公衆浴場対策について 質疑

26年度各会計決算特別委員会第2分科会
公衆浴場対策について
公衆浴場対策について、伺います。
昭和33年(1958年)4月に全国公衆浴場環境衛生同業組合連合
会設立。11月に東京都公衆浴場環境衛生同業組合が発足。
それから57年。公衆浴場は、東京の大事な社会資源であるという
視点から、東京都は、環境負荷の少ない都市を目指すためにも、ク
リーンなエネルギー推進事業を。災害に強い都市を目指すためにも、
耐震化促進支援事業を。我が党の要望を受けて取り組んできた。
今や公衆浴場は、都民に入浴機会を提供するだけでなく、地域住
民の健康づくりや健康増進の場、一人暮らし高齢者のコミュニケー
ションの場などとして、地域社会の中で重要な役割を果たしていま
す。
また、大規模災害発生時には、一時避難場所や生活用水の提供な
どの役割も担っており、私の地元、大田区の浴場では区と協力しな
がら、毛布や食料品などの備蓄に取り組んでいます。
更に、2020年(平成32年)東京五輪・パラリンピック大会
に向け、銭湯は江戸のしぐさ・昭和のぬくもり・平成のふれあいと
いう言葉に代表される日本文化の海外への発信などの役割も期待さ
れているところです。
しかし、残念なことに、都内で営業する公衆浴場数は昭和43年
の2687軒をピークに、その後は減少の一途をたどっており、自
家風呂の普及等、厳しい経営環境の下、最盛期の4分の1にまで減
少しています。わが大田区も現在45軒となってしまいました。そ
れでも都内で一番多い状態です。
最近では、明治時代から続く建物自体が文化財ともいえる文京区
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の公衆浴場が、建物の老朽化や経営者の体調不良などから9月末で
閉店し、利用者に惜しまれながら100年以上の歴史に幕を閉じた
ということです。
東京都は現在あらゆるハード・ソフト両面の支援を行っていますが、
これからも東京の文化であり、文化財ともいえる公衆浴場の減少に
何としても歯止めをかけたい。
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(都内の公衆浴場数と廃業理由について)
Q1
そこで、直近の都内の公衆浴場数はどのような状況になって
いるでしょうか、また、どのような理由で廃業しているのか、
伺います。
A1(消費生活部長答弁)
○
都内の公衆浴場数は、今年の9月末現在636軒で、
この10年間、毎年30軒程度のペースで減少
○
廃業理由としては、自家風呂が普及した結果による利用者の
減少を背景とした厳しい経営環境の中で、後継者難により浴場
経営者が高齢化し、施設の老朽化なども進んでいるため
三多摩地区、23 区部ともに年1、2軒のペースで公衆浴場がなくな
っている。
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浴場経営者の多くは70歳以上と高齢で、健康不安を抱えている
方々が多いと聞いています。また、浴場経営に将来的展望が持てな
いことから、後を継ぐ者が少ないとのことです。
後継者不足は、なかなか効果的な対策が難しい問題ですが、老朽
化した施設設備の更新などについては、都として積極的に支援して
いくことが重要です。
先ほども述べましたが、都は、施設の耐震補強工事や燃料を都市
ガス等に転換する経費に助成するなど、施設整備のための各種助成
策を講じていますが、こうした助成制度は公衆浴場の経営の安定化
に資する大変重要な施策であり、浴場事業者からは「使い勝手がよ
い」との声も寄せられています。
より多くの公衆浴場が、都の助成制度を活用し、環境問題や地震
対策とともに、経営の安定化に取り組んでいけるよう、これからも
補助制度の維持・充実に努めてほしいと思います。
さて、さりとて、今の公衆浴場の減少にストップをかけるには、
どうすべきか。
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(利用者拡大を図る取組に対する助成策について)
Q2
さて、ハード面における助成制度だけでなく、公衆浴場の利
用者拡大を図るソフト面の支援も重要です。都は、利用者拡大
を図るため、平成26年度、新たにどのような支援を行ってき
たのか、伺います。
A2(消費生活部長答弁)
○
都は、公衆浴場利用者の拡大を図る取組を支援するため、
公衆浴場組合が実施する広報宣伝費の一部を補助
○
平成26年度は、利用者拡大を図るため、公衆浴場組合ホー
ムページのリニューアルのための経費などについて補助
○
リニューアルしたホームページでは、多言語で銭湯の歴史や
入浴方法を紹介するとともに、外国人にもお勧めの公衆浴場を
案内
○
また、若者向けにスマホ版のホームページも作成し、GPS
機能を利用して公衆浴場を案内する銭湯マップに加え、ツイッ
ターによる最新情報の発信など、SNSを活用した情報発信に
も取り組む
○
さらに、公衆浴場組合においては、銭湯愛好者に銭湯の魅力
を発信してもらうため、フェイスブックに入浴体験などを書き
