講義ノート07_電流・オーム則

物理学序論2 (電磁気学入門)
第7講 151113
定常電流とオームの法則
1
ある体積内の総電荷の増加率
体積表面から流れ出す単位時間あたりの総電荷量
電荷保存則
Q : 電 荷, 次元は [C], 電荷密度 r : 単位体積あたりの電荷量、次元は [C/m3]
I=|I|: 電 流 電流は単位時間にある面を通過する総電気量で
i : 電流密度
次元は: [A]=[C/s]
電流密度は単位時間に単位面積を通過する電気量で
次元は: [A/m2]
積分形
微分形
連続の方程式
ときにはエネルギー保存式ともいう
各地点で電荷密度が時間的に変化しなければ,電荷の増減はないので
電荷保存則は 電流保存則となり ∇・i = 0
と書ける (定常電流)
注:教科書では電流を表す変数として I でなく i , 電流密度は i でなく J を
使っているので混同しないこと
2
定常電流: 電流密度が、各点で時間的に変化しない電流
定常電流現象とは
電池を回路につなぐと電位差が生じる
電位差による電場が電荷を動かす 電流の発生
運動電子が原子に散乱されて抵抗力が生じる
静電力と抵抗力が釣り合い定常電流となる.
(電池のオンオフ時以外は時間変化はない)
散乱で失う熱エネルギーを電池が供給する
電流:ある面積 S を通過する単位時間あたりの電荷量
(単位: A:アンペア = C/s:クーロン/秒)
I=
= iS, i: 電流密度=電流の面積密度
注:教科書では
電流を i 電流密度を
J と書いている
電流保存則
定常電流では, S1, S2, S3 を通る電流
は皆同じ
注: I=i・S = iScosb
流れに垂直な面積を通過する電気量
電流は電荷を持つ物体(キャリアー)が動くことにより生じる
導体では電子、 半導体では電子と正孔
電子は負電荷を持つから、電流の向きと電子の動く方向は通常逆である。
3
電流密度と電流、電流密度と電荷密度との関係
定常電流とは: 全電流: I = inS = 一定 または ∇・i = 0
全電流
電流密度
電流保存則とは閉曲面に流入する電流量と流出する電流量は等しい事を意味する.
すなわち式で書くと
積分型
微分型
4
オームの法則: Df =V=RI、 Df:電位差
R(W) = V(volt) / I(ampere)
抵抗と抵抗率
R
抵抗とは電気エネルギーが
熱エネルギーに変換されるところ
抵抗値は、
抵抗率と形に依存する。
オームの法則
注意:電荷密度と抵抗率で
同じ記号 r を使うし、
面電荷密度と伝導度でも
記号 s を使うが、
意味は違うので混同しない
ようにしてください。
文脈をよく見ること
注:抵抗は物体の特性であり.抵抗率は物質の特性である.
5
オームの法則:
電子論
電流は導体内自由電子の流れ. 運動は電場による加速と原子による散乱
速度大→衝突回数大 ⇨ 散乱効果は速度に比例する抵抗力
一定の時間が経つと,抵抗力=電気力 ⇨ 速度一定(ドリフト速度= vd) → 図
自由電子の数密度を n と表す
電気伝導度 ∝ n, t
導 体 : 温度↗ → 原子振動激化 → 衝突回数↗ → t ↘ → 抵抗↗
半導体: 温度↗ → n ↗
→ 抵抗↘
6
ドリフト速度: 導体中の電子はランダムな熱運動をする:速さは 106 m/s 程度
電場がかかると電子は加速度を受けるが,電子は導体中の原子と衝突を
繰り返しながらゆっくりと進む.これがドリフト速度
教科書p101、例題27-3:半径 r = 900mm の導線に定常電流 I=17 mA
が流れているときのドリフト速度を求めよ
ただし,銅原子一個あたり伝導電子が一個あるとする
電子数密度 n
ドリフト速度 vd
電子の速度がこんなに遅いのに,なぜスイッチオンと同時に部屋の明かりがつくのか?
なぜ,地球の裏側との電話通信が即時伝わるのか?
電子の移動速度と電場の変化が伝わる速度(~光速)は異なる.
7
オームの法則に従わない例。
(水銀)
半導体: ダイオード 。
(p-n接合(junction))
白熱電灯
(Incandescent light)
温度依存性により
オームの法則が
ゆがめられる
超伝導体
(superconductor)
8
P: 燐(5価)
Si シリコン(4価)
Al: アルミニウム(3価)
電子のバンド構造
9
銅 (cupper)
温度が上がると
半導体
導体では電子の散乱が
激しくなる。
半導体では自由電子
(正孔)の数が増える。
10
人間の目は3原色のみに感じる
犬などの大部分の哺乳類は2原色
(赤・青)、 鳥や昆虫は4原色
(赤・緑・青・透明(紫外線))
を見分けることが可能
ハトは20色を識別できる
11
12
回路の電力 。
電荷の移動に伴うエネルギー変化
微小電荷 dQ=Idt が電位差 Df = V のあるところに移動すると
dU = dQ・V = IV dt
だけのエネルギー差が生じる。すなわち電流が単位時間あたり
P = dU/dt = IV
だけの仕事をする。このエネルギーはどこへ行くか?
