【 第 一 章 】 鉄とガラスによる新時代の幕開け ギリシャやローマに憧れた新古典主義 マシン・メイドによる大量生産の時代 1 室内を過剰に装飾したヴィクトリアン・スタイル 2 鉄とガラスによる新時代の幕開け 3 4 ギリシャやローマに憧れた新古典主義 しゅう えん ヨーロッパにおいて、ロココが 終 焉した十八世紀後半から十九世紀においては、過去 の歴史様式を意識化した歴史主義が、デザインのスタイルとなりました。装飾的で官能的 なバロックやロココへの反発によって、ギリシャなどの古典様式を模範とした芸術が、建 築だけでなく、絵画や音楽など幅広い芸術分野において主流となりました。この古典様式 を模範としたスタイルを、新古典主義といいます。 十九世紀頃から、ギリシャ以降の歴史的な建築様式の研究が進みました。新古典主義は、 建築を科学的に本質をとらえるという合理的な方法で、建築の美を再現しようとするもの でした。過去の様々な様式によって、グリーク・リヴァイヴァル、ゴシック・リヴァイヴ せっちゅう ァル、ネオ・ルネサンス、ネオ・バロックなどと呼ばれています。これらの様式を自由に 組み合わせることも行われ、スタイルを折 衷 することをエクレクティシズムといいます。 古代ギリシャ建築の様式を用いたものを、グリーク・リヴァイヴァルといい、ベルリン がいせんもん のブランデンブルク門が最初のものとされています。ナポレオン一世は、パリを古代ロー マ帝国のような首都にしようとして、戦勝記念碑であるエトワール凱旋門や、コリント式 の柱 を 並 べ て 古 代 ロ ー マ 神 殿 を 模 し た マ ド レ ーヌ 寺 院 な ど を 建 設 し ま し た 。 ロ ン ド ン の 大 英博 物 館 の 正 面 玄 関 も 、 ギ リ シ ャ 神 殿 を 模 し て、 イ オ ニ ア 式 の 円 柱 が 並 ぶ 新 古 典 主 義 の 傑 作の ひ と つ と な っ て い ま す 。 だ l'Opera イギリスにおいて、建築家オーガスタス・ らく ウェ ル ビ ー ・ ノ ー ス モ ア ・ ピ ュ ー ジ ン は 、 堕 落 した当時の社会を変革しようとして、中世 を理 想 の 社 会 モ デ ル と し 、 中 世 ゴ シ ッ ク 様 式 で教 会 な ど を 建 築 し ま し た 。 そ れ ら は ゴ シ ッ ク・ リ ヴ ァ イ ヴ ァ ル と 呼 ば れ 、 ピ ュ ー ジ ン 設 計のセント・ジャイルズ教会や、チャールズ・ バリー設計のイギリス国会議事堂が代表作で、 その 後 ヨ ー ロ ッ パ 各 地 に も 広 が り 、 ケ ル ン 大 ネオバロック様式のパリのオペラ座は、 ガルニエ宮とも呼ばれ、 「オペラ座 の怪人」 の 舞台にもなった んだよ。 002 003 【 第一章 】鉄とガラスによる新時代の幕開け 1
© Copyright 2024 ExpyDoc