10/1 第1章

食べ物の機能
第1章
食べ物の機能の分類
生物的な機能
一次機能:生きるためには食べなければならない
二次機能:食べることは一種の享楽・快感である
三次機能:特定の食材・食品成分によって疾病予防は可能か
(商業主義と研究者の思惑によって成立する機能)
社会的機能
食べ物の持つ経済的役割
文化的機能
コミュニケーションツール
人vs人 人vs神様 人vs動物 動物vs動物
食文化:二次機能とのつながり
「お腹が空くことの生理的背景」
空腹感とは脳の飢餓中枢への刺激
食べ物の一次機能
刺激
生きるため、健康の維持のためには「食べる」必要が
ある。
種々の生体内微量成分
(生理活性物質)
生命維持機能
関係する成分→栄養素
糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル
血糖値
ストレス
温度
胃の収縮など
血糖は細胞で消費されると低下する
消化
生物は複雑な物質を体内で分解し、発生したエネルギーを
ATPという物質に貯え、必要なときに使用している。
消化
吸収
代謝・分解
CO2, H2O
エネルギー
ブドウ糖(=血糖)
+ リン酸
アデノシン三リン酸(ATP)
アデノシン二リン酸(ADP)
血糖の消費とは?
1
分解してエネルギーを取り出すことができる物質は
糖質、脂質、たんぱく質
空腹の放置(=絶食)の行き着くところ....
ATP合成
エネルギー
エネルギー
デンプン
ショ糖
脂肪
タンパク質
消化
ブドウ糖
ブドウ糖、果糖
脂肪酸、グリセリン
アミノ酸
中間代謝物
代謝
代謝
エネルギー過剰のとき
二酸化炭素
水
尿素
エネルギー不足のとき
自らの身体を「肉」として食べる、そして激やせ、最後は死
貯蔵脂肪
ビタミンとミネラルは体内での代謝反応において必要
(脇役であるが、存在しなければ代謝反応は進行できない)
食べ物の二次機能=「おいしい」の生理的意味
飢える心配がなければ、
私たちは「おいしい」もの
を食べたいと思う
なぜだろう
「おいしい」という快感
=身体に必要なものを食べたことに対する報酬
脳内麻薬はどのような場合に分泌されるか
さとりをひらく
天国の姿
聖テレジアの法悦
(宗教的エクスタシーに加えて....)
おいしいと感じたとき、脳に麻薬様物質(脳内エンドルフィン)が分泌
苦しみはいつしか快感へ
食欲と性欲は類似している
2
食べ物の第二の機能(二次機能)
嗜好感覚機能
(味、香り、色、形状、食感など)
響宴の継続のためには.......
快楽の果てに待っていたのは
本来は、おいしいもの=栄養素=一次機能成分
しかし、やがては、妙なものも「おいしい」と認識
でも、少し前までは、太っていることが
美と健康の象徴
現在、肥満は不健康の象徴
かつて人間の命を大量に奪ったのは疫病(=伝染病・感染症)だった
だが、食欲には勝てない
3
「食べる」ことによって特定の病気(がん、心臓病、脳卒中、糖尿病など)
を予防できないだろうか?
慢性の病気の発生に
地域差がある
54.3
身体にいいものを食べてもっともっと健康になりたい
54.4 59.7
慢性の病気には生活習慣
が関わっている
59.8 65.1
65.2 70.5
70.6
生活習慣の中で、
食生活のウエイトは大きい
食生活の違いが
慢性の病気の地域差に関わるに違いない
慢性の病気を予防する食生活があるはず
特定の食品、または食品成分が
慢性の病気を予防しているのではないか
ルーツは医食同源
図4-1.男性の脳血管疾患の年齢調整死亡率の地域比較 食べ物の第三の機能(三次機能)
健康増進機能
(未来の健康を保障)
食品の三次機能はブームを起こした
機能性成分
�カテキン
�ポリフェノール
�イソフラボン
�DHA
�アミノ酸…..
食品中の非栄養素、または必要量を
はるかに超える栄養素による疾病予防機能
しかし、フードファディズムに陥るおそれがある
たとえば、食べても肥満しにくいとは....
消化吸収の邪魔をするとはどういうことか
食べ物中のでんぷん、脂肪、タンパク質
消化酵素の作用
ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸に分解される
どちらかの邪魔を
すれば食べてもエ
ネルギー源は体内
に入らない
小腸粘膜を通過(小腸から吸収)
それは大切な栄養素の消化吸収を妨げ、便として
排泄することを促すことである
つまり、緩やかにお腹を壊すことを意味している
このような作用を行う成分は、かつては「反栄養物質」
と呼ばれる有害成分であった
食べたのに痩せる→それは毒である
体内に入り、エネルギー源や身体の作り替えに利用
消化と吸収の邪魔をする成分が含まれていれば
食べても、エネルギー的には食べなかったことと同じ
このような成分が歓迎されるのは、食べ過ぎているから
食べ過ぎの人でなければ、このような成分は健康に悪影響
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食事における優先順位
1.エネルギーの確保(食事の絶対量の確保)
2.タンパク質の確保(子供の成長を保障)
この2つがクリアできれば深刻な栄養失調は防げる
3.脂肪摂取量を適正範囲に保つ
先進国:肥満の防止と生活習慣病予防
発展途上国:子供の飢餓の防止
4.主要なビタミンとミネラルの適正摂取
5.マイナーなビタミンとミネラルの適正摂取
6.おいしい食事
7.機能性成分の活用
食べ物の二次、三次機能は一次機能が確保されていることが前提
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