込んでもらう「銭湯サポーター」の募集を開始
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さて、公衆浴場経営の安定化を図る上で、利用者を増やしていく
取組は不可欠です。売上が増え、浴場経営に将来的な展望が持てる
ようになれば、若い後継者も生まれてくるのではないかと思います。
こうした観点から、我が党はこれまで公衆浴場のPR強化に向け
た都の支援策を要望してきました。
都は、我が党の要望をうけ、ただ今答弁がありましたように、外
国人観光客や若者など新しい顧客層を開拓していくための取組を支
援していることを高く評価したいと思います。
私も、今年の4月にリニューアルされた浴場組合のホームページ
を拝見しました。
以前のホームページに比べ、それぞれの銭湯の特長や魅力が分か
り易く掲載されており、情報量も格段に増えたと思います。
都内では、天然温泉を楽しめる公衆浴場が40軒ほどあると聞い
ていますが、こうしたお風呂の種類や営業情報などが浴場ごとに詳
しく紹介され、行きたい浴場を簡単に探せるようになっています。
また、スマートフォンがあれば、GPS機能を利用して、目的地
の浴場まで道案内もしてくれて大変便利です。
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(銭湯情報発信の実績について)
Q3
新たな情報発信の取組を開始して6か月が経過しましたが、
ホームページへのアクセス件数などはどのような状況になっ
ているか、また今後、発信力の高まったホームページ等を活用
して、新たな顧客層の掘起こしの取組をさらに進めていくこと
が重要だと思いますが、都はどのように考えているか、見解を
伺います。
A3(消費生活部長答弁)
○
リニューアル後の公衆浴場組合ホームページへのアクセス件
数は、今年4月から9月までの6か月で約34万件
○
そのうち、外国からのアクセスは約1万件で、毎月千件以上
のアクセス
○
SNSによる情報発信については、ツイッターのフォロワー
が1,300を超え、9月末までの3か月間をみても、毎月
100人ずつ増加
○
公衆浴場の応援団である「銭湯サポーター」は、9月末現在
600人に達し、フェイスブックを通じて入浴体験情報などを
リアルタイムで発信
○
今後は、こうした数多くのアクセスを、実際の利用者拡大に
つなげていくとともに、近隣ホテルとの連携や、マラソンラン
ナーのニーズを捉えたサービス提供など、新たな取組を行って
いる浴場もあることから、そうした新しい取組についての情報
発信を行っていくことも重要
○
都としては、今回の成果を活かしつつ、さらなる新規利用者
を開拓する公衆浴場組合の取組を積極的に支援
7
私も銭湯が大好きで、インターネット情報を参考にしながら、大
田区や品川区で、ここはイイなと思う銭湯を見つけては、銭湯巡り
を楽しんでいます。また、銭湯サポーターにも登録し応援していま
す。
4月から始まった銭湯情報の発信は、大変好評を得ていると聞い
ておりますが、こうした取組が実際利用者の拡大につながっている
かどうか、是非、今後検証を行うよう、公衆浴場組合に働き掛けて
いってほしいと思います。
自家風呂保有率が100%近い状況となり、また、大型のスーパ
ー銭湯や入浴施設を備えたスポーツジムとの競合もある中、ただ今
部長の答弁にあった新たな発想でこれまで銭湯を利用していない
人々も含め、さらなる利用者拡大を図っていくための努力が必要で
す。
ホームページやSNSによる銭湯情報の発信は、そのための一歩
にすぎません。
公衆浴場を応援しようと集まってくれた銭湯サポーターの皆さん
との協力・連携を深めていく取組や、外国人観光客や若者などこれ
まで公衆浴場を利用したことのない人達へのPRも重要です。
都は、引き続き公衆浴場組合の利用者拡大に向けた取組に対して、
支援策の充実に努めるよう要望します。
それと利用者のニーズをどう浴場経営にとりこめることができるか、
銭湯経営者の経営改革も必要です。
私が銭湯ファンから聞くことに、
①
せめて近所の居酒屋くらい、ご主人に愛想がほしい!
②
新規のお客さんにもっと優しく接してほしい!
③
湯船は熱いお湯とぬるま湯の 2 種類がほしい!
特に外国人。
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④
ドライヤーの持ち込みをさせてほしい!
⑤
女性用のメイク落としのコットンを販売してほしい!
⑥
無料で使えるシャンプー・リンス・ドライヤーを浴場において
ほしい!
⑦
終電後まで営業時間を延長してほしい!(一カ月のうちに何度
か)
⑧
朝風呂をやってほしい!(土曜日か、日曜日に)
⑨
銭湯グッズを販売してほしい!
等の意見・要望があります。厳しい環境経営の中、難しい要望もあ
りますが、これらの利用者のニーズを実現できるよう、組合へも働
きかけて頂きたいと思います。
それでは次の質問に移ります。
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