当院では2012年より紫外線治療機器であるエキシマライト(セラビーム®)を導入しました。 適応疾患は尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎などです。その他円 形脱毛症・痒疹などにも試みられています。 ターゲット型なので、外用療法などでなおりにくい部分に用いるのが主な用途です。 原則10歳以上の方が対象になります。ペースメーカーを使用中の方は行えません。 週1回程度行い、効果がみられた時点で終了です。 30回を一応のめどとしていますが、疾患により数回の照射で改善することもあります。 1回の照射は数秒~1分程度です。照射野は10x12cmと狭く、重ならないように数ヵ所 かけることも可能です。以前の機器のように同日の遮光は必要でなく、やけどのような 紅斑・びらん、色素沈着はあまり起こしません。 費用として、3割負担の方で再診料などの他、1回に1000円程度かかります。 この3年で延べ50人ほどの患者さんに施行しました。ことに尋常性乾癬・掌蹠膿疱症で有 効で、平均10回程度で改善をみています。尋常性白斑では一部の方に改善をみています。 お気軽にご相談下さい! 少々専門的ですが、理論的なものも少し・・・ *紫外線療法は皮膚科で数十年の歴史があります。 *有害な波長を除き、治療に有効な波長を選択的に 使用する方向で、機器が改良されてきています。 *眼科のレーシック手術で用いられる波長(308nm) を 応用し、名古屋市立大学とウシオ電機が共同開発した ものが今回の機器です。 1.2 1 0.8 エキシマライト 0.6 ナローバンドUVB 0.4 0.2 0 290 295 300 305 308 310 312 315 320 <最近の紫外線療法についての総説から> 光線療法は,PUVA からナローバンドUVB に移行し,さらに 照射方法も全身・部分照射だけではなく,ターゲット型照射が エキシマライトの登場によって可能となった。 エキシマライトは全国で約500ヵ所程度で使用されている。 エキシマ(excimer)とは,excited dimmer(励起2 量体)からの造語 で励起2量体からの発光が,エキシマ発光と呼ばれる.…医療へ の光放射の応用としては,XeCl が用いられ,308 nm をピークと する放射が可能である。 尋常性乾癬:4回施行 (森田明理:臨床皮膚科 ,2012、 日本皮膚科学会総会,2013) 掌蹠膿疱症:4回施行 尋常性乾癬:20回施行 <紫外線療法の主な作用機序> ・病因となる細胞、時にTリンパ球のアポトーシス誘導。 ・制御性リンパ球の誘導。 ・表皮角化細胞やTリンパ球などからのサイトカイン産生抑制。 ・表皮角化細胞への直接作用(アポトーシス誘導など)。 ・表皮ランゲルハンス細胞あるいは真皮樹状細胞への作用。 ・真皮線維芽細胞への作用(コラゲナーゼなど蛋白分解酵素 産生亢進など)。 ・メラノサイトへの作用(増殖促進、遊走促進など)。 (横川真紀他:日本皮膚科学会誌 ,2012) ・乾癬においてはTh17を低下させ、制御性T細胞の落ちた 機能を修復する。 (森田明理:日本皮膚科学会総会,2013) *要するに皮膚の種々の細胞の免疫に働きかけるのです! 尋常性白斑:7回施行 後天性掌蹠角化症・爪変形:19回施行 (皮膚科 塩原 順子)
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