールでの通知、派遣会社を経由しての周知等が認められています。
(※1)業務内容、賃金、労働時間その他募集に係る事項。
(※2)「1年」は、法改正施行前からカウントします。
(※3)派遣スタッフを受け入れている部署に限らず、事業所内の正社員募集情報が対象です。なお、新卒の
学生を対象とした求人など、派遣スタッフに応募資格がないことが明白な場合には、周知は不要です。
○労働者募集情報の周知義務
・派遣先は、次の場合、派遣スタッフに対して、労働者募集情報(※4)を周知することが必要です。
①同一の組織単位の業務に、継続して3年間(※5)受け入れる見込みがある派遣スタッフについて
②派遣会社から、雇用安定措置(次ページ)のひとつとして直接雇用するよう依頼があり
③その事業所で働く労働者を募集する場合(※6)
・周知の方法は、上記と同様です。
(※4)正社員に限らず、アルバイト・パート・契約社員なども含む。内容は(※1)と同様です。
(※5)改正法(新法)が適用される契約からカウントします。
(※6)派遣スタッフを受け入れている部署に限らず、事業所内の労働者募集情報が対象です。なお、特殊な
資格を必要とするなど、派遣スタッフが募集条件に該当しないことが明白な場合には、周知は不要です。
◆均衡待遇の推進
その他に、派遣スタッフと、派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡図るため、派遣元・派遣先双方に
講ずべき措置が決められました。
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Ⅲ.派遣元事業主が講ずべき措置
派遣会社に課される義務のうち、特に派遣先に影響のある内容を中心にご紹
介します。
◆雇用安定措置
派遣会社は、同一の組織単位に継続して1年以上派遣される見込みがあるな
ど一定の場合に、派遣終了後の派遣スタッフの雇用を継続させるための措置を
講じることが必要です。
○雇用安定措置の内容
①派遣先への直接雇用の依頼
派遣スタッフが、派遣先での直接雇用を希望する場合、派遣会社から派遣
先に対して、直接雇用の依頼が必要です。
②新たな派遣先への提供(合理的なものに限る)
派遣スタッフの居住地やこれまでの待遇等に照らして合理的なものでなけれ
ばならないとされています。
なお、派遣会社で無期雇用化したうえで、これまでと同一の派遣先(同一
組織単位)に派遣することも②に含まれます。
③派遣会社による無期雇用
派遣スタッフを無期雇用し、派遣スタッフ以外の働き方をさせる(自社内業
務に従事させる)ことが該当します。
④その他雇用の安定を図るために必要な措置
・新たな就業の機会を提供するまでの間に行われる有給の教育訓練
・紹介予定派遣での就業 などが該当します。
○雇用安定措置の対象者
A.①~④のいずれかを講じる義務が発生(※1)
同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込み(※2)がある派
遣スタッフ
B.①~④のいずれかを講じる努力義務が発生
同一の組織単位に継続して1年以上(3年未満)派遣される見込み
(※2)がある派遣スタッフ
(※1)本人が①を希望した場合には①が優先。派遣先での直接雇用が実
現しなかった場合は、②から④のいずれかの措置を講ずることが義務。
(※2)当該期間(1年や3年)に到達する派遣契約と労働契約が締結さ
れた段階で「見込み」が発生すると考えます。
◆社会保険・雇用保険の加入の証明
派遣会社は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入させたうえで派遣す
るときは、派遣先に対して、被保険者証のコピー等を提示することが義務化され
ました。
派遣開始後に加入させる場合には、加入手続き後に該当書類を提示すること
とされています。
エビデンス書類を提示することによって、各種保険に加入していることを確認いた
だくことが趣旨であるため、派遣先は、被保険者証のコピー等の証明書類を保
管していただくことは不要です。なお、派遣スタッフの個人情報保護のため、生年
月日等の情報は、マスキングして提示することがあります。
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