Aeromonas sobria のセリンプロテアーゼの成熟化とシャペロン様

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Aeromonas sobria のセリンプロテアーゼの成熟化とシャペロン様タンパク
○野村知彦1、山中浩泰1、藤井儀夫2、岡本敬の介3
徳島文理大・薬・生化学1、同・生薬研究所2、岡山大・薬・分子細胞薬品科学3
私達はAeromonas sobriaのプロテアーゼの研究を行い、以下の事を明らかにした。
(1) A. sobria 288株の染色体DNAよりプロテアーゼ遺伝子をクローニングした。クローニングしたプ
ロテアーゼ遺伝子には624アミノ酸から成る理論分子量66,737のプロテアーゼがコードされてい
た。アミノ酸配列から本プロテアーゼはサブチリシンタイプのセリンプロテアーゼである事が分かっ
た。
(2) サブクローニングの結果、本プロテアーゼが菌体外へ活性体として産生されるためにはプロテ
アーゼ遺伝子の下流にコードされるタンパク、ORF2 (152アミノ酸から構成)が必要であることが判
明した。
(3) ORF2の機能を調べた結果、ORF2はペリプラスム空間で作用し、本プロテアーゼが安定な構
造を構築するために必要なシャペロン様タンパクとして機能することがわかった。この機能が発現
されるためのORF2の条件を検討した結果、 @ ORF2のカルボキシル末端が機能発現には必要
であること、 AORF2はプロテアーゼと適当な量比で産生されなければ、その機能を十分に発揮で
きないこと、が判明した。
(4) プロテアーゼ側の要因としては、分子内のジスルフィド結合がジスルフィド結合架橋酵素であ
るDsbAの作用を受けてすみやかに形成されることが必要である事がわかった。またこのジスルフ
ィド結合はプロテアーゼが活性を発現するためには必要でない事が明らかになった。
これらの結果から、ORF2はプロテアーゼのフォールデイングに関係するタンパクであると考えら
れた。ORF2はプロテアーゼの分子内でなく、プロテアーゼとは独立したタンパクとして産生され
る。現在までに多くのプロテアーゼが報告されているが、活性体として産生されるために、独立し
たシャペロン様タンパクが必要であることが明らかにされたプロテアーゼはない。それ故本研究は
プロテアーゼ産生の新しいモデルを提唱したと考えている。