ジュール熱
エネルギー消費
回路の抵抗を通過することにより電位差が発生した場合は、
このエネルギーはジュール熱になる。
ジュール熱の原因: 電流内の電子は原子による抵抗力を受ける。
反作用により原子の熱振動が大きくなる  熱エネルギーへの転化
13
ジュールの法則
ジュールの法則
家庭用調理器・電気器具は,おおむね1kW 前後の電力を消費する.
1 kWh (1キロワット時) = (103 W)(3600 s)=3.6x106 J
ジュールの法則: 微分型。
--------------------------------------------------------------------------------------------------注意:P = IV は一般的な式である。
抵抗の代わりにモーターにつながれていれば、機械的エネルギーに変わる
蓄電池につながれていれば、蓄電池の中に化学エネルギーとして蓄えられる。
14
直流回路
抵抗の記号
図(a)は電池に抵抗Rをつないだ最も簡単な回路: オームの法則: V = R i
実際の電池は内部抵抗 r を持つ. ∴ V= (R+r)i
(内部抵抗 r は通常の説明時は無視.ただし,実際の応用例では無視してはならない.)
図(b)は回路の各地点での電位を示す. 抵抗の両端では DV=Ri の電圧降下がある.
V1
V2
V
V3
電流が b 点から a 点まで流れる間に,
電圧降下がある.
電流が抵抗 R1,R2,R3 を通る度に
V1,V2,V3 の電圧降下がある.
V = V1+V2+V3 = iR1+iR2+iR3 = iReff
Reff = R1+R2+R3
の
15
キルヒホッフ (Kirchhoff) の法則
(1) 電流保存則: 任意の連結点で
(2) オームの法則 任意のループで
Sk Ik = 0
S RkIk= S Vk
典型的な回路には,電池や抵抗(そしてキャパシター)など種々の
回路素子の組み合わせと,それに伴う回路の分岐がある.
分岐点における電流保存則と抵抗素子などにおける電圧降下の
オームの法則とを組み合わせた実用に便利な法則..
答え
ループ1
ループ2
16
抵抗の接続と等価抵抗
直列接続: V1 = IR1,
V2 = IR2,
V3 = IR3,
V = IR = V1 + V2 + V3
等価抵抗 は
∴ R = R 1 + R 2 + R3
並列接続: I1 = V/R1
I2 = V/R2
I3 = V/R3
I = V/R = I1 + I2 + I3
∴ 1/R = 1/R1 + 1/R2 + 1/R3
17
ホイートストン・ブリッジ回路:
抵抗の精密測定に使う回路
18
19
発電細胞一個: 起電力 =0.15 V , 内部抵抗 r = 0.25W
実効起電力 0.15V x 5000列 = 750V, 実効内部抵抗 r x5000列/140行= 8.93W
外部抵抗=頭~尻尾間の水~800 W,
外部起動電流 =750 V/ (8.93+800)W ~ 0.93A ~1A (持続時間~ 1/1000 秒)
内部電流 /列= 0.927A/ 140行 = 6.6 x 10-3A ~ 起動電流の1/1000
電気うなぎはなぜ、自分の
発電に感電しないのか?
750V
800W
8.9W
0.93A
等価回路
20
過渡現象
RC回路: キャパシターの充電 [スイッチ(a)] と放電 [スイッチ(b)]
電池は内部抵抗0の理想電池で起電力
を持つとする
充電過程 (a)
スイッチオン時,C の両端電圧はゼロ.Rの両端に
電位差があるから電流が流れるが,電荷がCに貯まり
電位差が電池の起電力に等しくなったところで電流が
止まる.Cの両端に貯まる電荷を±q とすると
キルヒホッフの第2法則を適用すると.
t=0 のとき q=0 とすれば,この微分方程式は解けて
電流はキャパシターが充電されるまでは流れ続けるが
キャパシターが充電した後は,流れない.
キャパシター両端の電位差は
.
時定数: t = RC
RC は時間の次元を持つ. 時間変化は 1- e-t/t もしくは e21-t/t
[RC] = [V/I][Q/V] = [Q/I] = [T]
22
放電過程 (b)
キャパシター充電後スイッチを切り替え回路を短絡させると
スイッチオン時,C の両端電圧 V0 と電荷量 q0 は.
t
3t
C を短絡させたので,やはりRの両端に電位差があるから
電流が流れるが,放電し終わり電荷が無くなると電流が止まる.
電位差が電池の起電力に等しくなったところで電流が
止まる.Cの両端に残る電荷を±q とする
キルヒホッフの第2法則を適用すると.
t =0 のとき q = q0 を入れて解けば,
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
23
時定数: t = RC
RC は時間の次元を
持つ
[RC] = [V/I][Q/V] =
[Q/I] = [T]
であるから,t=3t でほぼ飽和する(放電し尽くす)
と考えて良いであろう
これは t=0 で充電,t=2t で放電を行ったときの
外部電圧,電荷,電流曲線を描く.
24